大腸憩室症の症状・原因・治療方法とは?
大腸憩室症(読み方:だいちょうけいしつしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
町田 宏 医師(まちだクリニック 院長)
大腸憩室症とは
大腸憩室というのは大腸の壁に半円形のふくらみができる状態をいいます。内圧が強いと大腸の壁をとおして血管が入る部分に圧抵抗が弱いため、中の粘膜が外側に押し出されて出来るといわれています。あたかも風船にミミズができるようなものです。この憩室は昔から日本人では若年者で右側大腸に多くみられていました。その理由は未だに不明です。ところが最近高齢者に左側の大腸に憩室が増加してきているのです。S字結腸から下行結腸に見られる頻度が高くなりました。欧米では左側に多いのは昔からでしたので、最近の高齢者では欧米型に近くなっているとも言えます。肉食と線維の少ない食事が原因とされています。まさに21世紀の病気です。
引用:株式会社クリニカルサポート
http://www.csnt.co.jp/health/det/041001/
大腸憩室症の症状
憩室自体は危険なものではありません。実際に、ほとんどの憩室症の人では症状がみられません。しかし、憩室症は痛みを伴う原因不明のけいれん、排便障害、血便を引き起こすことがあります。憩室の入り口が狭いと出血を起こすことがあり、ときには腸内にひどい出血を起こして下血が生じることがあります。出血に痛みはありません。また、憩室に便が詰まって血管(通常は憩室付近の動脈)を傷つけた場合にも出血が起こります。憩室に入り込んだ便は、出血だけでなく、炎症や感染も起こして憩室炎( 憩室炎)が生じることがあります。一部の患者では、輸血が必要なほど出血が重篤になることがあります。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/憩室の病気/憩室症
大腸憩室症の原因
憩室は腸の筋肉層のけいれんに起因すると考えられています。この腸けいれんの原因は不明ですが、低繊維食と関連している可能性があります。腸けいれんによって腸壁に圧力が加わることで、腸壁の弱い部分、通常は動脈が大腸の筋肉層を貫通している場所の付近が膨らみます。憩室症の患者では、S状結腸の筋肉層が厚くなっているのが一般的にみられます。巨大憩室の原因はよく分かっていません。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/憩室の病気/憩室症
大腸憩室症の検査法
大腸内視鏡検査で容易に診断ができます。注腸レントゲン検査でも診断できます。精度のよいCTですと診断がつきます。内視鏡的には大腸壁にへこみがみられます。便がつまっていることもよくあります。この憩室が多数ありますと内視鏡の挿入はしばしば痛みをともなうのが厄介です。
引用:株式会社クリニカルサポート
http://www.csnt.co.jp/health/det/041001/
大腸憩室症の治療方法
大腸憩室症は悪い病気ではありません。たとえ憩室がたくさんできていても、症状がなければ治療は必要ありません。憩室炎や憩室の周りまで炎症が広がる憩室周囲炎は、放っておいて重症化すると腹膜炎に進展することもあり、抗生物質による治療が必要です。大腸憩室からの出血は多くは間欠的な出血で7~8割が自然に止血しますが、出血の程度が重度の場合やくり返す場合には大腸内視鏡による止血処置を行うこともあります。施設によっては注腸X線検査と同じように肛門からバリウムを注入して止血を行うこともあります。また、穿孔といって憩室に孔があくことがあり、こうなると腹膜炎をおこして緊急に手術しなければなりません。