インプラント周囲炎はレーザーで治療可能?特徴や適応症例、注意点を解説

せっかく高額な費用をかけてインプラント治療を受けても、天然歯の歯周病とよく似たインプラント周囲炎にかかってしまうと、症状の程度によってはインプラントが脱落するなどのリスクがあります。この疾患は、天然歯の歯周病よりも進行が早く、自覚症状が出にくいのが特徴です。
インプラント周囲炎の治療法の一つとして注目されているのがレーザー治療です。この記事では、インプラント周囲炎が発生する原因や、レーザー治療の種類、痛み、費用、そしてレーザー治療が行える場合について詳しく解説します。

監修歯科医師:
松浦 明(歯科医師)
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック
出身大学
福岡歯科大学
経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任
資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医
所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員
インプラント周囲炎の基礎知識

インプラント周囲炎とはどのような疾患ですか?
インプラント周囲炎はなぜ発生するのでしょうか?
インプラント周囲炎を放置しておくとどうなりますか?
【インプラント周囲炎のレーザー治療】種類と特徴

レーザー治療の目的と期待できる効果を教えてください
歯科で使用されるレーザーの種類を教えてください
インプラント周囲炎のレーザー治療に痛みはありますか?
例えば、Er:YAGレーザーは熱影響が少なく、熱さや痛みを感じにくい傾向があります。一方で、Nd:YAGレーザーやダイオードレーザーのように深達性が高いレーザーは、骨周辺の神経などに触れると痛みを感じる場合があります。
痛みの感じ方には個人差があるため、痛みが気になる方は麻酔などの痛みを軽減する処置を行ってもらえるか、歯科医師に相談するのがよいでしょう。
インプラント周囲炎のレーザー治療は保険適用ですか?
ただし、歯周病の歯石除去を目的としたEr:YAGレーザー治療など、一部のレーザー治療は保険適用となる場合があります。
インプラント周囲炎の治療は、何度か通院が必要となる場合もあり、治療費が高額となる可能性があります。そのため、医療費控除などの制度を利用することで、最終的なコストを抑えることが可能です。
【インプラント周囲炎のレーザー治療】適応と注意点

レーザー治療のメリットやデメリット、注意点を教えてください
まず、侵襲性が低く、痛みが少ない点です。炎症を起こしている患部は麻酔薬が効きにくいことがありますが、レーザー治療であれば、麻酔薬の使用量を減らして施術を行うことが可能です。
また、レーザーには殺菌効果だけではなく、止血効果や血流促進効果もあるため、レーザー照射で殺菌をしながらダメージを受けた組織の回復を促進することができる点もメリットです。
ほかにも、施術を行う歯科医師側の利点として、手術器具が届きにくいような深い箇所や狭い箇所にもレーザーを当てることができるため、患部を狙って治療しやすい点もメリットといえるでしょう。
一方のデメリットとしては、自費診療のため費用が高額になる傾向がある点がまず挙げられます。また、レーザー治療だけでは完全に治癒させることが難しく、歯石除去などのほかの処置を必ず併用して行う必要があります。
そして、レーザー治療はすべてのインプラント周囲炎に対して万能に効果があるわけではなく、症状や進行度によっては適応とならない場合があります。
どのような状態ならレーザー治療が適応になりますか?
症状が軽い初期段階は、インプラント周囲粘膜炎と呼ばれる状態で、インプラント周辺の歯茎だけに炎症が限られており、まだ骨の破壊、つまり骨の吸収が起きていない段階を指します。この場合は、レーザーの殺菌や消毒効果によって炎症を鎮め、病気の進行を食い止める処置が有効です。
初期から中期にかけての段階は、炎症が骨まで達していても、骨の吸収が軽度または中程度に留まっている状態を指します。この場合、レーザーによって歯周ポケット内や骨の表面に付着した細菌などを殺菌し、炎症を抑えるために使用されます。
レーザー治療を受けられないケースはありますか?
レーザー治療後に気を付けることはありますか?
レーザーを照射した箇所は、一時的に軽い火傷のような状態となっています。そのため、強く擦ったり、刺激の強い食べ物を食べるのは控えるようにしましょう。
また、レーザー治療後は痛みや違和感を感じる方もいます。一過性のものではありますが、どうしても気になる場合は、歯科医院に相談して痛み止めをもらうなどの処置をしてもらいましょう。
歯磨きは治療後当日もできる場合が多いですが、やはり患部は刺激を受けやすいため、照射部位を避けつつ丁寧に行い、お口の中を清潔に保つようにしましょう。
編集部まとめ

もしインプラント周囲炎になってしまっても、落ち込む必要はありません。治療の選択肢の一つであるレーザー治療は、痛みが少なく、殺菌と治癒促進を同時に行える画期的な方法です。しかし、レーザー治療だけですべてが解決するわけではありません。治療の成功は、適切な処置に加え、患者さんご自身の継続的なケアと、歯科医師との密な連携にかかっています。
インプラントは第二の永久歯です。高額な投資に見合うだけの恩恵を長く受けるためにも、ご自身の口腔内の状態に真摯に向き合い、予防意識を持って、大切なインプラントを守っていきましょう。
参考文献