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初めての小児歯科受診ガイド! 0歳から小児歯科に通うべき理由を歯科医師に聞く

 公開日:2025/09/15

歯科医院の通い方は、「むし歯になってから行く」のではなく「むし歯になる前から通う」ことが主流になりつつあります。特に小児歯科は、むし歯になる前から通い、子どもの歯の健康と正しい生活習慣を育む大切な場でもあります。しかし、「いつ行くべきか」「何をするのか」と不安に感じる親御さんも多いはずです。そこで今回は、初めての小児歯科受診にまつわるタイミングや検査内容、歯科医院の選び方について、自由が丘Ohana Dental Clinic副院長の中村先生に詳しくお話を伺いました。

中村 彩乃

監修歯科医師
中村 彩乃(自由が丘Ohana Dental Clinic)

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2014年3月昭和大学(現・昭和医科大学)歯学部卒業。昭和大学歯科病院(現・昭和医科大学歯科病院)にて臨床研修、2015年昭和大学顎顔面口腔外科、2017年10月仁厚会病院口腔外科、2018年4月まごめファミリー歯科にて臨床業務に従事したのち現職。所属学会は日本予防歯科学会、日本口腔筋機能療法学会、日本小児口腔発達学会。口育士、食育アドバイザー、歯科食育士、幼児食アドバイザーの資格を保有している。

初めての小児歯科受診はいつ・何のために行くの?

初めての小児歯科

編集部編集部

子どもの歯科受診は何歳頃から始めることが理想ですか?

中村先生中村先生

子どもの歯科受診は、「歯が1本でも生えたら」が一つのタイミングです。つまり、基本的には0歳から通い始めるのが望ましいとされています。歯科医院はむし歯を治す場所ではなく、予防のために通う場所であるという意識を持つことが大切です。早期に受診を始めることで、歯科の環境に慣れ、恐怖心を抱かずに通院できるようになります。また、保護者にとっても、口の中に異物を入れられることに慣れることで歯磨きがしやすくなるなど、家庭内ケアの負担軽減にもつながります。

編集部編集部

むし歯がなくても、受診するメリットはあるのでしょうか?

中村先生中村先生

むし歯がなくても、歯科受診には様々なメリットがあります。まず小さいうちから歯医者に通うことで、歯科を「怖い場所」ではなく「日常の一部」として自然と受け入れることができます。これにより、将来的な受診への抵抗感が減り、歯科医院への通院が習慣化されやすくなります。また、定期的に予防ケアを受けることで、むし歯や歯周病のない健全な口腔環境を維持しやすくなります。さらに、歯科医師や衛生士からの歯磨き指導により、ご家庭でのケアの質も向上します。

編集部編集部

子どもが成長して、むし歯になってから受診するとどのようなデメリットがありますか?

中村先生中村先生

むし歯ができてから初めて歯科を受診する場合、子どもは「怖い」「痛い」といったネガティブな体験からスタートすることになります。その結果、歯科への苦手意識が強まり、継続的な通院が困難になるケースも少なくありません。また、むし歯治療には複数回の通院が必要となるため、保護者にとっても労力がかかり、仕事や家庭との両立が難しくなることがあります。歯科受診は子どもだけでなく、連れていく親の負担にも関わるため、早期の予防的な受診が理想的です。

通い続けることが大切? 予防ケアと通院のポイント

小児歯科通院

編集部編集部

子どもが初めて歯科受診した際にはどのような検査や説明がされるのでしょうか?

中村先生中村先生

初回の受診では、年齢や発育状況に応じて検査内容が変わります。基本的にはミラーを使って口腔内の状態を確認し、3歳以降は「5カット」と呼ばれる写真撮影を、5歳以降ではレントゲン撮影をおこなうこともあります。小さなお子さんには、口腔内カメラを使用し、本人がモニターで自分の歯を見られるよう配慮します。また、拡大鏡を使って小さなむし歯まで丁寧に確認することもあり、削らずに経過観察する方針も多く、できるだけ痛みのない治療が主流です。

編集部編集部

小児歯科では、どのような予防処置をすることが可能ですか?

