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インプラントのメリット・デメリットを解説|費用相場や治療の流れ・向いている人・歯科選びのポイントもご紹介

 公開日:2023/05/26
食事をとる夫婦

様々な要因で失ってしまった歯の代用として、特に高機能なものにインプラントが挙げられます。

インプラントは、自然な歯とほとんど変わらない審美性装着時の違和感が少ないことなどが魅力です。

メリットの多い治療方法ではありますが、デメリットがゼロというわけではありません。

今回は、インプラントについての基礎知識を様々な観点からお話しします。インプラントを検討中の方は、メリットとデメリットを把握したうえで選択しましょう。

熊谷 靖司

監修歯科医師
熊谷 靖司(歯科医師)

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熊谷歯科医院 院長

インプラントとは

インプラントのイメージ
インプラントとは、人工歯根とも呼ばれるインプラントを顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療方法です。
一般的には、チタンやセラミックスなどの素材でできた小型のボルト状の器具を、歯肉と骨の間に埋め込みます。
そのインプラント自体が人工的に作られた歯根となり、入れ歯よりも自然な噛み合わせを再現しているのです。
人工歯の部分は残存歯と色を合わせたり、より白い歯にしたりでき、患者さまが理想とする自然な口腔環境を目指せます。
一度インプラント治療を受ければ、長期的に歯を維持できる点もポイントです。
ただ、装着には手術が必要であり、インプラント治療を施せない条件もあります。患者さまの状態によっては治療できない可能性があることに注意してください。
また、インプラント治療は、歯科治療の中でも比較的高度な技術が必要な分野であり、正確な手術計画とテクニックが必要です。
技術と実績があり、信頼できる歯科医院に依頼するようにしましょう。

インプラント以外の治療方法

歯の模型
失った歯の代用歯の治療方法は、インプラントだけではありません。インプラント以外にも入れ歯やブリッジといった治療方法があります。
ここではそれぞれについて確認していきましょう。

入れ歯

入れ歯は、歯肉や口腔内の形状に合わせて作られたアクリル樹脂などの素材でできた土台と人工歯を装着する治療方法です。
隣の残存歯にフックを装着することで、固定します。取り外しが可能で、毎食後に取り外して清潔にしておかなければなりません。
保険適応と保険適応外の入れ歯がありますが、保険適応であれば比較的安価に代用歯を手に入れられます。治療の負担も大きくないため、治療できないケースが少ないのも特徴です。
ただ、インプラントのような自然な噛み合わせを再現するには及ばず、グラグラとした不安定な感じや装着したときの感覚が苦手な方も多くいらっしゃいます。
また、保険適応の入れ歯の場合は治療方法や使用する人工歯の種類に制限があり、理想の口腔環境を実現できない可能性があることも押さえておきましょう。
入れ歯は歯肉や隣の健康的な歯にも負担をかけるため、これから長期間を継続的に使用していくことを考えると定期的にメンテナンスする必要性が生じます。
普段の歯のお手入れと異なったメンテナンスのため、面倒な方には向いていないかもしれません。

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の隣接する歯を削って型をとり、その上にかぶせるように一塊の繋がった人工歯を装着する治療方法です。
隣接する歯にしっかりと固定されることで、入れ歯よりも自然な噛み合わせを再現できます。取り外し式ではないため、不安定な感じや違和感が少ないことも嬉しいポイントです。
ただ、健康的な隣の歯を多く削る必要があり、人工歯を支えている間も常に負担がかかってしまう難点があります。
支える歯がグラグラしていたり、健康的でなかったりする場合には治療できない一面もあり、入れ歯のように多くの症例に対応できない治療法です。

インプラントのメリット

笑顔の女性の口元
前述にて入れ歯やブリッジについて、メリットやデメリットも併せてご説明しました。
では、インプラントのメリットはどのようなことが挙げられるのでしょうか。
インプラントのメリットは以下の5点です。

  • 審美性が高い
  • 装着しても違和感がない
  • 健康な歯への負担が少ない
  • 入れ歯より手入れが楽
  • 歯が痩せるのを防ぐ

審美性が高い

インプラントは歯並びや色味など、審美性にも優れています。代用歯にもかかわらず見た目が自然であり、夢の永久歯や第三の歯と例えられることがあるほどです。
これほどに審美性が高いといわれている所以には、金属器具が見えないことが影響しています。
入れ歯は種類によって金属部分が見えてしまうため、入れ歯であることがわかりやすい傾向にあります。
また保険適応の入れ歯の場合には、人工歯の色合いの選択肢も限られてしまうため、歯の色合いが浮いてしまう面もあるのです。
ブリッジの場合は金属部分が見えることはなく、入れ歯よりも審美性は高いとされています。しかし、より自然な歯に近い仕上がりにできるのはインプラントです。
噛み合わせや発音にも影響を与えず、自然な歯と変わらない生活を送れることがインプラントの大きなメリットといえます。

