転移性肺がんの症状・原因・治療方法についてご案内
転移性肺がん(読み方:てんいせいはいがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
藤田 亨 医師(皿沼クリニック 院長)
転移性肺がんとは
肺は体に必要な酸素をとり込むための全身の血液が循環する臓器で、微細な網目構造になった豊富な毛細血管が血液のフィルターの役割をしています。このため他の臓器にできたがん細胞が血流にのって流れてくると肺でひっかかりやすく、肺に転移が起こりやすいのです。心臓から送り出された血液は、全身を巡ってから肺に戻ってくるため、各臓器の多くのがんが肺に転移しやすいことになります。こうして種々のがんの転移として肺に腫瘍(できもの)が形成された場合を「転移性肺腫瘍」といいます。
引用:日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=26
転移性肺がんの症状
転移性肺がんは症状がでにくい疾患です。症状がなくても安心はできません。
転移性肺がんの症状には、1週間しても改善しない悪くなる咳があります。これは肺がんが気管支や肺を刺激してでる症状です。肺がんが気管支に傷をつければ血痰(けったん)も起こしやすくなります。肺がんが気管支を閉塞すると、ぜいぜいした息やその先に肺炎、気管支炎を起こしやすくなります。 転移性肺がんが肋骨や肋間神経に刺激を与えれば持続する胸の痛みが出現します。太い気管支を閉塞する、あるいは胸水がたまって肺が小さくなれば呼吸困難がでます。転移性肺がんが声帯の運動を支配する反回(はんかい)神経を冒すと、しわがれ声になります。
転移性肺がんが大静脈を圧迫すると、血液の戻りが悪くなり、首や顔が腫れます。これを上大(じょうだい)静脈症候群といいます。
転移性肺がんが進行し体力がなくなると、食欲減退や体重減少や疲労感が出現します。これらの症状は転移性肺がんだけでなく他の病気にもみられます。
このような症状のどれかがあれば、医師の診断を受けることが重要です。引用:東京慈恵会医科大学附属柏病院
http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w2.html#case14
転移性肺がんの原因
肺に転移するがんとしては、結腸・直腸がん、乳がん、腎がん、子宮がん、頭頚部がん、骨・軟部悪性腫瘍、膀胱がん、胃・食道がん、肝がん、膵がん、卵巣がんなど実に様々です。転移の起こる経路には、(1)血行性転移といって、他の臓器のがんからこぼれ落ちたがん細胞が血管の中に入り込み、血液の流れに乗って肺で引っかかって定着する経路、(2)リンパ行性転移といって、他の臓器のがんからがん細胞がリンパ管の中に入り込み、リンパ液の流れに乗って肺のリンパ節にたどりつく経路、(3)経管腔性転移(経気道性転移)といって、主に肺にできたがんが、気道の中を空気の流れに乗って肺のほかの部分にたどり着く経路があります。このうち転移性肺腫瘍をきたす経路は、ほとんどが(1)の血行性転移だといわれています。
引用:日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=26
転移性肺がんの検査法
肺への転移といっても様々な様相を呈します。肺に一つのかたまりを形成する場合、肺に無数のかたまりを作る場合、胸水がたまる場合、肺のリンパ節が大きくなる場合などです。
診断には胸部エックス線検査と胸部CT検査、PET検査などが行われます。腫瘍マーカーの検査も行われますが、原発性がんと同じ腫瘍マーカーが有効です。これは転移性肺がんが原発性がんの性質をそのまま持っているためです。
転移性肺がんのときは、原発性がんのあった部位の再発の有無も重要で、原発性がんの検査も行います。
また、骨や肝臓や脳などの他の臓器への転移の検査も行います。引用:東京慈恵会医科大学附属柏病院
http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w2.html#case10
転移性肺がんの治療方法
がん(例えば胃がんや乳がん)が血流に乗って他の臓器(この場合肺)に転移しているのですから、現在胸部X線写真やCT写真に写っている以上にがん細胞が肺の中やほかの臓器の中に潜んでいる可能性が高いと考えなければなりません。したがって治療の原則は抗がん薬や分子標的治療薬などによる治療となります。このような治療を行った結果として、肺にだけ数個程度の転移が残った場合にはこれを手術や放射線療法、凍結療法、ラジオ波治療などで治療することがあります。また例外的に肺にだけ転移が出現して(他の臓器に転移が無い)、その数も3-4個程度である場合には抗がん薬などを用いずに、手術や放射線療法、凍結療法、ラジオ波治療などのいわゆる局所治療だけを行う場合があります。
引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000259.html