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小児矯正の早期治療の必要性|歯列矯正をした方がよい症状や治療開始時期も解説

 公開日:2025/10/13
小児矯正の早期治療の必要性|歯列矯正をした方がよい症状や治療開始時期も解説

お子さんの歯並びに不安を感じている保護者の方は少なくありません。 小児矯正は単に歯並びを整えるだけでなく、顎の成長を利用して将来の健康な口腔環境を整える治療法です。 早期に治療を始めれば、お子さんの負担を抑えつつ理想的な歯並びを整えられます。本記事では小児矯正の必要性や開始時期、治療法を詳しく解説します。

小田 義仁

監修歯科医師
小田 義仁(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事

小児矯正の早期治療の必要性

歯科治療を受ける子供 小児矯正早期治療にはさまざまなメリットがあります。 成長期の柔軟な顎骨を利用できる時期に治療を始めると、大人になってから行う歯列矯正よりも効果的に改善できます。 また早期治療により将来的な口腔機能の問題を予防し、健全な成長発育を促進できるため、お子さんの生涯にわたる健康維持に欠かせません。

顎の成長を利用した歯列矯正治療ができる

子どもの顎骨は成長期にあるため、歯列矯正装置により顎の成長を適切にコントロールできます。上顎と下顎のバランスを整えながら、永久歯が正しい位置に生えるスペースを確保できるのが大きな特徴です。 成人の歯列矯正治療では困難な骨格的な改善も、成長期であれば容易に行えます。 顎の成長が終了する前に治療を開始すれば、より自然で理想的な顔貌と歯並びを獲得できるでしょう。 この時期を逃してしまうと、外科手術を併用しなければ改善が難しいケースも出てきます。成長期特有の柔軟性を活かした治療は、お子さんにとって身体的な負担も少なく済みます。

将来的な見た目のコンプレックスを減らせる

床矯正の装置を持つ子 歯並びの問題は見た目だけでなく、お子さんの心理面にも大きな影響を与えます。思春期に入る前に歯並びを改善しておくことで、自信を持って学校生活を送れます。 早期治療により口元の突出感や受け口などの特徴的な顔貌を改善できれば、成長とともに調和のとれた顔立ちになるでしょう。 友達にからかわれたり、笑顔を見せることをためらったりする心配も減ります。早い段階で治療を始めれば、お子さんが自然な笑顔で過ごせる環境を整えられます。 また社会生活を送るうえで、健康的な笑顔は大切なコミュニケーションツールの一つです。歯並びへの自信は、お子さんの積極的な性格形成にも寄与します。

抜歯をせず治療できる可能性が高まる

早期治療では顎の成長を利用して歯が並ぶスペースを確保できるため、永久歯の抜歯を回避できる可能性が高いです。 顎の幅を広げたり、奥歯を後方に移動させたりして、すべての永久歯が収まる空間を作り出せます。 成人になってから歯列矯正治療を始めた場合、スペース不足を解消するために健康な永久歯を抜歯する必要が生じやすくなるでしょう。 早期治療により抜歯を避けられれば、お子さんの大切な歯を守りながら理想的な歯並びを実現できます。 永久歯は一度失うと再び生えることはないため、可能な限り保存する治療方針が望まれます。将来の歯の健康を左右するため、顎の成長期を逃さず治療を開始する判断が必要です。

口呼吸や舌の癖などを改善できる

タスクの見える化 小児矯正では歯並びの改善と同時に、口腔機能の問題も改善できます。口呼吸や舌を前に出す癖、指しゃぶりなどの悪習慣は歯並びを悪化させる原因です。 早期治療の段階でこれらの問題に対処すれば、正常な口腔機能の発達を促せるでしょう。鼻呼吸への移行や正しい舌の位置を身に付けさせる方法も、治療後の後戻りを防げます。 機能的な問題を放置すると、矯正後も歯並びが乱れる恐れがあるため、早期の対応が欠かせません。 口腔周囲筋のトレーニングを併用すれば、より効果的な改善が期待できます。正しい嚥下や発音の習得にもつながり、お子さんの健やかな発育に貢献します。

小児矯正が必要な症状

手と電球 お子さんの歯並びや噛み合わせに問題がある場合、早めに歯列矯正歯科での相談をおすすめします。 日常生活で気付きやすい症状を理解し、適切な時期に治療を始めることが重要です。 以下のような症状が見られる場合は、歯列矯正治療の必要性を歯科医師に相談しましょう。 保護者の方が早期に異常を発見し、適切な対応をとることで、お子さんの将来の口腔健康を守れます。

