子供が虫歯に!進行度による治療方法と今後の予防方法を確認
歯みがきや仕上げみがきを頑張ってきたのに、子供に虫歯が見つかるとショックですよね。小さな子供が歯医者に嫌なイメージを強くしないために、できれば痛みの少ない治療を選びたいものですが、進行度合いによっては治療方法の選択肢はありません。
本記事では、どの程度の進行度までなら痛みの少ない治療が可能なのかということと、今後の虫歯予防の方法をMedical DOC編集部が解説します。
この記事の監修ドクター:
亀井 伸浩 歯科医師 医療法人リリオ歯科クリニック 理事長
目次 -INDEX-
虫歯の進行度と選択される治療方法
C0:要観察歯の治療方法
この段階は、歯の白さが強くなって虫歯になりかけた状態です。この程度では、まだ穴は開いていません。このような歯は、歯の再石灰化で自己修復作用が期待できます。この段階で歯を削るような治療は通常行われません。これ以上悪化しないように予防祖措置が取られ、経過を観察します。
予防策として一般的な処置は、フッ素塗布の処置です。また、この段階なら、希望すれば臼歯の複雑な溝を埋めて予防するシーラントという予防処置もできます。
C1:エナメル質が溶けている初期段階の治療方法
歯の表面上に、茶色や黒色のポツポツとした穴が見られる初期の状態です。ここまでくると、再石灰化による自己修復は期待できません。この段階から、歯医者で通常受けることになる「削って埋める」歯の治療が行われます。この程度では、歯を削っても痛みはほぼありません。
通常使用される詰め物はレジンで、口の中で特殊な光を当てて硬化させます。歯の詰め物や被せ物を作って詰める、という大がかりな治療ではないため、通常1回で治療が完結する段階です。
この段階であれば、通常の治療でも痛みはなく、子供にも負担はかかりません。「痛みのほとんどない治療」と言われている多くの治療方法を、ここまでの段階の歯が治療対象です。
C2:象牙質に達した虫歯の治療方法
象牙質まで達した状態です。冷たいものが染みるなどの自覚症状が出てきます。ここまで達すると、進行が急激に早くなるため、可能な限り早くの治療をしましょう。
治療方法としては、基本的にC1と同じですが、象牙質の内側にある歯髄(しずい)はできるだけ残すようにしながら、患部を削って詰め物・被せ物をします。この段階では、治療時に痛みが生じる可能性が高まりますので、麻酔を使って痛みをできる限り少なくします。
C3:歯髄にまで達した虫歯の治療方法
象牙質の内側の歯髄にまで達した状態になると、激しい歯痛が出てきます。一刻も早く治療を受けさせてあげないと、子供も大変つらい思いをする段階です。
こうなると歯を大きく削って歯髄を取る治療を行わなくてはなりません。歯髄を取ると、歯には栄養がいきわたらなくなり、茶色く変色してもろくなります。治療には麻酔が必須です。まずは痛みを抑える応急処置をして、歯を削った後に歯型を取って歯科技工士によって詰め物・被せ者が作られます。当然治療期間は長くなることを覚悟しなくてはなりません。
C4:歯髄の壊死にまで至った虫歯の治療方法
歯の頭(歯冠部分と呼ばれます)が溶けて、歯髄が壊死した状態です。ここまで進行すると、痛みはあまり感じなくなります。しかし、状態の進行が止まるわけではありませんので治療は必要です。
この状態になると抜歯の可能性が高まります。永久歯の場合は歯を抜いた後、ブリッジや部分入れ歯(義歯)をします。
子供の虫歯治療に!痛みの少ない治療方法
痛みの少ない治療が受けられるのは初期の段階まで
「できる限り痛みの少ない治療を」と思っても、虫歯の進行度がC3以上になると、選択肢は通常の歯を削って埋める治療しかありません。治療前の麻酔で、治療時の痛みを抑えることになります。
子供に痛みの少ない治療を受けさせるには、早期発見・早期通院が必要です。毎日の仕上げみがきの中で、少しでも気になる変化があったらすぐに歯医者へ行きましょう。ここでは、初期段階の治療で痛みをできる限り抑えることのできる治療方法を紹介します。
レーザーによる治療
Er:YAGレーザーを治療で使用し、虫歯になった部分だけをレーザーで蒸発させていく治療方法です。ドリルではどうしても健全な部分まで削ってしまいますが、レーザーを使うと患部飲みを蒸発させることができます。この治療方法はC1程度までの対応が可能で、保険適用可能なる方法です。
カリソルブによる治療
虫歯の部分のみを溶かし、後は通常通り詰め物をする治療方法。歯を削らないので痛みも感じることがほとんどありません。象牙質までの虫歯なら対応可能で、C2程度まで治療できます。保険が適用できませんので、自費治療となり、費用のかかる治療方法です。
エアアブレーションによる治療
酸化アルミナという物質の小さな粒子を吹き付けて飛ばす治療方法です。健康な部分をより多く残すことができますが、自費治療での対応となります。
これ以上子供の虫歯を増やさない!予防方法紹介
一番の予防は毎日の歯みがき
子供の虫歯をこれ以上増やさないための予防方法として、一番効果があるのは毎日の歯みがきです。歯の治療を受けた後、歯医者では歯みがき指導をしていることが多いので、ぜひ子供と一緒に受けましょう。みがき残しを染める薬剤を使って、どの部分がみがけていないかを子供にも見せることで、子供自身も予防をしようという気持ちが持てるようになります。
歯の定期健診とフッ素塗布処置も効果的
予防法としてもう一つ実行したいことは、歯の定期健診です。3ヵ月に1回程度かかりつけの歯医者に行き、歯の点検と歯みがき指導を受けましょう。その際、フッ素塗布も行うことで予防の効果が上がります。フッ素は、歯の再石灰化を促進する効果が認められている薬剤です。
乳歯の奥歯にはシーラントも有効
乳歯の奥歯にある複雑な溝は比較的できやすくなる場所です。この溝をレジンで埋めて虫歯にしにくくする「シーラント」という予防方法もあります。
ただし、シーラントは溝を埋めたらそれでOKという予防方法ではなく、毎日の歯みがきも重要です。歯みがきができていないと、レジンと歯のわずかなすき間に汚れがたまり、そこから菌が入り再発する、ということも起こり得ますのでご注意を。
早期治療が大切!定期健診と歯みがきが予防の決め手
子供の虫歯について、治療方法を状態の進行具合と合わせて紹介し、痛みの少ない治療方法と今後の予防方法もまとめました。子供に治療で痛い思いをさせないようにするには、初期の段階で見つけて受診するしかありません。気になる黒いポツポツが歯の表面に見えたら、すぐに歯医者へ行きましょう。
痛みの少ない治療方法をいくつか紹介しましたが、初期の段階なら通常の歯を削る治療も痛みをほとんど感じません。今後の予防には、毎日の歯みがきと定期健診を併せて行いましょう。
歯みがきのみがき残しチェックとフッ素塗布、歯みがき指導で歯の健康は保てます。子供が将来も健康な歯でいられるよう、予防に力を入れてくださいね。
監修ドクター:亀井 伸浩 歯科医師 医療法人リリオ歯科クリニック 理事長
虫歯治療でおすすめの歯医者さん 関東編
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