ガチャ歯とは?ガチャ歯の矯正方法や放置するリスク・歯科医院を選ぶポイントも詳しく解説
「ガチャ歯があるけど、矯正するのはお金がかかるし、面倒くさい」
このように思っている方も多いのではないでしょうか。
ガチャ歯を放置すると、身体にさまざまな悪影響が出てしまいます。ガチャ歯は矯正治療によって改善できます。
本記事では、
- ガチャ歯になる原因と矯正方法
- ガチャ歯を放置するリスク
- 治療する歯科医院を選ぶポイント
上記について詳しく解説します。
これから矯正治療を受けようと考えている方はぜひ参考にしてください。
監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)
目次 -INDEX-
ガチャ歯とは
ガチャ歯とは、上下の歯が部分的に重なってしまい、前後にズレたり傾いたりして歯並びや噛み合わせが良くない状態です。
歯が重なって生えている状態を叢生(そうせい)といい、別名で乱ぐい歯(らんぐいば)ともいわれています。前歯が前後にズレて生えている八重歯も叢生の一種です。
厚生労働省が行った「歯科疾患実態調査(2016年)」では、12~20歳の男女の叢生の割合は26%(4人に1人)という結果が出ており、叢生の多さがわかります。
また、歯並びが悪いと歯磨きの際に汚れが残りやすく、虫歯や歯周病の原因になりやすいため注意が必要です。
ガチャ歯の種類
歯並びが良くない状態として、ガチャ歯の他には以下の5つがあります。
- 上顎前突(出っ歯)
上顎前突とは、上の歯が前方に出てしまい、前歯が出っ張って見える状態の歯並びです。
別名で出っ歯ともいわれており、見た目にコンプレックスを抱えてしまう人が多いといわれています。
また、口をうまく閉じられず口内が乾きやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高いです。 - 反対咬合(受け口)
反対咬合とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態の噛み合わせをいいます。
別名で受け口ともいわれ、あごが正常に動かしにくいことから会話や食事の際に滑舌が悪くなってしまったり、音を立てて食べてしまう傾向があります。 - 過蓋咬合
過蓋咬合は、下の歯が上の歯で見えなくなるほど前歯の噛み合わせが深い状態です。
噛み込みが深いため、奥歯がすり減りやすく、上の前歯が前に押し出されて出っ歯になりやすいといわれています。 - 切端咬合
正常な噛み合わせは、上の前歯が下の前歯に2~3mmほどかぶさっていますが、切端咬合は上下の前歯の先端がすき間なくぶつかってしまっている状態です。
前歯に負担がかかりやすく、放置しておくと歯の先端が欠けてしまう恐れがあります。 - 開咬(かいこう)
開咬とは、上下の前歯の間にすき間ができてしまう状態です。すき間ができてしまうことで口内が乾燥しやすくなり、菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
また、前歯の間にすき間が空いているため、麺類を上手く嚙み切れなくなります。
ガチャ歯になる原因
ガチャ歯になる原因は、以下の3つの要素が深く関わっているといわれています。
- 遺伝
ガチャ歯になる原因の1つは遺伝です。ガチャ歯自体が遺伝するというわけではなく、顎の骨格や筋肉、歯の数や大きさなどが遺伝するといわれています。
しかし、確実な根拠があるわけではないので、あくまで要因の1つとして考えておいた方がよいでしょう。 - 生え変わりの時期
子どもの歯が生え変わる時期にもガチャ歯になる原因が隠れています。子どもの歯は生え変わりの時期になると、自然に乳歯が抜け永久歯が生えてきます。
しかし、永久歯の生える準備が整う前に虫歯や事故などで乳歯が抜けてしまった場合、ガチャ歯になる可能性があるのです。
理由は、抜けてしまった乳歯のスペースに永久歯ではなく、周りの乳歯が寄っていってしまうためです。
