目次 -INDEX-

  1. Medical DOC TOP
  2. 歯科TOP
  3. 歯医者コンテンツ
  4. その症状は根尖病変かも?根尖性歯周炎の原因や治療法、歯周病との違いも解説

その症状は根尖病変かも?根尖性歯周炎の原因や治療法、歯周病との違いも解説

 公開日:2026/04/30
その症状は根尖病変かも?根尖性歯周炎の原因や治療法、歯周病との違いも解説

なんだか歯茎が腫れている、あるいは歯茎にニキビのようなものがある、強く噛むと歯の根元に違和感や痛みがある、といった経験はありませんか。もしかしたら、その症状は根尖病変かもしれません。根尖病変とは根尖性歯周炎とも呼ばれる、歯の根っこの病気です。原因や治療法について正しく知っておくことで、もし症状が現れた際にも迷わずに落ち着いて対処することができます。

松浦 京之介

監修歯科医師
松浦 京之介(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
歯科医師。2019年福岡歯科大学卒業。2020年広島大学病院研修修了。その後、静岡県や神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務。2023年医療法人高輪会にて勤務。2024年合同会社House Call Agencyを起業。日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会の各会員。

根尖病変(根尖性歯周炎)の基礎知識

根尖病変(根尖性歯周炎)の基礎知識
根尖病変は、激しい痛みを感じることもあれば、自覚症状がないまま静かに進行することもあります。放置すると悪化を招く病気であるため、注意が必要です。まずは根尖病変がどのような病気であるかをしっかりと理解しておきましょう。

根尖病変とは

根尖病変の根尖とは、歯の根の先端(尖端)のことです。そして、根尖部分が細菌感染などによって何かしらの病気になった状態を、根尖病変と呼びます。
具体的には根尖部分に細菌が感染し、それによって周囲の組織が炎症を起こす根尖性歯周炎が根尖病変に該当します。
また、根尖性歯周炎が慢性化して根の先に病的な組織が作られる根尖肉芽腫や、炎症によって作られた膿が歯茎に膿が蓄積されて大きくなることで強い痛みや腫れ、場合によっては膿によって周囲の骨が溶かされるといった症状につながる歯根嚢胞も根尖病変の一つです。

根尖病変の原因

根尖病変は、主にむし歯の放置によって生じます。
むし歯は口腔内にいる細菌が作り出す酸によって歯が溶かされていく病気で、歯の表面側であるエナメル質からはじまり、徐々に歯の内部へと感染が広がっていきます。
早い段階で治療を行えばむし歯の原因菌に感染している部分だけを削り取れば治療可能ですが、放置していると感染が進行し、歯の神経に広がります。神経に感染が広がると夜も寝られないほどにズキズキとした痛みが続くようになるため、多くの場合はこの段階までくると歯科医院での治療を受けますが、それでも放置していると神経が死滅し、根尖病変へと進行します。神経が死滅しているためむし歯による痛みは感じなくなりますが、根尖病変が進行すると蓄積された膿によって歯根嚢胞が作られ、強い痛みが生じることもあります。
なお、神経への感染が生じたタイミングで治療を受けた場合でも、歯の内部の感染を除去しきれていない場合や、再び歯の内部に感染が拡大してしまった場合は、早めに治療を受けなければ根尖病変へとつながります。
むし歯の治療として神経を除去する抜髄を行っている場合、むし歯が深くまで進行しても痛みなどの症状が現れないため、気が付かないうちに感染が広がって根尖病変へと至る可能性があります。
はじめのむし歯治療が適切に行われていて、細菌をしっかり除去できていたとしても、時間経過によって歯と詰め物の間に隙間ができてしまい、そこから細菌が侵入するということもあるので、再感染を防ぐためには定期的なメンテナンスが大切です。
また、歯に加わる過度な負担や外傷も根尖病変の原因の一つです。強い力が加わって歯の根にヒビが入るなどの損傷が起きると、その傷口から細菌が入り込み、病変を引き起こすことがあります。

