ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の症状や原因、治療方法をご紹介
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)(読みかた:どらいあい(かんせいかくけつまくえん、るいえきげんしょうしょう))とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
小島 孚允医師 小島眼科医院 院長
目次 -INDEX-
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)とは
ドライアイとは、涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼の不快感や視機能異常を伴う病気です。眼精疲労の主要な原因疾患でもあります。
日本にはドライアイ患者が多く、潜在患者は800万人以上いるといわれています。重症になると角結膜の表面に無数の傷がつきます。
仕事でパソコンを使用する人の3人に1人、高齢者の約7割はドライアイであるといわれている頻度の高い疾患ですが、病気としての認識は低い状態です。
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の症状
ドライアイの症状はさまざまですが、目が乾くという症状は意外に少なく、一番は目が疲れるという症状です。
目が疲れて眼科を受診される患者さんの半数程度にドライアイが関与しているともいわれています。
また、目が痛い、目が開けづらい、目が重たい、目がかすむという症状も多くみられます。
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の原因
ドライアイはいろいろな原因で起こりえます。代表的な原因は以下の通りです。
①涙液分泌が減少する場合
涙腺と唾液腺が萎縮する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群が原因になります。また、向精神薬や降圧剤などの薬物、ストレス、加齢現象も涙液や唾液の分泌を低下させます。
②涙液蒸発が亢進する場合があります。
ドライアイの90%を占め、生活環境の影響が大きいといわれます。パソコンやテレビ見る時、読書をする時は瞬きが少なくなり、涙液の蒸発が亢進してしまいます。
一方、年齢を重ねるとともに涙液の分泌が減少するので、加齢もドライアイの要因となります。性別では女性に多い傾向があります。
「シェーグレン症候群」といわれる病気では、涙液と唾液の分泌が低下して目と同時に口内も乾燥します。シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つで、重症なドライアイとなることがあります。
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の検査法
涙の分泌量の測定、涙液の検査、眼科一般検査を行います。
涙液分泌量検査にて涙分泌量が減少していないか評価します。
角膜・結膜・眼瞼・マイボーム腺の状態を顕微鏡で評価します。
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の治療方法
人工涙液点眼、保湿点眼、涙点プラグ治療、涙点閉鎖術など、あるいはそれを組み合わせて眼表面の状態の正常化をはかります。
ドライアイ症状が強い場合は、眼科専門医による治療が必要です。保湿効果のあるヒアルロン酸の目薬を症状に応じて点眼します。また、防腐剤が添加されていない人工涙液の目薬を適宜追加使用します。朝目覚めた時の眼球表面の乾きを防止するために夜寝る前に少量の眼軟膏を使用することもあります。アレルギー性結膜炎を合併している時は、その治療の目薬も使用します。
点眼療法で改善しない場合は、涙点プラグ挿入術を行います。涙点を塞いで涙液を眼球表面に留める治療です。涙点プラグはシリコン製で、涙点の大きさに合わせ、上下あるいはいずれかに挿入します。
涙点プラグが外れやすい患者さん、涙点プラグで感染した患者さんには、手術で涙点を焼却縫合して閉塞させます。
重症の結膜弛緩症には、手術で余った結膜を切除します。