装着しても違和感がない

インプラント装着しても違和感が少ないとされています。なぜなら、天然歯根と同じように人工的な歯根がしっかりと顎の骨に固定されているからです。
入れ歯やブリッジは歯を上から被せているだけのため、治療当時は良くても徐々にぐらつきが出るようになることが多くあります。
人工歯根で人工歯をしっかりと固定しているインプラントは、固定された状態を長期間維持しやすいため、不快感なく生活することが可能です。
手術が必要のため治療のハードルは高いですが、一度治療を受ければ歯を気にすることなく食事をしたりお話をしたりできるようになります。

健康な歯への負担が少ない

入れ歯やブリッジは、周囲の歯によって人工歯を支えています。ブリッジの場合は健康な歯を削る必要もあり、負担が大きいことも特徴です。
一方、インプラントは自立した人工歯根であり、周囲の歯に負荷をかけることがありません。
失った歯の部分だけで完結する治療であり、健康な歯への影響が少ないメリットがあります。
健康的な歯への負担が少ないことは、将来的に多くの歯を残すことにつながります。

入れ歯より手入れが楽

インプラントは、入れ歯と比較して手入れが楽です。これには、日常的なお手入れは自然な歯とほとんど同じだからという理由が挙げられます。
入れ歯は取り外しができるため、食べかすや口内の汚れが隙間に溜まってしまいやすいです。食後には必ず取り外して洗浄する必要があり、就寝時には液につけておく必要があります。
入れ歯の手入れを怠ってしまうと、入れ歯特有の臭いが発生したり最悪の場合肺炎の原因になったりすることもあり、細心の注意を払わなければなりません。
しかし、インプラントであれば日々のお手入れは自然の歯と変わらず、歯磨き・フロス・マウスウォッシュなどで完了します。
もちろん治療後には定期的にメンテナンスが必要ですが、それは自然の歯も同じです。
健康な歯やインプラントを長持ちさせるためには、セルフケアだけでなくプロによる予防歯科も重視する必要があります。
こうした観点から見ると、入れ歯のように特有のお手入れがないのは楽だといえるのではないでしょうか。

歯が痩せるのを防ぐ

実は、歯を失った状態が続くと徐々に顎の骨が吸収されていってしまいます。これは、骨折したときに足の筋肉や骨が痩せていくのと同じ原理です。
使っていない状態が続くと退化していってしまうのが私たちの身体の仕組みとなっています。
入れ歯やブリッジは代用歯としての役割は果たしますが、自然の歯と同じように歯根があるわけではありません。
そのため、咀嚼に上手く力を加えられず、またその使っている力を顎の骨に伝えることもできません。
つまり、歯を失った状態とほとんど変わらないため、顎の骨が吸収されていってしまうのです。
一方のインプラントには、人工的な歯根が顎の骨と歯肉の間に埋め込まれます。そのため、噛む力が顎の骨に伝わりやすく、きちんと稼働していることを脳に伝えられます。
これにより、吸収されにくくなり骨が痩せるのを防ぐ効果が望めるでしょう。

インプラントのデメリット

困った顔の歯のマスコット
ここまでインプラントのメリットについてお話ししましたが、インプラントには治療前に知っておきたいデメリットもあります。
インプラントのデメリットは以下の5点です。

  • 保険適用外
  • 治療期間が長い
  • 外科治療が必要
  • メンテナンスが必要
  • 感染症のリスクがある

保険適用外

インプラント治療は一般的に保険適用外となります。そのため、治療費用が高額になりやすいです。
インプラント治療には、手術費用・人工歯根の費用・人工歯の費用などがかかります。歯科医院によって費用が異なるため、事前に治療費用を確認しましょう。
保険適用外で費用が高額になる傾向があるとはいえ、インプラントは長期的に見れば入れ歯やブリッジよりも費用対効果が高いとされています。
入れ歯やブリッジは、取り扱いによっては長持ちしにくく、定期的に作り直す必要が生じてしまうからです。
これからも歯と上手に付き合っていくためには、長期的な視点が焦点となります。これから快適に過ごせる時間と費用とを見比べて慎重に判断しましょう。

