子どもの不正咬合が起こる原因とは?受け口・反対咬合について解説
近年子どもの歯並びが悪くなっているといわれていますが、実際どうなのでしょうか。
欧米は、幼少期から歯並びを気にかける人が多く、日本人に比べると歯列矯正により歯並びを整えることを自然に行っています。
日本では、歯列矯正は見た目が悪いイメージが強く、なかなか治療に踏み出せない方が多い印象です。
しかし、近年では目立たない矯正治療によって、歯列矯正に興味を持つ方も多くなりました。
本記事では、子どもの不正咬合(歯並びが悪いこと)が起こる原因や症状、受け口・反対咬合について詳しく解説します。
監修歯科医師:
岡井 有子(こどもと女性の歯科クリニック)
目次 -INDEX-
不正咬合とは
不正咬合とは、上下の歯並びが正しく噛み合わず、歯がまっすぐ生えずに歯並びが不揃いの状態のことです。不正咬合を治療する場合は、歯並びを矯正する必要がありますが、症例によって治療方法も異なります。
- 出っ歯(上顎前突):上の前歯が前に傾斜している・上の歯や全体の歯が前に突出した状態
- 受け口(反対咬合):下の歯が上の歯よりも突き出ている症状
- 八重歯・乱ぐい歯(叢生):上の糸きり歯が前に飛び出している症状・歯並びが凸凹な状態
- 開咬:前歯が噛み合わず常に隙間が空いた状態
- 手術が必要な顎変形症:歯列矯正では治療が困難なため外科手術が必要
上記のように、不正咬合といっても症状が個人によって異なりますので、自分の症状に合った治療方法を選択しましょう。
不正咬合が起こる原因とは?
不正咬合が起こる原因は、次の5つが考えられます。
- 先天的な原因
- 乳歯のむし歯
- 食生活
- 鼻や扁桃腺の病気
- 爪を噛むなどの癖
先天的な原因以外は、日頃から注意をしていれば防げるものが多いです。気になる習慣がある場合は、できるだけ早期に改善できるようにしましょう。
先天的な原因
不正咬合が起こる原因に、先天的なものが考えられます。顎や歯の大きさ・形は、親から遺伝する可能性が高く、両親のどちらかが不正咬合の場合はその子どもも不正咬合になる可能性があります。骨格や顔立ちなどが似ている場合は、注意が必要です。不正咬合は幼少期から予防できる可能性があるため、早めに歯科医師に相談しましょう。
乳歯のむし歯
乳歯のむし歯は、不正咬合の原因になります。乳歯のむし歯を放置すると、永久歯に悪影響を与えてしまうためです。むし歯が1度できてしまうと、自然には治りません。むし歯ができたらしっかりと治療することが大切です。
例えば、赤ちゃんの頃に哺乳瓶を与えたまま寝かしつけることがありますが、そのまま長時間就寝させるとむし歯になってしまいます。乳児期は自分で歯磨きはできないため、親が歯磨き・仕上げ磨き・フロスなどをしっかり行うことが重要です。歯をコーティングして、質を強くするためにフッ素使用が推奨されているように、歯を守るためには定期的なフッ素塗布が有効です。
食生活
不正咬合改善に重要な役割を果たすのが、食生活だといわれています。特によく噛むことが顎の発達によい影響を及ぼすため、歯並びにも影響するでしょう。近年では、昔に比べて硬いものを噛むことが少なくなっています。
しかし食べ物を噛むという行為は、歯並びだけでなく体の健康にも重要なことです。よく噛むことで起きる8つの効能は、以下になります。
- 肥満防止
- 発音
- 口臭
- 胃腸の働きを促進
- 味覚
- 脳の活性化
- がん予防
- 体力とストレス解消
このように、よく噛んで食べることが日々の生活や生活習慣病の予防につながります。食生活は、歯の不正咬合に加えて健康にも影響を与えるため注意しましょう。
鼻や扁桃腺の病気
鼻や扁桃腺の病気の影響で不正咬合になる可能性もあります。鼻や扁桃腺の病気があると、鼻呼吸が難しくなり口呼吸をしてしまうためです。子どもが口呼吸になると、鼻腔の成長が足りず上顎の歯列が狭窄を起こす可能性があります。結果的に上顎前突や叢生・開咬など、不正咬合につながる恐れがあるのです。口呼吸になりやすい症状は以下になります。
- 慢性副鼻腔炎
- アレルギー性鼻炎
鼻や扁桃腺の病気がある場合は、専門の医師に相談し早めに治療しましょう。
爪を噛むなどの癖
