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セラミックによる歯科治療のデメリットは?治療の種類や流れについても解説!

 公開日:2024/12/16
セラミックによる歯科治療のデメリットは?治療の種類や流れについても解説!

近年、セラミックによる歯科治療が人気を集めています。いわゆる陶器であるセラミックは、見た目が美しく強度も高いことから、歯質の欠損部を補う材料として適しているからです。

しかし、そんなセラミックにも必ずデメリットやリスクを伴う点に注意が必要です。そこでこのコラムでは、セラミックの種類や流れ、治療に伴うメリット・デメリットについて詳しく解説をします。

セラミックによる歯科治療とは

セラミックによる歯科治療とは はじめに、セラミックによる歯科治療の基本事項を確認しておきましょう。

むし歯などで欠損した部分の治療(補綴)

むし歯や外傷などで欠損した歯質の一部、あるいは全部を歯科材料で補う補綴(ほてつ)治療で、具体的にはセラミックインレー(詰め物)、セラミッククラウン(被せ物)、セラミックブリッジなどが挙げられます。

歯を色・形を美しく見せる治療

正常な状態の歯の色や形を美しく見せる目的で行うセラミック治療にラミネートベニアというものがあります。歯の表面にセラミック製のチップ(シェル)を貼り付ける治療法で、前述したセラミックインレーやセラミッククラウンとは、形も施術法も大きく異なります。

セラミックによる補綴治療

セラミックによる補綴治療

続いて、セラミックによる補綴治療の流れを、セラミックインレー、セラミッククラウン、セラミックブリッジ、ラミネートベニアの4つに分けて解説します。

セラミックインレー

セラミックインレーによる治療の流れを見ていきましょう。

STEP 1: カウンセリング
カウンセリングでは、歯の形態や見た目の希望について詳細に話し合い、治療計画を立てます。患者さんのニーズに合わせて、適切な治療法を提案することが目的です。

STEP 2: 麻酔
治療を行う部分には局所麻酔を施します。極細の針を使用して麻酔注射を行い、麻酔が効いたら、セラミックインレーを装着するために必要な歯の調整と削る作業を行います。

STEP 3: むし歯の除去と歯の形成
ここで、むし歯がある場合は、まずその部分を完全に除去します。その後、インレーを装着するために歯を適切な形に整えます。精密な作業が求められるため、歯の健康と機能を維持しつつ、インレーがしっかりと適合するように形成します。

STEP 4: 型取りと仮詰め
歯の形を整えた後、精密な歯型を取ります。

また、治療部位を清潔に保つため、仮詰めを行います。仮詰めは治療の合間に一時的に歯を保護するもので、次の治療までの期間中、歯をしっかりと保護します。

STEP 5: セラミックインレーの製作と仮詰め
型をもとに、歯科技工士がセラミックインレーを製作します。

STEP 6: インレーの試適と調整
再度通院し、完成したセラミックインレーを一度仮装着します。噛み合わせやフィット感を確認し、必要に応じて微調整を行い、患者さんにとって適切な状態に仕上げます。

STEP 7: セラミックインレーの装着
最終調整が完了したら、セラミックインレーを接着します。歯科用の強力な接着剤を使用し、インレーがしっかりと固定されるように装着します。接着後、再度噛み合わせを確認し、必要に応じて最終調整を行います。

セラミッククラウン

こちらも、治療の流れを解説します。

STEP 1: カウンセリング
まず、十分なカウンセリングを行い、歯の形態や見た目の希望について詳細に話し合います。

STEP 2: 麻酔
治療を行う部分には局所麻酔を施します。麻酔が効いたら、セラミッククラウンを装着するために歯を調整し、削ります。

STEP 3: 神経の治療
むし歯や歯並びの状態によっては、歯の神経の治療が必要な場合があります。必要に応じて神経の治療を行い、感染を防ぎます。

STEP 4: 土台の作成
神経の治療を行った場合、症状が落ち着いたら根管内に薬を詰めます。その後、歯の方向や強度を保つために土台を作成します。神経の治療が不要な場合は、この工程を省略します。

