硝子体出血の症状や治療方法について
硝子体出血(読み方:しょうしたいしゅっけつ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
岡和田 英昭 医師 眼科なかのぶ医院 院長
硝子体出血とは
硝子体出血といっても硝子体そのものに血管はないので、この部位で出血するわけではありません。ほかの部位からの出血が硝子体腔の中にたまった状態を硝子体出血といいます。
引用:ボシュロム
http://www.bausch.co.jp/eye-dictionary/omonamenobyouki-2/shoshitainobyouki/shoushitaishukketsu/
硝子体出血の症状
出血が少量の場合は、血液の影を自覚して黒い点がたくさん動いているように感じます(飛蚊症)。出血が大量になると、突然「墨を流したような」影が拡がっていくのを自覚する場合があります。更に出血が多くなると血液の塊で光がさえぎられるため、霧の中で物を見ているような感じ(霧視)や、明るい・暗いしかわからないほどの視力低下を起こします。
引用:東京逓信病院
http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/ganka/syoshitai_syukketsu.html/
硝子体出血の原因
硝子体出血は種々の原因により網膜、視神経乳頭などからの出血が硝子体中に広がることにより生じます。代表的な原因疾患としては、網膜静脈閉塞症、黄斑変性症、網膜裂孔、網膜剥離、くも膜下出血、外傷、イールス病、糖尿病網膜症などがあります。原因疾患は手術前からわかっている場合もありますが、手術をしてもハッキリしない場合もあります。
引用:東京医科大学茨城医療センター
http://www.tokyo-med.ac.jp/iba-eye/vh.html/
硝子体出血の検査法
どの程度視力が障害されているかを知るために、矯正視力検査を行います。
出血の原因や程度を知るために、細隙灯顕微鏡検査・隅角検査・眼底検査などを行います。
出血量が多いと、眼底検査を行っても網膜の状態が不明なため、超音波検査やERG検査を行って網膜の状態を調べます。
原因として、糖尿病や動脈硬化などの全身の病気が疑われる場合は、血液検査なども行います。引用:東京逓信病院
http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/ganka/syoshitai_syukketsu.html/
さらにその時の状況によっては、別の検査(超音波検査等)も行うことがあります。
硝子体出血の治療方法
硝子体手術
血液が混ざった硝子体を切除します。続いて必要であれば原因疾患を治療して、再出血を予防します。原因疾患の治療には、光凝固、増殖膜除去などを行い、必要に応じて空気やSF6ガスやC3F8ガスやシリコンオイルを眼内に注入して手術を終了します。ガスやシリコンオイルを注入した場合には、術後うつ伏せの姿勢を保つ必要があります。うつ伏せ期間は注入した物質や原因疾患によって異なります。空気、ガス、シリコンオイルを注入せずに終了した場合は、うつ伏せの必要はありません。
治療の際に気を付ける点
原因疾患によって異なりますが、原因疾患以外に、視力に悪影響のある疾患を併発している場合は良好な術後視力を得られないこともあります。原因疾患や併発している疾患が視力に影響していない場合は、良好な視力が期待できます。
引用:東京医科大学茨城医療センター
http://www.tokyo-med.ac.jp/iba-eye/vh.html/
症状の軽い方は2~3週間で治ることもありますが、1~2カ月かかる方もいらっしゃいます。1カ月程度で治らない場合は、手術を検討することが多いです。
予後に関しては、出血の原因によります。原因によっては予後が悪いこともあります。
飛蚊症のような症状や、目が見えにくいなどの症状が少しでも気がかりであれば、早めに治療した方が治り方がよいことはいうまでもありませんので、お気軽に専門医にご相談されることをお勧めします。