歯並びが悪い

歯がデコボコに生えている叢生や、歯と歯の間に隙間がある空隙歯列は代表的な不正咬合です。 永久歯への生え変わり時期に歯が重なったり、ねじれて生えたりする場合は早期の対応が必要です。 歯並びが悪いと歯磨きが困難になり、むし歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。また、食べ物をうまく噛めないため、消化器系への負担も増加します。 見た目の問題だけでなく、口腔衛生や全身の健康にも影響を与えるため、早期の改善が望まれます。 また、歯並びの乱れは自然に改善されないケースがほとんどで、放置すると症状が悪化する傾向にあるため注意が必要です。適切な時期に介入し、将来的な大がかりな治療を回避しましょう。

前歯が閉じない

斜めに生えてきた永久歯 上下の前歯が噛み合わない開咬は、前歯で食べ物を噛み切れない状態です。麺類を前歯で噛み切れなかったり、発音が不明瞭になったりする問題が生じます。 開咬の原因には指しゃぶりや舌を前に出す癖、口呼吸などがあるため、生活習慣の見直しも欠かせません。 これらの悪習慣を早期に改善しなければ、症状はさらに悪化していきます。成長期に適切な治療を行うことで、顎の成長をコントロールしながら正常な噛み合わせへと導けるでしょう。 開咬は見た目だけでなく、咀嚼や発音にも大きな影響を与えます。日常生活での不便さを解消するためにも、早期の治療開始が推奨されます。

出っ歯や受け口である

上の前歯が突出している上顎前突や、下顎が前に出ている下顎前突は骨格的な問題を含む場合があります。 これらの症状は遺伝的要因や指しゃぶり、舌の癖などが原因で起こります。出っ歯の場合、前歯をぶつけやすく怪我のリスクが高まる要因の一つです。 受け口では食べ物を噛みにくく、発音にも影響が出やすくなります。早期に治療を開始すれば、成長を利用して上下顎のバランスを整えられます。 また、骨格的な不調和は成長とともに顕著になる傾向があるため、早めの介入が効果的です。適切な時期を逃さず治療を始めることで、外科手術を回避できる可能性も高まります。

小児矯正の早期治療はいつから始めればよい?

男性の歯医者・ホワイトニングや歯科検診 小児矯正の開始時期は、お子さんの成長段階や歯並びの状態により異なります。 一般的には6〜7歳頃の前歯の生え変わり時期が、歯列矯正治療を検討するよいタイミングです。 この時期は混合歯列期と呼ばれ、乳歯と永久歯が混在しています。顎の成長が活発な時期でもあるため、効果的な治療が可能です。 ただし、受け口や交叉咬合などの骨格的な問題がある場合は、3〜4歳頃から治療を開始するケースもあります。早めの受診により、適切な治療開始時期を見極められます。 歯科医師は個々のお子さんの成長パターンを評価し、治療開始の適切なタイミングでの判断が可能です。すべてのお子さんが同じペースで成長するわけではないため、個別の評価が欠かせません。 定期的な歯科検診を受けていれば、適切な時期を逃さず治療を開始できるでしょう。早期発見と早期治療により、より効果的で負担の少ない歯列矯正治療を実現できます。

小児矯正を早期に始めるときの注意点

注意点と書かれたブロックが置かれたデスク 早期治療にはメリットがさまざまある一方で、いくつかの注意点もあります。 治療期間が長期にわたるため、お子さんのモチベーション維持が重要になるでしょう。装置の装着時間や口腔ケアは、保護者の協力が不可欠です。 また、成長により治療計画の修正が必要になる場合もあります。定期的な通院が必要なため、家族のスケジュール調整も考慮しなければなりません。 お子さんの性格や生活環境を考慮し、無理のない治療計画を立てることが大切です。歯列矯正歯科医師と十分に相談し、お子さんに合った治療方針を決定しましょう。 また、治療中はむし歯予防にも特別な注意が必要です。歯列矯正装置により歯磨きが困難になる部分があるため、より丁寧な口腔ケアが求められます。 フッ素塗布や定期的なクリーニングを併用すれば、むし歯のリスクを低減できます。食事制限が必要な場合もあるため、栄養バランスへの配慮も欠かせません。 お子さんが前向きに取り組めるよう、家族全体で支える体制を整えることが大切です。

小児矯正の治療法

指差しする女性医療従事者 小児矯正は成長段階に応じて、第1期治療第2期治療に分けられます。 それぞれの時期に適した方法を選び、段階的に歯並びと噛み合わせを整えることが大切です。お子さんの成長や歯の生え変わりに合わせて、適切な治療を行います。 治療法の選択は、不正咬合の種類や程度、お子さんの協力度などを総合的に判断して決定されます。

