30代の矯正は遅いって本当?大人の歯科矯正で後悔しやすいポイントやメリット・デメリットも詳しく解説
歯並びは印象を決める大きな要素のひとつであり、30代で矯正したいと考えている方も多いです。
しかし、矯正と聞くと子供のうちに行うものだとイメージを持っている方も多く、30代などの大人になってからでは遅いのではないかと感じる方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、30代の矯正が遅いのかを解説します。大人の歯科矯正で後悔しやすいポイントやメリット・デメリットも詳しく解説するので参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
30代の歯科矯正は遅いって本当?
30代でも、歯並びが気になって矯正を考える方は多いです。しかし、矯正は子供のうちから行うものという印象を持っている方が少なくありません。
確かに、子供の時の方が治療しやすいといえます。これは、子供の時の方が骨や歯などが成長の途中であり、治療の幅が広いためです。
大人になってからでは、成長した骨を治療するのに時間がかかってしまうことも間違いではありません。
また、治療中の見た目が気になる点も影響して、30代での矯正は遅いのではないかと思ってしまいます。
しかし、実際には矯正が遅いということはありません。成長した骨格でも、治療をする方法はあるため、手遅れではないのです。
30代という大人で矯正するからこそのメリットもあるため、矯正治療を始める方も数多くいます。
子供のうちに歯科矯正をする人が多い理由
30代になってから矯正治療を始めても遅くないとご紹介しましたが、なぜ子供時代に矯正をする方が多いのでしょうか。
実は、子供のうちに治療した方が、いくつかメリットがあるのです。そこで、ここでは子供のうちに歯科矯正をする方が多い理由をご紹介します。
顎の成長をコントロールするため
子供のうちに歯科矯正をする方が多い理由として、顎の成長をコントロールするためが挙げられます。
通常、歯並びが悪くなる原因としては、次のようなものが代表的です。
- 無理な力がかかって歯並びが悪くなる
- 歯が抜けたりかけたりすることで歯並びが悪くなる
- 顎の成長のバランスが悪くて歯並びが悪くなる
無理な力というのは、歯ぎしりや爪を噛むことなどから力が加わることをいいます。
このような無理な力が長期間加わり続けると、歯並びに大きく影響するのです。また、歯が抜けたり欠けたりしたままを放置していることでも、歯並びが悪くなるリスクがあります。
周囲の歯の位置が少しずつずれてしまうために、歯並びやかみ合わせが悪くなってしまうのです。
そして、顎の成長のバランスが悪くなることも歯並びに大きく関係します。
子供のうちに矯正をする方が多い理由は、この顎の成長をコントロールすることで歯並びが崩れるのを防止するためです。
上下の顎は、成長と共に大きくなります。しかし、何らかの原因でバランスが崩れると、出っ歯になるなど歯並びが悪くなってしまうのです。
子供の頃であれば、矯正器具で顎の成長を補正することが可能であり、外科的手術なども必要ないため早くから矯正する方が多い傾向です。
大きく歯を動かせるため
子供のうちから矯正を行えば、大きく歯を動かせる点も理由のひとつに挙げられます。歯を大きく動かすには、いくつかの条件が必要です。
- 永久歯に生え変わる時期
- 歯を動かすスペースを確保できること
必ずしも永久歯に生え代わる時期でなければ、矯正ができないというわけではありません。しかし、永久歯に生え代わる6歳~10歳にかけてが、矯正には適したタイミングです。
その理由は、完全に永久歯に生え変わる前で、歯を動かすスペースを確保しやすいためです。
また、子供のうちであれば、抜歯をせずとも大きく動かすスペースを確保できます。
大人になってからでは歯が大きいため、矯正の内容によっては、歯を抜かなければ動かすスペースが確保できないケースもあります。
大人に比べて大きく歯が動かしやすく、それだけ治療の幅が広がるため、子供のうちに矯正をする方が多いのです。
将来の虫歯リスク軽減のため
将来の虫歯リスク軽減のためということも、理由のひとつに挙げられます。歯並びが悪いと、それだけ凹凸や隙間が生じている状態です。
凹凸や隙間には、汚れが挟まったりたまったりします。それに加えて、歯磨きはブラシが届きにくく、汚れがきちんととれない可能性が高まります。
その結果、虫歯となってしまうケースが非常に多いのです。早期に矯正を行っていれば、歯並びが良くなり、汚れがたまりにくくなります。
歯ブラシで清潔にも保ちやすいため、口内環境を整えて虫歯リスク低減につながるのです。
大人の歯科矯正で後悔しやすいポイント
子供のうちに矯正する方が多い理由をご紹介しましたが、30代での矯正が遅く感じるのはそれだけではありません。
