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歯列矯正は痛いって本当?歯列矯正が痛いと感じる原因や痛みを抑える方法まで詳しく解説します

 公開日:2023/06/08
歯が痛い女性

歯が不揃いだったり噛み合わせがよくないことを「不正咬合」と言い、このままにしておくと歯槽膿漏になりやすくなるなどデメリットが数多くあります。

また歯磨きがしづらい・見た目もよくないと言うことで歯列矯正を受けてみたいと思う方も多いでしょう。

取り掛かるまでの不安要素としてあげられる痛みについて今回はお伝えしたいと思います。

歯並びを治したいけれど痛みに耐えられるか不安な方に、痛いと感じる原因や痛みを抑える方法をご紹介します。

古田 博久

監修歯科医師
古田 博久(歯科医師)

歯列矯正は痛いって本当?

歯を見せる女性
歯列矯正は、歯並びを整えるために顎や歯を動かす治療です。
歯に負荷を与えて移動させる装置なのでどうしても痛みを感じますし、また痛みだけでなく圧迫感からストレスを感じる場合もあります。
歯列矯正は長期的な治療が必要です。
長期的に痛みを伴うと不安があると思いますが、虫歯の時のようなズキズキする痛みとは違って、歯が圧によって押される痛みなので耐えられないほど痛いことは少ないでしょう。
痛みは微かにあるけれど日常生活に問題が出るほどではないくらいの痛みです。もし耐えられないような痛みであれば、医師に相談して装置の再調整を行い圧を変更することも可能です。

歯列矯正が痛いと感じる原因

歯磨き 女性
歯列矯正が痛いと感じる原因は、様々なものがあります。
ここではそれぞれの痛みの違いをご紹介しましょう。

装置による痛み

歯列矯正では使用されるワイヤーやブラケット装置が原因で痛みを感じることがあります。
また施術をしている最中は装置が当たり、歯列矯正の調整をしているため痛みを感じやすく、口内が狭い場合には頬や歯肉なども傷つけることがあります。
治療中も装置そのものが唇や頬に当たってしまい口内炎ができることもあり、痛みを伴うこともあるでしょう。
また治療が進むにつれて歯が移動し、ワイヤーの長さが変わって頬に刺さってしまうこともあります。
マウスピース矯正の場合には頬の内側を傷つけたりすることはないので、装置による痛みはワイヤー治療よりも比較的軽くすむでしょう。
また、矯正装置をつける前にセパレーションリングという装置をつけ、歯と歯の間に隙間を作るための装置なのですが、これも歯に圧力をかけるため痛みが発生します。
特に矯正治療で最初に経験する痛みでもあり痛みの印象が強く残る事があります。

歯が移動することによる痛み

歯が移動すると周辺の歯肉や骨を圧迫することになります。歯列矯正は歯に力を加えることによって歯茎や歯の根の周りの骨の炎症をおこし、それを利用して少しずつ歯を移動させる方法です。
そのためこの痛みに関してはある程度仕方がないものと受け入れる必要があります。
また歯列矯正を開始したばかりの時は、目標とする歯の位置までの距離が長いため矯正器具の圧が強くなり痛みやすいです。

食事をする際の痛み

歯列矯正は歯が移動しているため、歯に接触する食べ物や飲み物が原因で痛みを感じることがあります。
特に矯正中の歯は移動して揺れますので、繊維質の多い野菜やお肉のようなしっかりと噛む必要があるものは歯に圧がかかり痛みを出します。
歯列矯正中は柔らかい食べ物からゆっくりとスタートさせ徐々に通常の食事に戻すのが理想です。

歯茎の痛み

歯列矯正では歯自体に圧をかけることで歯茎の炎症を起こして移動させるものです。そのため歯茎は少しの刺激に対しても敏感になっています。
歯列矯正の調整中に強く噛み締めてしまうと歯茎に圧がかかるため一時的に痛みも出ることがあります。
また矯正器具があることで綺麗に磨けない箇所が出てくるでしょう。歯茎に汚れが付着したまま放置してしまうと歯茎が腫れて痛みを発症する事があります。

歯列矯正が痛いと感じるのはいつまで?

