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再発性アフタ性口内炎とはどのような病気?原因や治療、予防の方法まで詳しく解説します

 公開日:2024/12/10

口内炎は、誰にでも生じうる病気で、みなさん一度は経験したことがあるでしょう。口内炎にはいくつかの種類があり、ウイルスや真菌が原因となっているものもあるため、軽い病気と考えるのはよくありません。免疫力の低下や栄養不足が原因で発症しやすくなるアフタ性口内炎も、再発を繰り返すようであれば軽視すべきではないでしょう。ここではそんな再発性アフタ性口内炎の特徴や原因、治療法などについて詳しく解説します。繰り返し発症する口内炎に悩まされている方は参考にしてみてください。

再発性アフタ性口内炎の概要

再発性アフタ性口内炎の概要 はじめに、再発性アフタ性口内炎の基本事項を確認しましょう。

再発性アフタ性口内炎とは

アフタ性口内炎は、口腔粘膜に生じる小さな潰瘍(かいよう)で、ストレスや外傷、栄養不足などが原因となります。それが繰り返し発症する症状を再発性アフタ性口内炎といいます。アフタ性口内炎がなぜ再発を繰り返すのかは、今のところ解明されていません。免疫機能の異常や遺伝的要因、特定の成分の曝露などが複合的に関与しているものと考えられています。

再発性アフタ性口内炎の症状の現れ方には個人差があります。1〜2個のアフタ性口内炎が年に数回程度あらわれる方もいれば、1年間を通して口内炎が常にある状態の方もいます。また、理由はわかりませんが再発性アフタ性口内炎は、年齢を重ねるにつれて軽症化し、症状が現れる頻度も低下する傾向にあります。加えて、妊娠中や経口避妊薬を服用している女性、喫煙習慣がある人は、アフタ性口内炎を発症するリスクが低くなっていますがメカニズムは解明されていません。

再発性アフタ性口内炎と似ている疾患

再発性アフタ性口内炎と似ている疾患としては、ベーチェット病が挙げられます。ベーチェット病とは、免疫機能の異常によって、全身に炎症反応が起こる慢性疾患です。口腔や陰部の粘膜に潰瘍が生じ、眼と皮膚にも炎症性の病変があらわれます。口腔内には、アフタ性潰瘍が繰り返し生じることから、再発性アフタ性口内炎に見えるものの、実態は国の指定難病である点に注意しなければなりません。

ベーチェット病のアフタ性潰瘍では、強い痛みを伴ない日常生活に支障をきたすことがあります。ただし指定難病は、患者数が国内に0.1%程度と定義されていることからも対象となる患者さんはかなり少ないでしょう。

再発性アフタ性口内炎の原因

再発性アフタ性口内炎の根本的な原因は、明らかにされていませんが、原因と推察されているものとしては、以下の9つが挙げられます。

・ストレスや慢性的な疲れによる免疫機能の低下
・睡眠時間の不足
・ビタミンB2や葉酸をはじめとした栄養の不足
・外傷による口腔粘膜へのダメージ
・ホルモンバランスの乱れ
・被せ物や入れ歯などの噛み合わせが悪い
・特定の食品
・口腔衛生状態の不良
・遺伝的な要因

これらの原因が組み合わさることで再発性アフタ性口内炎を発症するものと考えられています。特定の食品に関しては、コーヒー、チョコレート、ピーナッツ、アーモンド、トマト、イチゴ、チーズ、たまご、シリアルなどが言われていますが、これらはアレルゲンとなって口内炎を引き起こすわけではありません。再発性アフタ性口内炎にアレルギー反応は関与していないものと考えられているからです。

再発性アフタ性口内炎の症状

再発性アフタ性口内炎の症状 次に、再発性アフタ性口内炎で現れる症状について解説します。再発性アフタ性口内炎では、主に小アフタ性口内炎、大アフタ性口内炎、ヘルペス様アフタ性口内炎の3つの種類の症状が見られます。

小アフタ性潰瘍

アフタ性潰瘍とは、境界が明瞭な円形または卵円形のできもので、中心部分は壊疽性であり、灰黄色の偽膜を伴います。辺縁は赤く、わずかに隆起しているのが特徴です。アフタ性潰瘍が直径8mm未満のケースを、小アフタ性潰瘍と呼んでいます。再発性アフタ性口内炎の85%で見られる症状で、口底や頬粘膜、舌などに現れます。

