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耳鳴りの症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

耳鳴り(読み方:みみなり)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)

耳鳴り(みみなり)とは

耳鳴(耳鳴り)とは、実際にはしていない音が聞こえる状態です。
で、ジー、キーン、シャーといったやや高めの音から、ボーと低めの音まで様々です。
なお、幻聴とは、実際にはしていない意味のある音(話し声や鳥の鳴き声、音楽など)が聞こえることをいい、耳鳴とは異なった病態です。
耳鳴が始終鳴り出すと止めることは非常に困難ですが、まれに止まる人もいます。海辺で暮らす人々が波の音が始終聞こえるからといって不眠になったりうつになったりすることがないように、耳鳴が止まらなくてもたいがいの人は慣れていき、耳鳴を気にしないで生活することができます。
しかし、耳鳴のしている人の1%は、不眠や抑うつなどの精神的不良を伴うことがあるので注意が必要です。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りがひどいと訴える人は、自分の体調のわずかな変化も気になってしまう、心配性の人が多い傾向です。また、聴力障害があるとたいていは耳鳴りも伴うため、年齢が高くなるほど耳鳴りを生じやすくなります。特に加齢性難聴では必ず耳鳴りの症状が出ます。また、早期治療が重要な突発性難聴の前兆として耳鳴りが起こるケースもあります。急に耳鳴りを感じるようになって、一晩寝ても変わらないようであれば、一度耳鼻科を受診することをおすすめします。

耳鳴りの症状

耳鳴りが片耳から聞こえる、耳鳴りが両耳から聞こえる、ザーという低音の耳鳴りが聞こえる、キ-ンという金属音の耳鳴りが聞こえる、セミの鳴いているような音、などさまざまあります。
耳鳴りには、大きく分けて他覚的耳鳴と自覚的耳鳴があります。
他覚的耳鳴は、聴診器などを使用して音を増幅すれば他の人にも聞くことができるもので、体のどこかに雑音を発生させている原因があります。顎関節や耳の周囲の筋肉の動く音、耳周囲の動静脈の音、自分の息の音などがあります。特に脈打つような耳鳴の場合は、動脈瘤などがみつかることもあるので、精査が必要です。
自覚的耳鳴は本人にしか聞こえず、その原因はたくさんあります。耳鳴の大多数を占めます。耳鳴の大部分は難聴と関連して起きることが多いです。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りが起きやすい時間、状況、季節などは、特にありません。原因がはっきりわからない耳鳴りについて、症状が気になって眠れない時は、耳鳴りが際立って聞こえないように音のある空間で過ごすという対処法があります。周囲で音が鳴っていると、大きくはっきり聞こえてきた耳鳴りが、静かな場所でいる時よりも気にならなくなるからです。たとえば家庭では、テレビをつけたり、小川のせせらぎや雨音などの「環境音」を流したりしながら眠りにつく方法が効果的です。

耳鳴りの原因

耳鳴の原因は未だわからないことが多い状態です。
なお、耳鳴を訴える患者さんの多くは感音難聴を伴います。もちろん、難聴を伴わない耳鳴もあります。
感音難聴には、突発性難聴やメニエール病、音響外傷などによる急性感音難聴、老人性難聴などの慢性感音難聴があります。
突発性難聴の原因は、内耳のウイルス感染や血管の異常、血流障害などが考えられています。突発的や徐々に進行する感音難聴の中には、聴神経の腫瘍が原因になっていることもあります。
このように、難聴が原因で、重大な病気が見つかるきっかけとなる場合もあります。

耳鳴りの検査法

自覚的な訴えを客観的に評価することは難しいのですが、さまざまな検査から耳鳴の性質や難聴の原因部位を明らかにします。聴力検査、血圧測定や血液検査、頭部画像検査(CT、MRI)、心理検査などが必要に応じて行われます。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りの診察では、通常の問診のほか、「標準純音聴力検査」を実施します。この検査は、低音の125Hzから高音の8000Hzまでの7つの周波数でそれぞれの聴力閾値を調べるものです。また、心理的な要因から耳鳴りが生じている可能性もありますので、この場合は心理検査を行います。これらの検査の結果を見て、脳血管疾患や腫瘍などが耳鳴りの原因と推測される場合は、必要に応じてMRI検査を実施することもあります。

耳鳴りの治療方法

急性感音難聴や急性耳鳴は、改善することが期待できます。
薬物療法として、代謝改善剤や循環改善剤、ビタミン剤、血管拡張剤などが用いられます。また、耳鳴による不眠が強い場合には睡眠薬を、神経症的な症状があれば抗不安薬を用いることもあります。耳鳴の背景にストレスや精神的緊張などがある場合には、カウンセリングや自立訓練法などの心理療法やストレス対策が行われることもあります。
原因不明の耳鳴については、確立された治療法はありません。
十分な睡眠、適度な運動、規則正しい食事など、健康的な生活を送ることや、可能な限りストレスを軽減するように心がけることも重要です。

森口誠 医師(森口耳鼻咽喉科院長)監修ドクターのコメント

耳鳴りの治療は、基本的には「完治を目指す」ことよりも「なるべく気にならなくする」ことを目指します。家庭では、耳鳴りのコントラストを弱めるために、テレビの音、音楽、環境音を利用する方法が手軽で取り組みやすいでしょう。気持ちの持ち方として、耳鳴りの症状を気にしすぎないことも大切です。このほか、耳鳴りの専門的な治療を扱う医療機関ではTRT(Tinnitus Retraining Therapy)を受けることができます。TRTは、いわば脳を耳鳴りの音に順応させていくトレーニングです。患者さんはサウンドジェネレーターという機械を装着して雑音を聞き続け、耳鳴りの音が大きく聞こえないように脳を再教育していきます。急に聴力が落ちた場合はステロイドを使用する場合もありますが、通常は慢性的な耳鳴りには使用しません。

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