ホワイトニング後の痛みはなぜ起こる? 痛みの原因や対策を歯科医師が解説
監修歯科医師:
風野 めぐみ(Imperial Topaz Oral care)
ホワイトニング時の痛みの正体
編集部
ホワイトニングをすると、歯がしみたり痛くなったりすることがあると聞きました。
風野先生
はい。たしかに、ホワイトニング(歯の漂白)によって、知覚過敏のような軽度の痛みや違和感を一時的に生じることがあります。しかし、これには個人差があり、ホワイトニングを受けた全ての人に症状が生じるわけではありません。
編集部
ちなみに、知覚過敏とはなんでしょうか?
風野先生
知覚過敏とは、むし歯などの異常がないにもかかわらず、歯ブラシが歯に触れたり冷たいものや甘いものなどを摂取したりしたときに歯に感じる一時的な痛みのことです。
編集部
なぜ、ホワイトニングで知覚過敏のような痛みが生じるのですか?
風野先生
ホワイトニングに使用する薬剤が歯に浸透するときに「象牙細管」という管にかかる浸透圧の変化と考えられています。歯は、刺激を「痛み」としか感じることができないため、浸透圧の変化を痛みとして感じるのです。
ホワイトニングで痛みを生じる原因
編集部
ホワイトニングで痛みを生じる人とそうでない人との違いは何でしょうか?
風野先生
歯の表面を覆うエナメル質の厚さや傷の有無などが考えられます。歯の中心にある象牙質は刺激に対して敏感ですが、常に痛みを感じずにいられているのはその上を覆うエナメル質の保護があるためです。しかし、このエナメル質がもともと薄い場合や傷が付いている場合には、象牙質を保護できなくなり、痛みを感じやすくなってしまうことがあるのです。
編集部
エナメル質を傷つけてしまう原因は何ですか?
風野先生
むし歯や歯周病がある場合、噛み合わせやブラッシングの癖などが影響していると考えられます。むし歯や歯周病があると、物理的にエナメル質が傷ついてしまうことがありますし、噛み合わせによっても強く噛み締めたり歯ぎしりをしたりすることで、エナメル質に傷がついてしまうことがあります。また、ブラッシング圧が強過ぎる場合や硬めの歯ブラシを使用する場合にも、同様にエナメル質を傷つける原因になり得ます。
編集部
エナメル質に傷がつくこと以外にも、ホワイトニング中に痛みを感じる原因はありますか?
風野先生
体調やホルモンバランスの変化によっても痛みを感じることがあります。とくに女性の場合は、月経や出産などのホルモンバランスの変化により痛みを感じやすい時期があるようです。そのため、ホワイトニングを受ける際は体調の優れた日を選ぶことも大切です。
ホワイトニングに伴う痛みの対策
編集部
ホワイトニングを受けて痛みが生じてしまった場合には、治らないのでしょうか?
風野先生
ホワイトニングで痛みが生じても、それはあくまでも一時的なものです。原因がむし歯などでなければとくに大きな問題はなく、時間の経過とともに治まるでしょう。
編集部
もし、痛みを生じた場合には、軽減できる方法などはないのでしょうか?
風野先生
ブラッシング方法の見直し、知覚過敏用の歯磨き粉の使用、刺激物を避けることなどで痛みを軽減できることがあります。普段から使用している歯ブラシが硬い場合やブラッシング圧が強い場合には、柔らかめの歯ブラシに変えたりブラッシング圧を弱くしたりするよう意識してみてください。また、歯磨き粉を研磨剤が入っていないものや知覚過敏用などの痛みに配慮したものに変えることも有効です。
編集部
ほかにも、痛み対策があれば教えてください。
風野先生
強い痛みが出ている場合には、痛み止めを内服して様子を見てもいいでしょう。あまり長引く場合や痛みが続く場合には、歯科医院を受診すれば適切な治療を受けられます。加えて、ホワイトニングの直後は冷たいものや熱いものを口にするのを避けた方がいいでしょう。
編集部
ホワイトニングを受ける前に痛みの予防としてできることはありますか?
風野先生
むし歯がある場合には、ホワイトニングを受ける前に治療をしておくことが大切です。むし歯があると、その部分から薬剤がしみて痛みの原因となります。自覚症状がなくてもむし歯が進行していることがあるので、そのような場合には優先的にむし歯の治療を受けるようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
風野先生
ホワイトニングを受けると、「凄く歯が痛くなったり、必ず痛みを生じたりする」と誤解している人もいらっしゃるかもしれません。しかし、お話ししたように全ての人が痛みを生じるわけではありません。また、ホワイトニングにはいくつか種類があり、使用する薬剤の濃度などによっても痛みの感じ方に影響することもあります。そのため、まずはホワイトニングを受ける前に歯科医院でお口の中をチェックしてもらい、むし歯がある場合には治療を優先するといった、一人ひとりに合った方法で進めれば痛みを予防できるでしょう。ご自身のお口の状態に合わせて、かかりつけや信頼できる歯科医院でホワイトニング方法について相談してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
ホワイトニングを受けても、必ずしも痛みを生じるわけではないとのことでした。しかし、むし歯がある場合やブラッシング圧が強い場合などはホワイトニングによって痛みを伴うこともあるようです。ホワイトニングを受ける前にむし歯の有無をチェックするほか、ブラッシング圧が強すぎていないか確認してみましょう。万が一、ホワイトニング中に痛みを感じた場合にも、多くは数日以内に軽快することが多いようです。
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