第1期治療

第1期治療は、6〜12歳頃の混合歯列期に行う治療です。主に顎の成長をコントロールし、永久歯が正しく生えるための土台作りを行います。 床矯正装置や機能的矯正装置を使用して、顎の幅を広げたり前後の位置関係を改善したりします。取り外し可能な装置を使用するケースが多く、お子さんへの負担も少なくて済むでしょう。 この時期の治療により、第2期治療が必要なくなる場合や、治療期間を短縮できる場合があります。口腔機能の改善も同時に行い、健全な成長発育を促します。 第1期治療では、お子さんの協力が治療成功の鍵です。装置の装着時間を守り、定期的な調整に通うことが欠かせません。保護者の方のサポートにより、お子さんは治療を継続できるでしょう。 またこの時期の努力が、将来の健康な歯並びの基礎を作ります。治療中の経過観察により、成長の変化に応じた柔軟な対応も可能です。

第2期治療

第2期治療は、12歳以降の永久歯列期に行う本格的な歯列矯正治療です。マルチブラケット装置マウスピース型矯正装置を使用して、個々の歯を精密に移動させます。 第1期治療で土台を整えているため、スムーズに治療を進められるでしょう。永久歯がすべて生え揃った段階で、最終的な歯並びと噛み合わせの仕上げを行います。 第1期治療を受けていない場合でも、この時期から治療を開始できます。ただし、顎の成長が終了に近づいているため、骨格的な改善は限定的になるでしょう。 第2期治療では、審美性への配慮も重要な要素です。思春期のお子さんにとって、装置の見た目は大きな関心事です。 透明なブラケットや歯の裏側につける装置、マウスピース型矯正装置など、目立ちにくい選択肢も増えています。お子さんの希望と治療効果のバランスを踏まえて、装置を選びましょう。

小児矯正にかかる期間と費用相場

床矯正の疑問 小児矯正の治療期間と費用は、治療内容や使用する装置により異なります。第1期治療と第2期治療それぞれの期間と費用の目安を理解し、計画的に治療を進めましょう。 医療機関により費用設定は異なるため、事前に確認しておくことが大切です。治療開始前に詳細な治療計画と費用の説明を受け、納得したうえで治療を始めます。

第1期治療

第1期治療の期間は、一般的に1〜3年程度です。顎の成長や歯の生え変わりを観察しながら、段階的に治療を進めていきます。 費用相場は200,000〜500,000円程度で、使用する装置の種類や調整回数により変動します。 また、床矯正装置などの取り外し式装置は費用を抑えられるでしょう。固定式の装置を使用する場合は、費用が高くなる傾向があります。 定期的な調整料が別途必要になる場合もあるため、総額を確認しておきましょう。治療後の保定期間も含めて、長期的な費用計画を立てることが大切です。 第1期治療の費用対効果は高く、将来的な治療費の削減にもつながります。早期に問題を解決しておくことで、第2期治療が不要になる可能性もあるでしょう。 また、抜歯を回避できれば、それに伴う処置費用も節約できます。長期的な視点で考えると、早期治療への投資は賢明な選択です。

第2期治療

第2期治療の期間は、1〜3年程度が一般的です。歯の移動速度や治療の複雑さにより、期間は前後します。 費用相場は300,000〜1,000,000円程度で、使用する装置により大きく異なるでしょう。 従来のワイヤー矯正は費用を抑えられますが、審美性の高い装置やマウスピース型矯正装置は高額です。 また第1期治療を受けている場合、第2期治療の費用が減額される医療機関もあります。 保定装置の費用や定期検診の費用も考慮して、予算を検討しましょう。分割払いに対応している医療機関もあるため、支払い方法も相談できます。 そして治療費には装置代のほか、検査料や診断料、調整料などが含まれます。トータルでどの程度の費用がかかるか、治療開始前に明確にしておくことが大切です。 予期せぬ追加費用が発生しないよう、契約内容を十分に確認しましょう。医療費控除の対象となる場合もあるため、領収書は大切に保管しておきます。

編集部まとめ

照明に照らされた真夜中の看板 小児矯正の早期治療は、お子さんの健全な成長発育を促し、将来の口腔健康を守る重要な治療です。顎の成長を利用できる時期に治療を開始すれば、抜歯を避けながら理想的な歯並びを実現できます。 歯並びの問題や口腔機能の異常に早く気付き、適切な時期に治療を始められることで、お子さんの負担を抑えられます。 歯列矯正歯科医と相談しながら、お子さんに適切な治療計画を立てることが大切です。早期治療により得られる恩恵は、お子さんの一生の財産になるでしょう。 健康な歯並びは見た目の美しさだけでなく、咀嚼機能や発音機能、口腔衛生の維持にも重要な役割を果たします。早期治療により、これらの機能を正常に発達させ、生涯にわたる健康的な生活を支える基盤を作れるでしょう。 保護者の方の適切な判断と行動が、お子さんの明るい未来への第一歩です。 定期的な歯科検診を受け、歯科医師のアドバイスを参考にしながら、適切な治療時期を見極めることが大切です。お子さんの笑顔と健康を守るため、早期の歯列矯正治療を前向きに検討してみましょう。

この記事の監修歯科医師