子供の歯科矯正でお金がないときの対処方法を解説|子供の歯科矯正の治療方法や矯正のタイミング・費用の目安もご紹介
子供の成長と共に、歯が生えてくるのを見て、歯並びをきれいにしてあげたいと思うご両親は多いでしょう。
歯並びは見た目だけでなく、将来的な虫歯のリスクや噛み合わせの問題にもつながります。そのため、歯並びが悪いようであれば矯正治療を受けたいものです。
しかし、矯正で心配なのが費用の問題です。高額なため、費用面が心配で治療を受けられないと悩んでいる方も多いでしょう。
そこで本記事では、子供の歯科矯正でお金がない時の対処方法を解説します。
子供の歯科矯正の治療方法や矯正のタイミングと費用の目安についてもご紹介するので、参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
子供の歯科矯正はなぜ高額になる?
お金が心配な方でもできる小児矯正クリニック
- 内藤小児歯科・矯正歯科クリニック
子供の歯科矯正が高額となる理由は、次のようなものが挙げられます。
- 基本的に保険適用外のため
- 矯正装置が高額となるため
まず、基本的に保険適用外であるためです。他の歯科治療であれば、保険適用であれば1割~3割の自己負担で済ませられます。
しかし、矯正に関しては、適用外であるため全額自己負担となってしまうのです。
さらに、保険適用の場合は消費税が課せられませんが、自由診療の場合は消費税が課せられることが一般的です。これも高額となる理由に挙げられます。
また、矯正装置によっても異なりますが、装置の費用は数十万円からかかります。
矯正の治療期間は、数日で終わるものではないため、矯正装置の使用期間が計算された結果高額となってしまうのです。
子供の歯科矯正をしたいのにお金がないときの対処方法
矯正治療が高額となる理由をご紹介しましたが、それでも子供のためを思うと、できれば矯正を受けさせてあげたいと考える方は多いでしょう。
高額ながらも、何とか矯正をすることができないのでしょうか。ここでは、歯科矯正をうけたいのにお金がない時の対処方法をご紹介します。
保険対象の症例か確認する
対処方法のひとつとして、まずは保険対象の症例かどうかを確認しましょう。矯正治療の中でも、保険適用となるケースもあるのです。保険適用となる主なケースは次のようなものがあげられます。
- 顎変形症
- 口腔の先天性異常にかかっている
- 前歯の永久歯が3本以上萌出不全を起こしている
顎変形症とは、顎の骨の成長に不具合が生じて、噛み合わせの異常を発生させている病気です。
頭の骨を切るなどの外科的な治療方法を用いることがあり、その前後で矯正を行うことがあります。そのため、その際に保険適用と扱われます。
また、先天性異常にかかっている場合も保険適用です。先天性の病気が原因の場合、顎変形症と同様に治療の前後で矯正を行うことがあります。
その際の矯正が、保険適用扱いなのです。また、前歯の永久歯が3本以上萌出不全を起こし、嚙み合わせの異常を発生させている際にも手術が必要となります。
そのため保険適用となり、治療費の一部負担で矯正を受けられます。保険対象の症例かを自己判断するのは難しいため、歯科医院に相談して保険適用かどうかを確認しましょう。
医療費控除制度を利用する
医療費控除制度を利用する方法も、有効な対処方法です。医療費控除制度とは、1年間で支払った医療費が10万円以上の場合、所得額から一定額を控除できるというものです。
矯正治療全てが対象というわけではありませんが、子供の成長に支障をきたすような異常の治療ということであれば、基本的には対象となります。
控除額は所得額によっても異なるため、事前にどれくらいの費用になるかは確認しましょう。
分割払いが可能か確認する
歯科医院によっては、分割払いを可能としている所もあります。
治療を受けたいと考えている歯科医院が、分割払い可能かどうかを確認しましょう。
高額な矯正治療費も、分割払いを利用することで負担を抑えられます。また、分割払いにも次のようにいくつか種類があります。
- 歯科医院独自の分割払い
- 銀行や信販会社の歯科用ローン
- クレジットカードの分割払い
分割払いの方法によって支払い回数が異なるため、支払い回数にも注目して、どの分割払いを利用するかも考えましょう。
デンタルローンを利用する
デンタルローンを利用する方法も、有効な対処方法です。デンタルローンは、クレジットカード会社のウェブサイトから利用できる方法で、自分で申請できます。