治療期間が長い

また、インプラント治療は、治療期間が長くなりやすい傾向があります。
インプラントを挿入する手術自体は1時間程度で終わることがほとんどですが、インプラントと骨を結合させる術後の時間が長くなりやすいためです。
手術後はインプラントがしっかりと骨に固定されるまで、数か月間治療を継続する必要があります。
その期間は個人差が大きいですが、下顎で半年・上顎で1年程度は見積もっておかなければなりません。
その後インプラントが骨と馴染んできたら、上部に人工歯を取り付けて実際に噛み合わせを行います。問題がなければ最終的な人工歯を作って装着し、完成です。
このように、インプラント治療は治療期間が長くなりやすいというデメリットがあります。
しかし、一度治療が完了すれば、その後長期間にわたって歯を気にしない快適な生活を送れるようになるのもインプラントの特徴です。

外科治療が必要

前述のように、インプラントでは人工歯根を顎の骨と歯肉の間に埋め込む必要があります。
そのため、どうしても外科的な手術が必要です。
手術の際は麻酔をかけるため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。抜歯をするときと同じです。
ただ、手術後には一時的に腫れたり痛みを感じてしまったりする場合があります。痛み止め薬が処方されるので、痛みを感じるときに服用して対応しましょう。
インプラントは他の歯科治療と比べても負担が大きい手術です。体調が悪いときには治療できませんし、治療に向いていない方の要件も決まっています。
例えば、以下の方は治療前にご相談いただかなければなりません。

  • チタンのアレルギーがある
  • 骨量が十分にない
  • 喫煙の習慣がある
  • 全身的な疾患(高血圧・糖尿病・心臓病など)がある

必ず押さえておきましょう。

メンテナンスが必要

インプラントは、普段のお手入れは自然の歯と変わらず歯磨き・フロス・マウスウォッシュをしていただくだけで構いません。
しかし、定期的にプロの歯科医師によるメンテナンスが必要です。
自然な歯にも同様のことが言及できますが、健康的な状態を長く維持するためには日々のお手入れとプロの定期的なメンテナンスがなければなりません。
それはインプラントも同じです。口腔状態の確認や口内の清掃など、定期的な検診を受けるようにしましょう。

感染症のリスクがある

インプラント治療には外科手術が必須であり、それに伴う感染症のリスクがあります。具体的に申し上げれば、インプラント歯周炎に感染するリスクがあるのです。
インプラント歯周炎は、何かしらの原因で歯周病菌がインプラントと歯茎の間に入り込むことで徐々に炎症を起こし、腫れや歯茎の沈みを引き起こす恐ろしい感染症です。
これを防ぐには手術前に歯周病の治療をしっかりやっておくこと、手術時には安全と衛生に最大限に配慮することを徹底しなければなりません。
もちろん、手術後にもリスクがあるため、しっかり手入れをしてメンテナンスを怠らないようにする必要があります。

インプラントの費用相場

歯の模型と工具
インプラントの一般的な費用相場は、1本30万円程度です。
ただインプラントの費用相場は、患者さまの口腔内の状態・選択する治療方法・治療を受ける歯科医院によって変わってきます。
そのため、ここでお話ししたインプラントの費用相場はあくまで目安としてお考えください。
インプラントは保険適用外になるため、保険適用の入れ歯やブリッジと比べると費用が高くなりやすい傾向にあります。
ここからさらに、インプラントを埋め込む以外に歯周病の治療・骨量を増やす治療などが必要になれば費用はより高くなっていきます。
そうなると、全体的に100万円以上の費用がかかることもあるでしょう。
歯科医師とのカウンセリングの際にお見積もりについてのお話があるので、予算を伝えた上で検討するようにしてください。

インプラント治療の流れ

歯科検査を受ける男性
インプラントの治療は、12のステップに沿って行われます。インプラントの治療を成功させるためには、事前の検査が非常に大切です。
さらに、インプラントを長持ちさせるためには術後のメンテナンスが大切です。手術だけではなく、前後も欠かせないステップであることを踏まえてご覧ください。

  • 初診・カウンセリング
  • 検査
  • 必要に応じて治療(抜歯・歯周病治療・虫歯治療等)
  • X線検査・血液検査
  • 必要に応じて骨の移植
  • インプラントの埋め込み手術
  • 骨とインプラントの結合
  • インプラントの頭を出す手術
  • 仮歯挿入
  • 噛み合わせのチェック
  • 最終的な人工歯挿入
  • メンテナンス