その結果、本来生えてくる予定だった永久歯のスペースがなくなり、外に押し出されるような形でずれて生えてしまった歯がガチャ歯の原因になります。 - 幼少期の生活習慣や食べ物
幼少期の生活習慣や食べ物も、ガチャ歯になる原因に深く関わっています。
歯が生えそろう時期まで指しゃぶりや爪を噛む習慣が続いていると、前歯がズレて生えてくる可能性があり、ガチャ歯になりやすくなってしまうため注意が必要です。
また、柔らかい食べ物ばかり食べていると、顎の骨が十分に発達しないためガチャ歯になることにつながります。
ガチャ歯の矯正方法
ガチャ歯は、矯正治療をすることで改善が見込めます。代表的な以下の4つの矯正方法をご紹介します。
それぞれの矯正方法の特徴を理解して、自身に合ったものを選択してください。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットとよばれる器具を歯に装着して、ワイヤーを通して歯を引っ張る矯正方法です。広範囲と部分矯正のどちらも行えるため、幅広い症状に対応できます。
器具は矯正治療が終わるまで外せない上に、歯を磨きにくいため汚れが溜まりやすい点がデメリットといえるでしょう。
ブラケットとワイヤーを装着する位置を表側か裏側のどちらか選べる歯科医院もあるため、見た目が気になる方は裏側の装着を選ぶとよいでしょう。
裏側矯正は高度な技術が要求され、治療費用も高額になるケースが多いため、限られた歯科医院でのみ行われています。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、インビザラインとよばれる透明なマウスピースを使い、歯列を治す矯正方法です。着脱が簡単なため手入れがしやすく、器具が透明なこともあり目立ちにくい点がメリットです。
対して、決められた装着時間を守らなければ効果を実感しにくいため、治療期間が長期にわたり延びやすい傾向があります。
インプラント矯正
インプラント矯正は、小さなネジを埋め込んだ顎を土台として歯を動かしていく矯正方法です。
「前歯だけを後ろに移動させたい」といった部分矯正に適しており、ワイヤー矯正に比べて治療期間が短いのがメリットといえます。
ネジを埋め込む位置を変えることで、歯を動かす方向を調整できるため、抜歯をせずに矯正できる点も魅力です。
対して、顎の骨によってはネジが安定せずに抜けてしまい、埋め直しをすることがあるようです。
打ち込んだネジに舌が当たって違和感をおぼえてしまったり、笑った際にネジが目立ってしまうといったデメリットもあります。
インプラント矯正は、ネジを埋め込むために別途費用がかかるため、治療費用が高額になりやすいです。インプラント矯正を行う場合は、事前に専門医に相談するようにしましょう。
セラミック矯正
セラミック矯正は、矯正したい歯を削り、その上にセラミックの被せ者を取り付ける矯正方法です。
歯並びだけでなく、歯の色合いや大きさも変えられ、治療も短時間で済むといったメリットがあります。
一方、広範囲の矯正には適しておらず必ず歯を削る必要があるため、抵抗がある方もいるかもしれません。場合によっては、神経を削ることもあります。
他の矯正方法に比べて治療の効果では劣りますが、費用が抑えられるため、あまりお金をかけずに部分矯正を行いたい方におすすめです。
ガチャ歯を放置するリスク
ガチャ歯はあるけれど、そのまま放置してしまっていませんか。ガチャ歯を放置すると以下のようなリスクがあるので、早期の改善が大切です。
- 見た目のコンプレックスにつながる
- 虫歯・歯周病になるリスクが高い
- 噛み合わせに影響する
- 顎関節症になる
見た目のコンプレックスにつながる
歯並びのよさは見た目に大きな影響を与えます。歯並びが良いと、自信をもって笑えるようになり、自然とポジティブな気持ちになれるでしょう。
対して、歯並びが悪いと口を開けて笑うことに抵抗ができてしまい、笑顔を作ることがコンプレックスになってしまう恐れがあります。
