お口に合わない入れ歯の装用感を改善するためにできること
入れ歯をお使いの方のなかには、その装用感に悩む方も多くいらっしゃいます。お口に合わない入れ歯は痛みや違和感の原因となり、しっかり噛めない状態に至ってしまうことも珍しくありません。入れ歯がお口に合わない原因はさまざまですが、調整を行うことで改善を目指すことが可能です。また、よりお口に馴染みやすい入れ歯に切り替えることで快適な装用感を実現することもできます。お口に合わない入れ歯への対処法について、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
長光 正裕 歯科医師 長光歯科医院 院長
目次 -INDEX-
入れ歯がお口に合わない理由
入れ歯をお使いの方のなかには、お口に合わない入れ歯に悩む方が少なくありません。装用時の痛みや違和感が強いためにしっかり噛むことができず、入れ歯の装用を止めてしまうケースも多くみられます。入れ歯がお口に合わない理由はさまざまで、入れ歯の作製段階に問題があるケースのほか、口内環境の変化や入れ歯の変化などがあります。
入れ歯に設計精度の甘さや作製上の技術不足がある場合
入れ歯はお口のなかの粘膜の形状に併せてオーダーメイドで作製されます。歯科医が印象採得(型取り)を行って得た資料をもとに歯科技工士が入れ歯の作製を行いますが、印象材の取り扱いが不適切な場合にはお口に合わない入れ歯になる可能性が高くなります。また、印象採得の精度が高い場合でも、入れ歯の作製を行う歯科技工士の技術水準が十分でなければ、やはり装用時に痛みや違和感が出やすい入れ歯になってしまいます。
顎の骨の形が変化して入れ歯がお口に合わなくなっている場合
入れ歯は印象採得を行ったときのお口のなかの形態に合わせて作製されますが、お口のなかの形態は時間の経過とともに少しずつ変化していきます。入れ歯の装用を始めた方は固い食べ物を口にすることを避ける傾向がありますが、固さのあるものを噛まない食生活が続くことで、顎の骨は徐々に痩せていきます。顎の骨の形状に変化が起こると入れ歯もお口の形態に合わなくなり、やがて痛みや違和感が出てきます。完成したときにはお口によく馴染んでいた入れ歯が次第にお口に合わなくなる理由のひとつは、顎の骨の形状の変化です。
入れ歯に摩耗や変形が生じている場合
入れ歯は装用を続けることで、表面の素材が少しずつ摩耗することがあります。摩耗によってお口のなかで固定される位置がわずかでも変わると噛み合わせにずれが生じて痛みや違和感が出てしまうことがあります。また、入れ歯は熱に弱い素材でできているため、お手入れの際などに高温のお湯などにさらされると変化してしまう可能性があります。また、乾燥にも弱く、就寝時などに水に浸けることなく放置していると変形が起こりやすくなってしまいます。変形した入れ歯もやはり痛みや違和感が出やすくなってしまいます。
強い嘔吐反射や入れ歯そのものへの心理的な抵抗感
入れ歯は本来、お口のなかに存在しない異物です。初めて入れ歯を装用する方のなかにはその異物感に強い抵抗を感じてしまう方は少なくありません。とくに床部分に厚みのあるレジン床入れ歯は強い異物感を感じることが多く、嘔吐反射の強い方は装用し続けることが難しいこともあります。入れ歯の使い始めの段階で、入れ歯に慣れるためのトレーニングの実施を推奨する歯科医院も見られます。
入れ歯の装用感を改善するいくつかの方法
お口に入れ歯が合わない場合にはいくつかの対応方法があります。痛みや違和感の程度や入れ歯の状態、入れ歯をお使いの方の生活環境などを考慮して、より快適に装用することができる入れ歯を目指すことが大切です。
入れ歯安定剤の使用
入れ歯安定剤を使用することで入れ歯の装用に伴って生じる痛みや違和感を小さくできる場合があります。入れ歯は粘膜に直接触れますが、口腔内の粘膜に接する部分に入れ歯安定剤を塗布して入れ歯を装用することで、お口に入れ歯が馴染み、しっかり噛める状態を取り戻せる可能性があります。ただ、入れ歯安定剤の使用は応急的な対策にとどまることがほとんどです。入れ歯安定剤の使用が長期にわたる場合には、かならず歯科医に入れ歯の装用感について相談してください。
