歯科医が教える「ホワイトニング」効果を実感できる治療回数・期間、白さ持続のポイント

歯を白くするホワイトニングは、効果が実感できるまでの期間や通院回数に個人差があるため、「どのぐらいやれば白くなるのか」という疑問を持っている方も少なくないようです。そこで、歯科医院でのホワイトニングの効果や治療期間、回数の目安について、あんどう歯科・美容皮フ科の安藤先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
安藤 雄基(あんどう歯科・美容皮フ科)
ホワイトニングの基礎をおさえよう! 治療の種類と特徴について

編集部
歯科医院で行う「ホワイトニング」は、どのような仕組みで歯を白くしていくのでしょうか?
安藤先生
歯科医院のホワイトニングは、歯の表面(エナメル質)に特殊な薬剤を作用させ、色素を分解・漂白して歯を白くしていきます。使用する薬剤は「過酸化水素」や「過酸化尿素」を主成分としており、これらの薬剤は歯科医院でしか取り扱うことができません。すなわち、歯科医院でのホワイトニングは歯科医院でのみ行える歯科医療行為となっています。
編集部
いわゆる「クリーニング」とはどう違うのでしょうか?
安藤先生
クリーニングは歯石や歯垢、着色など、主に歯の表面に付着した汚れを取り除き、滑らかにする処置です。ホワイトニングとは異なり、クリーニングは歯の表面だけを綺麗にすることが目的ですので、歯の色そのものを変えることはできません。
編集部
歯科医院で行うホワイトニングには、どのような方法がありますか?
安藤先生
歯科医院では「オフィスホワイトニング」「ホームホワイトニング」「デュアルホワイトニング」の3つの治療法を提供しています。オフィスホワイトニングは歯科医院で行うホワイトニングで、比較的早く効果が表れるのが特徴です。ホームホワイトニングは患者さんがご自宅で行うホワイトニングで、歯科医院で作製した専用のマウスピースと薬剤を使用し、数週間かけて歯を白くしていきます。
編集部
「デュアルホワイトニング」はどのような治療なのでしょうか?
安藤先生
デュアルホワイトニングは、先のオフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた治療法です。オフィスホワイトニングの即効性にくわえ、ご自宅でホームホワイトニングを継続することで、より効果的に歯を白くすることができます。
編集部
歯科医院のホワイトニングは、どんな歯でも白くできるのでしょうか?
安藤先生
過去の歯科治療で入れた詰め物・被せ物は、ホワイトニングで白くすることはできません。また、もともと歯の色が極端に変色しているケースや薬剤の服用による変色も、ホワイトニングで得られる白さに限界があります。さらに、むし歯や歯周病がある場合は、ホワイトニング前にそちらの治療が必要です。薬剤がしみるなど痛みの原因になることもあるため、まずは歯を健康な状態にしてからホワイトニングを受けることをおすすめします。
編集部
歯の問題以外に、ホワイトニングができないケースはありますか?
安藤先生
妊娠中の方や授乳中の方は、基本的にホワイトニングが行えません。また、重度の知覚過敏症状がある方についても、治療中に強い痛みが生じる可能性があるため、治療を控えることがあります。さらに、18歳未満の方は歯がまだ十分に成熟していないため、ホワイトニングを行うと強い痛みを感じる可能性があります。歯科医院によって対応は異なりますが、基本的に10代の若い方への治療はお断りさせていただく場合が多いようです。
どのぐらい白くなる? ホワイトニングの回数と治療期間、効果を左右する要因

