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ナルコレプシーの症状や原因、治療法とは?

公開日:2018/03/22  更新日:2021/11/22

ナルコレプシーとはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

ナルコレプシー(過眠症)とは

ナルコレプシーとは、過眠症の一つで日中に強い眠気が出現して眠り込んでしまう病気です。病気だという意識がない人も多く、怠け者なだけと思われてしまうこともありますが、そのまま放置すると生活の質が低下して、学業や仕事に支障があるばかりでなく、急に寝てしまうことで、怪我をしたり事故を起こしたりする可能性もあるとても怖い病気です。

ナルコレプシーでどんな症状が現れるの?

眠気が強烈に発作的に起きるのがこの病気の特徴です。眠気が襲ってきたことに気づく前に眠り込んでしまい、眠ったことに本人が気づかないことがあります。時と場所に関係なく発作的に眠りこみ10〜20分の居眠りを一日に何度も繰り返します。また、びっくりしたときや大笑いしたときに体が脱力してしまう症状や、入眠時に幻覚のようなものが見えたり、寝るときに金縛りになる症状が現れることもあります。
歩いている時や食事中、試験の最中、仕事の面談中など通常では眠ることは考えられないような状況でも発作が起きると眠ってしまうことがあるため、学業成績の不振や職業上の失敗、事故などを引き起こす可能性があり、勉強や仕事など生活に支障が出ることもあります。周囲からは怠け者と誤解されることもあり、人間関係にも影響が出てしまいます。

村上 友太 医師村上先生の解説

ナルコレプシーを発症するとき、最初に現れるのが居眠りを繰り返すという症状です。
軽度の症状は、1日1,2回程度のうたた寝で、夜間睡眠の障害は少ない状態です。
中程度の症状は、感情の起伏によって体が脱力する情動脱力発作が毎日か数日に1度程度起こり、日に数回のうたた寝が必要になります。
重度の症状は、ほとんどいつも眠気があり、夜間睡眠が障害されます。眠気によって記憶や意識がなくなり、朦朧とした状態で行動することがあります。

ナルコレプシーの原因は?

ナルコレプシーの原因は、はっきりとは解明されていませんが、遺伝体質とストレスなどの環境因子が重なって発症すると考えられています。また、ナルコレプシーの患者さんは、ヒポクレチン(オレキシン)という物質を作り出す神経細胞の機能が低下していることが近年明らかになり関連が考えられています。ヒポクレチンは覚醒に関係した神経細胞の活動を維持する働きや、レム睡眠の出現を制御する働きを持っています。

村上 友太 医師村上先生の解説

ナルコレプシーは通常10代半ばで発症することが多い病気です。男女でかかりやすさに差はありません。日本ではナルコレプシーになるのは600人に1人程度と言われています。ナルコレプシーの患者さんの家族は、ナルコレプシーの発現率が10倍ほど近く高くなることが知られています。

ナルコレプシーの検査方法・診断方法は?

ナルコレプシーの診断は、問診だけで行うこともありますが、体に電極をつけて眠り脳波や眼の動きなどを観察する睡眠ポリグラフ検査、睡眠ポリグラフを繰り返し測定する睡眠潜時反復テスト(MSLT)、一晩寝ている間にセンサーを付け測定する終夜睡眠ポリグラフ検査、血液検査、脳脊髄液検査などを行うこともあります。
耐えがたい睡眠欲求があり、うたた寝する時間が一日の中に何度も起きるという状況が過去3ヶ月以上にわたって週に3回以上起こることがナルコレプシーの診断基準とされています。また感情が昂ったとき体が脱力する情動脱力発作が月に数回起こる、脳脊髄液オレキシンの値が110pg/ml以下、もしくは正常の1/3以下であるとナルコレプシーが疑われます。

村上 友太 医師村上先生の解説

睡眠潜時反復テスト(MSLT)は、丸一日の時間を要する検査です。2時間ごとに4〜5回約20分の昼寝をし、頭や顔、体や足などにセンサーを装着し脳波や筋電図などを測定します。朝9時ごろから始まり18時過ぎに終わるイメージです。
終夜睡眠ポリグラフ検査は、一晩寝ている間の睡眠状態を検査するものなので、夜から朝までかかります。入院する場合と、自宅で行うことがあります。

ナルコレプシーの治療方法

ナルコレプシーの治療には、生活指導と薬物療法があります。
生活指導は睡眠記録表に24時間の睡眠と覚醒状況を記録し、それを元に医師が規則正しい生活をするよう指導します。日中の昼休みに計画的に昼寝をしたり、夜間に良質な睡眠を十分とることなどがアドバイスされます。
薬物療法は、入眠と睡眠の持続を改善する睡眠導入剤や向精神薬剤などを投与します。日中の眠気には精神賦活剤、体が脱力する情動脱力発作、入眠の幻覚や睡眠麻痺(金縛り)には抗脱力剤などを投与することがあります。
発病したての10代の頃は比較的症状が強いままのこともありますが、5年、10年といった期間で見ると症状が軽くなっていくケースが目立ちます。