STEP 5: 型取りと仮歯の装着
歯の調整が終わったら精密な歯型を取り、仮の歯を作って装着します。形状は最終的なセラミッククラウンに近く、治療期間中も見た目を気にせず生活することができます。

STEP 6: セラミッククラウンの製作
型に合わせて、歯科技工士が周囲の歯の色や形に合わせてセラミッククラウンを製作します。

STEP 7: セラミッククラウンの装着
完成したセラミッククラウンを装着します。口腔内で噛み合わせを微調整し、歯科用の強力な接着剤を使用してしっかりと固定します。

セラミックブリッジ

セラミックブリッジは、欠損した歯の両側の歯を支えに、セラミック製の人工歯を取り付ける治療です。

STEP 1: カウンセリング
カウンセリングでブリッジの設計や見た目について詳細に話し合い、治療計画を立てます。

STEP 2: 局所麻酔
治療を行う部分には局所麻酔を施します。

STEP 3: 歯の削りと土台作り
歯のない部分の両側の歯を削り、ブリッジの土台を作ります。

STEP 4: 歯型取りと噛み合わせの記録
歯の形を整えた後、精密な歯型を取ります。また、正確な噛み合わせを記録するための印象を取り、これをもとにブリッジを設計します。

STEP 5: 仮歯の装着
必要に応じて仮の歯を入れておきます。これは、歯が動いたり噛み合わせが乱れたりするのを防止するためで、治療期間中も見た目と機能を維持できます。

STEP 6: 模型の作成・ブリッジの設計
取った歯型をもとに、精密な模型を作成します。この模型にもとづいて、セラミックブリッジの設計を行います。歯科技工士と連携して、患者さんの希望や口腔内の状況に合った適切なデザインを決定します。

STEP 8: 噛み合わせの再現
模型を特別な器械に取り付け、正確な噛み合わせを再現します。これにより、ブリッジ装着後に自然な噛み合わせを提供できるようにします。

STEP 9: ブリッジの製作
設計にもとづいて、セラミックブリッジを製作します。

STEP 10: 最終調整と装着
完成したセラミックブリッジを患者さんの口腔内に仮装着し、最終調整を行います。噛み合わせやフィット感を確認し、必要に応じて微調整を施します。最終的に、強力な接着剤を使用してブリッジをしっかりと固定し、治療は完了です。

ラミネートベニアとは

ラミネートべニアは、歯の表面にセラミック製の薄い板を接着することで歯の色や形状を美しく見せる効果があります。

STEP 1: カウンセリング
カウンセリングで、ラミネートベニアの治療内容や期間、費用などの説明を受けます。

STEP 2: 歯の切削
ラミネートベニアを装着するために、歯の表面を薄く削ります。この工程は、ラミネートベニアがしっかりと適合し、自然な見た目を保つために必要です。削る量はなるべく抑え、歯の健康を損なわないように注意します。歯の切削範囲はエナメル質内にとどまるため、局所麻酔は必要ありません

STEP 3: 歯型の採得
削った歯の形状を精密に記録するために、歯型を採ります。この歯型をもとにして、ラミネートベニアを製作します。

STEP 4: 仮のラミネートベニアの装着
必要に応じて仮のラミネートベニアを装着します。これは、治療期間中に歯を保護し、見た目を保つためのものです。仮のラミネートベニアを装着することで、最終的なラミネートベニアが完成するまでの間、自然な見た目と機能を維持できます。

STEP 5: 模型の作成
取った歯型をもとに、精密な模型を作成します。

STEP 6: ラミネートベニアの設計・製作
模型をもとに、ラミネートベニアの設計を行い、設計にもとづいてラミネートベニアを製作します。

STEP 7: ラミネートベニアの試適と調整
完成したラミネートベニアを一度仮装着し、フィット感や噛み合わせを確認します。必要に応じて微調整を行い、患者さんにとって適切な状態に仕上げます。

STEP 8: ラミネートベニアの装着
最終調整が完了したら、ラミネートベニアを接着します。歯科用の強力な接着剤を使用し、ベニアがしっかりと固定されるように装着します。接着後、再度噛み合わせを確認し、必要に応じて最終調整を行います。

