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サイナスリフトは失敗しやすい?治療後に起こりやすい症状や知っておきたいポイント

 公開日:2025/01/23

サイナスリフトは、上顎の骨量が不足している場合にインプラントを埋入するための骨造成手術ですが、失敗のリスクや術後に起こりやすい症状などが不安な方もいるのではないでしょうか。
本記事ではサイナスリフトが失敗したと感じてしまう症状などについて以下の点を中心にご紹介します。

  • サイナスリフトとは
  • サイナスリフトは失敗しやすいのか
  • サイナスリフトを受けた後の症状や注意点

サイナスリフトが失敗したと感じてしまう症状などについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

サイナスリフトについて

サイナスリフトについて

サイナスリフトとはどのような治療ですか?
サイナスリフトとは、上顎の骨がインプラントを埋入するために十分な高さを持たない場合に行われる骨造成手術です。この手術は、上顎にある上顎洞と呼ばれる空洞の底部に人工骨を挿入し、骨の再生を助けることで、インプラントを埋入できる環境を整えます。主に骨の厚みが5mm未満である場合や、大量の骨が欠損している場合に適用されます。

手術では、上顎の骨に穴を開け、上顎洞の粘膜を慎重に剥がして挙上した後、人工骨を補填材として埋入し、歯茎を縫合します。骨の再生には時間がかかるため、手術からインプラント埋入までには6〜8ヶ月程度が必要です。この治療によってインプラントが安定し、長期的な使用に耐える基盤づくりを目指します。

サイナスリフトとソケットリフトの違いを教えてください
サイナスリフトとソケットリフトは、いずれも上顎にインプラントを埋入する際に骨の高さが不足している場合に行われる骨造成手術ですが、適応条件や治療法が異なります。

ソケットリフトは、骨の厚みが5mm以上あり、治療する範囲が狭い場合に適用されます。ソケットリフトでは、インプラント埋入と骨造成を同時に行える場合もあり、治療期間は3〜5ヶ月程度と短縮されます。手術の範囲が限定的なため、痛みや腫れが少ないとされており、患者さんにとっては負担の軽減にもつながります。

治療法の選択は、骨の状態や治療範囲に応じて決定されます。どちらも、上顎の骨の高さを改善し、インプラントを安定して埋入するために重要な治療法です。

サイナスリフトとGBR法の違いを教えてください
GBR法(骨誘導再生法)は、下顎の奥歯や前歯などで骨量や骨幅が足りない場合に用いられます。この方法では、骨を増やしたい部分に人工膜(メンブレン)をかぶせ、そのなかに人工骨補填材を埋入します。
インプラントの手術は、骨が安定するまで3〜6ヶ月程度待ってから行われるため、治療期間が長くなることがあります。

ソケットリフトと同様に、GBR法(骨誘導再生法)も骨の状態やインプラントの埋入箇所に応じて使い分けられます。上顎の骨不足にはサイナスリフト、下顎の骨不足にはGBR法が選択されることが多いようです。

サイナスリフトは失敗しやすい治療法ですか?
サイナスリフトは技術を必要とする治療ですが、失敗が頻繁に起こるわけではありません。ただし、特有のリスクが存在するため、適切な技術と管理が求められます。

例えば、手術中に上顎洞のシュナイダー膜と呼ばれる薄い粘膜を挙上しますが、この膜が破れるケースがあります。膜が破れると、稀に人工骨が鼻腔内に漏れる場合があります。 また、手術後にくしゃみや鼻を強く噛むことで膜が破れるリスクもあるため、術後の生活管理が重要です。