根尖病変の症状

根尖病変の症状
根尖病変には特徴的な症状が見られます。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

歯茎に腫れや痛みが出る

根尖病変によって歯の根の周辺に炎症が生じると、炎症によって膿が作られます。この膿が袋状に溜まったものが歯根嚢胞と呼ばれるもので、歯根嚢胞ができると内側からの圧力によって歯茎が腫れたり、痛みを感じたりするようになります。
神経が酸などの刺激にさらされてズキズキとした痛みを感じるむし歯と異なり、歯茎が内側から圧迫される痛みであるため、むし歯の治療で神経を取り除いている場合でも痛みが生じます
急性期の場合、時間経過とともに膿が蓄積されて痛みが強くなるため、はじめの2日間程度は耐えられるような痛みであるのに対し、その後は歯を噛み合わせたり、腫れている部分に触れたりすると特に強い激痛を生じます。痛みだけではなく、発熱や全身の倦怠感といった症状を伴うこともあります。
それでも治療を受けず放置していると慢性期となって痛みは軽減される場合がありますが、鈍痛を感じることがあったり、噛んだときや根尖病変が生じている場所に刺激が加わった際に違和感や痛みを生じたりすることがあります。
また、腫れについても初期は歯茎の腫れなどとして現れますが、放置して症状が悪化すると、顔や口腔内、顎の下といった範囲まで腫れることもあります。

歯槽骨の吸収が起こる

細菌感染によって炎症が続くと、細菌が作り出す毒素などによって周囲の骨である歯槽骨が溶かされて減少してしまいます。
初期段階では自覚症状がない場合が多いですが、進行しすぎると歯を支える力が弱まり、歯がぐらついたり、よりひどい場合は抜け落ちてしまったりすることもあります。

膿が出る・口臭が強くなる

歯茎の内側に溜まった膿が排出される道ができると、そこから膿が漏れ出てくることがあります。膿には強い臭いがあるため、これが口臭の原因となって不快感をもたらす場合もあります。
また、根尖病変を放置しすぎて膿が蓄積されていった場合、皮膚を通じて外に排出されることもあります。

根尖病変が気付きにくく進行しやすい理由

根尖病変が気付きにくく進行しやすい理由
根尖病変は、ほかの口腔トラブルに比べて自分自身では気付きにくいという特徴があります。早期発見のために、なぜ発見が遅れやすいのかを知っておきましょう。

自覚症状が現れにくい

根尖病変は歯の根っこという隠れた場所で発生するため、表面的な変化がわかりにくいのが特徴です。また、すでに神経が死んでいる歯や処置済みの歯の周辺で起こるため、痛みを感じにくく、知らない間に病変が大きくなっているケースが多々あります。

変化が見えにくい

根尖病変は、歯の根っこの先という直接目に見えない場所に生じる病変であるため、視覚的な変化が乏しい症状です。特に、一度むし歯を治療した歯に再感染が生じた場合だと、目に見えない歯の内側で症状が進行してしまい、表面には変化があまり現れないことも多いため、目で見ただけでは気が付けない可能性が高いといえます。
歯茎に腫れや膿の出口が現れても、口内炎などの一時的なトラブルと見間違えてしまい、重大な病変であることに気付かないまま放置される可能性もあります。
なお、再治療ではなくむし歯を放置して根尖病変へといたっている場合は、むし歯によって歯が溶かされている状態であるため、変化に気が付かないということはあまり考えられません。

根尖病変を放置するリスク

根尖病変を放置するリスク
根尖病変は自然に治癒することはありません。放置すればするほど状況は深刻化していきます。根尖病変の症状を放置することでのリスクを解説します。

歯の欠損につながるリスク

根尖病変が進行すると、上述のとおり歯を支える歯槽骨が溶かされていくため、土台としての機能が損なわれます。しまいには歯が支えきれなくなって抜け落ちてしまい、元の状態に戻すことが困難になるリスクを孕んでいます。

敗血症などの全身症状にいたるリスク

歯の根元は血管が豊富に通っている組織と接しています。そのため、根の周囲に細菌が繁殖すると、細菌が血管内に入り込み、血流に乗って全身へ拡散してしまう可能性があります。
血液中に細菌が侵入しても、健康な状態であれば身体の免疫反応によって細菌が無害化されますが、免疫力が低下している状態だと血圧低下や意識障害、多臓器不全などを引き起こす敗血症という重篤な状態を招く恐れがあります。敗血症は命に関わる危険な病態であり、特に免疫力が低下している方やご高齢の方は十分な注意が必要です。
敗血症のほかにも、血流によって運ばれた細菌が心臓の弁などに感染して感染性心内膜炎などの病気を引き起こす可能性があります。

