目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. むし歯と知覚過敏の違いとは?見極めるポイントを徹底解説!

むし歯と知覚過敏の違いとは?見極めるポイントを徹底解説!

 公開日:2025/01/16

「歯がしみる」「痛みを感じる」などの症状があるとき、それがむし歯なのか、知覚過敏なのかを見極めるのは難しいことがあります。しかしこれらは、原因や対処法が異なるため、適切な判断が大切です。

本記事ではむし歯と知覚過敏の違いについて以下の点を中心にご紹介します。

  • むし歯と知覚過敏の基礎知識
  • むし歯と知覚過敏を見極めるポイント
  • むし歯と知覚過敏の治療法

むし歯と知覚過敏の違いについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

むし歯と知覚過敏の基礎知識

むし歯と知覚過敏の基礎知識

むし歯とはどのような状態ですか?
むし歯の初期段階では、歯の表面であるエナメル質がわずかに侵食される程度のため、痛みを感じることは少ないとされています。しかし、むし歯が進行して象牙質に達すると、冷たいものや甘いものを摂取したときにしみるような痛みを感じることがあります。さらに深く進行して歯の中心部にある歯髄(神経)まで達すると、持続的で激しい痛みが生じる場合もあります。
むし歯は、重度になるまで明らかな症状が出ないことがあるため、気付いたときには進行していることが少なくありません。
知覚過敏とはどのような状態ですか?
知覚過敏は、歯が刺激に対して過剰に反応し、痛みや違和感を感じる状態を指します。正式には象牙質知覚過敏症と呼ばれ、むし歯や歯の神経の炎症といった明らかな病変がないにも関わらず、歯の感覚が敏感になる症状です。歯の神経はエナメル質や象牙質によって守られており、外部の刺激を受けにくい構造になっています。しかし、エナメル質が摩耗したり損傷することで内側の象牙質が露出すると、神経に近い象牙細管という組織を通じて刺激が伝わりやすくなります。よって、冷たい飲み物や歯ブラシの摩擦といった些細な刺激でも痛みを感じるようになります。

また、歯髄(歯の内部にある血管や神経の組織)が炎症を起こしている場合も、知覚過敏のような症状が出ることがあります。知覚過敏の厄介な点は、肉眼ではその変化がわかりにくいことです。

むし歯と知覚過敏の原因の違いを教えてください
むし歯と知覚過敏はどちらも歯に痛みを感じる要因となりますが、その原因は異なります。以下に、それぞれの原因を詳しく説明します。
  • むし歯の原因
    むし歯は、口内に存在するむし歯菌(主にミュータンス菌)が糖質を分解して酸を作り、その酸が歯を溶かしてしまうことから始まります。この過程で歯がもろくなり、進行すると歯に穴が開き、神経に達すると激しい痛みを引き起こします。
  • 知覚過敏の原因
    知覚過敏は歯に穴が開いているわけではありませんが、歯の構造が損なわれることで神経が刺激を受けやすい状態になることが原因です。

むし歯は細菌が原因で歯が溶け、物理的な穴が開く病気ですが、知覚過敏は構造的な損傷や象牙質の露出によって神経が刺激される状態です。それぞれの原因を正しく理解して予防することが大切です。

むし歯と知覚過敏を見極めるポイント

むし歯と知覚過敏を見極めるポイント

むし歯と知覚過敏の持続時間の違いを教えてください
むし歯による痛みは、ズキズキとした不快感が持続的に続くのに対し、知覚過敏は一時的で短いのが特徴です。むし歯は一度痛みが始まると数分以上続く傾向があり、慢性的な痛みとして感じられることがあります。むし歯が進行すると、痛みの頻度や強さが増し、振動や圧力に対しても敏感になるケースもあります。

知覚過敏は冷たい飲み物や甘いもの、酸味の強い食べ物などが刺激となり、一瞬しみるような痛みを感じますが、すぐに治まる場合が多いようで、持続的な痛みや慢性化するケースは少ないとされています。

むし歯と知覚過敏の痛みの変化の違いを教えてください
むし歯の痛みは、初期段階では軽い不快感として感じられることが多いようです。しかし、時間の経過とともに痛みは増し、次第に強く持続的な痛みへと進行します。これは、むし歯菌が歯の内部の神経(歯髄)に近づくことで、刺激が強まるためです。そのため、「最初は気にならなかったが、日に日に痛みが増している」という場合は、むし歯の可能性が高いといえます。

一方、知覚過敏の痛みは、最初に感じたときの程度がそのまま続くことが特徴です。痛みが増したり慢性化することは少なく、冷たい飲み物を飲んだり、歯磨きをしたりしたときに一時的にしみるような痛みを感じます。

