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インプラントの感染症を予防するには?種類や原因、早期発見のポイントなどを徹底解説

 公開日:2026/02/04
インプラントの感染症を予防するには?種類や原因、早期発見のポイントなどを徹底解説

インプラント治療を受けるうえで注意したいことの一つが感染症です。細菌の感染によって引き起こされるさまざまな症状が、歯肉の炎症や歯槽骨の減少などを引き起こし、場合によってはインプラントの脱落などにつながる可能性もあります。
この記事は、インプラントで生じる可能性がある感染症について解説します。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

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職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

インプラント治療後に起こる可能性がある感染症

インプラント治療後に起こる可能性がある感染症
インプラント治療は、歯が欠損している部位の歯肉を切開し、その奥にある歯槽骨に金属製の人工歯根を埋め込んで人工の歯を取り付ける治療です。
インプラント治療は、治療部位に細菌が付着し、その細菌が増殖したり、細菌の活動によって身体に負担をかける成分が作り出されたりすることで、感染症が引き起こされる場合があります。
インプラント治療後に生じる感染症は、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎と呼ばれます。それぞれについて解説します。

インプラント周囲粘膜炎

インプラント周囲粘膜炎は、インプラントを埋入させた部分の周囲にある粘膜(歯肉)が炎症し、赤みや腫れなどが生じるものです。インプラント周囲に増殖した細菌に対する免疫反応で炎症が引き起こされることで生じます。
インプラントではなく天然の歯の場合も歯の周辺の歯肉が炎症を起こして歯肉炎になる場合がありますが、基本的にインプラント周囲粘膜炎は歯肉炎と同じです。
痛みなどの自覚症状はありませんが、歯磨きなどの際に歯肉から出血したり、細菌によって口臭が強くなったりする場合があります。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラントを埋入している部分の粘膜だけではなく、歯槽骨まで炎症が拡大してしまっている状態です。炎症によって歯槽骨が溶かされてしまい、症状の進行状況によってはインプラントがグラついたり、脱落したりしてしまう可能性があります。
天然の歯でも歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされてしまいますが、インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行が早い点が特徴的です。

インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の違い

インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の違いは、炎症が生じている組織の範囲です。炎症がインプラント周囲の歯肉までであればインプラント周囲粘膜園とされ、歯槽骨にまで炎症が広がるとインプラント周囲炎と診断されます。
多くの場合、細菌の感染は浅い部分から始まるため、インプラント周囲粘膜炎からスタートして徐々に範囲を広げ、インプラント周囲炎へと進行します。

インプラントに関する感染症は早期発見と早期治療が重要な理由

インプラントに関する感染症は早期発見と早期治療が重要な理由
インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎は、天然の歯における歯周病と同じように、痛みなどの自覚症状が現れにくい病気です。そのため、気が付いたら症状が進行してしまい、歯槽骨が溶かされてインプラントを支える土台が弱くなり、インプラントの動揺や脱落につながってしまう可能性があります。
また、一度細菌によって溶かされた歯槽骨は自然に回復しないため、、インプラント周囲炎によってインプラントが脱落してしまった場合は、骨造成の治療などを行わなければインプラントの再治療も困難になります。
だからこそ、インプラント周囲の感染症は早期発見し、早期に治療することがとても大切です。

なお、インプラント周囲粘膜園とインプラント周囲炎は治療法にも違いがあります。
インプラント周囲粘膜炎は通常の歯肉炎と同じで炎症を引き起こす原因の細菌を徹底的に除去すれば回復が期待できます。そのため、治療法としては歯の周りや歯周ポケット内などのプラークを除去し、炎症を抑えることによって行われます。
一方、インプラント周囲炎も原因となる細菌の除去が必要な点は同様ですが、細菌がより深い部分にあるケースが多く、歯茎を切開して深い部分の細菌を除去するような治療が必要になる場合もあります。
インプラント周囲炎に進行してしまうと感染症によるリスクも治療の難易度も高まるため、周囲炎に進行する前に適切な治療やケアを行うことが大切です。

インプラントに関する感染症の原因とリスク要因

インプラントに関する感染症の原因とリスク要因
上述のように、インプラント周囲炎は天然の歯における歯周病よりも進行が早い点が一つの特徴です。なぜ感染症が進行しやすいのかという理由や、感染症のリスクを高めてしまう要因を紹介します。

