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インプラント周囲炎はレーザーで治療可能?特徴や適応症例、注意点を解説

 公開日:2026/02/09
インプラント周囲炎はレーザーで治療可能?特徴や適応症例、注意点を解説

せっかく高額な費用をかけてインプラント治療を受けても、天然歯の歯周病とよく似たインプラント周囲炎にかかってしまうと、症状の程度によってはインプラントが脱落するなどのリスクがあります。この疾患は、天然歯の歯周病よりも進行が早く、自覚症状が出にくいのが特徴です。
インプラント周囲炎の治療法の一つとして注目されているのがレーザー治療です。この記事では、インプラント周囲炎が発生する原因や、レーザー治療の種類、痛み、費用、そしてレーザー治療が行える場合について詳しく解説します。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

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職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

インプラント周囲炎の基礎知識

インプラント周囲炎の基礎知識

インプラント周囲炎とはどのような疾患ですか?

インプラント周囲炎とは、インプラント治療を施した人工歯根の周りにある歯茎や骨が細菌感染し、炎症によって組織が破壊される疾患です。
人工歯根と義歯との隙間に細菌の巣であるプラークが蓄積され、細菌が毒素を作り出すことが主な原因とされています。
インプラント周囲炎が進行すると、人工歯根を支えている骨が溶けて、インプラントが抜けてしまう恐れがあります。
天然歯の歯周病に似た病気のため、インプラントの歯周病ともいわれていますが、天然歯にはある歯根膜や歯髄(神経組織)がインプラントにはないため、感染や炎症の進行が早く、あっという間に歯槽骨が減少してしまいやすいという特徴があります。

インプラント周囲炎はなぜ発生するのでしょうか?

インプラント周囲炎の主な原因は、口腔ケア不足による口腔内の細菌増殖です。
口腔ケアが不十分だと、食べかすなどが残り、やがてプラーク(歯垢)となって蓄積されます。歯垢には多くの細菌が含まれ、細菌が食べかすなどを栄養にして酸や毒素を作り出すことで、炎症が生じます。

また、歯ぎしりや食いしばりといった習癖によってインプラントや歯茎に強い負担がかかり、インプラント周囲の組織が損傷することも、インプラント周囲炎の発生や進行につながる要因です。

インプラント周囲炎を放置しておくとどうなりますか?

インプラント周囲炎を放置すると、炎症を起こした歯肉が人工歯根からはがれて歯周ポケットが深くなっていきます。さらに放置して症状が進行していくと、インプラントを支えている歯槽骨が溶かされてしまうため、時間経過とともにインプラントがぐらつき、最終的には脱落することがあります。
歯槽骨が減少してしまうと、インプラントを支えることができなくなるため、インプラントの再治療も困難となります。

【インプラント周囲炎のレーザー治療】種類と特徴

【インプラント周囲炎のレーザー治療】種類と特徴

レーザー治療の目的と期待できる効果を教えてください

インプラント周囲炎におけるレーザー治療の目的は、主に細菌を殺菌および消毒し、炎症の原因を除去することです。
また、レーザー治療は細胞を活性化する働きもあり、組織の治癒を促進させることでインプラント周囲炎の改善につながります。
インプラント周囲炎は、外科的治療と非外科的治療があり、レーザー治療は後者となります。
外科的治療と比べ、侵襲性が低く、痛みが少ないため利用しやすい点が特徴です。

歯科で使用されるレーザーの種類を教えてください

インプラント周囲炎の治療で使用されるレーザー治療の種類は複数あります。
Er:TAGレーザー(エルビウムヤグレーザー)、Nd:TAGレーザー(ネオジミヤグレーザー)、CO2レーザー炭酸ガスレーザー)、ダイオードレーザー半導体レーザー)などが代表的な種類です。
最近では青色のレーザーと過酸化水素水の反応を利用して細菌を除去する、ブルーラジカルと呼ばれる治療法もあります。

インプラント周囲炎のレーザー治療に痛みはありますか?

インプラント周囲炎の治療で用いられるレーザー治療の痛みは、使用するレーザー機器の種類によって異なります。
例えば、Er:YAGレーザーは熱影響が少なく、熱さや痛みを感じにくい傾向があります。一方で、Nd:YAGレーザーダイオードレーザーのように深達性が高いレーザーは、骨周辺の神経などに触れると痛みを感じる場合があります。
痛みの感じ方には個人差があるため、痛みが気になる方は麻酔などの痛みを軽減する処置を行ってもらえるか、歯科医師に相談するのがよいでしょう。

インプラント周囲炎のレーザー治療は保険適用ですか?