同じ刺激が同じ程度の痛みを引き起こすことがあるため、痛みの強さに変化がない場合は知覚過敏の可能性が考えられます。

むし歯と知覚過敏の違いの見分け方は以下のとおりです。

  • 痛みが徐々に強くなる場合:むし歯の可能性が高い
  • 痛みが一定で変わらない場合:知覚過敏の可能性が高い

痛みの変化を観察すれば、むし歯と知覚過敏を見分ける助けとなるでしょう。

むし歯と知覚過敏の見た目の違いを教えてください
むし歯は歯の色や表面に明らかな変化が現れることが特徴です。初期段階では歯に白濁した部分が見られる場合がありますが、進行すると黒や茶色に変色したり、小さな穴ができたりすることもあります。さらに進むと、穴が大きくなり、目視でもわかりやすくなる場合が多いようです。一方、知覚過敏の場合は、むし歯のような色の変化はほとんど見られません。一見すると歯の表面は白いままで健康に見えることがあるようですが、形状に特徴的な変化が現れることがあります。

例えば、歯茎が下がることで歯根が露出し、歯が伸びたように見えることがあります。また、過度な歯磨きや歯ぎしりによってエナメル質が削れ、歯の表面が平らになったり、象牙質が見える部分が増えることがあります。

むし歯と知覚過敏の治療法

むし歯と知覚過敏の治療法

むし歯の治療法について教えてください
むし歯の治療方法は、その進行状況や歯の状態によって異なります。以下にむし歯の治療法を段階的にご紹介します。
  1. 軽度のむし歯:
    削って詰め物をする 初期段階のむし歯では、むし歯部分を削り、その穴を詰め物で補う治療が行われます。歯へのダメージも少なくて済みます。詰め物にはレジンや金属などが使用され、審美性や耐久性に応じて選択されます。
  2. 中程度のむし歯:
    神経を抜いて被せ物をする むし歯が進行し、歯の内部の神経(歯髄)まで影響が及ぶと、神経を抜く治療が必要になります。歯を大きく削り、神経を除去した後、被せ物を装着して歯を保護します。 神経を抜く過程が含まれるため、重度のむし歯に分類されます。被せ物には、セラミックや金属などが用いられます。
  3. 重度のむし歯:
    むし歯がさらに進行し、歯が保存不可能な状態になった場合には、抜歯が選択されます。この処置は、歯全体がむし歯に侵され、周囲の歯や歯茎に悪影響を与えるリスクがある場合にも行われます。抜歯後は、ブリッジやインプラント、入れ歯などを検討して歯の機能を補います。
知覚過敏の治療法について教えてください
以下では知覚過敏の治療法をご紹介します。
  1. 知覚過敏用歯磨き粉の使用
    軽度の知覚過敏であれば、知覚過敏専用の歯磨き粉を使用することで、象牙質を保護し症状を和らげることができます。歯磨きは優しく行い、過剰な力を避けることが重要です。
  2. コーティングによる保護
    歯科医院では、露出した象牙質を特殊な薬剤やレジンでコーティングし、外部からの刺激を遮断する治療を行います。即効性があり、効果が持続するため症状の改善が期待できます。
  3. マウスピースによる歯ぎしり対策
    知覚過敏の原因が歯ぎしりによるエナメル質の摩耗である場合、歯ぎしりを防ぐマウスピースがおすすめです。マウスピースは歯科医院で患者さんの歯に合わせて製作され、歯の損傷を予防します。
  4. 刺激を避ける生活習慣の見直し
    刺激物を控えたり、歯磨き粉の使用量を減らすなど、日常生活のなかでできる工夫も症状の軽減に役立ちます。また、冷たいものや酸味の強い食品を控えることもおすすめです。
  5. その他の治療法
    症状に応じて、薬剤を使用した治療やレーザー治療が行われる場合もあります。これらの方法は歯科医院で提供され、症状の重さや原因に応じて選択されます。

知覚過敏は、早期治療によって症状の軽減が見込めます。まずは自宅でのケアを試し、症状が続く場合は歯科医院で診察を受けることをおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでむし歯と知覚過敏の違いについてお伝えしてきました。むし歯と知覚過敏の違いの要点をまとめると以下のとおりです。

  • むし歯は、歯の構造がもろくなり、やがて穴が開くことにつながり、知覚過敏は歯が刺激に対して過剰に反応し、痛みや違和感を感じる状態を指す
  • むし歯は、口内に存在するむし歯菌(主にミュータンス菌)が糖質を分解して作り出された酸が歯を溶かしてしまうことが原因で、知覚過敏は歯の構造が損なわれることで神経が刺激を受けやすい状態になることが原因である
  • むし歯は歯の色や表面に明らかな変化が現れ、初期段階では歯に白濁した部分、進行すると黒や茶色に変色する可能性がある。知覚過敏の場合は、歯の表面は白いままで健康に見えることがあるが、形状に特徴的な変化が現れることがある

むし歯と知覚過敏は症状は近いですが、症状の経過を把握することによっていずれかを判断するための手掛かりになります。
また、むし歯であっても痛みを生じない場合もあるため、定期検診を受けることと気になる症状があればかかりつけ医に相談しておくことも重要です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

記事をもっと見る