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歯石除去は保険適用で受けられる?自費診療になるケースなどを解説

 公開日:2026/04/06
歯石除去は保険適用で受けられる?自費診療になるケースなどを解説

歯科医院で歯石除去を受けたいけれど、保険適用になるのかどうかなどを疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。この記事においては、歯石除去がどのような処置であるのかに始まり、保険診療で行える内容と自費診療になるケースなど、歯石除去を受ける際に知っておきたい内容を解説していきます。

松浦 京之介

監修歯科医師
松浦 京之介(歯科医師)

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歯科医師。2019年福岡歯科大学卒業。2020年広島大学病院研修修了。その後、静岡県や神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務。2023年医療法人高輪会にて勤務。2024年合同会社House Call Agencyを起業。日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会の各会員。

歯石除去とは

歯石除去とは
歯石除去とは、簡単にいえば歯の周囲に付着している歯石と呼ばれる汚れを、専用の道具を使って除去していく処置のことです。
口腔内にはさまざまな細菌がいて、細菌は食べかすの糖などを栄養にして活動していますが、そのなかには歯に付着し続けやすいように、ネバネバとした物質を作り出す細菌もいます。このネバネバと細菌が集まったものが歯垢(プラーク)と呼ばれるもので、歯垢には1gあたり1000億個以上の細菌がいるとされるほど多数の細菌が住みついているため、歯垢が残っていることはむし歯や歯周病といった口腔疾患の主な要因になります。
そして、この歯垢を放置して硬くなったものが歯石です。歯垢であれば歯ブラシで除去することができますが、固まって歯石になってしまうとセルフケアでの除去が困難になり、歯科医院での歯石除去を受ける必要性が生じます。

歯石除去の目的

歯石除去は、主にむし歯や歯周病といった口腔疾患の予防や治療を目的として行われます。
歯石は死んだ細菌などが固まったものであるため、歯石そのものが直接むし歯や歯周病を進行させるわけではありませんが、歯石があると歯ブラシが届きにくい部分が生じやすくなり、それによってむし歯などが進行しやすくなります。さらに、歯石は歯のように表面がつるつるしておらず、ざらざらとした質感であるため、歯石があるとそのうえに歯垢が蓄積されやすくなり、これも口腔トラブルを生じやすくする要因です。
また、歯茎の内側などに歯石が蓄積すると、歯と歯茎の間に隙間が生じるようになり、そこから細菌が侵入して歯周病を進行させやすくなる可能性があります。
歯石除去を行うことで、こうした歯石によるリスクを低減することができます。

歯のクリーニングと歯石除去の違い

歯科医院で行われる処置として、歯のクリーニングという表現を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
歯のクリーニングで行う内容に明確な定義はありませんが、一般的には歯石除去を含め、歯の周囲の汚れや着色などを除去する歯科医院での専門的な処置が、総称して歯のクリーニングと呼ばれています。
歯石除去は歯の周囲に付着した歯石を取り除く処置を限定して示した言葉ですが、歯のクリーニングと表現される場合、歯石除去のほかにも、PMTCと呼ばれるような専門的な機器を用いて行う歯面清掃や、歯の表面の研磨(ポリッシング)による着色汚れの除去なども含まれる場合があります。

ホワイトニングと歯石除去の違い

ホワイトニングは、天然の歯の白さを向上するための歯科治療です。
歯の色を決定する要素はいくつかあり、その一つに歯の表面に付着した汚れなどによる着色がありますが、表面の汚れを除去したら必ず白い歯を手に入れられるというわけではありません。
なぜなら、歯の色は象牙質と呼ばれる歯の内側にある部分の着色にも影響を受けるためです。歯のクリーニングや歯磨き、そして歯石除去で清掃が可能な歯の表面部分であるエナメル質は実は半透明な組織で、歯の色が人によって白や黄色にわかれるのは、象牙質部分の色に影響されています。
ホワイトニングは、専用の薬剤を歯に染み込ませて象牙質の色素に反応させ、象牙質の着色を取り除いて白い歯を目指す治療です。
歯石除去は歯の表面に付着した歯石による汚れを取り除く処置であるため、治療の目的や方法がまったく異なります。

歯石除去の種類

歯石除去には、処置を行う範囲によって下記のような種類があります。

スケーリング

歯石除去の処置として特に行われることが多いものが、スケーリングと呼ばれるものです。スケーリングは、スケーラーと呼ばれる専用の器具を用いて、歯の表面や歯周ポケットの浅い部分に付着した歯石を取り除きます。対象となる範囲は主に目視確認が可能な範囲で、歯周ポケットの深い部分にある歯石は通常のスケーリングにおける処置の対象外です。
スケーラーには手動で歯石を削り落とすハンドスケーラーや、超音波の振動で効率よく歯石を除去する超音波スケーラー、圧縮した空気で歯石を除去するエアスケーラーなどがあり、処置を行う部分などによって使い分けながら丁寧に歯石を取り除いていきます。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