インプラント周囲炎のレーザー治療は、原則として保険適用外です。これは、自由診療であるインプラント治療に関連する疾患の治療であるため、インプラント周囲炎の治療全体が一般的に自由診療となる場合が多いからです。
ただし、歯周病の歯石除去を目的としたEr:YAGレーザー治療など、一部のレーザー治療は保険適用となる場合があります。
インプラント周囲炎の治療は、何度か通院が必要となる場合もあり、治療費が高額となる可能性があります。そのため、医療費控除などの制度を利用することで、最終的なコストを抑えることが可能です。

【インプラント周囲炎のレーザー治療】適応と注意点

【インプラント周囲炎のレーザー治療】適応と注意点

レーザー治療のメリットやデメリット、注意点を教えてください

インプラント周囲炎に対するレーザー治療には多くのメリットがあります。
まず、侵襲性が低く、痛みが少ない点です。炎症を起こしている患部は麻酔薬が効きにくいことがありますが、レーザー治療であれば、麻酔薬の使用量を減らして施術を行うことが可能です。
また、レーザーには殺菌効果だけではなく、止血効果や血流促進効果もあるため、レーザー照射で殺菌をしながらダメージを受けた組織の回復を促進することができる点もメリットです。
ほかにも、施術を行う歯科医師側の利点として、手術器具が届きにくいような深い箇所や狭い箇所にもレーザーを当てることができるため、患部を狙って治療しやすい点もメリットといえるでしょう。

一方のデメリットとしては、自費診療のため費用が高額になる傾向がある点がまず挙げられます。また、レーザー治療だけでは完全に治癒させることが難しく、歯石除去などのほかの処置を必ず併用して行う必要があります。
そして、レーザー治療はすべてのインプラント周囲炎に対して万能に効果があるわけではなく、症状や進行度によっては適応とならない場合があります。

どのような状態ならレーザー治療が適応になりますか?

インプラント周囲炎のレーザー治療は、一般的に炎症の初期段階から中期段階にかけての治療に用いられます。また、外科手術の補助的な処置としても適用されます。
症状が軽い初期段階は、インプラント周囲粘膜炎と呼ばれる状態で、インプラント周辺の歯茎だけに炎症が限られており、まだ骨の破壊、つまり骨の吸収が起きていない段階を指します。この場合は、レーザーの殺菌や消毒効果によって炎症を鎮め、病気の進行を食い止める処置が有効です。
初期から中期にかけての段階は、炎症が骨まで達していても、骨の吸収が軽度または中程度に留まっている状態を指します。この場合、レーザーによって歯周ポケット内や骨の表面に付着した細菌などを殺菌し、炎症を抑えるために使用されます。

レーザー治療を受けられないケースはありますか?

インプラント周囲炎のレーザー治療を受けられないケースはいくつかあります。
まず、患者さんに特定の薬剤アレルギーや疾患があるケースです。具体的には、クロルヘキシジンアレルギーや無カタラーゼ症、光過敏症などの疾患がある方は治療を受けられません。
また、重度の全身疾患がある方は受けることができません。さらに、心臓にペースメーカーを装着している方も、レーザーの種類によっては影響が出る可能性があるため、受けられないことがあります。
そのほかにも、インプラント周囲炎の患部の状態によっては、レーザーの照射自体が困難となることもあります。

レーザー治療後に気を付けることはありますか?

レーザー治療の術後やダウンタイム中に気をつけておくことや注意点はいくつかあります。
レーザーを照射した箇所は、一時的に軽い火傷のような状態となっています。そのため、強く擦ったり、刺激の強い食べ物を食べるのは控えるようにしましょう。
また、レーザー治療後は痛みや違和感を感じる方もいます。一過性のものではありますが、どうしても気になる場合は、歯科医院に相談して痛み止めをもらうなどの処置をしてもらいましょう。
歯磨きは治療後当日もできる場合が多いですが、やはり患部は刺激を受けやすいため、照射部位を避けつつ丁寧に行い、お口の中を清潔に保つようにしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

もしインプラント周囲炎になってしまっても、落ち込む必要はありません。治療の選択肢の一つであるレーザー治療は、痛みが少なく、殺菌と治癒促進を同時に行える画期的な方法です。しかし、レーザー治療だけですべてが解決するわけではありません。治療の成功は、適切な処置に加え、患者さんご自身の継続的なケアと、歯科医師との密な連携にかかっています。
インプラントは第二の永久歯です。高額な投資に見合うだけの恩恵を長く受けるためにも、ご自身の口腔内の状態に真摯に向き合い、予防意識を持って、大切なインプラントを守っていきましょう。

この記事の監修歯科医師

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