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受け口を放置すると悪化する?反対咬合の原因やリスク、治療法も解説

 公開日:2026/01/20
受け口を放置すると悪化する?反対咬合の原因やリスク、治療法も解説

受け口を放置しておいても大丈夫なのかと心配に感じている方もいるのではないでしょうか。自分のことだけではなく、お子さんの受け口を治療するべきかと悩んでいる方もいるかもしれません。
受け口はさまざまなお口のトラブルのリスクを高める可能性があるため、できれば放置せずにしっかりと治すことがおすすめです。
この記事においては、受け口の特徴や原因、治療法などについて幅広く解説します。

中山 雄司

監修歯科医師
中山 雄司(おとなとこどもの歯並び 中山矯正歯科・小児歯科 西大寺)

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所属先:おとなとこどもの歯並び 中山矯正歯科・小児歯科 西大寺
出身大学:大阪歯科大学歯科矯正学講座
経歴: 2012年3月 大阪歯科大学卒業
    2018年3月 大阪歯科大学大学院歯学研究科博士課程終了
    2019年4月 大阪歯科大学 歯科矯正学講座 助教
    2021年4月 大阪歯科大学 附属病院矯正科 診療主任
    2024年6月 おとなとこどもの歯並び 中山矯正歯科・小児歯科 西大寺 開院
    2025年1月 大阪歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学)講師(非常勤)
取得資格:日本矯正歯科学会 認定医
所属学会:日本矯正歯科学会/ 近畿東海矯正歯科学会 / 日本舌側矯正歯科学会 / 日本顎変形症学会 / 近畿矯正歯科研究会

受け口の種類

受け口の種類
受け口は、歯科用語では下顎が上顎よりも前方に突出していることから下顎前突と呼ばれます。また、良好な噛み合わせの場合は上の歯が下の歯よりも前方に位置するのに対し、受け口の方は下の歯の方が上の歯よりも前に来てしまうため、反対咬合とも呼ばれます。
受け口(反対咬合)は、その原因によって3つの種類があります。

歯槽性反対咬合

歯槽性反対咬合は、歯並びや歯の傾きが原因で引き起こされる受け口のことです。
上の前歯が内側に傾き、下の前歯が外側に傾くなどによって、下の歯が上の歯よりも前に出てしまうことなどで生じます。
歯槽性反対咬合は骨格に問題がない状態なので、歯列矯正などによって治せる可能性があり、次に紹介する骨格性反対咬合と比べると改善しやすい受け口といえます。

骨格性反対咬合

骨格性反対咬合は顎骨の骨格に起因する受け口です。
上顎の骨が小さい、または下顎の骨が大きすぎることで、下顎が上顎に対して全体的に前方に突出してしまう状態です。
奥歯の噛み合わせにも不調が生じている可能性が高く、歯並びを改善するだけでは十分な改善が期待しにくいケースもあり、場合によっては骨を短縮する手術が必要です。
下顎が全体的に前方へ突出するため、いわゆるしゃくれ顎など、見た目への影響も出やすい受け口です。

機能性反対咬合

歯を噛み合わせようとすると上下の前歯が当たって奥歯が噛み合わない場合に、無意識で下顎を前方に突き出すような形で噛む癖から受け口の状態が生じます。このように実際は反対被蓋ではないが、奥歯を噛み合わせるために受け口になっている状態を機能性反対咬合といいます。歯の傾きによる影響と癖などの影響で引き起こされるため、改善するためには歯列矯正やお口の使い方のトレーニングが必要です。
成長期頃の機能性反対咬合を放置していると、骨格性反対咬合へと進行してしまうリスクがあります。

受け口になる原因・悪化させる原因

受け口になる原因・悪化させる原因
受け口になったり、悪化したりする原因には下記のようなものがあります。

遺伝の影響

上下の顎骨の大きさは、遺伝による影響を受けます。下顎が大きく受け口の性質を持つ両親を持つ方の場合は、やはり下顎の骨格が大きく成長しやすいでしょう。

口呼吸

人間は、安静時に舌が上顎に軽くくっつくような位置にあり、口を閉じて鼻で呼吸をしているのが正しい状態です。しかし、何らかの理由で口呼吸をするようになると、舌の位置が下の歯の裏側にずれる低位舌という状態になったり、お口が常に開いた状態になってしまいます。
舌が下の前歯の裏側に位置するようになると、前歯に対して常に唇側に押し出すような力が加わるため、時間経過とともに下の前歯が外向きに倒れ、受け口が引き起こされる可能性があります。