入れ歯
歯列矯正の治療は数年程度かかる物ですが、歯列矯正で痛みを感じる期間はどれくらいなのか解説します。

矯正開始後の数日がピーク

歯列矯正で痛みを感じる期間の中で最も痛みが強い期間は矯正開始してから数日間です。
個人差はありますが矯正器具の装着から36時間がピークとされています。
矯正を始めたばかりの頃は、歯の移動や装置による圧迫が最も強いため、痛みが一番強く感じられます。
この頃は歯に物が当たるだけでも痛みが出ますので、噛まずに食べられるおかゆや流動食で過ごしましょう。
治療開始時は特に矯正の痛みに慣れていないため、夜眠れない人もいます。
マウスピース矯正でもワイヤー矯正でも治療開始後の痛みの発生は避けられません。

ずっと痛みが続くことは少ない

歯列矯正が完了するまでの期間中、強い痛みが常に続くことはほとんどありません。体が慣れてくると日常生活に支障がでないくらいの痛みまで収まります。
個人差はあり、慣れてきても疼くようなぼんやりとした痛みを感じることがあるでしょう。
歯の成長や発育が終了している場合には歯の移動が円滑ではないため痛みの続く期間は長くなります。
また、矯正範囲が広いと歯に強い圧がかかるため痛みは強くなりやすいです。
痛みの種類でいうと歯列矯正を受ける上でのアレルギー反応や装置の不適合などの場合は、ずっと痛みが続くこともありえます。
もし歯列矯正中に長期間の痛みが続く場合は、歯科医に相談しましょう。

歯列矯正の痛みを抑える方法を紹介

薬剤
痛みを抑える方法は、薬物療法や手技による対策などがあります。
痛みが辛い時に役立つ方法をご紹介しましょう。

担当のお医者さんに診てもらう

歯科助手
痛みで夜に眠れない・食事もままならないというような強い痛みを2~3日経った後も感じた場合には担当の医師に診てもらいましょう。
あまりにも強い痛みの場合には歯列矯正器具の再調整をすることで痛みを緩和できます。
特に歯の裏側に矯正器具がある場合や、装置が歯に当たって痛みを感じる場合には、痛みの元となる箇所の除去が可能なので有効な手段です。
担当の医師であれば矯正器具の調整以外にも痛み止めなどの処方箋を出すことも可能です。
薬物療法においては、歯科用鎮痛剤や抗炎症薬を用いることで痛みを軽減できます。
また、歯肉の炎症や感染が原因で痛みを感じる場合は、抗生剤の投与や歯肉の手術などの治療を受けられます。
また装置が口内に当たることで出た痛みに対しては、矯正治療用のワックスの塗布が可能です。

痛み止めを服用する

お薬
痛みを感じた時には我慢することなく歯科用鎮痛剤を服用することで痛みを軽減できます。
市販の薬の場合は歯の動き自体を阻害してしまう可能性があるため医師に処方してもらうようにしましょう。
歯列矯正を始めたばかりの痛みを軽減するために、炎症を減らし痛みを軽減する効果があるロキソニンやイププロフェン系などの鎮痛剤を服用できます。
中には歯の動きに影響しないアセトアミノフェンの鎮痛剤を処方しているところもあります。
矯正は炎症を起こして歯を移動させるものなので、痛みに耐えられなくなった場合に使い常時服用することは避けてください。

痛みのある箇所を冷やす

痛みのある箇所を冷やすことで一時的な痛み軽減に効果を得られます。
歯列矯正の痛みが歯の移動など炎症によるものだった場合は、冷やす事で炎症で増えた血流量を減らし熱や腫れを抑える事ができます。
しかし矯正装置の種類によっては装置の力が弱まってしまう事がありますので注意が必要です。

歯列矯正の痛みに耐えられない人も

歯が痛い男性
歯列矯正を開始する前に痛みに関する説明を受けますが、実際に体験してみて痛みに耐えられずに眠れない・食事ができないという人もいます。
基本的には歯列矯正の担当医師に相談をし、歯列矯正痛みを減らすための方法を提案してもらいましょう。
例えば、歯の動きを緩やかにすれば治療期間は長くなりますが痛みを減らす事ができます。
痛みに耐えられないからと治療をやめてしまうのは得策ではありません。
せっかく移動していた歯が元に戻ったり虫歯や歯周病のリスクも高まります。

痛いと感じにくい歯列矯正の方法は?