村上 友太 医師村上先生の解説

ナルコレプシーは根本的な原因がわかっていないため根治的治療方法はありません。しかし生活指導や薬物療法などで対症療法を続けていくことで通常の社会生活を続けることができるようになることが期待できます。
治療には規則正しい生活と長期間の通院、服薬が必要です。服薬は副作用のチェックや、量やタイミングを守ることなど、しっかり管理しましょう。

ナルコレプシーの治療中に服用する薬について

村上 友太 医師村上先生の解説

治療薬として、夜は眠れる薬(睡眠誘導剤)を、昼は眠気を覚ます薬(精神賦活剤)を服用します。入眠時幻覚や睡眠麻痺を抑える薬は抗うつ剤を服用します。

ナルコレプシーの治療中で処方薬を服用している間は、自己判断で市販薬を併用しないほうがいいでしょう。複数の薬を服用することで薬の成分同士が反応して予想外の強い作用が出たり、反対に薬が効きにくくなることがあります。処方薬は医師の管理のもと処方されるので、薬の作用としては大きいものもあります。新たな薬を加えたい場合はその都度医師に相談したほうが良いでしょう。
ナルコレプシーとは別の症状がありそれを抑える薬が欲しい場合は、現在受診している医師に相談するか、別の医療機関を受診しナルコレプシーで服薬中の薬を医師に伝えた上で処方薬をもらいましょう。
薬には副作用や依存性がある可能性があり、その程度や症状も人それぞれです。副作用には動悸や口の渇き、頭痛、焦燥感、食欲抑制、肝機能障害などが挙げられます。医師の指示した服用量を守ること、定期的な通院を続けることが重要です。

ストレスとナルコレプシー発症の関係は?

ナルコレプシーの発症は、ストレスも原因になりうると考えられています。精神的なストレスに加え、頭部外傷、手術、大出血、睡眠不足が続いた時など、身体的ストレスが加わった後に発症することがあると考えられています。

村上 友太 医師村上先生の解説

ナルコレプシーが発症する原因ははっきりとは解明されていませんが、ストレスや睡眠不足や大きな病気が関わっていると考えられています。規則正しい生活リズムを心がけ、夜はしっかり睡眠をとるようにしましょう。

ナルコレプシーのセルフチェック・自己診断方法

ナルコレプシーかどうかは、自分の睡眠生活を振り返ることで簡易的に推し量ることはできます。
・日中の堪え難い眠気が3ヶ月以上続く
・急に眠くなることが多い、短時間の居眠りが多い
・昼寝をすると一時的に眠気が解消する
・夜の睡眠は途中で目が覚めることが多い
・笑ったり怒ったりすると脱力してしまうことがある
・金縛りの症状がある
・寝入りばなに鮮明な夢を見る
・眠気で意識が朦朧として記憶がない
などの症状に多く当てはまる場合はナルコレプシーの可能性があります。
日中に耐えられない眠気が長期間にわたって続く、自覚がないのに寝てしまっていたことがある、日常生活に支障がある場合、体が脱力してしまう症状がある場合は病院を受診しましょう。

村上 友太 医師村上先生の解説

自覚がないのに寝てしまう症状や、体が脱力してしまう症状は、階段から落ちたり運転中に事故を起こしたりする可能性がありますのですぐに病院を受診しましょう。

ナルコレプシーの予防方法

ナルコレプシーの原因ははっきりと解明されていないため、明確な予防策はありませんが、ストレスの多い生活、無理な睡眠リズム、大きな病気などはナルコレプシーの原因となり得ます。これらをできるだけ避けるよう過ごすのがいいでしょう。

村上 友太 医師村上先生の解説

夜は早めに寝て十分に睡眠時間を取りましょう。昼休みや、学校から帰ってきた夕方など1〜2回の短時間の昼寝をとるとスッキリするでしょう。

まとめ

ナルコレプシーは日中に居眠りを繰り返したりしてしまう反面、夜中はよく眠れず生活の質が低下し精神的にも身体的にも負担がかかる病気です。学業や仕事や人間関係に大きな影響があり、自分で気づかないうちに寝てしまう症状や、体が脱力してしまう症状がある場合は、命の危険もあります。原因が不明のため完治が難しい病気ですが、生活指導や服薬により症状を和らげることは期待できます。疑わしい場合は早めに医療機関を受診し、適切な対処を心がけましょう。


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