性機能障害の症状・原因・治療方法についてご案内
性機能障害(読み方:せいきのうしょうがい)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
針間克己 医師 はりまメンタルクリニック 院長
性機能障害(せいきのうしょうがい)とは
性機能障害には、性交時の痛み、腟の筋肉の痛みを伴う収縮(けいれん)、性欲や性的興奮の問題、オルガスムに伴って感じる苦痛などがあります。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/女性の性機能障害/女性の性機能障害の概要
男性の場合、性機能障害とは、性交を行うことが困難な状態のことを意味します。性機能障害には、以下のものに影響する様々な障害が含まれます。
・性衝動(性欲)
・勃起するまたはそれを維持する能力(勃起障害またはインポテンツ)
・射精する能力
・陰茎の変形なしに勃起する能力
・オルガスムに達する能力引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/21-男性の健康上の問題/男性の性機能障害/男性の性機能障害の概要要
性機能障害(せいきのうしょうがい)の具体的な分類
女性性機能障害の分類は?
DSM-Ⅳ-TRからDSM-Ⅴに分類が変更され
以下の6つに分類されました。1. 性的関心/興奮障害
性的関心の低下、性的興奮の障害が一緒におこるので統合されました2. オルガズム障害
十分な性的刺激があるのにも関わらず、オルガズム(絶頂期)が欠けている状態を意味しています。膣への挿入のみでオルガズムに達する女性もいますが、多くの女性は膣への挿入のみでオルガズムに達することは困難で、陰核刺激でオルガズムに達します。膣への挿入のみでオルガズムには達しないものの、陰核刺激でオルガズムに達する女性は、オルガズム障害ではありません。3. 性器・骨盤痛/挿入障害
性器・骨盤の痛みと挿入障害が一緒におこるので統合されました4. 物質/薬剤誘発性機能障害
嗜好品や薬剤が原因で起こる性機能障害です5. 特定の理由による性機能障害、例えば、性嫌悪による性機能障害
6. 特定の理由のない性機能障害
引用:東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/sexual_impairment/female_trouble.html
・射精遅延
・勃起障害
・女性オルガズム障害
・女性の性的関心・興奮障害
・性器‐骨盤痛・挿入障害
・男性の性欲低下障害
・早漏
性機能障害(せいきのうしょうがい)の原因
原因から心因性、身体因性、混合性、不明性にわけられます。さらに性的行為を経験した当初からずっと障害が続いている「生来型」と、ある時期から障害がはじまった「獲得型」、どんな場合にも障害がある「全般型」と、特定の相手や状況の場合におこる「状況型」にわかれます。これまでの分類は男女の性反応が生理的に同じという発想に基づいていますが、男女の相違も大きいことが、最近特に女性の側から注目されてきました。
引用:日本女性心身医学会
http://www.jspog.com/general/details_40.html
例えば勃起障害の場合、性交渉に不慣れであったり、極度の緊張でEDになるケースがあります。あるいは射精障害の場合、マスターベーションでは射精できても、性行為中では射精できないケースがあります。これも多くの場合、性行為に不慣れでることや、極度の緊張などが原因となります。
女性の場合、過去の経験などによりペニスを挿入されるのが非常に怖いと感じることなどが原因で、濡れにくいとか、実際に挿入できないといった症状があります。
また、他人と深くコミュニケーションをとることへの苦手意識も原因になり得ます。
その他、薬の副作用が原因で、男性の場合勃起しにくいとか射精しにくいといった事、女性の場合濡れにくいとか性欲が起きにくいといった事があります。
性機能障害(せいきのうしょうがい)の治療方法
機能障害の原因によって治療法が決定されます。しかし、原因にかかわらず、いくつかの一般的な対策が役立つことがあります。
・性行為に十分な時間を充てる:女性は複数の作業を同時に行うことに慣れており、仕事、家事、子どもや近所の雑用など他の活動に気をとられたり、注意をそらされたりすることがあります。性行為を優先させ、注意をそらされることがいかに非生産的であるかを認識することが役立つでしょう。
・マインドフルネスを実践する:マインドフルネスでは、起こっていることに対して判断を下したり、観察したりすることなく、その瞬間に起こっていることだけに集中することを学びます。マインドフルネスを実践して現在に集中することで、注意をそらす物事から解放され、性行為の際に感覚に注意を向けることができるようになります。マインドフルネスの習得については、インターネットを使って情報を得ることができます。
・セックスのことを含め、パートナーとのコミュニケーションを改善します。
・性行為にふさわしい時間と場所を選ぶ:例えば、女性が寝ようとしている深夜などはよくありません。見つかることや邪魔されることを女性が心配している場合は、その場のプライバシーが確実に保たれているようにすることが役に立ちます。十分な時間がとれるようにし、性的感情を呼び覚ます環境が役に立ちます。
・様々なタイプの性行為を行う:例えば、体が反応する部分をなでてキスをする、性交を始める前に十分に互いの性器を触ることにより、親密性が増し、不安が少なくなります。
・性行為以外にともに過ごす時間を作る:日常的によく会話をするカップルの方が、性行為を望み、ともに楽しみたいと感じる可能性が高くなります。
・パートナーへの信頼、尊敬、情緒的な親密さが増すよう努力する:専門家の援助を得て、または自分たちの努力でこれらの感情を育てるべきです。女性が性的に反応するにはこれらの要素が必要です。パートナー関係にひびを入れるような衝突の解決方法を学ぶのに援助が必要になることもあります。
・望まない結果を避ける対策を講じる:妊娠や性感染症に対する恐れが性欲を妨げている場合は、このような対策が特に有用になります。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/女性の性機能障害/女性の性機能障害の概要
勃起障害であれば、バイアグラ、レビトラ、シアリスなどの飲み薬があります。また早漏に関しては、抗うつ剤の一種(セロトニン再取り込阻害薬:SSRI)の副作用的に射精しにくくなることを利用します。不安や緊張に対しては、そういったものを和らげるものを投薬します。あと、体調を整えるといったことは大事なので、あまり過労にならないようにする、よく休んでリラックスするといったことに心がければいいでしょう。夫婦やカップルであれば、セックス以外のコミュニケーションもとることが大事だと思われます。それによってリラックスして性行為ができるようになっていきます。
こういった病気になった場合、男性であれば泌尿器科、女性であれば産婦人科、また特に精神的な面で問題がありそうであれば、精神科等、専門医の受診が望ましいと思います。
医療機関以外では、日本性科学会で心理士によるカウンセリングも行っています。
http://www14.plala.or.jp/jsss/counseling/