膵嚢胞の症状や原因、治療方法とは?
膵嚢胞(読み方:すいのうほう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長
膵嚢胞とは
膵嚢胞(すいのうほう)とは、膵臓の内部や周囲にできる様々な大きさの「袋」のことで、症状はなくCTやMRI検査などにより偶然発見されることの多い病気です。
引用:東京医科歯科大学 肝胆膵外科
http://www.tmd.ac.jp/grad/msrg/pancreas/cancer02.html
膵嚢胞の症状
症状は通常ありません。しかしのう胞の種類によってはお腹が張る、痛いといった症状が出ることがあります。
引用:NTT東日本 関東病院
https://www.ntt-east.co.jp/kmc/guide/gastroenterology/tansui/09_suinoho.html
膵嚢胞の原因
急性膵炎や慢性膵炎に伴ってできる嚢胞はもちろん良性疾患となりますが、一方で、炎症とは関連のない「腫瘍性膵のう胞」というものがあります。膵臓で作られた膵液を十二指腸へと流す膵管の粘膜に「粘液を作る腫瘍細胞」ができ、この粘液が膵内にたまって袋状に見えるものが「腫瘍性膵のう胞」となります。従って、まず炎症によりできた「炎症性のう胞」と腫瘍により分泌された粘液がたまった「腫瘍性膵のう胞」とを区別することがとても大切です。以前は「粘液産生性膵腫瘍」などとも呼ばれていましたが、現在では、少し難しい名称ですが、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)などに分類されています。
引用:東京医科歯科大学 肝胆膵外科
http://www.tmd.ac.jp/grad/msrg/pancreas/cancer02.html
膵嚢胞の検査法
・CT検査
近年、multi-detector CT(MDCT)の発達により,数mm単位で膵臓の微細な構造まで検出できるようになり、必須の検査です。特に、造影剤を注射して撮影するCT検査(dynamic CT)では、膵腫瘍の大きさやひろがり、悪性所見などの有無を調べることが可能です。
・MRI/MRCP(MR胆管膵管撮影)検査
造影剤を使用せずに、膵管や胆管を特に強調して描出することが可能で、膵管拡張の程度や嚢胞性腫瘍との位置関係を評価したり、膵管と交通のない嚢胞性病変を描出することが可能です。また、多方向、様々な厚さの画像情報が得られ、ガイドラインでも、経過観察の際に施行すべき検査方法として位置付けられています。
・超音波内視鏡検査(EUS)
小さな病変の描出が可能で、膵嚢胞性病変の鑑別に欠くことのできない有用な検査です。胃カメラの先端に超音波装置が装備されており、患者さんは内視鏡(胃カメラ)と同じ要領で、口からファイバーを内服していただきます。胃や十二指腸の壁を通して、膵臓、胆管に異常がないかエコー検査を行います。場合によっては、腫瘍組織を一部採取したり、内容物を吸引したりすることも可能です。
引用:広島大学大学院 医歯薬保健学研究科
http://surgery1.hiroshima-u.ac.jp/about/diagnosis/folder6/post-22.html
膵嚢胞の治療方法
膵のう胞は上記の様に、①基本的に心配のないもの、②発がんリスクが低いものの有るため定期的な経過観察が必要なもの、③発がんリスクが高いため手術が必要なもの、④がん に分けられます。検診で発見される膵のう胞は、②の発がんリスクが低いものの有るため定期的な経過観察が必要であるIPMNであることが分かっています。当院では400人以上のIPMNの方が定期的に通院しています。IPMNはがん化することが有り、当院でも毎年数人の方は手術が必要になり入院精査の後に外科で手術を受けています。
引用:NTT東日本 関東病院
https://www.ntt-east.co.jp/kmc/guide/gastroenterology/tansui/09_suinoho.html