舌突出癖(舌癖)・指しゃぶり

飲み込むときに舌を前方に突き出すような癖などがあると、口呼吸の際に舌で歯を押し出してしまうのと同じように、下の前歯が前方に押し出されて受け口につながります。

上唇を噛む癖

ストレスなどを感じた際に上唇を噛む癖があると、上の前歯が内側に倒れやすくなり、下顎が前方に突き出した状態になりやすいため、受け口が生じる可能性があります。

受け口を放置せず早期に治療を検討すべき理由

受け口を放置せず早期に治療を検討すべき理由
受け口は放置していても治ることはありません。
一方で、早い内であれば身体に負担が小さい治療で治せる可能性もあります。
受け口が気になったら、早期に治療を検討する理由を紹介します。

子どもの頃であれば治療法の選択肢が多い

受け口をはじめ、歯並びや噛み合わせに対する治療は、成長期のお子さんと大人で異なります。
顎骨が成長しきっている大人の場合、骨格に原因がある受け口を治療する場合は骨を切るなどの大がかりな手術をする必要がありますが、顎骨が成長中のお子さんであれば、骨の成長の促進や抑制によって受け口を予防、改善できる可能性があります。

成長・習慣などの影響で悪化する可能性がある

受け口は、顎骨の成長や日常的な癖などによって悪化する可能性があります。
症状が軽度の早期であれば軽い治療で改善しやすく、治療費も少なく済みますが、放置して状態が悪化すると、治療が大がかりになって費用もかかりやすくなるといえます。
早期に歯科医院で相談しておくことで、受け口を悪化させてしまう可能性がある習慣などを見直したり、お口や舌の使い方などのトレーニングをしたりして、症状の悪化を防ぐことが可能です。

放置するとさまざまなリスクがある

厚生労働省の報告によると、受け口の要因である反対咬合の方で8020運動を達成している方はいません。噛み合わせの不調は歯や歯周組織の健康に悪影響を及ぼし、長期的に見れば歯を失うなどのさまざまなトラブルのリスクにつながります。
受け口を放置せずに早めに治療を行うことで、こうしたリスクを少なく抑えることができます。

受け口を放置することによるリスク

受け口を放置することによるリスク
受け口を放置しておくことによるリスクとしては、具体的に下記のようなものがあります。

歯の健康におけるリスク

受け口の方は噛み合わせに不調があるため、特定の歯や歯茎に強い負担がかかりやすくなるほか、歯並びの状態によっては歯磨きなどがしにくくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
反対咬合の方で8020運動の達成者がいないように、長期的には歯を失うリスクが高いことがいえます。

顎関節症の発症リスク

顎関節症は顎の関節へのダメージなどにより引き起こされるもので、顎の痛みやお口の開きにくさ、お口を動かした際にカクカクと異音が生じるなどの症状がある疾患です。
受け口の方は噛み合わせの不調により顎関節への負担が強くなりやすいため、放置していると顎関節症のリスクが高まります。

咀嚼や消化に影響するリスク

しっかりとした噛み合わせは、食事を十分に咀嚼して細かくするために大切です。
受け口の場合、食事の咀嚼が不十分になりやすく、胃腸での消化や吸収に負担がかかりやすいという特徴があります。
これにより食事から栄養素をきちんと摂取しにくくなることで、全身の代謝低下や体調不良につながる場合もあります。

見た目の悩みを抱えるリスク

受け口の方で、見た目が気になるという方は多いのではないでしょうか。
特に骨格が原因の受け口の場合、しゃくれ顎などにつながる場合もあり、見た目のコンプレックスからQOLが低下してしまう可能性もあります。

子どもの成長期に合わせた受け口の治療法

子どもの成長期に合わせた受け口の治療法
受け口を改善するための治療法は複数ありますが、顎が成長段階にある子どものうちであれば、より負担が小さい治療で改善できる可能性があります。
早期に改善することでお口の健康状態も維持されやすくなりますので、放置せずに早めの診断や治療を受けるようにしましょう。
具体的に、子どものうちに受けることができる受け口の治療法を紹介します。

お口の使い方や癖を治す口腔筋機能療法(MFT)

舌癖や噛み方など、お口の使い方や癖は受け口を生じさせたり、悪化させたりする原因の一つです。
子どものうちにこうした癖を改善することができれば、そもそも受け口に悩む可能性を抑えることができます。
口腔筋機能療法MFTは、お口周囲の筋肉や舌のトレーニング、姿勢や癖の見直し、噛み方の矯正などを通じて、受け口にならないような状態を目指すものです。
さまざまな検査によって口腔環境を悪化させてしまう原因となる日常的な行為を整理し、一人ひとりに合ったサポートで健康なお口を目指すことができます。
正しいお口の使い方は、受け口以外のお悩みに対しても有効ですので、明確なお悩みがない方も一度受診してみるとよいのではないでしょうか。