大アフタ性潰瘍

直径が8mmを超えるものを、大アフタ性潰瘍と呼んでいます。再発性アフタ性口内炎全体では、10%程度にその症状が見られます。思春期以降に出現することがあり、潰瘍は大きく深さもあり、劇症化することも珍しくありません。大アフタ性潰瘍は、小アフタ性潰瘍よりも長期間持続するという特徴もあり、数週間から数ヵ月間続きます。大アフタ性潰瘍の好発部位は、口唇、軟口蓋、喉です。発熱や倦怠感、嚥下困難を伴うこともあります。

ヘルペス様アフタ性潰瘍

ヘルペス様アフタ性潰瘍とは、ヘルペス性口内炎と似た症状が見られる病態です。直径1~3mm程度の小さな有痛性の潰瘍が複数個、場合によっては数十個現れ、それらが癒合して大潰瘍となる場合もあります。ヘルペス様アフタ性潰瘍は、女性に好発して症状は2週間程度持続します。ヘルペス様であることから、ヘルペスウイルスとは関係はありません。

再発性アフタ性口内炎で受診するべきタイミング

再発性アフタ性口内炎で受診するべきタイミング 再発性アフタ性口内炎が再発した場合、どのタイミングで医療機関を受診したらよいのか迷ってしまう方も少なくありません。ここでは再発性アフタ性口内炎で受診する適切なタイミングについて解説します。

痛みがつらいとき

アフタ性口内炎による灼熱感や痛みに悩まされている場合は、医療機関の受診を検討しましょう。例えば、歯科を受診することで、口内炎の症状を緩和する軟膏を処方してもらったり、医療用レーザーによる治療を受けたりすることが可能な場合があります。口内炎による痛みは、日常生活に支障をきたすことも珍しくないため、我慢はせずに専門家の力を借りましょう。ただし、口内炎のレーザー治療に対応している歯科医院は一部に限られることから、事前に電話などで確認しておく必要があります。

治りが遅いとき

アフタ性口内炎が再発を繰り返し治りも遅いとなると、その背景に全身疾患が隠れている可能性も否定できません。小さな子どもであれば手足口病のひとつの症状として、アフタ性口内炎が生じていることもあり得ます。大人の場合ではベーチェット病に加えて、舌がんや歯肉がんといった口腔がんを発症している可能性もゼロではありません。

口腔がんの場合は、歯茎や頬の内側の粘膜、舌などに部分的な白色病変が認められ、潰瘍や硬いしこりが現れるなど、進行度によって症状も大きく変化します。そうした重大な疾患を見落とさないためにも、アフタ性口内炎の治りが遅い場合は歯科をはじめとした医療機関の受診が求められます。

歯科医師や医師の診察を受けて、単なるアフタ性口内炎と診断される可能性も十分ありますが、重篤な疾患が隠れていないことがわかるだけでもメリットです。

再発性アフタ性口内炎の治療方法

再発性アフタ性口内炎の治療方法 ここからは、再発性アフタ性口内炎の検査・診断方法や治療方法について解説します。

再発性アフタ性口内炎の検査と診断

再発性アフタ性口内炎によって生じる病変には、組織学的な特徴がなく、臨床検査も存在していないため、基本は外観と痛みなどの症状をもとに診断します。そのため再発性アフタ性口内炎の診断を受ける歯科医院は、診療経験が豊富な医院を受診することが望ましいでしょう。歯科医院によっては、アフタ性口内炎の診察をほとんど行っていないところもあるため、その点も事前に確認しておきましょう。

病院での治療方法

歯科医院をはじめとした病院での再発性アフタ性口内炎の治療は、クロルヘキシジンおよびコルチコステロイドなどの薬剤を局所塗布することが一般的です。コルチコステロイドの局所塗布で効果が得られない場合は、ブレドニゾロンの錠剤を内服する場合があります。アフタ性口内炎の数が複数ある場合は、デキサメタゾンを洗口液で患部に広く作用させます。

重症度の高い再発性アフタ性口内炎では、免疫抑制薬を長期間全身投与することがあります。痛みが強い場合は、鎮痛剤が処方されます。

セルフケアの方法

再発性アフタ性口内炎は、自宅でのセルフケアも重要です。病院へ受診する時間が取れない場合や病院での治療効果を高める場合は、以下の方法でセルフケアを行いましょう。

・市販のマウスウォッシュを使った口腔内の殺菌、洗浄
・鼻呼吸を意識して口腔内の乾燥を防ぐ
・市販のステロイド軟膏やトローチ、貼り薬などを活用する
・歯磨きの際には口腔粘膜を刺激しないように注意する
・十分な睡眠をとる
・栄養バランスのよい食事を心がける
・ストレスを受けない、ためない努力をする

