動脈硬化の症状や原因、治療方法をご紹介
動脈硬化(読み方:どうみゃくこうか)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
菊地香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)
動脈硬化とは
動脈硬化とは、動脈の血管の内側にコレステロールと線維などのプラークがたまって血管が狭くなったり、血管が硬くなり弾力を失ってもろくなったりする状態のことをさします。
このプラークが突然破裂すると血栓ができて完全に血管がつまり、脳血管障害 (脳梗塞,脳出血など) や心血管障害 (狭心症や心筋梗塞など)といった怖い病気がおこります。
動脈硬化の症状
動脈硬化そのものは、軽度の場合、自覚症状がほとんどありません。
動脈硬化が進むと徐々に動脈の壁が厚くなり、血液の通り道(血管内腔)が狭くなります(狭窄)。このような場合、血圧は高い可能性がありますが、高血圧による自覚症状はほとんどないと思われます。
やがて動脈が閉塞し、脳血管障害や心血管障害を発症してはじめて動脈硬化を指摘されることもよくあります。
動脈狭窄は閉塞の前段階ですので、一時的に閉塞したときの症状を呈することがあります。脳動脈であれば、脳梗塞と同じ症状を呈する一過性脳虚血発作を発症することがあります。心血管(冠動脈)であれば、心筋梗塞の前段階である狭心症になることがあります。
また、動脈硬化は全身の血管に起こることなので、全身至る所の血管でも見られえ、場合によっては症状が出現します。
例えば、足を栄養する動脈の動脈硬化が進行すると,歩行時の足の痛み,冷感などを感じるようになり,重症例では安静時にも症状が出現します(閉塞性動脈硬化症=末梢動脈疾患)。
動脈硬化の原因
年をとれば動脈硬化が進行します。20歳の人より70歳の人の方が動脈硬化が目立ちます。
つまり、加齢というのが一つの大きな原因になります。
しかし、同じ70歳の人でも動脈硬化の程度は異なります。動脈硬化の進行には年齢以外にも以下のような動脈硬化の危険因子が挙げられています。.
高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙など。
動脈硬化の検査法
血圧測定:血圧が高いほど動脈硬化の存在する可能性が高くなります。ABI(足関節上腕血圧比)を調べることで、閉塞性動脈硬化症の可能性を調べることができます。
血液検査:脂質異常症、糖尿病の有無などを調べます。
尿検査:糖尿病や高血圧にともなう腎障害などを調べます。
心電図検査:心筋梗塞や狭心症などによる波形の異常を調べます。
レントゲン検査:大動脈の石灰化や瘤化による拡大などがわかることがあります。
眼底検査:眼底の動脈を直接観察することで、高血圧や糖尿病にともなう、出血や血管新生などの変化の有無を調べます。
超音波検査:頚動脈のプラークの厚みや範囲など、大動脈瘤の有無、血流の速度などを調べます。
CT検査;脳梗塞や脳出血の有無、動脈の石灰化病変などを調べます。
MRI検査:脳梗塞や脳出血の有無、脳血管の性状などを調べます。
動脈硬化の治療方法
高血圧症、脂質異常症、糖尿病などのような危険因子といわれる病気があれば、その治療を行うことが重要です。これらの病気の予防あるいは治療をしっかり行うと、血管が詰まる(脳梗塞や心筋梗塞になる)可能性は低くなることが期待できます。
また、このような病気の有無に関わらず水分摂取を十分に行うことも重要です。
動脈硬化を予防するためには運動がおすすめですが、普段あまり運動をしていない人や、特に働き盛りで忙しい人はなかなか積極的に身体を動かしたりスポーツに参加しません。そんな人こそゴルフがおすすめです。自然の中で楽しみながらかなりの距離を歩くゴルフは、1プレイで約1200kcal消費します(カート不使用の場合)。ゴルフに限らず、自分に向いたスポーツを探して定期的に身体を動かすことで、動脈硬化予防につながります。リタイア後の夫婦の共通の趣味として何か身体を動かすことを始めてみてはいかがでしょうか。