糖尿病性ニューロパチーの症状や原因、治療方法とは?
糖尿病性ニューロパチー(読み方:とうにょうびょうせいにゅーろぱちー)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
高橋 宏樹 医師(高橋医院 副院長)
糖尿病性ニューロパチーとは
糖尿病性ニューロパチーはもっとも頻度の高いニューロパチーである.しかしながら,その病態は複雑であり病型分類や治療法は確立していない. 糖尿病多発ニューロパチーが主要病型であるが, 多くの患者は他病型, 他疾患に起因する疾患を併発することが多い.治療に当たっては正確な病態把握をおこなう必要がある.
引用:日本神経学会(「糖尿病性ニューロパチーの病態と治療」臨床神経,49:149―157, 2009)
https://neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049040149.pdf
糖尿病性ニューロパチーの症状
血糖の高い状態が続いていると、まず手や足先の神経から障害が起こります。症状としては、手足のしびれや痛み、足先の異常な冷え、足底部が皮をかぶった感じ、砂利の上を歩いているような感じといったものがあります。これらの症状は比較的軽いため放置したり、市販薬で治療する患者さんもいますが、この段階で適切な治療を受けないと症状はどんどん悪化して、全身の筋肉が萎縮し、顔面神経麻痺、便秘や排尿障害、立ちくらみ、インポテンツといった症状が起こります。
さらに進行すると、症状はますます重くなり手足のしびれや痛みのために夜眠れない、火傷や靴ずれに気がつかず放置していたために細菌感染を起こし、その 部分の組織が一部死んでしまう状態の壊疽(えそ)にまで発展することもあります。ひどくなれば足を切断することにもなります。引用:シミックヘルスケア e治験.com
http://e-chiken.com/shikkan/naika/tounyou-shinkei/
糖尿病性ニューロパチーの原因
糖尿病により神経が障害される1つの機序には余分なブドウ糖によって細胞が正常に働かなくなり、神経細胞内にソルビトールという物質が溜まるポリオール代謝異常があります。
また、高血糖は血管の血流を悪化させて神経に必要な栄養や酸素が届かなくなる機序も考えられています。そのため糖尿病性神経障害は血糖だけが問題ではなく、動脈硬化をきたす高血圧や脂質異常症、喫煙や飲酒も関連しています。
引用:長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/tounyoubyou/tounyou-shinkei.html
糖尿病性ニューロパチーの検査法
診断には症状の問診だけで診断できることもありますが、自覚症状がないときや他の病気と区別がつかないときには各感覚の検査を行います。痛みの神経(痛覚)では爪楊枝など先がとがったもので皮膚を触ったり、振動の認知(振動覚)には音叉を当てたり、触った感覚(触覚)の検査には細いナイロン糸で皮膚を触って確認します。その他にアキレス腱反射の低下消失も所見の1つです。
引用:長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/tounyoubyou/tounyou-shinkei.html
糖尿病性ニューロパチーの治療方法
糖尿病性神経障害の治療の基本は、血糖コントロールを良好に保つことです。食事療法・運動療法・薬物療法により血糖コントロールを厳格に行わなければ、神経障害に対する薬物治療を行っても、満足のいく効果は期待できません。また、症状が軽い初期の頃は、血糖コントロールを正常化するだけで、神経障害の諸症状を改善できることもあります。
また、神経障害の治療には、神経障害を起こしている原因物質とされるソルビトールの産生を抑えるアルドース還元酵素阻害薬があります。これらの治療を始めると一時的に痛みが悪化することがあります。治療後神経障害といわれるものですが、この詳しい原因はまだわかっていません。治療の途中で一時的に症状が悪化することがあるということを理解し、痛みがひどくなったからといって自己判断で治療を中止することなく、治療を続けるようにしましょう。引用:シミックヘルスケア e治験.com
http://e-chiken.com/shikkan/naika/tounyou-shinkei/