鼻茸の症状や原因、治療方法とは?
鼻茸(読み方:はなたけ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
蓑輪 仁 医師(みのわ耳鼻咽喉科 院長)
鼻茸とは
慢性的副鼻腔炎(蓄膿症)に付随する一つの病状です。鼻の内側の粘膜が一部ふくらみ、鼻腔内に垂れさがったもので、キノコのような形をしているためこの名前がついていますが、鼻ポリープとも呼ばれます。鼻かぜやアレルギー性鼻炎にかかり、膿のような黄色の鼻水がでて、鼻づまりが長期間治らないことがあります。その時に鼻の中に、白い水ぶくれが見えることがあります。これが『鼻茸』になります。
鼻茸は、放置しておくと大きくなり、日常生活に支障をきたすことがあります。さらに、治療をしてもなかなか治らない種類の鼻茸も存在します。
3ヵ月以上症状が続く慢性副鼻腔炎のうち、10~20%に鼻茸があると考えられています。
鼻茸の症状
鼻茸は、主に鼻の奥の、空気の通り道にできます。そのため、鼻茸は鼻づまりの原因になります。また、鼻の天井にある「嗅裂」と呼ばれる部分に鼻茸ができると、においを感じにくくなります。
さらに、鼻づまりやにおいを感じにくい状態を放っておくと、その他の日常生活に支障がでることもあります。
症状は副鼻腔炎と同じで、初期症状の多くは「鼻水」「鼻づまり」「鼻水が喉に落ちる」などです。重症になると「ほっぺたが痛い」「おでこが痛い」などの症状も出てきます。
鼻茸が大きくなると、「鼻で呼吸が出来ない」「臭いがしない」など、生活に支障がでてきます。
鼻茸は良性のものがほとんどですが、まれに腫瘍性疾患の場合もありますので、痛みが伴う場合や急速に増大する場合は早めに精査を行う事をお勧めします。
鼻茸の原因
鼻茸が発生する原因ははっきり分かっていませんが、アレルギーや細菌感染が関わっているといわれています。アレルギー物質や細菌などによって鼻腔の粘膜が刺激され、好中球や好酸球などの炎症細胞が集まります。すると、炎症細胞からヒスタミンが分泌し、それがさらに鼻の粘膜を刺激します。これによって粘膜の血管が膨張し、その一部分がキノコのように突出し、鼻茸になるといわれています。
副鼻腔炎が原因となることがほとんどです。そのため、黄色い鼻水や鼻づまりが長引いている方は放っておかず、一度は耳鼻科で検査(内視鏡検査、レントゲン検査)を受け、自分の鼻の状態を確認することが大切になります。
鼻茸が小さいうちに治療を行うことで、手術はせず薬物治療のみで改善できることもあります。
鼻茸の治療方法
軽症のものは薬物療法やネブライザー療法などで制御できますが、治らない場合や症状が軽快しない場合は、手術治療を行います。
鼻茸を小さくするために、ステロイドの飲み薬や生物学的製剤と呼ばれる新しいタイプの注射薬が使用されます。鼻茸が大きい場合や、鼻・副鼻腔の炎症が強い場合には、内視鏡を使った手術(ESS:内視鏡下鼻内副鼻腔手術)が行われることもあります。手術後は、再び鼻茸ができないように、点鼻薬や鼻洗浄などによるケアを続けることが大切です。
鼻茸は炎症が続くことで大きくなります。鼻づまりが治らない、においがわかりづらくなった、などの鼻症状に気づいたら、早めに病院に行きましょう。
手術の入院期間は病院によって異なります。
鼻茸の手術だけなら日帰りでも可能ですが、症状を根本改善するためには、副鼻腔炎(=蓄膿症)の手術を行ったほうがいいでしょう。
副鼻腔炎(蓄膿症)は入院手術が一般的で、局所麻酔、全身麻酔両方を選択できます。