虚血性大腸炎の症状・原因・治療方法についてご案内
虚血性大腸炎(読み方:きょけつせいだいちょうえん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長
虚血性大腸炎とは
大腸の血流障害により大腸粘膜に炎症や潰瘍が発症し、突然の腹痛と下痢・下血をきたす疾患です。本疾患は粘膜への血流障害に基づく疾患であり、血管造影で血流途絶像が認められるような腸間膜動脈閉塞症とは異なる病気です。
引用:帝京大学医学部附属病院 下部消化管外科
https://teikyo-daicho.com/虚血性腸炎
虚血性大腸炎の症状
通常は腹痛があります。左側が痛むことが多いのですが、腹部のどこでも痛みが現れる可能性があります。軟便がよくみられ、しばしば一緒に赤暗色のかたまりが出ることがあります。ときに便を伴わず鮮血のみが排泄される場合もあります。微熱(通常は37.7℃未満)がよくみられます。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/消化管の救急疾患/虚血性大腸炎
虚血性大腸炎の原因
血管側の問題として動脈硬化や血栓・塞栓などが挙げられ、高齢者や糖尿病・高脂血症などの動脈硬化や血流低下をきたす基礎疾患を持つ方に発症しやすいといわれています。また腸管側の問題としては、慢性便秘や浣腸などによる腸管内圧の上昇が挙げられます。
虚血性大腸炎の検査法
症状の経過や発生部位(左側の大腸)と、その他の出血をきたす腸炎(感染性腸炎,抗生物質起因性腸炎,大腸憩室炎,潰瘍性大腸炎,クローン病など)や大腸癌を除外することで診断されますが、注腸造影や下部消化管内視鏡、病理組織にそれぞれ特徴的所見がみられるため診断は比較的容易です。また、その重症度から一過性型と狭窄型、そして壊死型の3型に分類されます。壊死型は重症であり、緊急手術の適応となりますが極めて稀です。
虚血性大腸炎の治療方法
一過性型の場合、基本的には入院し、腸管の安静と全身状態を保つために対症療法を行います。
絶食、輸液、場合によっては抗生剤も投与し数日間経過をみます。
腹痛に対しては鎮痙薬を投与します。
症状が軽快し、炎症が落ち着いたところで食事再開となります。
狭窄型で症状が遷延する場合は手術が必要になる場合があります。
壊死型は稀ではありますが、症状が急速に進行して腹膜炎や敗血症性ショックを併発する恐れがあるため緊急手術の適応となります。
近年は、一過性型、狭窄型を狭義の虚血性大腸炎としている場合も多くなっています。引用:帝京大学医学部附属病院 下部消化管外科
https://teikyo-daicho.com/虚血性腸炎
基本的には良性の疾患であり、再発はしない場合が多いといわれていますが、最近では再発する場合も少なからず報告されています。