編集部
ホワイトニング治療では、最終的にどの程度白くできますか?
安藤先生
ホワイトニングで得られる白さには個人差があり、またその程度にも限界があります。治療の回数によっても異なりますが、一般的に現在の歯の色から1~3トーン程度白くなることが期待できます。
編集部
治療をはじめてからどのぐらいで、白さを実感できますか?
安藤先生
オフィスホワイトニングの場合は1回の治療でも効果を実感できますが、最大限の効果を得るためには2~3回の治療が必要です。さらに白くしたいというご希望がある場合は、最低でも5回程度の治療が必要になります。ホームホワイトニングの場合は毎日行うか、週1回行うかなど、実施頻度によって効果の表れ方が異なり、回数を重ねるほど白くなっていきます。効果が実感できる期間の目安は、2週間~1ヶ月程度です。
編集部
ホワイトニングの効果は個人差が大きいようですが、主にどのような要因で差が生じてきますか?
安藤先生
一番の要因は「治療の回数と頻度」ですが、それ以外に「年齢」も効果の差に影響を与える要因の1つで、若い方の方が白くなりやすい傾向があります。これがは、ホワイトニング剤が主にエナメル質に作用するためで、年齢を重ねるとエナメル質が徐々に薄くなっていくことにより、効果が出にくくなります。ただし、年齢が高いからといって、効果が全くないわけではありません。
編集部
そのほかに、効果の差に影響を与える要因はありますか?
安藤先生
歯の色味やむし歯・歯周病の有無なども効果を大きく左右する要因となります。また、口腔ケアの状態も重要で、日頃から歯磨きをしっかり行い、定期的に歯科医院でクリーニングを受けている方のほうが、ホワイトニングの効果が表れやすい傾向があります。
編集部
生活習慣や食生活による効果の違いはありますか?
安藤先生
日常的な習慣も効果に大きく関わっていきます。例えば、喫煙される方やコーヒー、赤ワイン、カレーなど着色しやすい飲食物を頻繁に摂る方は、効果が表れにくかったり、色が後戻りしやすかったりする傾向があります。
白い歯を持続させるために:治療後のケアと注意点

編集部
ホワイトニングの効果はどのぐらい持続しますか?
安藤先生
一般的には半年から1年程度持続するといわれていますが、これは個人差も大きく、なかには数週間で元の色に戻ってしまう方もいらっしゃいます。とくに、少ない回数の治療で中途半端な白さに留めてしまうと、後戻りしやすい傾向があります。したがって、最初の治療では回数を重ねて目標とする白さまでしっかり到達させることが、効果を長持ちさせるポイントです。
編集部
そのほかに、効果を長持ちさせるために気をつけることはありますか?
安藤先生
治療直後は、着色の原因となる食べ物や飲み物を数日ほど控えることをおすすめします。長期的な維持では、毎日の歯磨きを徹底することと、歯科医院で定期的なクリーニングを受けることが重要です。ご家庭のケアでは、歯磨きの際にホワイトニング専用の歯磨き剤を使うと、色の戻りを防ぎやすくなります。さらに、ホワイトニング治療を定期的に行うと、白い歯をより長く維持できるでしょう。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
安藤先生
ホワイトニングは歯の白さを改善する素晴らしい治療ですが、その効果は個人差が大きく、歯の状態によっても結果が大きく変わっていきます。したがって、まずは治療を受ける前に歯科医とよく相談し、ご自身にあった方法を選択することが大切です。確実な効果を得るためにも、ぜひ歯科医との相談を通じてご自身に最適なホワイトニング治療を見つけていただければと思います。
編集部まとめ
歯科医院で行うホワイトニングの効果の表れ方(回数・期間)は、選択する治療の種類によって異なります。一般に、院内で行うオフィスホワイトニングは2~3回の通院で、ご自宅で行うホームホワイトニングは2週間から1ヶ月程度で効果が実感できるようです。ただし、これには個人差も大きく、歯の状態や年齢、生活習慣によって回数や期間が異なります。ホワイトニングにご興味のある方はお近くの歯科医院でまずは相談し、ご自身の歯の状態やライフスタイルにあった方法を探していきましょう。
医院情報
所在地 | 〒466-0014 愛知県名古屋市昭和区東畑町1丁目40−9 |
アクセス | 桜通線「御器所」駅、鶴舞線「荒畑」駅より徒歩数分 |
診療科目 | 歯科、美容皮膚科 |