機能的マウスピースによる口腔機能育成

口腔機能の育成には、専用の機能的マウスピースを使用して行う方法もあります。
例えば装着すると自然と舌が正しい位置に収まるような構造のマウスピースがあり、決まった時間の装着で口腔環境を整え、顎の正しい発育を促すことが可能です。
就寝中や自宅にいる数時間など、無理なく装着しておけるタイミングで治療を進めることができるため、小さいお子さんでも取り組みやすい治療法です。

顎外固定装置による顎骨の成長のコントロール

顎骨の成長が残っている時期であれば、チンキャップや上顎前方牽引装置などの顎外固定装置で顎骨の成長のコントロールが可能です。しかし遺伝性の受け口の場合は効果があまり見込めません。

歯列矯正による治療法

歯列矯正による治療法
永久歯が生えそろってから受け口を治療する場合は、顎の成長を促すような治療ではなく、歯並びや骨格を整える治療が必要です。
顎変形症と診断されるような骨格に原因がある受け口の場合は手術が必要ですが、歯並びが原因の受け口であれば歯列矯正で改善を目指します。

歯列矯正は、専用の器具を使用して歯に少しずつ力を加えて移動していく治療で、大きく分けてワイヤー矯正とマウスピース型矯正の2種類があります。
それぞれの治療法について解説します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、従来から行われてきた歯列矯正方法です。
歯にブラケットと呼ばれる器具を装着し、そこにワイヤーを通して歯に力を加えて歯並びを整えます。
ワイヤー矯正には、歯の表側に装置を取り付ける表側矯正のほか、歯の裏側に装置を取り付ける裏側矯正舌側矯正)や、前歯部分は裏側、奥歯は表側に器具を取り付けるハーフリンガルなどの方法があります。
表側矯正の場合は歯列矯正中に器具が見えてしまうため、口元が不自然な見た目になることがデメリットの一つですが、白や透明な矯正器具を使用したり、歯の裏側に装置を取り付けるなどして目立ちにくくすることも可能です。
歯に対して自由な方向に力を加えやすく、幅広い症例に適応しやすいメリットがある一方で、歯磨きによる口腔ケアがやりにくくなったり、器具が粘膜や舌に触れて痛みなどが生じやすかったりというデメリットがあります。

マウスピース型矯正

マウスピース型矯正は、透明なマウスピースによって歯に力を加え、歯並びを整える方法です。
マウスピースを装着することで歯に適度な力が加わり、歯を動かしていくことができますが、一つのマウスピースで歯を動かせる範囲は0.25㎜程度であるため、複数のマウスピースを交換しながら理想的な位置へと歯並びを整えていきます。

ワイヤー矯正よりも新しく開発された治療法で、口腔内スキャナーによって手軽に歯型を取ることができる点や、治療完了までのシミュレーションをコンピューター上で行えるなどのメリットがあります。
また、マウスピースは自分でつけ外しができるため、食事や歯磨きを普段どおり行いやすく、見た目も気になりにくいという点から手軽に利用しやすい治療法です。

ただし、マウスピース型矯正でしっかり効果を得るためには1日に20時間以上、食事中や歯磨き中以外は常にマウスピースを装着してすごす必要があります。自己管理ができず、マウスピースの装着時間が不足してしまうと十分に効果が得られないため、その点は注意が必要です。
また、普段通りのケアを行えることからワイヤー矯正と比べれば口腔内を清潔に保ちやすいといえますが、マウスピース内部に糖分などが入り込んでしまうとむし歯の原因になるため、マウスピース装着中は甘い飲み物を飲んだりという行為も控える必要が生じます。

なお、マウスピース型矯正では対応が難しい歯並びなどもありますので、治療を受ける際には歯科医師としっかり相談して、自分に合った治療法を選択することが大切です。

まとめ

まとめ
受け口は放置していても自然に治るものではなく、むしろ症状が悪化したり、さまざまなお口のトラブルを引き起こす要因です。
成長期である子どもの頃など、早期に適切なケアを始めれば身体に負担の少ない治療で改善できる可能性もありますので、受け口かもしれないと感じたら、放置せずに早めに歯科医院で相談してみてください。

この記事の監修歯科医師

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