大人の矯正では、後悔しやすいポイントがあるのです。自分が後悔しないためにも、どのような後悔しやすいポイントがあるのかを、あらかじめ把握しておきましょう。
治療期間が長くなる
子供のうちに行う矯正と比較すると、治療期間が長くなるケースが多くなってしまいます。
歯並びをきれいにするためには、歯を動かす必要があります。子供のうちであれば、スペースも広いため、動かしやすいです。
しかし、大人の場合は歯がすでに硬くなってしまっているため、動かすにも大きな力と時間が必要となります。
一般的には、1年~3年程度かかるといわれており、歯並びの状態によっても期間は異なります。
また、痛みが伴うことがあるため、治療が難しくなることも少なくありません。これによっても、長期化することがあり、後悔しやすいのです。
外科手術が必要な場合も
大人になってからの矯正の場合、外科的手術が必要なケースが出てくることも、後悔しやすいポイントです。
先述したように、子供のうちに行う矯正であれば、顎の成長をコントロールできます。
しかし、大人になってからの矯正では、顎が成長してしまっているためコントロールが非常に難しいです。
矯正器具では調整できないような顎の骨であれば、外科的手術によって矯正しなければならないケースもあります。
手術であれば、大きく歯を動かすことが可能といったメリットがある一方で、さらに治療期間が長期化するといったデメリットもあります。
そのため、矯正を始めてから手術が必要と分かった際に、後悔してしまう方も多いのです。
多忙で通院が困難
後悔しやすいポイントとして、多忙で通院が困難であることも上げられます。治療を始めると、定期的な通院が必要となりますが、忙しくて通院できない方も多いのです。
クリニックによっても異なりますが、平日での治療の場合、仕事の関係で通院が難しくなるでしょう。
土日でも治療を行ってくれるクリニックもありますが、必ずしも都合がつけられる方ばかりではありません。
大人の矯正には、時間的な制約があることも、大きなポイントです。治療期間中は、約1ヶ月~2ヶ月に1回程度の通院が必要となるため、スケジュール管理が非常に重要です。
大人の歯科矯正のメリット
大人の矯正における後悔しやすいポイントをご紹介しましたが、デメリットばかりではありません。
大人になってからの矯正だからこそのメリットもあります。そこで、ここでは大人の歯科矯正のメリットをご紹介します。
コンプレックスを解消できる
大きなメリットが、コンプレックスを解消できる点です。歯並びが悪いと、見た目や相手への印象が気になる方も少なくありません。
中には、自然に笑えず精神的にも苦しい思いを抱えてしまう方も多いです。しかし、大人になってからでも矯正を行えれば、コンプレックスを解消できます。
自分に自信が持てるようにもなり、滑舌も改善されるかもしれません。肉体的にも精神的にも良い影響があるため、非常に大きなメリットです。
虫歯・口臭の予防
虫歯や口臭の予防につながる点も大きなメリットです。先述したように、歯並びが悪いと汚れがたまりやすく、歯磨きをしても十分に清潔にできない可能性があります。
しかし、矯正をすれば歯並びが改善されるため、汚れがたまりにくく清潔にもしやすいです。
清潔に保てることができれば、虫歯などの口腔トラブル予防となります。そして、口腔トラブル予防ができれば、口臭の予防にもつながるのです。
大人の矯正は、長期的に見ても非常に衛生的であるため、大きなメリットといえるでしょう。
歯周病リスクの軽減
虫歯だけでなく、歯周病リスクの軽減につながることもメリットに挙げられます。歯周病とは、歯を支えている骨を溶かす病気です。
歯並びが悪く、磨き残しがある場合など、歯周病のリスクを高めてしまいます。また、歯周病は、さらなる歯並びの悪化を招く原因にもなります。
歯周病によって、万が一歯が抜けてしまった場合には、周囲の歯が移動を始めてかみ合わせが悪くなるケースも考えられるのです。
大人の矯正は、歯周病とそれによる歯並びの悪化などを防げるため、メリットは大きいといえるでしょう。
経済的な余裕がある
経済的な余裕がある点も、大人の矯正ならではのメリットです。子供が矯正を受ける場合、治療費は親が支払うケースがほとんどでしょう。
その場合、生活費をやりくりして受けている家庭も少なくありません。そうなると、最低限の治療しか受けられない場合もあります。
大人になってからであれば、自分のお金を使って治療を受けるため、治療方法も自由に選択可能です。
最新の矯正方法などを選択することも、自由に行えるので、経済的な余裕がある点が大きなメリットです。
自分磨きのひとつ
大人の矯正は、自分磨きのひとつとなる点も大きなメリットとなります。矯正をすることで、顔のしわの改善や口臭の改善など非常に良いことが多数あります。
