口内炎はなぜできる?その原因と症状、虫歯との関係や予防法
食事のときに口の中がしみて痛い、口内炎。命にかかわる病気ではありませんが、本来は楽しいはずの食事の時間が台無しになってしまうなど、その影響は少なくありません。口内炎は、一体どうして出来てしまうのでしょうか?また、虫歯と口内炎には何か関係性があるのでしょうか?この記事では、口内炎の原因と症状、予防法、虫歯との関係についてMedical DOC編集部がお届けします。
小林 孝兒 (西荻窪デンタルクリニック 院長)
目次 -INDEX-
口内炎の原因と症状
そもそも、口内炎はどうして出来てしまうのでしょうか?ここでは、口内炎の概要と原因、そしてその症状について解説していきます。
口内炎とは
口内炎とは、簡単に言ってしまえば「口の中で起こる炎症の総称」です。また、口内炎は特定の場所にできると、歯肉炎、舌炎、口唇炎、口角炎といった呼ばれ方をすることもあります。
口内炎になると、食事中に口の中がしみたり、安静時でも痛みを感じたりするだけでなく、患部が溶けて小さな穴ができたり、水ぶくれになったりします。
口内炎の原因・症状
口内炎にはさまざまな原因があり、その原因によってタイプがわかれます。以下は代表的な5タイプです。
1:アフタ性口内炎
免疫力の低下、ストレス、粘膜の損傷、全身症状を伴う病気が原因のタイプです。白っぽい外見が特徴で、再発を繰り返すケースもあります。
2:ウイルス性口内炎
ヘルペスなどのウイルスが原因のタイプです。赤くただれたような炎症がおこります。
3:カタル性口内炎
虫歯、入れ歯の不具合、薬品、火傷、粘膜損傷などが原因のタイプです。炎症部分は水ぶくれになり、潰瘍となったあと治癒します。
4:アレルギー性口内炎
アレルギー食品、薬品、金属などによるアレルギー反応が原因のタイプです。アレルギーが治ればそれに伴い炎症もおさまります。
5:ニコチン性口内炎
タバコが原因のタイプです。白っぽい斑点のような炎症が口の中や舌にできます。
口内炎と虫歯の関係
先に紹介した通り、口内炎にはさまざまな種類があります。この中で虫歯と関係しているのが「カタル性口内炎」です。
カタル性口内炎の主な原因は物理的な刺激で、虫歯治療のかぶせ物や虫歯によって歯が欠けている部分が口の中を傷つけることによって発症することがあります。
また、虫歯になっているということは、それだけ普通の人よりも口の中に雑菌が増えているということでもあります。そのため、一度口内炎になってしまうと虫歯の菌がその炎症をさらに助長してしまいます。言ってみれば、虫歯はカタル性口内炎の直接的な原因(=かぶせ物や虫歯部分による物理的刺激)と間接的原因(=虫歯菌による発症後の症状悪化)の両方を持っていることになります。
さらに、カタル性口内炎の特徴は、「痛みが出にくい」という点です。そのため、自分でも気づかず症状が進行してしまうことも珍しくありません。カタル性口内炎になると痛み以外にも、口臭がキツくなる、口の中が熱くなる、唾液の粘度が上がる、といった症状が現れるため、もし気になる人は一度歯科医院を受診してみるとよいでしょう。
この他、虫歯治療のために使用した銀歯や金歯などの金属が「アレルギー性口内炎」を引き起こすこともあります。その場合は、使用している金属を除去したあとにプラチックやセラミックに差し替えます。
口内炎の予防法
ここからは、口内炎の予防に効果的な3つの方法を紹介します。
食生活の改善
口内炎は偏った食生活によって引き起こされることがあります。特に粘膜や皮膚の健康を保ってくれる働きのあるビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCなどの栄養素は積極的に摂取していきましょう。逆に、ビタミンを壊すアルコールや刺激の強い香辛料などは避けてください。
規則正しい生活と適度な運動
口内炎は免疫力が落ちているかどうかを測るひとつの指標とも言われています。そのため、口内炎が出来た場合は「あっ、今自分は体調があまり良くないな。免疫力が落ちているな」と思うようにするとよいでしょう。
免疫力を高めるには、バランスの取れた食事だけでなく、規則正しい生活と適度な運動が欠かせません。睡眠不足にならないように夜更かしはせず、1日10分でよいので体を動かす習慣をつけるようにしましょう。
口内環境を清潔に保つ
口の中の細菌が増えると、炎症が起きたときに悪化させてしまいます。そのため、日頃から口の中は清潔に保つようにしてください。毎食後に歯磨きとうがいをする、口の中が乾燥しそうになったら水分をとって潤す、といったような行動をとるように心がけましょう。
このように、口内環境を整えて口内炎を予防することはそのまま虫歯予防に直結しています。
口内炎の対策
日頃から予防を心がけていても、口内炎になってしまうことはあるでしょう。そんなときはしっかりとした対策をとる必要があります。ただ、自分で対策できるか病院を受診した方がよいのかは以下の基準を参考にしてください。
・口内炎になってから10日以上経過している
・熱や全身のだるさなどの全身症状がある
・炎症が一箇所だけではなくどんどん広がっている
上記のいずれかに該当している場合は、歯科や口腔外科を受診することをおすすめします。特にヘルペスなどのウイルス性口内炎は自分では対処しきれませんし、全身症状のある場合だと口内炎はあくまで間接的な症状で、他にもっと重篤な病気に感染していることも珍しくありません。
一方、炎症が1箇所かつ発症してから数日しか経っていないのであれば自宅で以下のケアを行いながら様子をみてください。
・ビタミン剤の服用
食事だけではとりにくいビタミンB2、B6、 Cのビタミン剤を活用するのもひとつの手です。
・口腔ケア
予防の部分でも紹介しましたが、それ以上症状を悪化させないためにも口の中を清潔に保つことは口内炎への有効な対策です。
・軟膏の塗布
口内炎専用の軟膏を1日に3〜4回塗布する方法です。症状が軽度であれば市販のものでも十分な効果を得られるでしょう。
口内炎予防は虫歯予防としても有効
一口に口内炎と言っても、その種類はさまざまです。いくつかある口内炎の中で虫歯との関連性が高いのは「カタル性口内炎」で、虫歯を直接的・関節的な原因とし、炎症を悪化させます。また、金歯や銀歯が「アレルギー性口内炎」というタイプの口内炎を発症させるケースもあります。
口内炎の予防には、バランスの取れた食生活、規則正しい生活、口内環境を清潔に保つといった方法が有効です。口内炎は全身の免疫力が低下してきたときに出来やすいので、もし口内炎になってしまったときは、炎症を起こした部分だけでなく全身状態を回復させる視点を保つとよいでしょう。
もし口内炎になってしまったときは、規則正しい生活をしつつビタミン剤を活用してみてください。ただ、全身症状がある、炎症が広がっている、10日以上症状が続いている、などの場合は他の病気になっている可能性があるため、病院を受診するようにしましょう。
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