大きなむし歯の場合は適応できない場合がある

ラミネートベニアは、大きなむし歯がある場合は適応できないことがあります。理由は、むし歯が進行していると、歯の表面の健康なエナメル質が失われているため、ベニアをしっかりと接着することが難しくなるからです。

セラミック治療のメリット

セラミック治療のメリット

セラミック治療には、次の3つのメリットを伴います。

天然歯に近い美しい見た目

セラミック治療の大きなメリットとしては、天然歯に近い美しい見た目を実現できることが挙げられます。セラミックは透過性があり、光を自然に通す特性があるため、歯の内部の色が透けて見え、まるで本物の歯のような自然な仕上がりになります。

これにより、セラミッククラウンやインレーは周囲の歯と調和し、治療を受けたことがほとんどわかりません。また、セラミックは色調の調整が容易であり、個々の患者さんの歯の色に合わせた微調整が可能なため、非常に自然な見た目が得られます。

二次むし歯になりにくい

セラミックは、二次むし歯のリスクを大幅に低減することができます。

一般的な金属製の詰め物やクラウンは、時間の経過とともに変形し、歯と詰め物の間に微小な隙間が生じることがあります。この隙間に細菌が侵入し、二次むし歯を引き起こすことがあるのです。

対してセラミックは非常に硬く変形しにくい材料のため、治療後に歯とセラミックの間に段差が生じにくく、治療部位を長期間にわたって保護できます。

歯や歯茎の美しさを保てる

セラミックは着色しにくく、汚れも落としやすい特性を持っています。コーヒーや紅茶、赤ワインなどによる着色汚れがつきにくく、美しい見た目を長期間保つことができるでしょう。また、表面が滑らかなため歯垢や細菌が付着しにくく、日常の歯磨きで容易に清潔を保つことができます。

金属製のクラウンやインレーは、長期間使用することで歯茎に影響を及ぼし、黒ずみやアレルギー反応を引き起こすことがありますが、セラミック治療では金属を使用しないため、歯茎が黒ずむ心配がありません。

セラミック治療のデメリット

セラミック治療のデメリット セラミック治療には、次の3つのデメリットを伴います。

費用が高額になる

セラミック治療はほかの治療法に比べて費用が高額になる傾向にあります。その理由は、セラミックの材料自体が高価であること、そしてその加工や装着に高度な技術が必要とされるからです。

セラミッククラウンやインレーを作成するためには、専門の歯科技工士が精密な作業を行う必要があり、その工程には時間と手間がかかります。このため、セラミック治療は保険適用外となるのが原則であり、治療費は患者さんの全額自己負担となります。

銀歯より強度が低い

セラミックは美しい見た目を実現できますが、銀歯(メタルクラウン)よりも強度が低いというデメリットがあります。特に、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、それらの過度の力が加わることで、セラミックが欠けたり割れたりするリスクが高まります。

このため、歯ぎしりや食いしばりの症状がある人には、セラミック治療を選択する前に、適切な予防策(例えばナイトガードの装着)を講じる必要があります。

歯を多く削る必要がある

セラミック治療では、歯を多く削る必要があるというデメリットも存在します。セラミックのクラウンやインレーは一定の厚みが必要であり、そのために天然歯を削る量が多くなるのです。

補綴物の強度と美しさを確保するために必要な措置ですが、天然歯の削除は不可逆的なものであり、削られた歯質はもとに戻すことができません。特に歯の健康を重視する患者さんにとっては重要な考慮点となります。

レジンや銀など、ほかの材料と比較しても、セラミックはより多くの歯を削る必要があるため、治療後の歯の感覚や機能に影響を及ぼす可能性があります。

編集部まとめ

編集部まとめ 今回は、セラミック治療の種類や流れ、メリット・デメリットについて解説をしました。セラミック治療にはセラミックインレー、セラミッククラウン、セラミックブリッジ、ラミネートベニアが挙げられます。それぞれ適応症が異なり、治療の流れや特徴にも違いが見られるため、自分にとって適した材料・装置を選択することが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光歯科医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光歯科医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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