前庭神経炎の症状や原因、治療方法とは?
前庭神経炎(読み方:ぜんていしんけいえん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
蓑輪 仁 医師(みのわ耳鼻咽喉科 院長)
前庭神経炎とは
前庭神経炎は突然の激しい回転性めまい発作(動いたり回転したりしているような感覚)を特徴とする病気で、前庭神経(平衡感覚のコントロールを助けている第8脳神経の分枝)の炎症によって引き起こされます。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/19-耳、鼻、のどの病気/内耳の病気/前庭神経炎
前庭神経炎の症状
前庭神経炎は、7~10日間続く激しい回転性めまいの発作が1回だけ単発的に起こる場合もありますが、多くの患者では最初の発作から数週間にわたって軽い回転性めまいの発作が起こります。通常、最も重度のものは最初の回転性めまい発作です。回転性めまいとは、自分自身か周囲のもの、またはその両方が動いたり回転したりしているように感じられる感覚のことです。大半の患者はこの不快な感覚を「めまい」と表現しますが、ふらつきなど他の感覚に対しても患者が「めまい」という言葉を使うことがよくあります。
回転性めまいの発作には、吐き気や嘔吐、眼振(眼球が一方向にすばやく動いてから、それより遅い動きで元の位置に戻ることを繰り返す現象)が伴います。回転性めまいは最初激しく、数日のうちに徐々に弱まっていきますが、平衡障害は最大で数カ月残ります。患者に耳鳴りはみられず、通常は聴力に影響はありません。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/19-耳、鼻、のどの病気/内耳の病気/前庭神経炎
難聴に伴い、めまいの症状があれば、突発性難聴やメニエール病を疑い、耳鼻科を受診することをお勧めしますが、難聴がなくても、激しい回転性のめまいとひどい吐き気が同時に起こるようであれば、耳鼻科受診も選択肢の一つと考えてもいいでしょう。
前庭神経炎の原因
発症前に風邪症状がある人が多いため、ウイルス感染が原因と疑われていますが、詳しいことは分かっていません。
引用:恩賜財団 済生会
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/vestibular_neuronitis/
前庭神経炎の検査法
1)聴力検査で,正常聴力または,めまいと直接関係しない聴力像を示す。
2)温度眼振検査で患側の温度反応高度低下,又は無反応を示す。時に,両側性のものがある。
3)めまい発作時には自発及び頭位眼振検査で方向固定性水平性(時に水平・回旋混合性)眼振をみる。通常健側向きである。
4)神経学的検査で前庭神経以外の神経障害所見なし。〔註〕1),2),3),4)の条件を認めた場合,本症と診断する。
引用:日本めまい平衡医学会
http://www.memai.jp/shindan/06VestibularNeuritis.html
聴力検査では、「難聴がない」ということを確認をします。
前庭神経炎の治療方法
治療は、めまい感や吐き気を抑えるために鎮静剤、制吐剤、重曹などを、神経の炎症を抑えるためにステロイド剤が投与されます。吐き気・嘔吐があるため、経口摂取ができない方は、水分補給のための点滴も行います。
引用:恩賜財団 済生会
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/vestibular_neuronitis/
吐き気が強く食事がとれない、めまいがひどくて歩けない方などは、入院治療となる場合もあります。