根尖病変の治療法

根尖病変の治療法
根尖病変の放置によるリスクを避けるためには、適切な時期に治療を行うことが大切です。
根尖病変が生じている場合の治療法を解説します。

感染根管治療・再根管治療

根尖病変が確認された際、まず検討されるのが根管治療です。
根管治療は歯の根っこ部分である根管に対する治療のことで、むし歯による細菌感染が確認されて初めて行う場合は感染根管治療、一度根管治療を行った歯に対して再度治療を行う場合は再根管治療と呼びます。
根管治療は、細菌に感染している神経を除去したうえで、ファイルと呼ばれる特殊な器具で根管内部の細菌を丁寧に掻き出して除去します。そのうえで根管内に殺菌力のある薬剤を重点して一定期間置き、根管内部の細菌を徹底的に殺菌する方法で治療が進められます。
根管内部の殺菌が完了したら、歯を整形して土台にして被せ物の治療を行い、細菌が内部に侵入するのを防ぎます。

歯根端切除術

根管治療だけでは治癒が難しい場合や、歯の根が曲がっているなど、構造上根の先までの処置が困難な場合には、歯根端切除術が検討されます。
歯根端切除術は言葉のとおり歯の根の先端を切り取る処置で、歯茎を切開して根を露出させたうえで行う外科的な治療です。歯根端切除術を行ったうえで、歯の根の先端側から器具を挿入して歯の内部を洗浄する根管治療が実施されることもあります。
歯根端切除術は患部を直接見ながら処置を行えるため、よりしっかりとした治療が期待できる一方で、高度な専門技術を必要とする治療法です。

抜歯

根管治療歯根端切除術といった保存的な治療を行っても改善が見込めないほど重症化している場合には、抜歯を選択せざるを得ない場合があります。
感染を放置し続けると周囲の健全な骨まで破壊され、ほかの歯に影響がでてしまうため、これ以上の拡大を防ぐために原因となる歯を取り除き、感染箇所を清浄化します。
抜歯を行った際は、噛み合わせを補うために入れ歯やブリッジ、インプラントの治療が行われますが、根尖病変の悪化により抜歯に至った場合は顎骨が溶かされていることも多く、そのままではインプラント治療が困難であるケースもあります。

骨欠損が大きい場合の外科治療

炎症によって失われた骨の範囲が広く、自然な回復が望めない場合は骨再生手術が行われることがあります。骨補填材などを用いて骨の量を取り戻すことで、将来的なインプラント治療や口腔機能の維持に備えることが可能です。

根尖病変と歯周病の違い

根尖病変と歯周病の違い
根尖病変と歯周病はどちらも歯茎の炎症や腫れ、口臭といった症状を伴う症状ですが、両者には原因や症状、治療法などに大きな違いがあります。それぞれについて解説します。

原因の違い

根尖病変は歯の内部から侵入した細菌が原因となるのに対し、歯周病は歯の表面や歯周ポケットに付着したプラーク中の細菌が原因の疾患です。
そのため、根尖病変は基本的にむし歯の進行によって生じますが、歯周病はむし歯がなくても発症し、進行していきます。

症状の進行の違い

根尖病変は歯の内部から感染が始まり、根の先端部を中心に炎症が広がります。一方で歯周病は歯と歯茎の境目から進行し、歯の周りを取り囲む組織を少しずつ破壊していくのが特徴です。
また、根尖病変は症状が進行して膿が蓄積されると強い痛みを生じやすいのに対し、歯周病はこうした自覚症状がないまま進行しやすく、気が付いたら歯槽骨が溶かされて歯がグラグラしてしまう状態になっていたというケースも多い病気です。

治療の流れの違い

根尖病変の治療は根管内部の清掃や外科的な根の切除が中心ですが、一方で歯周病の治療はスケーリングなどによる歯石除去や徹底したクリーニングを繰り返すことが基本です。アプローチする場所が内部か外部かという点が決定的な違いです。
ただし、根尖病変が進行しているようなケースの場合は口腔内のケアが不十分で歯周病も進行していることも少なくないため、歯の内部の治療に加えて歯周病の治療も行うケースが多いといえるでしょう。
なお、どちらの場合も進行すると歯を支える骨が溶かされてしまうため、症状の進行状況によってはどちらも骨再生手術などが行われることがあります。

まとめ

まとめ

根尖病変は自覚症状がないまま進行し、気付いたときには深刻な状態になっていることも少なくありません。しかし、定期的な歯科検診を受けていれば早期発見が可能であり、歯を失わずに済む確率は格段に高まります。大切なお口の健康を守るために、数ヶ月に一度のメンテナンスを習慣にされることをおすすめします。

この記事の監修歯科医師