歯根膜が存在しない

天然の歯には、歯と歯槽骨の間に歯根膜と呼ばれる組織があり、この部分が歯に加わる力を分散させるクッションとして働いたり、細菌の増殖を防ぐ免疫として働いたりします。
しかし、インプラントの歯は骨とインプラントの金属パーツを直接結合するため、歯根膜が存在しません。そのため、噛む力が直接そのまま骨に伝わってしまい、骨の負担につながります。
また、歯根膜による免疫機能がないため、細菌感染が生じると一気に症状が進行してしまいやすいのです。

インプラントと歯肉の間に隙間が生じている

天然の歯は、歯と歯肉がしっかりとくっついているため、深くまで細菌が入り込みにくい構造になっています。
しかし、インプラントは歯肉との結びつきが弱く、インプラントと歯肉の間に隙間ができてしまいやすいため、細菌が深くに侵入してしまいやすいという特徴があります。

清掃不良によるプラークが蓄積している

歯磨きなどのセルフケアが不足して清掃不良の状態になると、磨き残しの糖分などを栄養として口腔内の細菌が増殖します。さらに、細菌はネバネバとした物質を作り出して歯に張り付きます。このネバネバとした物質がプラークや歯垢と呼ばれるものです。
プラークが蓄積すると、歯磨きで口腔内の汚れや細菌を除去しきることが難しくなり、口腔内の細菌の数が増加していきます。その結果、歯肉炎を引き起こしたり歯槽骨を溶かしたりする毒素が作られやすくなり、インプラント周囲炎などの感染症が進行していきます。

喫煙や糖尿病などのリスクがある

煙草に含まれるニコチンは、歯茎の血流や免疫力を低下させてしまうため、インプラント周囲炎などのリスクを高める大きな要因の一つです。ニコチンだけではなく、ヤニがプラークと同じように口腔内に汚れの蓄積を引き起こしやすくするため、これも感染症のリスクを高めます。
また、糖尿病などの健康リスクを抱えている方の場合、全身の免疫力が低下するため、お口のなかの感染症も進行しやすくなります。

噛み合わせや歯ぎしりなどの癖による負担がある

歯茎に強い負担が加わると、歯周組織が損傷して免疫力が低下し、炎症や感染症が生じやすくなります。そのため、噛み合わせの悪さなどにより特定の歯に強い負担がかかりやすい方の場合、負担が大きい歯にトラブルが引き起こされやすいといえます。インプラント治療を行った歯の噛み合わせが不適切な場合、インプラント周囲炎が引き起こされやすくなるといえるでしょう。
また、睡眠中の歯ぎしりや日常的な食いしばり癖など、無意識で強く噛んでしまう癖も歯周組織に負担をかけてしまう行為です。繰り返し強い負担が加わることで、感染症のリスクが高まります。

歯科医院で定期メンテナンスを受けていない

歯のケアは毎日の歯磨きが基本ですが、セルフケアだけではどうしても磨き残しが生じやすく、日々少しずつ蓄積していくことでインプラント周囲炎の要因となります。
だからこそ定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが大切で、定期的に専門的なクリーニングを受けてしっかりと汚れを除去することが、インプラント周囲炎を予防するための重要なポイントです。
インプラントを良好な状態で使い続けるためには、定期的なメンテナンスは欠かせないものだと理解しておきましょう。

早期発見のために!インプラントに関する感染症の症状

早期発見のために!インプラントに関する感染症の症状
インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎が進行すると、具体的には下記のような症状が現れることがあります。
該当する症状がある方は、できる限り早めに歯科医院を受診して早期発見と早期治療につなげるようにしましょう。

出血や腫れ、膿といった初期症状

インプラント周囲に生じる感染症のうち、初期段階であるインプラント周囲粘膜炎になると、歯肉が赤く腫れたような状態になります。この段階で痛みなどはありませんが、歯ブラシなどで歯茎が刺激されたり、食事を噛んだりした際に出血するような状態になる場合もあります。
さらに症状が進行すると、炎症によって作られた膿が排出されるようになることもあります。

口臭や違和感、痛みの変化

インプラントの周囲に細菌が増殖すると、口臭が強くなるなどの変化が生じます。
また、炎症が拡大して歯肉の腫れが強くなると、これにより痛みや不快感が生じる可能性もあります。

噛んだときの違和感や動揺

感染症が進行してインプラント周囲の歯槽骨が溶かされていくと、インプラントの支えが弱くなるため、噛んだときに違和感が生じやすくなります。
さらに進行すると実際にインプラントが動揺するようになり、最終的にはインプラントが脱落する可能性があります。