ガチャ歯を見つけたら、早期に矯正すると人生の転機につながるかもしれません。
虫歯・歯周病になるリスクが高い
歯並びが悪い状態は、歯の表面がデコボコしており、歯と歯のすき間に汚れが溜まりやすいです。そのため、一生懸命に歯を磨いたつもりでも、実は汚れが残っているケースが多いです。
歯磨きの後には、歯間ブラシなどで歯のすき間の汚れを取るようにしましょう。
ガチャ歯は口をうまく閉じられず、すき間ができてしまうことが多いです。その結果、口内が乾燥し細菌が繁殖しやすい環境になり、虫歯や歯周病を引き起こすリスクがあります。
噛み合わせに影響する
歯並びが悪いと、上下の歯の噛み合う場所が少なくなり、物を上手く噛むことがむずかしくなります。
また、特定の発音や飲み込む際にも嚙み合わせの影響が出るといわれているので、ガチャ歯を放置すると噛み合わせにさまざまな悪影響が出るわけです。
顎関節症になる
歯並びや嚙み合わせが悪い状態を放置すると、顎の関節が悪くなり、口が開けづらくなってしまいます。
その結果、肩や首がこるといった顎関節症とよばれる病気になる可能性があります。私生活に影響が出る前に矯正治療を検討しましょう。
矯正を受ける歯科医院を選ぶポイント
矯正治療を受ける歯科医院選びは重要です。ここでは、矯正治療を受ける歯科医院を選ぶ6つのポイントをご紹介します。
- 日本矯正歯科学会の認定医がいるかどうか
矯正治療を受ける際は、日本矯正歯科学会の認定医以上の資格を持つ歯科医院を選びましょう。
この資格を持つ医師は、5年間以上の研修を行い、一定水準以上の知識と技術をもっていることが認定されているためです。認定医の確認は、日本矯正歯科学会のホームページから確認できます。 - セファログラム(頭部X線規格写真)の撮影が可能か
矯正治療の計画はセファログラムをもとに立てられます。
セファログラムが撮影できない歯科医院は、きちんとした矯正計画が立てづらいため、治療の質があまり高くないと考えてよいでしょう。 - 複数の矯正器具を備えているかどうか
患者の症状に合った治療を行えるため、複数の矯正器具を備えている歯科医院を選びましょう。 - 事前に器具のメリット・デメリットを教えてくれる
矯正器具にはさまざまメリット・デメリットがあります。治療を行う前に患者に器具の詳細を説明することで、お互いの同意のもと治療が行えます。 - 治療費や期間を具体的に教えてくれる
矯正治療は、治療費の他に調整料や再診料などの追加費用がかかる場合が多いです。具体的な費用や治療期間について確認ができる歯科医院を選びましょう。 - 自宅や仕事場からの通いやすさ
できるだけ自宅や仕事帰りに通いやすい歯科医院を選びましょう。矯正期間中は、矯正が終わるまでに何度も通院する必要があります。土日祝の予定や営業時間も合わせて確認しておきましょう。
ガチャ歯の矯正を考えているなら
ガチャ歯の矯正を考えている方は、まず上記でご紹介した6つのポイントを参考にしてもらい、自身の症状に合った歯科医院を見つけることから始めましょう。
矯正治療を受ける前に知っておきたい点は、治療費です。
一般的な矯正歯科治療では、特殊な場合を除き、健康保険が適応されません。治療費は全額負担となる上に、長期の通院が必要となるため、高額になります。
矯正治療を受ける際は、治療費・期間をかかりつけの専門医と相談した上で治療を受けるか決めましょう。
編集部まとめ
ガチャ歯の矯正方法や放置するリスク、歯科医院を選ぶポイントなどをご紹介してきました。
矯正方法としては、ワイヤー矯正・マウスピース矯正・インプラント矯正・セラミック矯正などの治療方法があります。自身の症状に適した治療方法を選びましょう。
ガチャ歯を放置することは、嚙み合わせの悪さから私生活に悪影響を与える可能性が大きいです。そのため、金銭面に余裕のある方は、矯正治療をおすすめします。
本記事で紹介した内容を参考に、信頼できる歯科医院を見つけてもらえたら幸いです。
参考文献