以上が、インプラント治療の一般的な流れです。
このように、治療内容や症状によっては、手術前後に追加の検査や治療が必要になる場合があります。詳細については、歯科医師とのカウンセリングの際に質問しておきましょう。

インプラントが向いている人

レントゲンを確認する歯科助手
では、どのような人がインプラントの治療に向いているのでしょうか。ここではインプラントが向いている人をご紹介します。

入れ歯に違和感がある

入れ歯に違和感がある人には、インプラント治療を受けることをおすすめします。
なぜなら、インプラントは人工歯根を骨に埋め込み、その上に人工歯を装着することでまるで自分の歯のような感覚を得られるからです。
入れ歯に違和感を抱く理由には、入れ歯が口の中でぐらついたり、外れたりしてしまうからではないでしょうか。
インプラントであれば骨にしっかりと固定されているため、これらの問題を解消できるかもしれません。

健康な歯を削りたくない

記事前半にて、インプラント以外の治療方法として入れ歯やブリッジをご紹介しました。特にブリッジは、失った歯の部位を支えるために両隣の健康な歯を削らなければなりません。
そのため健康な歯を削ることなく治療したい場合には、インプラント治療が最適な選択肢の一つとなります。
インプラントで装着する人工歯は、失った歯の部位のみで自立します。そのため、他の健康的な歯に負担をかけることがありません。

見た目の印象を良くしたい

入れ歯やブリッジは、どうしても見た感じで人工歯であることがわかりやすい一面があります。なぜなら人工歯を支える金属部分が見えてしまったり、色合いが違ったりするからです。
保険適用であれば尚更選択肢が限られるため、患者様の状態に合った自然な見た目に近づけるのは難しくなるでしょう。
その反面、インプラント治療は審美性が高く、見た目の印象を自然な仕上がりで向上させることも可能な治療法です。

インプラント治療を受ける歯科を選ぶポイント

歯科医院の椅子
インプラント治療は高度な技術と経験を必要とする治療法であるため、歯科医院を選ぶ際には以下の4つのポイントを意識しましょう。

  • 専門性と経験の有無

歯科医療の中でも高度な技術と経験を必要とする治療法であるため、専門的な知識や経験は欠かせません。
インプラント治療には資格があるため、資格を有していることも重要ですが、それだけで判断するのは賢明ではありません。
多くの症例をこなしてきた経験や実績があるかを確認しましょう。インプラント専門の歯科医院を選ぶのも1つの方法です。

  • 設備や診療環境の充実度

インプラント治療には、高度な設備が必要となります。歯科医院の設備や診療環境が充実しているかどうかも重要なポイントです。
特に「3DCT」の有無によって安全性は変わってきます。3DCTは顎の骨を三次元的にデータ化できるため、手術の際に役立ちます。

  • 安全性や衛生面の確保

前述のようにインプラント治療には手術が必要であり、感染症のリスクに注意しなければなりません。そのため、歯科医院が十分な安全性や衛生面を確保しているかどうかも重要です。
歯科医院の清潔さや感染症対策の取り組みを確認し、安心して治療を受けることができる歯科医院を選びましょう。

  • しっかりカウンセリングや検査を行う

インプラント治療を成功させるためには、事前のカウンセリングや検査が非常に大切です。場合によってはインプラントの治療が向かない場合もあるため、カウンセリングは必須です。
また、インプラントは専門的なことが多く、情報があるとはいえしっかり理解できていない方もいらっしゃるかと思います。
そのため、カウンセリングの段階で納得できるまで丁寧にお話をし、不安を解消してくれる歯科医師が望ましいです。
以上のようなポイントを考慮し、複数の歯科医院を比較・検討することで、自分にとって最適な歯科医院を選べるようになります。

メリットとデメリットを理解してインプラント治療を受けよう

歯科治療用の工具
インプラントはメリットが多い治療法ですが、外科手術が必要といったハードルの高いデメリットもあります。
治療を受ける前にしっかりとインプラントについて理解をし、少しでも不安を解消した上で治療に臨むことが大切です。
様々な情報を参考にして、メリット・デメリット・リスクを理解しておきましょう。

編集部まとめ

料理を作る家族
今回は、インプラントの基礎的な知識をお話ししました。

インプラントの治療はだんだんと普及してきているとはいえ、まだまだ先進的な治療法に分類されます。

高度な技術が必要であるため、歯科医院を選ぶ際はしっかり見極めなければなりません。

この記事でご紹介したポイントを押さえ、不安を解消できる歯科医師に依頼しましょう。

この記事の監修歯科医師