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保険が適用になる予防歯科、適用にならない予防歯科

 更新日:2023/03/27

近年、予防歯科という言葉をよく耳にするようになりました。お近くの歯科医院の看板にもきっと、「予防歯科」という科目名が大きく踊っているでしょう。しかし、歯をできるだけ守りたいと考えている人でも、予防歯科が自費診療になるのなら……と歯科医院に足を向けるのを躊躇している場合があるかもしれません。実際、予防歯科には、保険適用になるケースとならないケースがあります。

ここでは、保険診療の考え方や、予防歯科の置かれている状況、予防歯科が保険適用になるケースとならないケースの違いなどについて、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修歯科医師
潤田 眞 (ウルタ歯科医院 院長)

保険診療の考え方

そもそも、保険が適用になる診療(保険診療)とはどういったものなのでしょう。

日本には、国民みんなを公的な保険で保障しようという制度があります。これは、必要とされる医療をより安価に受けられる環境を整えるというもの。言い換えると、「さほど蓄えがない人が病気になって、治療費用がないばかりに通院できなかった」「病気の悪化で職を辞めざるをえず、蓄えも残りすくない」といった状況を生み出さないための制度です。何か少しかたくるしい表現になっていますが、要するに、この保険が適用されるのは、治さなくては元も子もないといった病気の治療に対してだということです。

その反対に、保険が効かない(つまり適用されない)のは、その治療が必要かどうかを患者さんが判断できる治療。やってもやらなくてもいいけれど、やるにこしたことはない――そんな治療です。

保険制度は国民みんながお金を払って成り立っているもの。だからこそ、治療の必要性を患者さん自身が判断できるようなものに大事なお金は払えないということです。

では予防歯科は、保険が適用されるような、絶対に必要なものなのでしょうか。その答えは……実は、歯医者さんの考え方や患者さんの利用の仕方次第なのです。

保険診療における予防歯科の立ち位置

予防歯科ってどんなもの?

では、予防歯科がどんなものなのか、簡単におさらいしておきましょう。予防歯科は、「予防」という言葉の通り、虫歯や歯周病といった生活習慣病を予防し、皆さんの大事な歯を守るためのものです。
「でも、歯医者さんに行って治療をすればいいんだから、問題が起こるまえに何度も行くほうがもったいない」――そんなことを思ったあなたは、これからの説明にしっかり目を通してください。

歯は治療をしても治らない

「歯は治療をしても治らない」。こんな言葉を目にすると驚いてしまいますが、これは実は、歯医者さんたちにとっては常識です。虫歯を治療しても、お口の中の水分(つば)の多さや噛む力などが原因で、プラスチックなどの詰め物や被せ物は劣化し、再発するリスクが高まります。また、神経を取ってしまった歯は、死んでいます。すぐに倒れることはないものの、枯れた木のように、何かしらの衝撃で折れてしまいます。治療をするための処置が、歯を失う原因になってしまうかもしれないのですから、患者さんはもちろん、歯医者さんもやりきれません。

歯医者さんが予防歯科をすすめるワケ

だからこそ歯医者さんは、予防歯科を強くすすめることになります。治療後の結果を長らく維持し、歯の寿命を伸ばすために、予防歯科ほど重要なものはないからです。問題が起きる前に、問題ができる原因を取り除いておくのが、いちばんいいのは明らかです。患者さんに長年にわたってお口の健康を保ってもらいたいと歯医者さんが願っているからこそ、予防歯科についてのさまざまな情報を発信しているわけです。

「問題が起きないための治療」に保険診療は適用される?

予防歯科の重要性が理解できたところで、当初の設問に戻りましょう。

予防歯科は、絶対に必要な治療でしょうか。その答えは――それぞれの歯医者さんの考え方次第で変化する、あやふやなものだというのが実際のところです。

予防歯科にはそもそも、患者さんの「クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)」を高めるものだという認識があり、治療を始めるかどうかは患者さんの決断にかかっています。この原則に基づけば、何も問題がないときにクリーニングするのは、給付の対象外ということになります。

しかし、歯の感染症は自然に治るものではありません。自覚症状がないような早期の段階で予知的な治療をするのがもっとも効果的だということもわかっています。虫歯や歯周病といった感染症の基本治療がバイオフィルムを破壊することだとすると、機械を使ってバイオフィルムを破壊すること(クリーニング)は、あらゆる歯科治療における基本の行為でもあるのです。

そう考えると、歯を定期的にメンテナンスし、クリーニングする予防歯科は、保険診療の適用を受けられる治療と、受けられない治療のはざまに位置することになります。実に、宙ぶらりんの状態です。

