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ワイヤー矯正には歯肉退縮のリスクがある?歯列矯正による歯茎への影響を解説

 公開日:2026/01/22
ワイヤー矯正には歯肉退縮のリスクがある?歯列矯正による歯茎への影響を解説

歯列矯正を検討している方にとって、治療後の見た目だけでなく、歯茎への影響は大きな関心事でしょう。この記事では、ワイヤー矯正と歯肉退縮(歯茎が下がる現象)の関係について、わかりやすく解説します。

小田 義仁

監修歯科医師
小田 義仁(歯科医師)

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小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事

ワイヤー矯正の基礎知識

ワイヤー矯正の基礎知識

ワイヤー矯正とはどのような治療ですか?

ワイヤー矯正は、歯の表面(または裏側)にブラケットと呼ばれる小さな器具を接着し、そこにワイヤーを通して行う歯列矯正です。
ワイヤーが持つ持続的な力を利用して歯を少しずつ移動させ、乱れた歯並びや不正咬合(噛み合わせの不具合)を改善します。
歯に加わる力を調整するために定期的な通院が必要で、治療期間はもともとの歯並びや理想とする歯並びにもよりますが、短ければ数ヶ月、長ければ数年のスパンで行います。
なお、ワイヤーによる歯の移動が終わった後はそのままにしておくと歯が元の状態に戻ろうとして動いてしまうため、リテーナーと呼ばれる装置を使用して後戻りを防ぐための保定が必要です。
保定には歯列の移動にかかった時間と同じ時間以上のケアが必要と考えられています。

ワイヤー矯正のメリットを教えてください

ワイヤー矯正の大きなメリットは、その適応範囲の広さにあります。
ワイヤー矯正は、歯科医師が直接装置を調整して歯に加える力をコントロールできるため、マウスピース型矯正など、ほかの歯列矯正法では対応が難しい重度の不正咬合や複雑な歯並びの乱れにも対応可能であり、幅広い症例に対応可能です。

また、矯正装置を歯の裏側(舌側)に装着する裏側矯正舌側矯正)を選択すれば、矯正器具を目立ちにくくすることが可能であり、治療中の見た目を気にすることなく過ごしやすいといえます。

ワイヤー矯正にデメリットはありますか?

ワイヤー矯正は優れた治療法ですが、いくつか注意すべき点があります。
まず、歯の表側に装置を装着する表側矯正の場合、ブラケットやワイヤーが目立ち、治療中の見た目が気になる方が多くいます。
さらに、ワイヤーやブラケットは治療期間中ずっと装着されるため、器具の細かな隙間に食べかすなどが溜まりやすく、徹底した清掃が難しくなります。このため、むし歯や歯周病の原因になりやすいというデメリットがあります。

ワイヤー矯正による歯肉退縮

ワイヤー矯正による歯肉退縮

ワイヤー矯正で歯肉退縮が起こることはありますか?

ワイヤー矯正を受けたすべての方に歯肉退縮が必ず起こるわけではありません。しかし、矯正治療に伴う何らかの問題が発生した場合に、歯肉退縮が起こるリスクはあります。
ワイヤー矯正で歯肉退縮が起こる原因としては、矯正で加わる力が強すぎる、装置が適切に合っていない、またはお口の中の清掃が不十分であることなどが挙げられます。

ワイヤー矯正中に歯肉退縮が起こる原因を教えてください

歯に強すぎる矯正力が加わると、歯を支える歯槽骨が吸収されてしまい、それに伴って歯肉が下がる可能性があります。
また、矯正のワイヤーやブラケットといった矯正装置が適切に装着できていなかったり、歯肉に当たってダメージを与えたりすると、歯肉が炎症を起こし、歯肉の退縮へとつながります。
さらに、歯磨きが不十分であることも大きな原因です。ワイヤー矯正中は、通常の歯磨き以上に細かいところまで丁寧に清掃しなければ、矯正装置の隙間などに汚れが溜まりやすくなります。洗い残しがあると細菌が活発になるため、歯肉炎や歯周病などを引き起こし、結果として歯肉退縮が引き起こされる場合があります。

歯肉退縮が生じやすい人の特徴を教えてください

もともとの歯茎の状態が悪い方は、ワイヤー矯正中に歯肉退縮が起こりやすい傾向があります。

そのため、すでに歯肉炎や歯周病がある場合は、ワイヤー矯正を始める前にこれらの病気の治療が必須です。
また、もとから歯茎が薄い方も歯肉退縮が生じやすいといえます。このような方は、治療自体が適切に行われていたとしても、ワイヤー矯正で加わる力によって歯肉が腫れたり炎症したりしやすいため、歯肉退縮する可能性があります。

ワイヤー矯正による歯肉退縮は予防できますか?