中村先生中村先生

むし歯予防として代表的なのはフッ素塗布や、子どもと保護者への歯磨き指導です。さらに特徴的なのは「口育(こういく)」と呼ばれる、口腔機能を育てる取り組みです。たとえば、歯並びは遺伝だけでなく、舌や口の筋肉、姿勢、離乳食の与え方などによっても影響されるため、0歳からの食事指導や遊びを通じてバランスよく育むことが重要です。見た目だけでなく、将来的な健康を支えるためにも、こうした包括的な予防ケアが重視されています。

編集部編集部

子どもの通院頻度や、定期健診の目安を教えてください。

中村先生中村先生

年齢によって適切な通院頻度は異なります。0〜2歳頃までは半年に1回のペースが目安とされ、3歳以降は3〜4ヵ月ごとの受診が推奨されます。この頻度であれば、むし歯や口腔トラブルの早期発見・早期対応がしやすく、必要以上の治療を避けることにもつながります。とくに小児期は歯の成長や生え変わりの時期と重なるため、定期的に状態を確認し、子どもの発達に応じたケアを受けることがとても大切です。

子どもが安心できる歯医者さんの選び方

子どもが安心できる歯医者

編集部編集部

小児歯科と通常の歯科の違いについて教えてください。

中村先生中村先生

小児歯科と通常の歯科では、治療方針に大きな違いはないものの、アプローチの仕方には特色があります。小児歯科は、乳歯のケアや永久歯への生え変わりを見据えた成長段階に応じた対応をおこない、予防中心である点が特徴です。また、子どもが歯科に慣れるための「トレーニング」や、治療への不安を和らげるための声かけ、寄り添い、ご褒美の工夫など、心理的なケアを重視しています。こうした配慮は、歯科への恐怖感を軽減し、通院を前向きな経験に変えることにつながります。

編集部編集部

子どもが安心して通える小児歯科の「雰囲気」や「設備」の特徴にはどのようなものがありますか?

中村先生中村先生

たとえば、治療後にガチャガチャのご褒美があったり、好きな歯ブラシや歯磨き粉を自分で選べたりするなど、選択の楽しさが治療への抵抗感を和らげます。また、アート作品や映像演出などを導入しているクリニックもあり、中には視覚的な仕掛けを取り入れているところもあります。歯科医院=楽しい場所という印象を与える工夫が、子どもの安心感につながっています。

編集部編集部

小児歯科を選ぶうえで、チェックすべきポイントはありますか?

中村先生中村先生

信頼できる小児歯科を選ぶ際には、まず「拡大鏡を使って丁寧に診察しているか」が一つのポイントです。拡大鏡を使用することで、肉眼では見逃されやすいむし歯も早期に発見できます。また、単にむし歯治療だけにとどまらず、「口育」や「食育」にも力を入れているかどうかも重要です。歯の健康だけでなく、子どもの成長や生活習慣全体を見据えてサポートしてくれる歯科医院であれば、より安心して長く通うことができます。

編集部まとめ

小児歯科はむし歯の治療だけでなく、「歯医者さん=怖い場所」というイメージを払拭し、子どもの口腔の健やかな発達を支える場所です。早期に予防的な受診を始め、家庭でも正しいケアの習慣を育むことが、生涯にわたる歯や口のみならず健康の土台となります。本稿が読者の皆様にとって、初めての小児歯科受診への不安を解消し、安心して一歩を踏み出すきっかけとなりましたら幸いです。

医院情報

自由が丘OhanaDentalClinic

自由が丘OhanaDentalClinic
所在地 〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1丁目24-3 玉川ビル2F
アクセス 東急東横線・東急大井町線「自由が丘駅」徒歩5分
診療科目 歯科

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