保険適用になる予防歯科

歯医者さんの考え方

虫歯や歯周病のリスクが高い状態であっても「病気」と名づけることはできない――こうした宙ぶらりんの状態を受けて、歯医者さんはどんな手をうつでしょうか。
患者さんに歯を大切に守ってもらいたいとの思いは一緒でも、できるだけ費用面での負担を抑えて患者さんのハードルを下げたいと考える歯医者さん、費用面での負担はあっても、予防歯科の重要性を理解してもらいたいと考える歯医者さんにわかれます。予防歯科に保険診療を適用できる歯医者さんと、できない歯科医院があるのは、そんな理由からなのです。
前者の場合は、「歯周病の疑い」や「虫歯の疑い」があるものとして、保険を適用しているわけです。これも一種の「方便」でしょう。

保険の適用を受けるためのポイント

医院によっても保険適応で診療される部分とそうでない部分もあり、同じ歯医者さんに通っていても、通い方によって、保険の適用を受けられる場合と受けられない場合があります。
疑問点や気になる点は予め、歯科医に相談されるとよいでしょう。

予防歯科で無駄にならない投資を

予防歯科でお口の中をクリーニングしてもらいたいけれど、費用面で不安があって……という方は、信頼のおける歯医者さんに自分の不安を話したうえで、できるだけその思いに寄り添った方法を提案してもらえるように相談してみてください。

歯医者さんにとっても、患者さんの10年後、20年後の健康を維持するため、虫歯が再発したり新たな問題が発生する前に予防歯科に取り組んでもらいたいという思いは大きいはずです。予防歯科に対するあなたの思いをしっかり受けとめ、よりよい方法を提案してくれるのは間違いないでしょう。

歯医者さんによっては、クリーニングに保険診療が適用されたり、されなかったりといった違いがあります。また、通院の仕方によっても費用に違いが生じるでしょう。

しかし、ここで重要なのは、たとえ自費診療でクリーニングを受けたからといって、必ずしも「損をしている」わけではないということ。「その費用を本当に無駄にしないためにも、自宅でのケアに取り組もう」という意欲がわけばいいのです。その結果、歯医者さんとあなたが二人三脚で歯の健康を維持する体制が確立するのなら、本当の意味で、無駄にならない投資ということにもなります。

ここでお伝えしたことをヒントに、ご自身のお口の健康にぜひ思いを馳せてみてください。

潤田 眞 歯科医師 ウルタ歯科医院 院長監修ドクターのコメント
「悪くなってからの歯医者」という方が多い日本も、アメリカやスウェーデンなどの予防意識が高い国のように「悪くなる前の歯医者」という認識を持ってもらえるように、歯医者側も発信をしていくことが大切だと思っています。

虫歯は酷くなってしまうと自然に元には戻りません。(初期であれば、元に戻ります)
残念な事に治療となった場合、最終的に失った所を人工的なもので補わなければなりませんので、再発したり壊れたりするリスクがあり、歯の寿命が短くなります。
また歯周病などは初期には自覚症状が少なく、酷くなると元に戻すのはとても難しいのです。日本では症状が出て歯医者に行く方がまだ多いのですが、予防の意味で積極的に定期検診を受ける事は非常に大切だと思います。
また、定期検診で実際にクリーニングを受けられた患者様の中には、(ホワイトニングではないのですが)「歯がきれいになって自信が持てた」と喜ばれる方、「気持ちがいいから」と定期的に通ってくださる方もいます。
定期検診を受けることで、むし歯の早期発見にも繋がり治療も最小限で済みます。悪化すればする程、時間的にも経済的にもかかってしまいます。そのリスクを防ぐ事で、治療にかかる時間もかからず、医療費もトータル的に考えると安く済むものです。
お口の状態であったり、歯の磨き方の上手下手、食生活、歯質などによって虫歯や歯周病になりやすい方もそうでない方もいます。なので患者様ごとに次の検診の期間を決める必要はあります。また、患者様の日々のケアだけ、定期的な歯医者のプロフェッショナルケア任せだけでは、むし歯や歯周病を防ぐことは難しいものです。患者様と二人三脚でお口の健康を守っていきたい、そうして日本の予防歯科もアメリカやスウェーデンと比べられるぐらいの水準の高さになってくれればいいと思っています。

 
監修ドクター:潤田 眞 歯科医師 ウルタ歯科医院 院長

 予防歯科でおすすめの歯医者さん 関東編

ウルタ歯科医院

出典:http://www.urutasika.com/

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