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インプラントが難しい症例とは?対応方法や失敗を防ぐポイントを解説!

 公開日:2026/02/05
インプラントが難しい症例とは?対応方法や失敗を防ぐポイントを解説!

インプラント治療には、埋入するための骨の量が少なかったり、口腔内の環境が悪かったりと、さまざまな理由で難しい症例があります。この記事は、どのような場合に治療を行うことが難しいのか、そして難しい症例に対してはどのような治療が行えるのかなどについて紹介します。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

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職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

インプラントで難しい症例とされるケース

インプラントで難しい症例とされるケース
インプラントで難しい症例とされるのは下記のようなケースです。

顎骨の量が不足している

インプラントが難しい症例の一つが、顎骨の量が不足しているというものです。
インプラントは金属製の人工歯根を顎骨に埋入して固定し、その上から白い被せ物を行うという治療法です。そのため、人工歯根を埋め込むための顎骨の量が少ないとしっかり固定することができず、治療を行うことができません。
顎骨の量は加齢などにより減少するほか、骨粗しょう症や歯周病の進行などによっても減少します。

上顎洞との距離が近い

上顎洞とは、鼻の横にある副鼻腔の一つで、上顎の上部にある空間です。上顎から上顎洞までの距離が近いと、上の歯のインプラントを行う際に、インプラントが上顎の骨を突き抜けて上顎洞内に入ってしまい、これが炎症などのトラブルを引き起こす可能性があります。
そのため、上顎洞との距離が近いとそのままインプラント治療を行うことが難しい症例と判断される場合があります。

噛み合わせに問題がある

歯並びが悪いなど、噛み合わせに大きな問題がある場合、特定の歯に強い負担がかかりやすくなってしまうなどの問題が生じます。
特にインプラント治療を行いたい歯に強い負担がかかってしまうような場合、治療を行っても痛みや違和感が生じやすかったり、治療後にインプラントへ強い負担がかかってしまいトラブルを引き起こす要因になる可能性があることから、難しい症例といえます。

生活習慣病などの全身疾患がある

インプラントは人工歯根を顎骨に埋め込んで一定時間を置き、人工歯根と顎骨がしっかりと結合するのを待って被せ物を行う治療ですが、生活習慣病などの全身疾患がある方の場合、この結合が十分に行われない可能性があります。
人工歯根が十分に固定されないと適切な治療を行えないため、全身疾患がある方の場合は難しい症例と判断されます。
また、インプラント治療が完了したとしても、全身疾患によって免疫力が低下してしまっている方の場合、インプラント周囲炎などのトラブルについても高いリスクがあります。

むし歯や歯周病などのトラブルがある

むし歯や歯周病など、口腔環境に問題がある場合は、しっかりと治療を終えてからでないとインプラント治療を行えません。
その理由として、むし歯や歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、インプラントを埋入する組織に細菌感染が生じてしまい、インプラントの結合が適切に行われなかったり、治療後にインプラント周囲炎などのトラブルのリスクが高くなるためです。
また、歯周病が重度に進行している場合は顎骨が溶かされてしまい、骨の量が少なくなってインプラントが難しい症例に該当する場合もあります。
むし歯や歯周病をしっかりと治療した後であればインプラントが可能なので、まずは適切な治療を受けるようにしましょう。

喫煙習慣がある

喫煙習慣がある場合、ニコチンの働きで血流が悪化するなどの理由で、インプラントと顎骨が結合しにくくなったり、免疫が低下して感染症などのリスクが高まったりするため、適切な治療が難しくなります。
また、治療が終わった後についても、免疫力の低下でインプラント周囲炎などのトラブルが生じやすいほか、煙草に含まれるヤニが口腔内の細菌や汚れをとどまりやすくしてしまい、さまざまなトラブルの原因となります。

重度の歯ぎしりや食いしばりの癖がある

重度の歯ぎしりや食いしばりの癖がある方の場合、埋入したインプラントに強い負担がかかってしまい、被せ物やアバットメントと呼ばれるパーツが破損したり、噛み合わせの異常につながるなどの要因となります。
そのため、せっかくインプラント治療をしても良好な状態を保ちにくく、難しい症例の一つということができます。

インプラント治療で注意が必要なケース

インプラント治療で注意が必要なケース
インプラント治療は、誰でも受けることができるわけではありません。下記のようなケースに該当する方はインプラント治療を受けることが難しいため、あらかじめ確認しておきましょう。