サイナスリフトの治療後

サイナスリフトの治療後

サイナスリフトの治療後に起こりやすい症状を教えてください
サイナスリフトの治療後には、以下のような症状が起こることがあります。
  • 腫れ・痛み
    手術後に腫れや痛みが発生するのは自然な反応です。特に治療後3日目をピークに腫れや痛みが現れやすく、10日程度で改善するとされています。鎮痛剤が処方される場合が多いようですが、薬を飲んでも痛みが続く場合や腫れがひどい場合は、感染の可能性があるため早めに医師に相談しましょう。
  • 上顎洞へのインプラント移動
    稀に、上顎洞にインプラントが入り込むケースがあり、鼻からインプラントが出てくる場合があります。医療設備が整っている歯科医院で、CTスキャンによる事前検査などを徹底することで、上顎洞へのインプラント移動を引き起こすリスクは軽減します。
  • 副鼻腔炎(蓄膿症)
    細菌が上顎洞に入り炎症を引き起こすことで、鼻詰まり、鼻水、悪臭、目の下の痛みなどの症状が現れることがあります。この場合も早急に診察を受ける必要があります。
  • 内出血
    手術後、顔や首に青あざや黄色いあざが出る場合がありますが、1週間程度で自然に消えるとされていますが、症状が気になる場合は放置せず、歯科医師に相談することが大切です。
サイナスリフトの治療後に気をつけることを教えてください
サイナスリフトの治療後は、術後の回復を促しリスクを抑えるためにも、以下の点に注意が必要です。
  • 安静に過ごす
    術後はデリケートな状態のため、激しい運動や歌唱などの激しい呼吸を伴う行為は控えましょう。特に手術後2週間程度は安静が推奨されます。
  • 鼻やくしゃみに注意
    鼻を強くかむことやくしゃみは、上顎洞の粘膜に負担をかけるため避けてください。どうしてもくしゃみが出る場合は、お口を開けて行うようにしましょう。
  • 生活習慣の見直し
    喫煙は治癒を遅らせるため、治療完了までの期間は禁煙が必要です。食事はやわらかく刺激の少ないものを選び、スープやおかゆを中心にしましょう。アルコールも控えてください。
  • 寝る姿勢
    うつ伏せで寝ると血行が悪くなり、治癒が遅れる可能性があります。仰向けで寝るように心がけましょう。
  • 口腔ケア
    歯磨きは、手術部位を避けて優しく行い、刺激を与えないようにしてください。

以上のような注意点を守ることで、治癒をスムーズに進められる可能性が高まります。しかし、何か異常を感じた場合は、早めに医師に相談しましょう。

サイナスリフトを受ける前に知っておきたいポイント

サイナスリフトを受ける前に知っておきたいポイント

サイナスリフトの治療を受ける歯科医院の選び方を教えてください
サイナスリフトは技術を要する外科手術のため、クリニック選びが治療の成功に大きく影響します。以下のポイントを参考に、信頼できる歯科医院を選びましょう。
  • 丁寧な精密検査を行っているか
    レントゲンやCTスキャンによる骨の厚みや上顎洞の状態の確認は不可欠です。検査が不十分だと、治療後のトラブルにつながる可能性があるため、精密検査をしっかり行うクリニックを選びましょう。
  • 綿密な治療計画を立ててくれるか
    サイナスリフトは治療期間が長くなるため、明確な治療計画が必要です。治療の流れや期間、費用について具体的に説明してくれるクリニックを選ぶことをおすすめします。
  • 衛生管理が徹底されているか
    サイナスリフトは感染症のリスクが伴うため、クリニック内が清潔に保たれているかを確認し、訪問時に清潔感をチェックしましょう。
  • 歯科治療全般に精通しているか
    サイナスリフトを行う前に口腔内のむし歯や歯周病の治療が必要な場合、幅広い治療に対応できる歯科医院だと利便性にもつながります。術前・術後のケアも一貫して受けられるクリニックを選びましょう。
  • 定期健診の体制が整っているか
    インプラント治療後のメンテナンス体制も重要です。定期健診を行い、セルフケアの指導やトラブルの早期発見が行えるクリニックを選びましょう。信頼できる歯科医院を選ぶことで、サイナスリフトを受ける際の長期的な安心感にもつながります。
サイナスリフトにかかる費用はどのくらいですか?
サイナスリフトの費用は、15万〜30万円程度が相場とされています。この価格帯は、使用する骨補填材が高価であることや、技術を必要とする治療であることが理由です。また、サイナスリフトは公的医療保険が適用されないため、全額自己負担となります。

費用は治療範囲や患者さんの口腔内の状態によって異なる場合があります。例えば、骨の補填が広範囲に及ぶ場合や、使用する補填材の種類によって費用が変動します。そのため、事前に歯科医院でカウンセリングを受け、見積もりを確認することが重要です。

サイナスリフトは高額になりがちですが、インプラントの安定性を確保するために必要な治療です。長期的な効果を考慮し、信頼できる歯科医院で相談しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでサイナスリフトが失敗したと感じてしまう症状などについてお伝えしてきました。サイナスリフトが失敗したと感じてしまう症状などの要点をまとめると以下のとおりです。

  • サイナスリフトとは骨の厚みが5mm以下で、広範囲にわたって歯を失っている場合に適用され、手術では上顎洞に人工骨を挿入し骨の高さを増やし、手術後に骨が再生するまで6〜9ヶ月程度の期間を要する
  • サイナスリフトは失敗が頻繁に起こるわけではないとされているが、特有のリスクが存在するため、適切な技術と管理が求められる
  • サイナスリフトを受けた後は腫れ・痛み、上顎洞へのインプラント移動、副鼻腔炎(蓄膿症)、内出血などの症状が現れる場合があり、安静に過ごすことや生活習慣の見直しに注意することが重要

サイナリフトはインプラントを埋入するために必要な骨が十分にない場合でも、治療が行えるようになる骨造成手術の一つです。失敗のリスクや症状・注意点などを理解し、治療を検討しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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