SRPは、歯周ポケットの奥深い部分にある歯石を除去する処置のことです。
ルート(Root)は歯根を表す言葉で、歯根の表面に付着した歯石を除去することで、滑らかにする(Plane)処置であることから、ルートプレーニングと呼ばれます。スケーリングが目視可能な部分にある歯肉縁上歯石と呼ばれる歯周ポケットの外側にある歯石を対象とした処置であるのに対し、ルートプレーニングは歯肉縁下歯石と呼ばれる、歯周ポケットの内側の見えにくい部分の歯石を対象とした処置です。
なお、前半にスケーリングとついているように、SRPスケーリングルートプレーニングを両方とも行う処置であり、スケーリングの範囲が拡大した処置と考えるとよいでしょう。
歯周ポケットの深い部分に器具を挿入するため痛みが生じやすく、局所麻酔をかけたうえで処置を行うことが一般的です。また、SRPは身体への負担が大きくなりやすいことから、1回あたりの処置時間が30分から1時間程度に限定され、処置が必要な歯が多い場合には複数回に分けて処置が行われます。そのため、SRPが必要な状態の方の場合、歯石除去が完了するまでに何回か通院する必要が生じます。
スケーリングSRPは歯周基本治療と呼ばれ、歯周病の治療やお口の健康を維持するための予防治療の基本として行われます。

フラップ手術

フラップ手術は、SRPでも取り切れないような歯石が歯周ポケットの深い場所に残っている場合に行われる処置です。麻酔を行ったうえで歯茎を切開して歯の根を露出し、深い部分の歯石を目視で確認しながら丁寧に取り除いていきます。切除した歯肉がフラップ状になることからフラップ手術と呼ばれ、歯石を除去した後は歯肉を縫合して処置を完了します。
歯周基本治療を行っても歯周ポケットが5㎜以上残ってしまっているような場合に適応となり、保険適用で受けることができます。

保険診療での歯石除去

保険診療での歯石除去
歯石除去の処置は、基本的に保険診療で受けることができます。
保険診療で行われる処置の内容や費用の目安、処置の回数などについて解説します。

保険診療の歯石除去の内容

スケーリングSRPフラップ手術といった各種歯石除去の処置は、すべて保険診療で受けることができます。また、歯石除去と合わせて歯の表面に付着した汚れを専用の器具で除去する歯面清掃も、保険診療で受診可能です。
ただし、保険診療の場合は歯周病の治療や重症化予防を目的として行う必要があるため、歯の着色汚れを除去して美しい歯を目指したいというような美容目的の場合は保険適用となりません。そのため、保険診療の場合は必ず歯の健康状態に関する診察が必要であり、治療目的として歯石除去が実施されます。

歯石除去を保険診療で受ける場合の費用目安

保険診療は、診療報酬点数と呼ばれる検査や処置の内容に応じて厚生労働省によって定められた点数の合計で費用が決定されます。具体的には、検査や処置別に定められた点数を加算し、1点あたり10円で計算してから、そこに保険利用による自己負担割合をかけて最終的な費用を算出します。
歯石除去を初めて保険診療で受ける場合、下記のような内容で診療報酬点数が算定されます。

  • 初診料:264点
  • 歯周基本検査:200点
  • 歯科疾患管理料:100点
  • 歯周基本治療:72点(顎の3分の1につき)※
  • 機械的歯面清掃処置:72点

※まとめて処置を行う場合は1/3顎範囲が増える毎に38点追加

上記のほかにも、レントゲン写真や口腔内写真などによる検査が行われたり、歯科医院が口管強の認定を受けたりしていると診療報酬点数が加算されます。
目安として、3割負担の方が歯石除去を保険診療で受ける場合の金額は初診が3,000円から4,000円程度であり、2回目以降の継続的な処置の場合は1,500円から2,500円程度です。

歯石除去を保険適用で受けられる回数

歯石除去を保険適用で受ける場合、処置を行う目的や歯科医院の特徴によって受けられる回数が異なります。

歯周病治療目的のケース

歯周病の治療を目的として歯石除去を行う場合、患者さんの身体への負担を抑えるため、処置は2週間程度の期間をあけながら行われます。
また、歯周病の進行状況によって治療が終わるまでの回数は異なり、軽度であれば数回、1~2か月程度で完了できる可能性がありますが、重度の場合は6回以上の処置が必要になり、治療期間もそれだけ長くなる場合があります。
歯周病基本治療として6回にわけてSRPを実施しても症状が改善しない場合にはフラップ手術などが検討されるため、実質的に歯石除去としての処置を受けることができる回数は、手術も含めて7回程度といえます。

