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網膜動脈閉塞症の症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

網膜動脈閉塞症(読み方:もうまくどうみゃくへいそくしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
川久保 洋 医師 川久保眼科 院長

網膜動脈閉塞症とは

網膜動脈閉塞症とは、網膜の血管が詰まり、細胞への血流が途絶えてしまう病気です。細胞が活動するには酸素や栄養が必要で、血流が途絶えると、間もなくその箇所から先の細胞は死んでしまいます。網膜は、カメラでいうと光の情報を感知するフィルムの役割をする神経組織ですから、網膜細胞が死んでしまうと光を感知できなくなり、視覚が失われてしまいます。

引用:関西医科大学 眼科学教室
http://www.kmu-eye.com/original28.html

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
網膜動脈閉塞症は稀な病気です。視神経内の網膜中心動脈の本幹の閉塞で急に視野全体、もしくは動脈の分枝が閉塞し一部が見えにくくなります。眼の病気としては重篤です。

網膜動脈閉塞症の症状

閉塞する場所によって大きく以下のふたつに分けられます。

網膜動脈分枝閉塞症
枝分かれした先の網膜動脈の一部分が閉塞します。閉塞した動脈が循環している範囲の網膜が影響を受けます。

網膜中心動脈閉塞症
網膜に向かった動脈が枝分かれして網膜に拡がる部分より中枢側(心臓に近い側)で閉塞します。網膜全体が閉塞の影響を受けます。

一般には網膜動脈分枝閉塞症の場合はその部の視野欠損を、網膜中心動脈閉塞症の場合は視力低下や視野全体の見え方が低下します。発症するまで自覚症状は少なく、突然症状が出現するのが特徴です。

引用:安間眼科
http://www.yasuma-ganka.or.jp/eye-disease/retinal-artery-occlusion/

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
症状は、繰り返す一過性の暗黒感などの前駆症状とする高度の視力障害と前駆症状のない突然かつ急激な視力障害です。網膜分岐閉塞では一部の視野欠損が急に出現します。発症した場合、瞬時自覚するのが特徴です。

網膜動脈閉塞症の原因

網膜動脈が閉塞する原因は主に3つあります。

一つめは、網膜動脈に動脈硬化が生じて血管の内径が狭くなっている状態で、血圧の変動などにより血液の固まり(血栓)が形成されて閉塞に至ってしまうことです。動脈硬化とは、毛細血管より太い動脈の血管壁が硬く変性して血管内に脂肪の固りが蓄積されて、血管が狭くなる病気です。

二つめは、網膜動脈よりも心臓に近い血管に動脈硬化が生じていて、なにかの拍子にその血管内の血液や脂肪などの固まり(栓子)が血管内壁から剥がれ、網膜まで流れてきて動脈内に付着して閉塞してしまうことです。

三つめは、網膜動脈に何らかの炎症や痙攣を生じて、あるいは血液成分や血流に変化が起きて、血液の供給が途絶えることです。

以上のように主な原因は、動脈硬化です。動脈硬化が進む原因として、喫煙、過食、運動不足などの生活習慣が大きく影響しています。肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症があると、それらは互いに悪影響を及ぼし合います。そして全身の動脈硬化が急速に進行してしまうので、網膜動脈閉塞症の危険性が高くなります。

引用:関西医科大学 眼科学教室
http://www.kmu-eye.com/original28.html

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
原因は、血管病変に伴うなう内腔狭窄、血栓形成によることが多いです。血管病変としては、動脈硬化(加齢、糖尿病、高血圧等)と膠原病(側頭動脈炎等)に伴う血管炎があります。稀に塞栓(心臓弁膜症、内頚動脈狭窄、四肢の脂肪栓子)と血管攣縮があります。診断としては、片眼の高度の視力障害。眼底検査では、眼底全体が乳白色に混濁していて、網膜の中心だけはがさくらんぼのような暗赤色に見られ特徴的です。

網膜動脈閉塞症の治療方法

治療は、以下を緊急におこないます
1. まぶたの上から指で眼球マッサージをして、網膜血管の循環を良くする
2. 前房穿刺(眼の中の水を抜く)や眼圧下降薬で眼圧を下げ、網膜血管をひろげる
3. 血栓溶解剤や網膜循環改善薬を投与する
4. 星状神経節をブロックする(動脈拡張作用)

引用:医療法人 藤田眼科
http://www.fujitaec.or.jp/ophthalmology/moumakudoumyaku/

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
動脈は約1~2時間虚血すると不可逆的変化をもたらすと言われています。治療は緊急を要しますが、多くは来院するまでゴールデンタイムを過ぎています。治療は緊急治療である初期療法と再発防止の後療法があります。治療の目的は、1.血管拡張 2. 血栓の溶解または末梢への移動 3. 血栓形成の抑制です。軽症例では、アスピリンなどの抗血小板製剤、新鮮重症例では、ウロキナーゼなどの線維素溶解剤と血管拡張剤の薬剤療法が主体です。本症の予後を左右する初期療法と患者の生命予後を考慮した基礎疾患の対処と再防止を必要とします。

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