爪を噛むなどの癖がある子どもは多くいますが、放置してしまうと前歯の歯根が短くなってしまい歯茎や歯に負担をかけてしまいます。その結果として、噛み癖がついて受け口になる場合があるでしょう。このような幼少期に見られる癖は、徐々に減少していきますが衛生的にもよくありません。爪を噛む癖が続き深爪の症状がある場合は、歯科医師に相談をするようにしましょう。
受け口・反対咬合について
受け口は、下の歯が上の歯よりも前に突き出ている状態のことです。反対咬合や下顎前突症とも呼ばれますが、本来は下の歯よりも上の歯が前に出ることで正常な噛み合わせになります。これは、成長とともに治療が難しくなる症状です。
噛み合わせが悪いまま放置すると、歯肉退縮や歯がぐらぐらして欠けてしまうなどの症状に発展する場合があります。正しい位置での噛み合わせは、骨格や顎への影響も強いため重要です。専門の歯科医師に相談し、早めに矯正治療を受けましょう。
発生頻度
受け口・反対咬合の発生頻度は、子どもの場合2%程と低い確率です。しかし、子どもの歯並びは30%は遺伝によるものとされており、両親のどちらかが受け口の場合は子どもも受け口になる要素があります。受け口は、見た目も目立ちますが噛み合わせにも影響を及ぼす症状です。上の前歯が下の前歯より出ているため、歯を削ってしまうことで歯茎を傷つけたりします。
また、審美的な観点以外にも身体にとってさまざまな支障があるので、子どもの受け口の疑いがある場合などは、矯正歯科に受診するようにしてください。
リスク
受け口・反対咬合は、顎関節症を引き起こしてしまうリスクが高くなるといわれています。下の歯が上の歯よりも出ていることで、顎関節に負担がかかるためです。顎関節症は、関節の痛みや不快感を伴ない、重度になってしまうと日常生活にも支障をきたす症状です。顎以外にも奥歯への負担や影響も出ますので、放置せずに早めの治療をおすすめします。
治療方法
受け口・反対咬合の治療は、子どもの成長を利用した手法で噛み合わせの改善を行っていきます。開始時期としては、歯が生え変わる時期の4〜8歳に開始するのが望ましいです。子どもの骨の大きさに問題がある場合などは、下顎骨の過剰発育を抑えて上顎骨の成長を促進することで噛み合わせを正常にしていきます。体が成長期間中のため矯正しやすくなりますが、同時に顎の成長の管理も徹底していくことが必要です。
永久歯に生え揃った後は成人矯正に近い治療内容で、正しい噛み合わせを実現していきます。子どもの顎の大きさに問題がある場合には、外科手術によって骨の手術を必要とする場合があります。
不正咬合に効果的なランパセラピー(RAMPA)とは?
ランパセラピー(RAMPA)とは、中顔面を上前方向に引っ張るための装置をつける矯正方法です。不正咬合の中でも、受け口に効果があるといわれています。
歯並びが悪くなる原因は、口呼吸によって引き起こされる中顔面の発達不良です。骨格に生じた歪みを本来の骨格へ戻し、上顎の骨を引っ張り口腔内を広げ骨の歪みを改善します。上顎骨を拡大させるには、大人よりも成長期の子どもの方が柔軟なため効果が高いです。
ランパセラピー(RAMPA)の治療方法
ランパセラピー(RAMPA)の治療方法は、専用の口腔外と口腔内の装置を使用して行います。口腔外装置は、中顔面を上前方向へ引っ張るための装置です。装置は大きく目立つため、外出時には使用せず家にいるときに使用し、1日12時間以上の装着が必要です。
使用期間は2〜3ヶ月の継続が必要で、同時に口腔内装置で顎の拡大を行っていきます。口腔内装置は、最初は違和感を覚える可能性がありますが、使用し続けることで徐々に慣れていくでしょう。
骨格のバランスを整える
ランパセラピー(RAMPA)は、歯並びを綺麗にすることが目的ではなく、頭から顔にかけての骨格を整えることが目的です。ランパセラピー(RAMPA)では「歯列は上顎の下部構造」であり、1番上の頭蓋を治療すれば自然と下部構造もよくなると考えられています。そのため、歯列矯正にとらわれず、頭蓋から中顔面・下顎にかけてのバランス調整を重視した治療方法です。
受け口・反対咬合だけではなく、むし歯・歯周病・睡眠時無呼吸症候群や喘息などの呼吸器疾患・アレルギー性鼻炎などの口呼吸を原因とする症状に効果があるといわれています。
一般的な矯正治療との違い
一般的な矯正治療との違いは、治療する箇所です。一般的な矯正治療では、歯列や噛み合わせなど口腔内を治療します。一方でランパセラピー(RAMPA)は、先述したように頭から顔・下顎にかけての口腔外のバランスを整える治療です。症状によって外科手術を行う場合もありますが、基本的には専用の装置を用いて口腔内・口腔外の両方を同時に治療します。口元だけではなく、頭・顔全体に着眼点を置いていることが特徴です。