支払い回数は、クレジットカード会社によっても異なり、3回~120回まで選択可能です。また、連帯保証人は原則不要となります。
満20歳以上の方で、安定した収入がある方であれば申し込み可能です。医療費控除の対象にもなるため、合わせて利用すると良いでしょう。
子供の歯科矯正の治療方法
子供の矯正治療を受けるには、費用も大切ですが、どのような治療方法があるかも把握しておくことが重要です。
適切な治療方法を、治療の内容と費用の面を合わせて考慮して、選択することが大切でしょう。ここでは、子供の歯科矯正の治療方法をご紹介します。
マウスピース矯正
治療方法としては、まずはマウスピース矯正が挙げられます。マウスピースは透明な装置で、子供ひとりひとりに合わせて作らなければなりません。
歯型のスキャンを行ってカスタマイズして制作する必要があるため、他の矯正治療と比べて高額となる傾向です。
しかし、透明なものが多いため目立ちにくく、取り外しが可能というメリットもあります。
矯正治療によっては見た目が気になることがあり、それが理由で矯正を嫌になってしまうケースがあります。
しかし、マウスピースであれば、目立ちにくく見た目の負担が軽減できます。また、取り外しが可能であるため、無理なく治療を進められる点が大きな特徴です。
一方で、適用できる症例の範囲が狭いため、マウスピースによる治療を選択できないことがある点には注意が必要です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯に金属製のブラケットを装着して、ワイヤーを通して歯を動かす方法です。
ワイヤーによって、時間をかけて歯の間隔や位置を移動させます。マウスピースと比較すると、適用の症例が幅広いことも特徴です。
しかし、子供にとっては痛みや歯磨きのしにくさ、取り外せないことや見た目が目立つといったことでストレスを感じる要素があります。
そのため、子供にはこのような要素を伝えて理解を得たうえで、治療を進める必要があるでしょう。
特に歯磨きの必要性は重要で、普段の歯磨きよりも難しいため、注意が必要です。
床矯正
床矯正は、樹脂製のプレートと歯を動かす金属製のばねでできた装置を使った治療方法です。
乳歯と永久歯が混在している状況の中で、顎を広げて歯を並べるスペースを作り、永久歯がきれいに並ぶように土台となる骨を整えます。
抜歯することなく歯並びを矯正できる点が特徴です。マウスピース同様に、この装置も取り外しが可能です。
しかし、顎などの骨格治療は適用しておらず、重度の叢生などの場合は他の矯正治療と併用する必要があります。
子供の歯科矯正のタイミング
子供の歯科矯正の治療方法をご紹介しましたが、どのタイミングで矯正を受けるべきかを悩んでいる方もいるでしょう。
タイミングが早いほうが良いと聞くこともありますが、いつが良いのでしょうか。ここでは、子供の歯科矯正のタイミングをご紹介します。
第一期治療
子供の矯正治療を始めるタイミングとしては、第一期と第二期の2種類があります。第一期は、おおよそ3歳~12歳にかけての時期です。
3歳は乳歯が生えそろう時期であり、12歳ごろでは永久歯に生え代わる時期です。そのため、3歳~12歳までの間は、乳歯と永久歯が混在する時期となります。
混在している状況では、矯正の効果がないのではと感じる方もいますが、このタイミングで矯正を行うことは重要です。
この時期に行う矯正治療は、顎のバランスや大きさ・歯の生えるスペースを確保するといった下地を作るものとなります。
そのため、矯正治療を理想的に終えられれば、きれいな永久歯列が獲得できるのです。そして、この時点で矯正治療は終了し、第二期での矯正は不要になるケースもあります。
第二期の必要が無くなれば、費用を少しでも抑えることにもつながります。また、第一期で行う矯正治療としては、取り外し式の器具を使うことが多い点も特徴です。
第二期治療
第二期はおおよそ12歳以降の時期となります。この時期では、永久歯が生えそろっており顎の発達も進んでいます。
そのため、大人と同じ矯正治療が行える点が特徴です。第一期で骨格に問題がなかった方であれば、第二期からの治療が推奨されるでしょう。
症状によっては、第一期から第二期にかけて通期で治療を継続することもあります。
この第二期での治療は、第一期とは違って生えそろっている歯に対して直接的に矯正を行います。ワイヤー治療などを用いて、歯の幅・ねじれ・ずれを調整していくのです。
子供の歯科矯正費用の目安はどのくらい?
