糖尿病網膜症の症状や原因、治療方法とは?
糖尿病網膜症(読み方:とうにょうびょうもうまくしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
菊地 香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)
糖尿病網膜症とは
眼の中にある網膜という部分で起きる細小血管症が糖尿病網膜症です。網膜症が悪くなると、最悪の場合、眼底出血や網膜剥離を伴って失明に至る場合もあります。網膜症を悪くしないためには、主には日頃の血糖コントロールが重要です。
引用:国立国際医療研究センター糖尿病情報センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/050/01.html
糖尿病網膜症の症状
糖尿病網膜症の症状は、病気の進行とともに変化します。
・初期の段階では、まだ自覚症状がみられません。しかし、目の中の血管の状態をみると、小さな出血など、少しずつ異常があらわれています。
・中期になると、視界がかすむなどの症状が感じられます。このとき目の中で、血管がつまるなどの障害が起きています。
・末期になると、視力低下や飛蚊症が起こり、さらには失明に至ることもあります。目の中で大きな出血が起こる、あるいは網膜剥離や、緑内障など、他の病気を併発している場合があります。引用:参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/diabetic_retinopathy/
糖尿病網膜症の原因
網膜には光や色を感じる神経細胞が敷きつめられ、無数の細かい血管が張り巡らされています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。新生血管はもろいために容易に出血を起こします。また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。
引用:日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_tonyo.jsp
糖尿病網膜症の検査法
◆ 精密眼底検査
網膜(眼底)を詳しく検査するために、瞳孔を拡げる目薬(散瞳薬)を点眼して行う検査です。薬が効いている数時間は眩しくて見にくいので、検査を受ける日は車の運転を控えましょう。
◆ 蛍光眼底造影
網膜血管の異常を正確に把握するために、造影剤を静脈注射した後、眼底カメラで撮影する血管造影検査です。治療方針の決定に役立ちます。
◆ 光干渉断層計(OCT)
網膜の断層写真を撮影する検査です。引用:日本糖尿病眼学会
http://www.jsod.jp/ippan/index.html
糖尿病網膜症の治療方法
糖尿病網膜症は、完全に治すことのできない病気です。治療は、症状の悪化を防ぐために行われます。
・初期
糖尿病自体の治療と同様、血糖(血液中の糖分量)をコントロールすることが重要です。
・中期
新生血管の発生を防ぐために、レーザーで眼底を焼く「レーザー光凝固術」が行われます。
・末期
併発した網膜剥離の外科治療などが行われます。引用:参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/diabetic_retinopathy/index3.jsp