インプラント治療を受けられる年齢

インプラント治療は、顎骨の成長が終わってからでないと行うことができません。成長期のお子さんの場合、顎骨の成長により噛み合わせが変化している状態であるため、その途中にインプラント治療を行うと治療後に噛み合わせが変わってしまうためです。
顎の成長が終わる18歳から20歳を過ぎれば何歳でも治療可能ですが、ご高齢の方の場合は糖尿病や骨粗しょう症などの全身疾患があるなど、難しい症例になってしまう可能性が高まります。

妊娠中の方

インプラント治療は身体に負担をかける可能性がある治療であることや、治療の際に麻酔や抗生物質などの薬剤を使用するため、妊娠中の方は基本的に治療を受けることができません。
出産直後の方の場合も、ホルモンバランスの変化などにより適切な治療が難しい症例となるケースがありますので、インプラント治療を希望する場合は出産や授乳などが落ち着いてからにするとよいでしょう。

嘔吐反射が強い方

嘔吐反射とは、異物が口腔内に入ってきたときに吐き気を催すような反応で、嘔吐反射が強い方は、インプラント治療だけではなく歯科治療全般が難しくなる可能性があります。
ただし、嘔吐反射が強い方も静脈内鎮静法笑気麻酔などを活用して意識をぼんやりさせることで治療を行える場合があるため、こうした麻酔方法を取り扱う歯科医院に相談してみるとよいでしょう。

十分な治療期間を確保できない方

インプラント治療は、人工歯根を埋入してから顎骨に定着するまで数ヶ月間は時間がかかる治療です。手術や治療も複数回行う必要があり、短期間で治療を完了させることが難しいため、例えば直近で引っ越しの予定があるなど、治療期間を十分に確保できない方の場合は治療を受けることが難しいといえます。

インプラントが難しい症例の対応方法

インプラントが難しい症例の対応方法
インプラントが難しい症例の場合も、下記のような対応を行うことで治療を受けることができる可能性があります。

インプラント治療前に口腔環境を整える

口腔環境の問題でインプラントが難しい症例と判断されるような場合は、事前に歯科治療を受けてお口の状態を整えれば治療が可能です。

むし歯や歯周病の治療

むし歯や歯周病がある方は、まずはその治療を行いましょう。
むし歯の場合は感染している部分を削って詰め物や被せ物を行うことで治療が可能です。
歯周病の場合は、専門的な歯のクリーニングで歯垢や歯石を取り除いて原因となっている細菌を除去し、歯茎が回復するのを待ちます。重度の歯周病の場合、歯茎の深い部分に汚れや細菌が蓄積してしまっている場合があり、歯茎を切開して深くまで掃除する治療などが必要になることもあります。

噛み合わせの治療

歯並びが悪いなど、噛み合わせに問題がある場合は歯列矯正などで噛み合わせを整えます。
噛み合わせの悪さの原因が顎骨の形状などにある場合は、顎変形症と診断され手術を含む治療が必要になる場合もあります。

骨量を増やす治療を受ける

インプラントが難しい症例とされる、顎骨の量が少ないケースの場合は、骨の量を増やす治療を事前または同時に行うことで治療が可能になる場合があります。
骨の量を増やす治療法はさまざまですが、代表的なものを紹介します。

ソケットリフト

ソケットリフトは、上顎のインプラントを行う際に行われる場合がある治療法です。上顎の骨が少なく、上顎洞との距離が近いためにインプラントが難しい症例で行われます。
ソケットリフトインプラント治療と同時に行うことが可能な治療で、歯槽骨にインプラントを埋入するための穴を開けた後、その穴から特殊な器具で歯槽骨の奥に骨補填材を填入し、インプラントを埋入します。
インプラントが顎骨に結合するのと同時に新しい骨が作られ、しっかりとした治療を行うことが可能となります。

サイナスリフト

サイナスとは上顎洞のことで、ソケットリフトと同様に上顎洞の距離が近いという難しい症例に対応するための治療法です。
サイナスリフトは、歯茎を切開して側面から上顎洞を持ち上げ、歯槽骨と上顎洞の間に骨補填材を填入します。ソケットリフトよりも広い範囲で骨を増強することが可能です。

GBR(骨組織誘導再生法)

GBRは、インプラントの埋入と同時にインプラントの周囲に骨を作り出す補填材を充填し、周囲をメンブレンと呼ばれる膜で覆うことで、骨を増強しながらインプラントの結合を待つ治療法です。
メンブレンで覆うことで、骨形成を効率よく進めることができます。

難しい症例に対応できるインプラント治療を受ける

インプラントで治療したい歯の本数が多いなど、治療の負担が大きいことから難しい症例についても、下記のような治療法なら対応できる場合があります。

オールオンフォー

オールオンフォーは、4本または6本のインプラントで上顎や下顎全体の歯をまかなう治療です。すべての歯がなくなってしまっているような場合、1本1本インプラントを埋入すると経済的にも身体的にも大きな負担になってしまいますが、オールオンフォーなら少ない負担で治療が可能です。