歯科矯正の方法やタイミングをご紹介しましたが、費用が気になる方は多いでしょう。
治療を早く始めることは良いことだと思われる傾向ですが、その分費用がかかってしまいます。第一期や第二期で、それぞれどれくらいの費用がかかるのか目安をご紹介します。
第一期治療の費用の目安
まず、第一期の治療費用の目安ですが、おおよそ約10万円~50万円程度です。
第一期の治療では、噛み合わせの状態や歯の発育状況などに応じて、矯正装置を使い分けて治療を進めます。
そのため、複数の矯正装置を使うとそれだけ費用がかかることがあります。例えば、床矯正装置であれば、約10万円~40万円程度です。
マウスピース矯正の場合も、約10万円~50万円程度かかります。しかし、第二期でも矯正を受ける場合、歯科医院によっては第一期分の費用を差し引いてくれることもあります。
費用の面で割引などを考慮してくれるかどうかも、歯科医院を選ぶ際に確認すると良いでしょう。
第二期治療の費用の目安
<第二期の治療費用の目安としては、約20万円~100万円程度かかります。第一期と比較すると、第二期の方が高額となる傾向です。
これは、第二期の治療内容が、大人の矯正治療とほとんど同じだからです。ワイヤー矯正やマウスピース矯正などを、歯の症状や歯並びの状況に合わせて使います。
また、ワイヤー矯正の中でも、裏側矯正を選択すると高額となります。裏側矯正とは、歯の裏にブラケットやワイヤーを固定する方法です。
第二期の治療費は非常に高額ではありますが、第一期同様に費用を安くしてくれる歯科医院もあります。
第一期の治療を行っており、第二期に治療を移行する場合に、料金を調整してくれるのです。
トータル費用が少しでも安くなるため、このような対応をしてくれる歯科医院を探すと良いでしょう。
歯科医院によっては、第一期治療を受けた医院が別であっても、調整してくれることもあります。矯正治療を受ける際には、治療内容と費用を詳しく調べることが非常に大切です。
歯科矯正は適切なタイミングで受けよう
矯正を受けるタイミングとして、第一期と第二期についてご紹介しましたが、適切なタイミングが個人によっても異なります。
症状や歯並びの状況によっては、遅くでも良いかもしれませんし、早急に治療を進めたほうが良いというケースもあるでしょう。
しかし、このような症状を考慮したうえでの適切なタイミングは、自己判断ができません。
第一期や第二期というのはあくまでも目安であるため、より具体的なタイミングを図るのであれば、きちんと歯科医院に相談してタイミングを決めることが大切です。
歯科矯正の費用は歯科医に相談を
歯科矯正は、子供の歯並びや将来の虫歯のリスクなどにつながるため、非常に重要な治療となります。
しかし、治療は保険適用外のケースもあり、高額になることも多いです。お金がない状況で、簡単に受けられるものではないと考えている方も多いでしょう。
しかし、分割払いなど支払い方法もさまざまです。歯科医院によっては、少しでも安い費用で治療が受けられるよう工夫がされているケースもあります。
高額であるからとあきらめず、費用の面も踏まえてまずは歯科医院に相談して、矯正治療を進めるか検討しましょう。
編集部まとめ
子供のうちに矯正治療を行うことは、非常に効果があります。歯が生える段階から、きれいな歯並びになるように、成長に合わせて治療が進められるためです。
しかし、決して費用は安くありません。高額な費用であるため、断念していた方も多いでしょう。
ただし、現在は分割払いや医療控除制度など、少しでも費用負担を減らせる方法があります。
まずは症状や費用のことを踏まえて歯科医院に相談し、今後の矯正治療について始めるタイミングなどを決めていくと良いでしょう。
参考文献