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インプラントの「治療計画」はどう立てる? 変更になるのはどんな時? 計画通りに進めるための注意点を歯科医が解説

 更新日:2023/04/21
インプラントの「治療計画」はどう立てる?変更になるのはどんな時?計画通りに進めるための注意点を歯科医が解説

インプラント治療では治療開始前に必ず歯科医が「治療計画」を立て、その内容は治療を受ける側(患者側)にも提示されます。そこで、インプラント治療における治療計画の目的や重要性、計画通りに治療を進めるために患者さんが気をつけたいことなどを、くらた歯科医院の倉田先生に聞きました。

倉田 友宏

監修歯科医師
倉田 友宏(くらた歯科医院)

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徳島大学歯学部卒業。医療法人にて勤務医・院長の経験を経たのち「くらた歯科医院」の院長に就任。予防治療をベースにインプラント治療・矯正治療など、多角的で包括的な歯科診療を提供している。日本口腔インプラント学会、日本顎咬合学会、ITI(International Team for Implantology)、日本メタルフリー歯科学会所属、ILSC即時荷重研究会理事・インストラクター。

インプラントの「治療計画」とは? いつ、どのように計画を立てていくのかを歯科医が解説

インプラントの「治療計画」とは? いつ、どのように計画を立てていくのかを歯科医が解説

編集部編集部

インプラント治療における「治療計画」とは、どのようなものなのでしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

例えるなら、家を建てる際の「見積書」や「設計図」のようなものです。家を建てるとき、何の計画も立てずにいきなり建てはじめることはないですよね。更地にして基礎から全部やり直さなければならないのか、あるいはリフォームだけで済むのかなどを検討し、全体的な計画を立てて作業を進めていくと思います。お口もこれと同じで、1本のインプラントを入れる場合でもお口全体のバランスを診て、治療をどのように進めていくのかを考えていかなければなりません。

編集部編集部

インプラントを入れる部分だけでなく、お口の中を総合的に判断する必要があるということでしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

その通りです。そもそも、インプラントを入れなければならない状況にあるということは、すでにお口の中に歯を失う何かしらの原因があるということです。その原因がわからない状態で、ただ骨が残っているからという理由でインプラントを入れても長持ちはしません。したがって、1本のインプラントでも全体のお口のバランスや年齢、生活習慣、クセなどを知ることが重要です。そこでわかった結果から、インプラントを長持ちさせるためにはどのような計画で進めたらよいか、道筋を立てていく必要があります。

編集部編集部

そうすると、インプラント治療において「治療計画」は必ず立てるものなのですね。

倉田 友宏先生倉田先生

はい。設計図や見積もりもなしに家を建てることがないように、プロフェッショナルな人ほど簡単なことでも順序だててきっちり進めていくのは、どの業種でも同じだと思います。

編集部編集部

インプラントの治療計画は、いつ、どのように立てていくのでしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

治療計画の立案に際しては、先に患者さんのお悩みやご要望をよく聞くこと、さらにお口全体の状態がわかる検査を行っておくことが肝心です。例えば、高齢の方が前歯を1本失った場合に、その歯が最後の1本だったとしたら、その1本だけインプラントを入れても問題の解決にはならないわけです。さらに、治療後の状態を20年、30年と保っていくためには、ほかの部位の治療や矯正治療などが必要になる場合もあります。したがって、患者さんのお悩みやご要望からお口全体を見たときに、我々歯科医はそれを解決できるプランをいくつか立てる必要があります。その中から患者さんが納得できるものを選んでいただき、同意が得られてはじめて治療が開始できるわけです。

編集部編集部

治療計画には費用や治療期間なども含まれるのでしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

もちろんです。車を買う場合でも、用途やグレードだけでなく「予算」も重要な検討材料になりますよね。それは、インプラント治療でも同じです。とくにインプラント治療の場合は、治療を一度始めてしまうと元の状態には戻せません。したがって、どこに何を入れて、予算はこれぐらいで、期間はこれぐらいで、などはあらかじめしっかり決めておく必要があります。

インプラントの治療計画が変更になることはある? それはどんな場合?

インプラントの治療計画が変更になることはある? それはどんな場合?

編集部編集部

治療計画に納得して治療を開始した場合でも、その計画が変更になることはあるのでしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

あくまで「計画」なので、治療中の経過や治り具合によっては計画が変更されることもあります。

編集部編集部

治療計画が変更になるのは、具体的にどのような場合でしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

例えば、インプラント手術で実際に骨の状態を確認した場合に、想像していた以上に状態が悪ければ計画の大幅な修正が必要になります。また、インプラントが骨に結合するまでに感染を起こしたり、うまく結合しなかったりした場合にも、治療期間や治療計画の変更が必要になることもあります。このように、事前の検査をしっかり行っていても実際に治療を進めていく過程では、不測の事態がどうしても起こってしまうこともあります。そのような場合は、最初の計画を変更せざるを得ません。

編集部編集部

治療計画が変更になる頻度は多いのでしょうか?

倉田 友宏先生倉田先生

熟練の先生ほどそのようなケースは少ないと思います。経験が豊富な先生は検査結果などから、ある程度そういった事態が起こることは予想しており、事態に備えていくつかの治療パターンは準備しています。また、そのことは前もって患者さんにも伝えておくので、治療計画が大きく変更になるケースはそれほど多くないでしょう。

インプラント治療を計画通りに進めるために注意したいポイント

インプラント治療を計画通りに進めるために注意したいポイント

編集部編集部

インプラント治療を計画に沿ってスムーズに進めるために、治療を受ける側(患者側)が気をつけたいことはありますか?

倉田 友宏先生倉田先生

1つは、歯科医と約束して決めた内容は必ず守るということです。「この日に来てください」と約束した来院日には必ず行く、また「飲酒・喫煙はしないで」と言われたらそれもきちんと守るようにしてください。

編集部編集部

「時間や約束を守る」というのは基本的なことですね。ほかにも注意したいことはありますか?

倉田 友宏先生倉田先生

治療中にもし腫れや痛みがある場合に自己判断で「大丈夫」とは思わずに、どんな些細なことでも歯科医に必ず相談するようにしてください。歯科医が「経過は良好」と判断しても、患者さんに痛みがあったり、しびれが残っていたりする場合は何らかのトラブルが起こっている可能性があります。したがって、何か変化が起こったら自己判断せずに、必ず歯科医に相談するようにしましょう。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

倉田 友宏先生倉田先生

インプラントの治療期間は3か月~半年程度ですが、インプラントは「入れたら終わり」ではなく、そこから先の期間のほうが圧倒的に長く続きます。仮にインプラントが長く良好な状態を保てたとしても、ほかの歯がダメになってしまっては意味がないわけです。そのような意味においても、治療計画はとても重要な役割を担っています。さらに、治療をスムーズに進め、予後も良好な状態を維持するためには歯科医としっかりコミュニケーションをとることも大切です。歯医者さんとぜひ、お口全体を守っていける良い関係になっていただきたいと思います。

編集部まとめ

インプラントの治療計画は、患者さんのお悩みやご要望を踏まえたうえで必要な検査を行い、これらの資料を参考に歯科医が立案していきます。その大きな目的は、インプラントを入れた後も良好な状態を長く保つためのようです。また、治療を計画通りスムーズに進めるために、治療を受ける側も「歯医者さんとの決まり事は守る」「何事も自己判断せずにすぐに相談する」の2点に気をつけていきましょう。

医院情報

くらた歯科医院

くらた歯科医院
所在地 〒399-4511 長野県上伊那郡南箕輪3444
アクセス JR飯田線「北殿」駅から徒歩5分
診療科目 歯科

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