治療中の注意点
ランパセラピー(RAMPA)の注意点は、治療装置の大きさ・口腔外装置の装着期間・費用のそれぞれで負担がかかる点です。口腔外を矯正する装置は、顔全体を覆うために大掛かりな装置です。在宅中のみに装着しますが、就寝時もつけたまま寝ることになります。また、口腔外装置は、通常約90日を2〜3クールかけて行うため、子どもへの負担が大きくなってしまいます。
治療費は、130万〜150万円(税込)程が相場で、通常の歯列矯正よりも高額になります。また、矯正期間中は、1日10〜12時間装着することが決められており、きちんと守らなければ効果が期待できません。さらに2週間に1度程度の通院が必要になります。
子どもの不正咬合に悩んだらこどもと女性の歯科クリニックへ
こどもと女性の歯科クリニックは、「未来を見据えたかかりつけ歯科」として、子育てしているママに心強い味方になってくれる歯科医院です。
子どもの矯正治療として、骨格や発達不良なども考慮され、呼吸器疾患や耳鼻科疾患の問題を改善するランパセラピー(RAMPA)を導入しています。
ランパセラピー(RAMPA)を専門に行っているクリニックとして多くの経験があり、歯並びだけではなく子どもの成長も考えている歯科医院です。
歯並びを根本的に解決
こどもと女性の歯科クリニックでは、歯並びを治すだけではなく、中顔面領域の発達のサポートをしてくれます。
歯並びが悪くなった原因を根本的に改善することを目的とした治療が特徴です。審美的な治療だけが目的ではないため、骨格の異常や顎の発育なども改善していきます。
不正咬合の原因が分かる
こどもと女性の歯科クリニックが導入しているランパセラピー(RAMPA)では、外見以外の日常生活での口腔機能の不安や懸念を解消してくれます。
歪みのない健全な顎骨への成長誘導を行ってくれますので、不正咬合の根本的な原因の解消が図れるでしょう。
歯が綺麗に生える土台を整えることを目標とし、副次的な効果として口呼吸の改善や呼吸器系の疾患の改善が期待できます。
3歳から中学、高校生まで幅広い年代に対応
こどもと女性の歯科クリニックは、3歳から中学・高校生までと幅広い年代に対応しています。
スタッフ全員が女性の歯科医院ということも安心材料の一つです。
女性のための歯科治療を目的として、むし歯治療・歯周病治療・定期健診・矯正歯科などに加えて口腔内の精密検査「歯科ドック」も行います。
こどもと女性の歯科クリニックの院長は、元看護師・歯科医師・母親としての視点から患者さんに向き合っているそうなので、お悩みがあるときは相談してみるといいでしょう。
こどもと女性の歯科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
麻布十番駅徒歩7分・広尾駅徒歩8分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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8:30~13:00 | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | - |
14:00~18:00 | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | - |
参考文献
- こどもと女性の歯科クリニック
- Q9不正咬合の予防ってあるのですか?(基本的な疑問)|公益社団法人日本臨床矯正歯科医会
- 幼児期に起こりやすいお口の病気|一般社団法人新潟県歯科医師会
- vol.26 咬み合わせから考える人生100年時代!40代以降からの矯正歯科治療|公益社団法人日本臨床矯正歯科医会
- 指しゃぶり・爪を噛むことによって起こる歯並びへの影響|一般社団法人 豊橋市歯科医師会
- 受け口は早めの治療が大切と聞きましたが、なぜですか?|公益社団法人日本臨床矯正歯科医会
- 矯正歯科治療について|公益社団法人日本臨床矯正歯科医会
- 3.不正咬合の種類と治療法|公益社団法人日本臨床矯正歯科医会
- 赤ちゃん歯科|こどもと女性の歯科クリニック
- 子どもの健全な発育のための歯列咬合マニュアル