レントゲンでの骨吸収

インプラント周囲炎によって骨が溶かされて(骨吸収が生じて)いると、レントゲン撮影を行った際に黒い影として映ります。インプラント周囲炎がどの程度進行しているかは歯科医院で検査すればしっかりとした診断を受けることができるので、気になることがあればまずは治療を受けた歯科医院を早めに受診しましょう。

インプラントによる感染症リスクを抑えるポイント

インプラントによる感染症リスクを抑えるポイント
インプラント周囲の感染症リスクを抑えるためには、下記のような取り組みを行うことが大切です。

口腔ケアをしっかりと行う

むし歯や歯周病の予防に重要な歯磨きなどの口腔ケアは、インプラントによる感染症リスクを抑えるためにも重要な行為です。
インプラントによる感染症は口腔内にある食べ残しによって細菌が増殖することで生じるものであるため、できれば何かを食べたらすぐに歯磨きをして汚れを除去し、細菌の増殖を防ぐようにしましょう。
歯磨きの際には、歯の表面だけではなく、歯と歯茎の間や、歯と歯の間に汚れが蓄積しやすいため、フロスなどもしっかり活用して丁寧に汚れを除去することが大切です。

生活習慣を見直してよい健康状態を維持する

免疫力の低下は、身体に悪影響を及ぼす細菌が増殖するリスクを高めてしまいます。そして、免疫力を高めるためには良好な健康状態を維持することが重要です。
栄養バランスのよい食事や、十分な睡眠、そして適度な運動習慣など、生活習慣を見直して健康状態を維持し、高い免疫力を獲得しましょう。

定期的にメンテナンスに通う

定期的に歯科医院へ通って専門的なメンテナンスを受けることで、インプラントによる感染症を予防できるほか、噛み合わせの変化などへの対応もしやすくなり、良好なお口の状態を維持しやすくなります。
定期的な診断はインプラントを良好に保つためだけではなく、むし歯や歯周病などのさまざまな口腔トラブルを防止するために重要なので、歯科医師や歯科衛生士の指示に従い、数ヶ月に一度はメンテナンスに通うようにしましょう。

処方薬をしっかり服用する

インプラントの手術を受けた直後は、手術を行った組織がダメージを受けていて感染症のリスクが高くなるため、細菌の増殖を防ぐための抗生物質などが処方されます。
処方される薬は、術後の良好な状態を維持するために必要な内容がしっかり用意されているものです。自己判断で服用を中止したりせず、しっかりと歯科医師の指示に従い、処方薬を飲み切るようにしましょう。

インプラント治療を受ける歯科医院の選び方

インプラント治療を受ける歯科医院の選び方
インプラント治療は決して簡単な手術ではなく、歯科医師の技術力などによって仕上がりや感染症のリスクなどに差が生じやすい治療です。
だからこそ、治療を受ける歯科医院選びはとても重要で、自分に合った歯科医院を選ぶことで、治療後の良好な状態を維持しやすくなります。
歯科医院選びにはいくつかのポイントがありますが、下記のような要素を満たしているところを選ぶと、よりよい治療を受けやすくなるといえるでしょう。

  • 歯科医師が日本口腔インプラント学会 口腔インプラント専門医などの資格を保有している
  • マイクロスコープなどの先進的な診療機器が充実している
  • 器具の滅菌など感染症対策に力を入れている
  • 自宅からの距離や診療時間などが通いやすい
  • むし歯や歯周病の予防に力を入れている
  • 歯科医師とじっくり相談できる

    特に、感染症などを予防して長期的に良好な状態を維持し続けるためには、治療そのものの品質だけではなく、治療後のメンテナンスやサポートを受けやすい環境であることが重要です。

    まとめ

    まとめ

    インプラントの歯は、天然の歯に近い構造ではあるものの、歯根膜がないことなどから感染症のリスクが高く、素早く症状が進行しやすいインプラント周囲炎になってしまう可能性があります。
    インプラント周囲炎が進行してしまうと、場合によってはインプラントが動揺したり脱落したりしてしまう可能性があり、治療後の良好な状態を保つためには病気の早期発見と早期治療が大切です。
    トラブルを防止するためにはセルフケアも重要ですが、それだけではどうしても口腔内に汚れが残りやすく、少しずつ状態が悪化してしまう可能性がありますので、定期的なメンテナンスにしっかり通って、感染症を防止するようにしましょう。

    この記事の監修歯科医師

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