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歯周病治療でレーザーはどんな時に使うの??

 更新日:2023/03/27

こんにちは。埼玉県草加市にある日本歯周病学会認定専門医が在籍する歯科医院“谷塚藤波歯科医院”院長で、歯周病専門医の藤波弘州です。
 
レーザー治療、という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃいますでしょうか? 医療の分野で以前からレーザー治療は導入されておりましたが、近年歯科においても治療時に使用する事での有効性が示唆される報告が多く発表されてきております。歯周治療の際にもレーザー治療を行うことが良いとされる報告も発表されております。
 
では、歯科におけるレーザー治療はどのようなものなのでしょうか? また歯周病治療に使用する際には、どのような良いところ、そして悪いところがあるのでしょうか?? 今回は歯周病治療でのレーザー応用を説明していきます。

藤波 弘州

執筆歯科医師
藤波 弘州(日本歯周病学会専門医)

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《保有資格》
日本歯周病学会専門医、臨床歯周病学会認定医、研修指導歯科医等。

《自己紹介》
谷塚藤波歯科医院、院長の藤波です。患者さんに喜んでもらえる歯科医療をご提供することで、今までの感謝を還元し、貢献していきたいと考えています。

 歯科でのレーザー治療にはどのようなものがあるのか?

日本国内で診療室での使用に認可されているものは、①炭酸ガスレーザー②Nd:YAGレーザー③Er:YAGレーザー④半導体レーザーの4種類あります。
これらのレーザーは波長の違いにより表面吸収性レーザー(①、③)、組織透過性レーザー(②、④)の2つに分けられます。
 
次にそれぞれのレーザーの歯科への応用範囲に関して説明します。

 1 炭酸ガスレーザー

特徴としては軟組織の切開などに良く使用されるレーザーです。
歯肉の切除、小帯と呼ばれる部位の切除、歯肉の変色(メラニン色素沈着)の除去、止血 などに使用されます。
前癌病変(進行すると癌化してしまう可能性のある病気)やその状態を疑わせる病変部位への照射は、癌性細胞を活性化してしまう可能性もあります。

 2 Er:YAGレーザー

幅広い範囲で使用されるレーザーです。硬組織の蒸散、歯周病、軟組織の切開・蒸散・凝固という範囲で応用されます。

 3 Nd:YAGレーザー

出血している部位に対する凝固止血や、レーザーを照射した部位の疼痛緩和、痛みが鈍くなる効果、血流改善などが特徴です。また歯肉を切開したりすることも可能です。

 4 半導体レーザー

口の中の止血、凝固そして切開や蒸散を行うために軟組織へ使用されます。また口内炎などにも使用されます。
 
この4種類のレーザーの中で最も応用範囲が大きいものはEr:YAGレーザーと言われています。各種レーザーの中で硬組織の蒸散が可能と言われており、また軟組織の切開や凝固、蒸散といった内容に使用可能です。硬組織の治療には、むし歯の除去や歯肉近くの歯質がかけてしまっている(くさび状欠損)の表層除去などが挙げられます。軟組織の治療では、小帯切除、歯肉の切開や歯肉切除、口内炎への応用、歯肉への色素沈着の除去に用いられます。
そして、歯周病治療に対しては以下の使用方法があります。
1 低出力で殺菌作用を生じるため歯周ポケット内への照射。また歯の根の表面に存在するエンドトキシン(LPSと呼ばれるリポ多糖;内毒素)の分解除去効果も認められる。
2 歯根表面の歯石除去
3 歯肉を切除することによる歯肉の形を整える
4 フラップ手術のような歯周外科療法
 

 レーザーの歯周治療応用の問題点

このように歯周治療にも使用可能ですが、注意点もあります。
・目への誤作用を防ぐために、患者、術者、アシスタント全員が防護メガネを着用しなければいけない。
・レーザー照射部位の熱障害を防ぐために、注水を併用する。
・歯質も蒸散してしまうため、エナメル質上の歯肉縁上歯石の除去は行わない。
・照射手技を誤ると、歯根面の歯質の過剰な蒸散を引き起こすことがある。などが挙げられます。
 

 まとめ

歯周治療におけるレーザー治療の応用範囲は今後も増えていく可能性があります。現状においても歯石除去や歯根表面の無毒化が報告されています。また歯周病原性細菌を選択的に除去していく方法も現在研究されています。ただし、適切な使用方法や手技を行わないと、歯質を蒸散してしまう可能性があること、また盲目的に使用すると歯石などの対象物にしっかりレーザーの効果が発揮できないことも言われています。今ある治療法にとってかわる治療法、とまでは申し上げられませんが、今後も発展していく治療分野と言得ます。歯周治療を行う際に、レーザー治療が必要なのか、それともレーザー治療の適応範囲外なのかを判断するためにも、歯周病専門医が在籍する歯科医院へ通院し、適切な治療を受けられることをお勧めいたします。

この記事の監修歯科医師