マウスピースを持つ女性
歯列矯正を受ける上での痛みや不快感を減らす方法はないものでしょうか。
矯正方法の種類と痛みについてご紹介します。

マウスピース矯正

マウスピース矯正とは、歯に合わせて作られた薄い透明のシート状のマウスピースを、歯にはめ込むタイプの歯列矯正装置のことを指します。マウスピース治療の実績が最も多いのはインビザラインでワイヤーやブラケットを使いません。この装置は、歯にはめ込むため、外から見た目にはほとんど見えず気づかれにくいです。
また、装置による痛みや不快感も比較的少ないとされています。このため、仕事や社交などにおいても不自由さを感じにくいことが利点です。
着脱が可能なので痛みにどうしても耐えられない時には外す事で一時的に圧を減らす事ができます。
マウスピース矯正は難しい症例の場合には使用できないことがあるため、利用可能か確認する必要があります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは昔からある一般的な矯正方法です。マウスピースの痛みに対しての比較対象としてご紹介します。
ワイヤー矯正はブラケットを装着した歯にワイヤーを張って、圧を加えることで歯を移動させます。
矯正期間が短いのですが、歯が移動するペースが早いため強い痛みを感じやすいです。
ただ基本的にどの方向にも歯が動かせるため適応範囲が広いです。
ワイヤー矯正にはステンレススチールワイヤー・ニッケルチタンワイヤーなどがあり、歯列の異常度や矯正期間によって使用するワイヤーが異なります。
また、歯の前方ではなく裏側にワイヤーを通して歯を動かす裏側矯正もあります。
こちらは外部からは目立ちにくいのですが、歯科医師の高い技術が必要なため費用が増えてしまう事があるでしょう。

歯列矯正を検討している方は専門医に相談を

歯医者さん
歯列矯正は歯と顎の関係を整えるための治療で、歯列が整っていない場合は、歯や口腔の健康に悪影響を与えることがあります。
そのため、歯列矯正を検討している方は、専門的な視点からの歯科医師のアドバイスを受けることが重要です。
歯列矯正は長期間の治療であるため、医師とのコミュニケーションを大切にし、信頼性の高い医師を選ぶことも重要です。
歯科にも「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」の4つがあります。
矯正歯科治療の熟練度を示す指標として日本矯正歯科学会が設けた「認定医」と「専門医」という認定資格があります。
認定医になるためには以下の条件が必要です。

  • 歯科医師のライセンス取得後に継続して5年以上の臨床研修を経験
  • 学術刊行物に矯正歯科に関する報告を発表する

さらに資格取得後にも5年ごとに審査がありそれに合格しなければなりません。
その認定の中から特別に記述と経験が優秀である歯科医に与えられるのが専門医という資格です。
ただ専門医は矯正治療を行っている歯科医師のうちの3%未満、認定医でも15%未満とかなり希少な存在です。
歯列矯正を検討している方は認定医・専門医が在籍している歯科に相談をすることをお勧めします。
現在は専門医は臨床指導医と名前を変えていますので、ご注意ください。

編集部まとめ

歯科クリニック
歯列矯正では全く痛みを伴わない治療はかないませんが、少しでも痛みを和らげる方法をいくつかご紹介しました。

医師とのコミュニケーションをしっかりとることで、快適な歯列矯正の治療ができますので自己判断をせず医師に相談をしましょう。

歯列矯正は治療期間も長く費用も高額になりやすいです。痛みへの理解を深めた上できちんと治療に向き合い素敵な歯を手に入れましょう。

歯列矯正の痛みについて解説しました。少しでもお役に立てましたら幸いです。

この記事の監修歯科医師