肝膿瘍の症状や原因、治療方法について
肝膿瘍(読み方:かんのうよう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長
肝膿瘍とは
肝膿瘍は、何らかの原因で、肝内に細菌、真菌、原虫などの感染をきたして膿瘍を形成する疾患です。病原体の種類により、細菌性とアメーバ性に分けられます。感染経路には、経胆道性、経門脈性、直達性、経動脈性があります。
肝膿瘍の症状
悪寒戦慄を伴う発熱、右季肋部痛、全身倦怠感などがみられます。また、腹部診察で、肝腫大、肝叩打痛を認めます。
肝膿瘍の原因
1)細菌性(化膿性)
総胆管結石や膵胆道系悪性腫瘍による胆管閉塞に伴い、胆管内で胆汁うっ滞が起こり、そこに腸内細菌が感染、胆管炎を引き起こし、上行性に肝内におよんで膿瘍を形成するとされています。この場合、膿瘍が多発することが特徴とされています。稀に虫垂炎、クローン病、潰瘍性大腸炎などの腸管感染症に際し、細菌が門脈を経由して肝内に到達し膿瘍を形成する場合もあります。2)アメーバ性
赤痢アメーバの腸管内感染から、これが門脈を経由して肝内に到達し膿瘍を形成するとされています。赤痢アメーバの生育する海外への渡航者に認められるとされていますが、近年、同姓愛嗜好者に発生する例が少なからず報告されています。肝臓の右側に比較的大きな、1個の膿瘍を形成することが特徴とされています。引用:寿製薬株式会社
https://ssl.kotobuki-pharm.co.jp/guide/guide03-28
肝膿瘍の原因としては、①細菌性、②アメーバ性、③真菌性が主にあげられます。①細菌性では、総胆管結石などで胆道を逆流して感染する場合や、大腸炎などから血流を逆流して感染する場合、胆嚢炎など周囲の臓器から炎症が波及する場合などがあります。
②アメーバ性では、赤痢アメーバが経口感染や性行為感染で感染し、大腸を経由して血流を介して感染が起きます。特に若年から中年層の男性の海外渡航者に多くみられます。
③真菌性は健常人には少なく、抗がん剤使用中などの免疫が抑制された方にみられる場合が多いです。
肝膿瘍の検査法
血液検査では、白血球の増加、CRPの高値、胆道系酵素(アルカリホスファターゼなど)の上昇などが認められます。
超音波検査、CT、MRIなどで、膿瘍の存在の有無、大きさ、数、周囲臓器への影響などを調べます。引用:gooヘルスケア
https://health.goo.ne.jp/medical/10I50800
最初に超音波検査を行い、見当をつけてからその後、造影CTもしくはMRIを行うか、最初から造影CTもしくはMRIになるかは病院の都合によります。
肝膿瘍の治療方法
細菌性肝膿瘍は、早期に診断し治療を開始しなければ、敗血症、細菌性ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)に移行し、致命的になることがあります。肝膿瘍を疑ったら、ただちに抗生剤の静脈内投与を開始し、かつ、膿(うみ)を体外に誘導するために経皮的に膿瘍穿刺ドレナージを行います。結石や癌による胆道閉塞が原因の場合は胆道ドレナージを行います。アメーバ性肝膿瘍では、メトロニダゾール(フラジール)を経口投与します
引用:寿製薬株式会社
https://ssl.kotobuki-pharm.co.jp/guide/guide03-28
もちろん平行して、抗生剤投与、多臓器不全が進行している場合にはそれに対する治療も行っていきます。
アメーバ性と診断された場合には、メトロニダゾールを投与します。
また、真菌性の場合は、ドレナージと抗真菌薬ですが、予後は非常に悪いです。(ちなみに真菌性は白血病などの治療中に起きる場合が多く、通常の方にはあまり起きません。)
継続する発熱に加え、上腹部痛や黄疸、肝機能障害がある場合には、医療機関の受診をお勧めいたします。ただし、継続する発熱だけでも肝膿瘍以外の原因もあるので、やはり受診をお勧めいたします。