歯肉退縮を完全に予防することは難しいですが、発生リスクを抑えることは可能です。
もともと歯茎の状態が健康な方がワイヤー矯正を行う場合、矯正装置を適切に装着し、歯に過度な矯正力をかけずに進めることで、歯肉への悪影響を小さくできます。

また、患者さん自身のケアもとても重要で、矯正装置に汚れが残らないように丁寧に清掃を行うことで、歯肉退縮を防ぐことができます。
ただし、どれだけセルフケアを丁寧に行ってもワイヤー矯正中は汚れが蓄積されてしまいやすいため、歯科医師の指示をしっかりと守って定期的に通院し、歯科医院でのケアを受けることが大切です。

もともと歯肉が薄い方など、リスクの高い方においては、適切な歯列矯正を行っていても退縮を完全に予防することは難しいかもしれません。しかし、上記のような方法を徹底して行うことで、症状の発生を抑えることは可能です。

歯肉退縮が生じた場合はワイヤー矯正を中止するべきですか?

歯肉退縮を起こしてしまった場合であっても、必ずしもワイヤー矯正を中止しなければいけないわけではありませんが、最終的には歯科医師の判断により中止する可能性があります。
ワイヤー矯正中に歯肉退縮が起きた場合、治療を中断してしまうと、噛み合わせが悪化したり、後戻りしたりといったリスクが考えられます。とはいえ歯肉退縮は自然治癒しないため、何らかの治療を行う必要があります。

ワイヤー矯正を続けながら歯肉退縮に対する処置ができる場合は中止せずに継続します。しかし、歯肉移植などの外科的な処置を行う場合には、ワイヤー矯正を一時中断する必要があるでしょう。

もしワイヤー矯正を一時中断したとしても、できるだけ早く再開することで、治療の中止によって起こりうるリスクを抑えることができます。まずは速やかに歯科医院に相談することが大切です。

歯肉退縮がある場合のワイヤー矯正

歯肉退縮がある場合のワイヤー矯正

歯周病などで歯肉退縮が起きていてもワイヤー矯正は可能ですか?

歯肉退縮の度合いによって、ワイヤー矯正ができる場合とそうでない場合があります。
歯周病は自然治癒しないため、いずれにしても歯周病の治療は必要不可欠です。歯周病の治療とワイヤー矯正を並行して行える程度であれば、矯正治療が可能です。しかし、歯周病の度合いが重度で、ワイヤー矯正に耐えられないほど歯肉が後退している場合は、ワイヤー矯正の前に歯周病や歯肉退縮の治療を優先して行う必要があります。

歯肉退縮を治療する方法はありますか?

はい、あります。歯肉退縮の進行度合いによって適切な治療法が異なります。
軽度な場合は、歯科医院での専門的な歯石除去や、ご自宅での適切な清掃によって、歯肉後退の進行を遅らせることができます。また、歯肉後退によって歯の根元が露出し、知覚過敏の症状が出ている場合は、薬の塗布によって症状を抑えることができます。
さらに歯肉後退が進行していて、ワイヤー矯正ができないレベルの場合は、歯茎の一部を移植する根面被覆術という外科的方法で歯肉を移植することで改善が可能です。

編集部まとめ

編集部まとめ
ワイヤー矯正は多くの歯列不正を治せる優れた治療法ですが、不適切な力が加わったり、口腔衛生が不十分だったりすると、歯肉退縮のリスクを伴います。特にもともと歯周病がある方や歯茎が薄い方は注意が必要です。
重要なのは、歯科医師による適切な矯正計画と、患者さん自身による徹底した口腔ケアです。治療中に少しでも歯茎の異常を感じたら、すぐに担当の歯科医師に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。

この記事の監修歯科医師

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