ザイゴマインプラント

ザイゴマとは頬骨のことで、上顎の骨ではなく、頬骨までの長いインプラントを用いることで、顎骨の量が少ない方でも受けることができる治療法です。
オールオンフォーと組み合わせることで、上顎の骨量が少ない方でもしっかりとした噛み心地が得られる治療を実現できます。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、インプラントによって支える入れ歯のことです。
インプラントを支えにすることで入れ歯の安定感を高め、しっかりとした噛み心地を実現することが可能です。
オールオンフォーのように、少ないインプラントで広い範囲の噛み合わせを補えるため、治療本数が多いような難しい症例でも利用しやすい治療法です。

ほかの義歯治療を受ける

インプラント手術による身体への負担などが理由で難しい症例の場合は、ほかの義歯治療も選択肢として考えましょう。

入れ歯

入れ歯は任意でつけたり外したりすることができる人工の歯で、全体の歯を補う総入れ歯と、部分的な噛み合わせを補う部分入れ歯があります。
インプラントよりも噛む力や見た目の自然さは劣りますが、歯を削るなど、身体にかける負担が少ないため、どなたでも利用しやすい治療です。

ブリッジ

残っている天然の歯に人工の歯で橋をかけるようにして、歯が欠損している部分を補う治療です。
歯にしっかりと固定されるため、強い噛み心地を実現可能で、見た目も自然な治療が行えます。
ただし、ブリッジを固定するために両隣の歯を削る必要がある点や、ブリッジと歯肉の間に汚れが蓄積されてしまう可能性があるなどの点がデメリットです。

難しい症例の場合に失敗を防ぐためのポイント

難しい症例の場合に失敗を防ぐためのポイント
インプラントが難しい症例の場合でも、下記のようなポイントを抑えることで治療の失敗を防ぐことができます。

歯科医院選びのポイント

治療を成功させるためには、やはり歯科医院選びが大切です。歯科医院選びのポイントを紹介します。

充実した設備で精密な術前検査を受けられるか

安全性が高く、安心感があるインプラント治療のためには、術前の丁寧な検査が重要です。噛み合わせや顎骨の状態、神経の位置などを詳しく把握しておくことで、患者さん一人ひとりに合った治療が可能となります。
十分な検査を行うためには、検査設備がどの程度揃っているかが重要になるため、歯科用CTをはじめ、検査設備がしっかりと揃っている歯科医院を選ぶとよいでしょう。

歯科医師の経験が豊富で適切な治療計画と骨量を評価できるか

インプラント治療の品質は、歯科医師の知識や技術にも大きく左右されます。
歯科医師の経験がどの程度かを判断することは難しいですが、インプラントに関する専門的な資格を保有しているかどうかや経歴などを確認してみたり、実際にカウンセリングを受けて治療計画などに納得感があるかなどを判断基準にしてみるとよいでしょう。

幅広い治療法に対応しているか

1本1本のインプラントだけではなく、オールオンフォーインプラントオーバーデンチャーなど、複数の治療法に対応している歯科医院を選ぶことで、自分に合った治療法の提案を受けやすくなります。

術後のメンテナンスに力を入れているか

インプラントを長持ちさせるためには、術後の丁寧なメンテナンスも欠かせません。治療だけではなく、定期的なクリーニングなど術後のメンテナンスにも力を入れている歯科医院を選ぶことで、トラブルを予防しながら良好な口腔状態を長持ちさせることができます。

生活習慣を改善する

喫煙習慣や食いしばりなどの癖といった点で治療が難しい場合は、インプラント治療を受ける前に生活習慣や癖を改善しておくことで、治療の失敗を防ぐことができます。
また、バランスのとれた食事や十分な睡眠をはじめとした良好な生活習慣は生活習慣病の改善にも大切なので、健康のためにも生活習慣の改善を心がけましょう。

定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける

インプラントは、適切なケアを行わないとインプラント周囲炎などのトラブルが生じたり、噛み合わせの変化などで合わなくなってしまったりする可能性があります。
定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることは、こうしたトラブルを防止して長く良好な状態を維持するために欠かせません。

まとめ

まとめ

顎骨の量が少ないなど、インプラントが難しい症例はさまざまですが、適切な治療の組み合わせや、適切な治療計画を立てることで対応可能なケースが多いといえます。
治療する本数が多いような場合も、オールオンフォーをはじめとした治療法がありますので、まずはさまざまな視点で治療法を提案してくれる歯科医院に相談して、自分に合った治療法を見つけてみてください。

この記事の監修歯科医師

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