入れ歯の調整や装用のトレーニング
入れ歯は完成後も調整が可能であることがほとんどです。入れ歯治療に対応した歯科医院にお使いの入れ歯を持ち込むことで調整を受けることができます。部分的な調整で痛みや違和感を解消できるケースもあるため、自分で入れ歯を調整しようとせず、歯科医院に足を運び、歯科医や歯科技工士などに調整を依頼してみることが大事です。また、装用感への不満が心理的な要素に起因している場合や、装用の仕方に問題がある場合には、入れ歯の装用のトレーニングを受けることで、痛みや違和感を解消できることがあります。
装用感のすぐれた入れ歯への作り直し
入れ歯安定剤の使用や入れ歯の調整によっても痛みや違和感が改善しない場合には、入れ歯を作り直すかインプラントやブリッジなどのほかの治療方法を検討する必要があります。入れ歯を作り直すケースでは、痛みや違和感の出にくいタイプの入れ歯を選ばれることが多くなっています。
違和感が少なくお口にフィットしやすい入れ歯
保険診療で作製されるレジン床入れ歯は床部分が大きく、お口のなかで違和感が強くでてしまうケースが少なくありません。そのような場合には自費診療で作製することができる金属床入れ歯やシリコンデンチャーの作製が検討されます。
薄くて丈夫な金属床入れ歯
金属床入れ歯は床部分が金属で作られている入れ歯です。レジン床入れ歯よりも床部分を薄く作製することができるため、お口のなかで違和感が出にくいという特徴を備えています。また、食べ物の温度を伝えやすい金属でできており、お食事の際にも食べ物の食感を損ないにくく、より美味しく食事を楽しむことができます。
柔らかな素材でできたシリコンデンチャー
入れ歯の多くはレジン(歯科用プラスチック)で作られています。お口のなかの形状に合わせて作製された入れ歯であっても、固いレジンが口腔粘膜に接している部分に痛みや違和感が出てしまいます。シリコンデンチャーはそのような痛みや違和感を大きく緩和することができる入れ歯です。粘膜に当たる部分が柔らかいシリコンでできているため痛みを感じにくく、食べ物をしっかりと噛むことができます。現在お使いの入れ歯にシリコンを貼り付けて装用感の改善をはかることも可能です。治療費用はやや高額となりますが、シリコンデンチャーの入れ歯を装用することで快適な装用感と噛み心地を得られ、毎日のお食事を中心に生活の質の改善も期待することができます。
多くの方が悩みを抱える入れ歯の装用感
入れ歯をお使いになっている方の多くが、装用感に対して何らかの不満を感じています。噛む機能の回復を目指して作製した入れ歯であるにもかかわらず、お口に合わないために装用をやめてしまう方も珍しくありません。入れ歯がお口に合わない原因はさまざまですが、入れ歯に調整を施すことで問題が解決するケースもあるため、まずは歯科医院に相談することが大切です。入れ歯の調整を行っても装用感が改善しない場合には、違和感の出にくい金属床入れ歯や快適な装用感を期待できるシリコンデンチャーを新たに作製することも選択肢のひとつです。できるだけ入れ歯を使って食事をすることを目標にして、前向きな気持ちで入れ歯と付き合う姿勢も大切です。
そして、ぴったりはまる入れ歯で日々を快適に過ごすには、やはり定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスは、 半年から1年に1回は行ったほうが良いでしょう。入れ歯の磨耗の状況や歯茎の状態の変化など個人差がありますので、歯科医師と良く相談なさってください。通常のメンテナンスの時期以外でも、痛み・噛んだときに違和感がある、入れ歯が落ちやすくなったなどの場合には、できるだけ早く受診することをおすすめします。
当院では金属床、目立たない入れ歯に力を入れております。さらに高度な技術を持つ歯科技工士と協力して患者様に満足度の高い入れ歯をつくらせていただいています。
ぜひ一度ご相談ください。
監修ドクター:長光 正裕 歯科医師 長光歯科医院 院長
入れ歯・義歯でおすすめの歯医者さん 関東編
長光歯科医院
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