マウスピース型矯正をしていると、「飴を食べよいのか?」と疑問に思う方も少なくありません。
治療中でも甘いものを食べたい気持ちは自然ですが、矯正装置を装着している場合は、食事や間食に十分な注意が必要です。
特に飴や甘い飲み物は、むし歯や装置の変形といったリスクがあるため、矯正中はストレスを感じやすくなります。
しかし、すべてを我慢する必要はありませんが、工夫が必要です。マウスピースの正しい取り扱い方や食事の工夫を知ることで、治療を続けながら食生活を楽しむことも可能です。
本記事では、マウスピース型矯正中に飴を食べることの可否や装置を装着したまま飲食するリスク、さらに食事の際に気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
歯列矯正治療中でもむし歯や歯周病を予防しながら、安定して食事や間食ができるよう、正しい知識を身につけましょう。
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小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事
マウスピース型矯正中の飴の摂取や間食
マウスピース型矯正中は飴を食べても大丈夫ですか?
マウスピース型矯正中に飴を食べることは、基本的に避けるべきです。飴は糖分が長時間口腔内に残るため、むし歯の原因になりやすい食品です。また、マウスピースを装着したまま飴をなめると唾液の流れが妨げられ、むし歯のリスクがさらに高まります。さらに、糖分がマウスピースの内側に付着すると細菌が繁殖しやすくなり、むし歯や口臭などの原因となることもあります。また、飴を噛むとマウスピースが破損する可能性があるため、十分に注意しましょう。食べる場合は必ず
マウスピースを外し、食後は歯磨きとマウスピースの洗浄を行いましょう。
シュガーレスの飴ならマウスピース装着中もなめられますか?
シュガーレスの飴であっても、マウスピースを装着したままなめることは避けるべきでしょう。シュガーレスの飴でも、マウスピースと歯の間に飴の成分が残ることで、着色や汚れの原因になることがあります。成分がマウスピースの細かな溝に入り込むと、通常の洗浄だけではきれいに取り除くことが難しい状態です。また、飴をなめている間は唾液による自然な洗浄作用が妨げられ、お口の中の環境が悪化しやすくなります。シュガーレスの飴を楽しむ場合も、マウスピースを外してから食べ、食後に歯磨きとマウスピースの洗浄を行うことが重要です。
マウスピースを外して間食する場合にデメリットはありますか?
マウスピースを外して間食する場合、むし歯リスクが高まることが
大きなデメリットです。特に甘いものや酸性の強い食品を頻繁に食べると、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなり、むし歯や歯の質の弱化につながる可能性があります。また、間食後に歯磨きやマウスピースの洗浄を忘れると食べかすや糖分がお口の中やマウスピースに残り、口腔内環境の悪化を招く原因になります。さらに、間食のたびにマウスピースを外すことで1日あたりの装着時間が不足してしまうでしょう。歯列
矯正治療の効果に影響を及ぼすおそれがあるため注意が必要です。歯列
矯正治療中はできるだけ間食を控えることが望ましいです。
マウスピース型矯正中におすすめの飴はありますか?
マウスピース型矯正中に飴を食べる場合は、砂糖を含まない
キシリトール配合の飴を選ぶことがおすすめです。キシリトールはむし歯の原因になりにくい甘味料であり、唾液の分泌を促し、お口の中を清潔に保つ効果が期待されています。ただし、マウスピースを装着したままなめることは避け、必ず外してから食べるようにしましょう。また、飴を食べた後は歯磨きをしてから再びマウスピースを装着することが大切です。甘味料の種類に関わらず、長時間食べ物の成分がお口に残ることで、むし歯や着色のリスクが高まるため注意が必要です。
マウスピースを装着したまま飲食するリスク
マウスピース装着中に飲食しても大丈夫なものはありますか?
マウスピース装着中に飲んでもよいのは、常温の水のみです。水であれば、むし歯の原因となる糖分や酸が含まれておらず、マウスピースの変形や着色の心配もありません。ただし、炭酸水やフレーバーウォーターのように、砂糖や酸味料が含まれる飲み物は避ける必要があります。また、熱い飲み物はマウスピースの変形につながるため、温度にも注意が必要です。飲み物をとる際は、原則としてマウスピースを外してから飲むようにしましょう。ただし、外出時や水分補給では常温の水を選ぶのが適切です。
ストローを使えば装着したまま飲み物をとっても大丈夫ですか?
ストローを使用しても、マウスピースを装着したまま糖分や酸を含む飲み物を飲むことはおすすめできません。ストローを使っても、飲み物がマウスピース内に入るのを完全に防ぐことはできません。甘い飲み物や酸性飲料は、マウスピースの内側に入り込み、むし歯や着色、変形の原因になります。ストローを使ってもよいとされるのは、常温の水のみです。それ以外の飲み物を飲む場合は、マウスピースを外すことを基本としましょう。
マウスピース型矯正中の食事の注意点
マウスピース型矯正中の食事の注意点を教えてください。
マウスピース型矯正中の食事では、必ずマウスピースを外してから食べることが基本です。マウスピースを装着したまま食事をすると、食べかすがマウスピース内に入り込み、
細菌が繁殖しやすくなります。また、熱い食べ物や色の濃い調味料によって、マウスピースが変形や着色する可能性もあるため注意しましょう。さらに、食事後はマウスピースを装着する前に歯磨きとマウスピースの洗浄を行い、口腔内や装置に食べ残しや汚れを残さないことが大切です。これらを習慣化することで、むし歯や口臭のリスクを防ぎ、歯列
矯正治療を円滑に進めることができます。
食後に注意することはありますか?
食後に注意すべきことは、歯とマウスピースの両方をきれいにしてから再装着することです。食事後にすぐマウスピースをつけると、歯の表面に残った糖分や汚れが密閉されることで、むし歯や口臭の原因になります。また、マウスピース自体にも食べ物の油分や色素が付着し、劣化や着色を引き起こすことがあります。外出先で歯磨きが難しい場合でも、うがいや水でお口をゆすぐなど、可能な範囲でケアを行いましょう。その後、帰宅した際に丁寧な歯磨きとマウスピースの洗浄を行うことで、清潔な状態を保つことができます。
食事でマウスピースに着色や変形がみられた場合はどうすればよいですか?
マウスピースに着色や変形がみられた場合は、
すぐに歯科医院へ相談することが大切です。マウスピースの変形は、歯列
矯正治療の効果に影響を与えるおそれがあります。着色は、洗浄剤や専用ブラシで落とせる場合もありますが、汚れがひどい場合や見た目が気になる場合は新しいものへの交換が必要です。自分で無理にこすったり、熱湯で洗ったりすると、さらに劣化が進むことがあるため注意しましょう。異変に気付いたらすぐに歯科医院で相談し、使用の継続や交換の判断を仰ぐことがリスクの軽減につながります。
編集部まとめ
マウスピース型矯正中は、飴や甘い飲み物などはむし歯やマウスピースの劣化リスクを高める原因になります。
歯列矯正治療をスムーズに進めるためには、食事や間食のたびにマウスピースを取り外し、食後の歯磨きやマウスピースの洗浄を習慣化することが重要です。
どうしても飴を食べたいときは、砂糖不使用のキシリトール配合飴を選び、マウスピースを外し短時間で摂取することが推奨されます。
食事や間食の工夫と正しいケアを取り入れ、歯列矯正治療と快適な生活の両立を図りましょう。