かみ合わせが悪いことで、肩こりや体の歪みを起こしていた方であれば、これらの症状も改善する見込みもあるでしょう。
このように、矯正によって歯並びが改善するだけでなく、体のさまざまな場所で良い効果が生まれます。
自分を磨いていけるようになるため、精神的にもモチベーションアップなどにもつながる可能性も高いです。
自分に合った矯正方法を選ぼう
矯正をするのであれば、自分に合った矯正方法を選ぶことも大切です。矯正方法としては、次のようなものがあります。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
ワイヤー矯正とは、歯にブラケットを固定して、ワイヤーを通して歯を動かす方法です。歯並びの崩れが重度の場合に、行うことの多い方法となります。
ワイヤー矯正と聞くと、金属製のワイヤーが歯の表面に見えて、見た目が心配と感じる方は多いかもしれません。
しかし、近年では金属の見た目ではなく、歯に近い色を再現したワイヤーで固定する方法があります。
また、歯の裏側にブラケットを装着して矯正する方法もあるため、見た目をあまり気にせずに治療を進めることも可能です。治療期間は、約1年~3年程かかります。
マウスピース矯正は、個人に合わせたマウスピースを作成し、装着することで矯正を行う方法です。
器具は取り外しができ、透明で薄い形状であるため、見た目が気になりにくい点がポイントです。
マウスピースは、定期的に交換が必要となり、治療期間は約1年から3年程かかります。
大人の歯科矯正はいつ始めればいい?
矯正を開始するタイミングは、個人によっても異なりますが、具体的には次のようなタイミングが良いでしょう。
- 治療スケジュールに合わせられるタイミング
- 悩みを解消したいと感じたタイミング
大人が矯正を行う場合、最も支障となるのが仕事とのスケジュール調整です。矯正の治療には、方法によって異なりますが、おおよそ1年~3年程かかります。
そのため、営業職の方などで相手と接する機会が多い場合は、仕事中は矯正器具が付けられない可能性もあるでしょう。
そうなると、治療が思うように進まず、効果も得られにくくなります。
仕事との兼ね合いも含め、治療を問題なく進められるタイミングかを考えて、スケジュールを合わせることが重要です。
また、歯並びによる悩みを解消したいと思った時も、治療開始におすすめのタイミングです。
歯並びが気になり、見た目にコンプレックスを感じている場合には、自信が持てなくなってしまいます。
コミュニケーションにも支障をきたす可能性があるため、治したいと思った時が最もモチベーション高く治療に専念できるタイミングといえます。
30代の歯科矯正で悩んだら歯科医に相談を
30代で矯正を考えている方は、少なくありません。子供のうちから矯正することは、確かにメリットは多いです。
そのため、大人になってからでは遅いのではと思っている方も多いです。しかし、大人での矯正ならではのメリットもあり、治療を行えば自信にもつながります。
大人になってから矯正をするのであれば、治療期間や後悔しやすいポイントなどを事前に知っておくことが大切です。
矯正のことで悩んでいるのであれば、まずは歯科医に相談しましょう。治療内容や期間などを細かく聞くことで、より具体的に治療に対してのイメージを膨らませることができます。
編集部まとめ
30代で矯正を考えた場合、子供のうちに行うイメージがあるため、大人になってからでは遅いのではと感じる方は多いです。
しかし、大人で矯正を始めるからこそ、経済的な余裕をもちながら自分磨きのひとつとして治療を進められます。
治療開始のタイミングや見た目の影響を考える必要はありますが、将来的に見ても虫歯や歯周病の予防につながるためメリットが大きいです。
もし、少しでも矯正をお考えの際には、信頼できる歯科医に相談してみましょう。より具体的な治療開始のタイミングやリスクを把握でき、安心して治療を進められます。
参考文献
- 30代の矯正治療は遅いのか歯科医が解説|大人が歯並びを良くするメリットや矯正のタイミングもご紹介|銀座青山You矯正歯科
- 悪い歯並びはなぜ?原因と矯正の種類について|歯髄細胞バンク・献歯等歯髄細胞保管事業 株式会社セルテクロジー
- 歯並びが悪いのはなぜ?原因とリスク・咬み合わせなどの基礎知識|矯正歯科ネット
- 子どもが歯科矯正する必要性はあるの?永久歯が生えそろう前に始めるメリットを解説|むかえ歯科・小児歯科
- 【まだ間に合う?】30代から始める歯科矯正について専門家が解説|K Braces 矯正歯科原宿駅前
- 大人の矯正治療、何歳まで?期間はどれくらい?メリット、デメリットは?|NakayamaOrthodontics
- 30代の矯正治療|おおき矯正歯科
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