一部の症例においては、B1,B2,B6,B12、葉酸、鉄のサプリメントの服用が症状の改善に役立ちます。

◎口呼吸が悪いのはなぜ?
正常な呼吸法は鼻呼吸です。鼻には、外からの病原体を排除する天然のフィルターが備わっていることに加え、取り込んだ空気に適度な湿度を与える加湿器のような作用も期待できます。鼻呼吸をしていれば、風邪やインフルエンザを予防しやすくなるだけでなく、口腔乾燥も防ぐことができるとされています。

一方で、口腔には鼻腔にあるような機能が備わっておらず、空気中に含まれる細菌やウイルスをダイレクトに体内へと取り込むことになります。呼吸するたびに口腔内が乾燥し、粘膜が傷つきやすくなることから、アフタ性口内炎のリスクも上昇してしまいます。口呼吸では、むし歯や歯周病になりやすく、歯並びにも悪い影響がおよびやすくなるので、口で呼吸をしている人は鼻呼吸に切り替えが推奨されます。

再発性アフタ性口内炎の予防方法

再発性アフタ性口内炎の予防方法 再発性アフタ性口内炎を予防する方法を解説します。過去に再発性アフタ性口内炎の症状で悩まされて、二度と再発したくないと思っている方や、できれば一度もかからずに済ませたいという方は、以下の3つの方法を実践してみてください。

栄養バランスのよい食事を摂る

再発性アフタ性口内炎の根本的な原因は特定されていませんが、食事が深く関係していることは間違いありません。特にビタミンやミネラルが不足していると、再発性アフタ性口内炎の発症リスクが高くなることから、それらを効率良く摂取できる食事を心がけてください。

例えば、ビタミンB2ならパセリ、アーモンド、わかめ、まいたけなどからたくさん摂取できます。ビタミンB6は、ブロッコリー、バナナ、マグロ、鶏の胸肉などに豊富に含まれています。こうした食品を習慣的に摂取することがどうしても難しい場合は、サプリメントを利用するのもひとつの手段といえます。

疲労やストレスをためない

慢性的な疲労やストレス、睡眠不足なども再発性アフタ性口内炎の主な原因のひとつとして考えられています。再発性アフタ性口内炎に悩まされている方は、仕事や勉強で疲労やストレスがたまっているときに、症状が現れることがあります。疲労やストレスは身体の免疫力を低下させ、恒常性を維持するビタミンやミネラルも奪ってしまうことから、規則正しい生活を過ごすことが重要です。仕事や勉強をしているなかで、ストレスから完全に逃れることは難しいので、上手に解消する方法を身に付けることも大切です。例えば、週末は趣味の時間に使ったり、ランニングなどの運動を定期的に行ったりするだけでも、ストレスの緩和につながります。

お口の中を清潔に保つ

口腔衛生状態が悪いと、お口のなかで細菌が繁殖してアフタ性口内炎ができやすくなります。同時に細菌感染によってアフタ性口内炎の症状が重症化しやすいため、十分な注意が必要です。日頃から適切な方法で歯磨きをし、マウスウォッシュを活用して口腔衛生状態を良好に保つように努めてください。3〜4ヵ月に1回の歯科検診を受けていれば、口腔衛生状態をチェックしてもらえますし、正しい口腔ケア方法を学ぶことができます。適合の悪い被せ物や入れ歯が口腔粘膜を傷つけている場合は、早期に歯科で調整してもらいましょう。

まとめ

今回は、再発性アフタ性口内炎の原因や治療法、予防する方法について解説しました。ストレスや疲労、ビタミン不足などが組み合わさって発症する再発性アフタ性口内炎は、それ自体が深刻な病気ではないものの、口腔粘膜の灼熱感や痛みなどで日常生活に支障をきたすことも珍しくありません。場合によっては背後にベーチェット病や手足口病、口腔がんなどが潜んでいる可能性もゼロではないため、口内炎がなかなか治らない、痛みなどの症状が強い場合は、専門の医療機関を受診して、検査を受けることが推奨されます。再発性アフタ性口内炎の治療法は、原因や症状によって大きく異なるので、まずは診断を受けることが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗歯科医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗歯科医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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