定期的なメンテナンス目的のケース

定期的なメンテナンスとして歯石除去を受ける場合、クリニックが口管強(口腔管理体制強化加算)の施設認定を受けているかどうかによって処置を受けられる頻度が変わります。
口管強の認定を受けている場合は歯周病の防止を目的としたメンテナンスを月に1回受けることができるため、歯石除去や歯面清掃、そしてフッ素塗布などの予防を目的とした処置を毎月受けることができます。
一方、口管強の認定を受けていない歯科医院の場合、歯石除去や歯の清掃は歯周病の治療として受ける必要があり、3か月に1回の頻度に限定され、予防を目的として行うフッ素塗布が自費診療での取り扱いになります。(初期のむし歯治療や、高リスクな子どもの歯に対しては保険適用が可能)

歯石除去を保険適用で受けられないケース

歯石除去を保険適用で受けられないケース
上述のとおり、歯石除去は歯周病の治療を目的とした処置であり、原則として保険適用で受けることが可能ですが、下記のようなケースの場合は保険適用外になる可能性があります。

エアフローなどの特殊な装置を使用する場合

歯に細かい粒子を吹き付けて汚れや着色を除去するエアフローなどの特殊な装置を使用して行う歯のクリーニングは、治療ではなく美容や予防を目的とした処置と考えられ、保険適用外になる可能性があります。
ただし、歯周病の診断状況や歯科医院の取り扱い方針によっては機械的歯面清掃処置の一環として保険適用となる場合があるため、詳しくは歯科医院で相談してみましょう。

通院頻度が多い場合

歯石除去を保険診療で受けるためには、適切な期間をあけながらの受診を行うことが必要です。例えば定期的な歯のメンテナンスとして受けたい場合、口管強の認定を受けている歯科医院なら月に1回までは保険適用が可能ですが、それ以上の頻度で受ける場合は自費診療での扱いになります。

一度に多くの歯のSRPを行う場合

SRPの処置は歯肉の深い部分に器具を挿入するため、麻酔などが必要であり、身体に負担がかかる処置です。そのため、保険診療で行う場合は一度に対応可能な範囲が限定されていて、すべての歯に対しSRPを実施する場合であれば、一般的には上下の顎をそれぞれ3ブロックに分割して、6回に分けて処置を実施します。
もし通院回数を抑えて一気に広い範囲の処置を受けたい場合は、保険適用ではなく自費診療であれば対応可能な場合もあるため、歯科医院に相談してみるとよいでしょう。

保険診療による歯石除去のメリット

保険診療による歯石除去のメリット
保険診療で歯石除去を受けるメリットは下記のような点です。

むし歯予防

歯石が付着していると、歯に歯垢がつきやすくなり、むし歯が進行しやすくなります。定期的に歯石除去を行って口腔内を清潔に保つことで、むし歯の発生や進行を抑えることが可能で、健康な歯の維持につながります。

歯周病の進行予防

口腔内に歯石が多く歯垢が付着しやすい状況は、歯周病の進行を促進します。歯石を除去して口腔内の細菌を減らすことは、むし歯だけでなく歯周病の予防にも重要なポイントです。

口臭の改善

歯石は死んだ細菌が集まってできているものであり、口臭の主な要因の一つです。歯石を除去することで口臭の改善が可能です。

歯の見た目改善

歯石が多く付着していると、歯の汚れが目立って見た目の印象も悪くなります。
また、歯石によって歯周病が進行すると歯茎の腫れや赤みなどにつながり、これも口元の印象を悪化させる要因の一つです。
保険診療で行う歯のクリーニングには歯石除去だけではなく歯面清掃も含まれるため、定期的に処置を受けることで歯の着色汚れも改善し、見た目に自身を持ちやすくなります。

自分で歯石除去することは可能?

自分で歯石除去することは可能?
歯石は歯に硬く付着しているものであるとはいえ、力を入れれば削ることができるものであり、ドラッグストアなどに歯石除去を行うための道具も販売しているので、やろうと思えば自分で除去することもできます。
ただし、自分で歯石を取ろうとすると、無理な力が加わって歯肉や歯に傷をつけてしまったり、中途半端に歯石を取り除くだけで歯周病などの悪化は予防できなかったりする可能性があります。
歯石除去を適切に行うためには専門的な知識や技術が必要であるため、歯石が気になるようであれば、やはり歯科医院で専門性の高いケアを受けるようにしましょう。

まとめ

まとめ

歯石除去は歯周病の治療や予防などを目的に行う処置であり、原則として保険診療で受けることができます。
ただし、定期的なメンテナンスとして処置を受ける場合は歯科医院が口管強の認定を受けているかどうかなどによって受診可能な頻度が異なるため、保険診療で頻繁に処置を受けたい方は、あらかじめ歯科医院に相談しておくとよいでしょう。

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