歯周病の治療方法や治療の流れは?歯周病の進行と症状についても解説!
歯周病は、むし歯と並んで歯科の2大疾患と呼ばれる、多くの方にとって身近な歯科疾患です。
歯と歯茎の隙間に細菌が入り込むことで発症する歯周病ですが、初期では自覚症状がほとんどないといわれています。
歯周病は自覚がないまま進行し、ひどくなると歯を支えられないほど歯周組織を破壊してしまう病気です。
本記事では、歯周病の治療方法などについて解説します。
監修歯科医師:
荒川 太郎(あらかわ歯科医院)
2002年 山手学院高等学校 卒業
2008年 昭和大学歯学部 卒業
2008年 神奈川歯科大学にて1年研修を行なう
2009年 医療法人社団翔舞会 エムズ歯科クリニック 入社
2014年 医療法人社団翔舞会 エムズ歯科クリニック 退社
2014年 医療法人社団聖歯会 かねだ歯科診療室 入社
2016年 医療法人社団聖歯会 かねだ歯科診療室 退社
2016年 あらかわ歯科医院 開業
目次 -INDEX-
歯周病の進行と症状
歯周病は、歯と歯茎の隙間に生じる歯周ポケットに細菌が侵入することで生じる歯科疾患です。細菌が歯肉に炎症を起こしながら、歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)を溶かしている状態を歯周病と呼びます。歯周病の原因は、お口の汚れであるプラークが取りきれていないまま、細菌の温床となっていることです。
歯周病は初期の段階では症状に気付きにくく、早期治療が重要にも関わらず、患者さんが自覚できる症状はほとんどありません。しかし、病気が進行すると痛みや出血、口臭などの問題が現れます。
では、歯周病がどの程度進行すると、どのような症状が現れるのでしょうか。以下で解説します。
軽度の歯周病
歯周病は前段階の歯周炎から進行が始まります。歯周炎とは、まだ歯槽骨が破壊されておらず、歯肉のみが腫れている状態です。歯と歯茎の隙間にプラークが溜まったことをきっかけに歯茎が腫れ、深い歯周ポケットが形成されます。
歯周炎になると歯と歯茎の隙間を中心に、以下のような症状が現れます。
- 歯茎が赤くなる
- 腫れて盛り上がる
- 歯ブラシで触れると出血する
- 硬いものを食べた時に出血する
歯周炎の段階であれば、丁寧な歯磨きでプラークを取り除けば症状の改善が期待できます。ただし、軽度の歯周病まで進行すると、歯周ポケット内にプラークと歯石が溜まりはじめます。プラークが歯周ポケット内を歯の根に向かって進み、歯槽骨が破壊されはじめる段階です。
中等度の歯周病
中等度の歯周病では、プラークがさらに深く進行し、歯槽骨の破壊が進んでいます。この段階では、歯根全体の3分の1から2分の1が歯槽骨によって支えられなくなるほどダメージを受けています。歯を支える歯槽骨や歯根膜線維が大きく損傷されるため、歯がぐらつき始めるのが特徴です。
以下が中等度の歯周病でみられる代表的な症状です。
- 強い口臭が現れる
- 歯がぐらつく
- 歯茎がひどく腫れる
- 歯茎から出血する
ほかにも、歯茎の炎症が急激に生じた場合には、強い痛みや腫れが出るケースもあります。
重度の歯周病
歯槽骨が歯根全体の2分の1以上破壊されると、重度の歯周病と診断されます。この段階では歯茎が大きく下がり、歯が著しくぐらつくようになります。放置すると歯が抜け落ちる可能性が高くなるため、早期の対応が重要です。
以下が、重度の歯周病の症状です。
- 歯茎に強い痛みを感じる
- 歯茎から大量に出血する
- 歯茎から膿が出る
重度の歯周病まで進行すると、外科治療が必要になる可能性が出てきます。歯や歯茎に違和感を感じたら、放置せずに早めに歯科医院を受診しましょう。早期に治療を始めることで、歯を失うリスクを大幅に減らすことができます。
歯周病の治療方法・治療の流れ
歯周病治療の基本は、プラークコントロールをしながら炎症の治癒を促す、歯周基本治療です。
歯周基本治療では、歯科医院で行う本格的な清掃、プロフェッショナル・ケアを中心に治療を進めます。しかし、歯科医院でプラークを除去するだけでは、歯周基本治療は成立しません。歯周基本治療で重要なのは、患者さん自身による毎日のセルフケアと、プロフェッショナル・ケアが両立することです。
また、歯周基本治療では取り除けない、歯周ポケットの深い部分にプラークが溜まっている場合は、歯周外科治療を行う必要があります。以下では治療の流れにそって、歯周病治療の方法を解説します。
検査・診断・治療計画
歯科医院で問診や口腔内検査をして歯周病が疑われた場合は、まず精密な検査を行います。歯周病検査で実施されるのは、以下のような検査です。
- プロービング検査
- レントゲン検査
- プラーク付着率の検査
プロービング検査とは、針のような器具を歯周ポケットに差し込み、その深さを測る検査です。歯周ポケットの深さが1〜2mm程度ならば正常範囲内ですが、3mmを超えれば歯周病の可能性があります。
レントゲン検査では、歯槽骨がどの程度溶けているかを確認することができます。
プラーク付着率の検査は、染出液を使用して口腔内のプラークの付着場所やその量を確認する検査です。この検査により、口腔内にどれくらいのプラークが付着しているかを調べ、歯周病になりやすい環境かどうかを評価することができます。
スケーリング・歯磨き方法指導
歯周病治療は、歯周病の進行度にかかわらず、まず歯周基本治療から開始します。歯周基本治療では以下のような治療を行います。
- 歯垢の除去
- 歯石の除去
- 歯根面の滑択化
- 噛み合わせの調整
特に重要なのが、歯垢の除去、つまりプラークコントロールです。歯科医院では、歯垢を効果的に除去するためにスケーリングという処置を行います。スケーリングとは、専用の器具を使用して歯や歯根の表面に付着したプラークや歯石を丁寧に取り除く方法です。この処置により、歯周病の進行を抑え、健康な口腔環境を取り戻すことができます。また、患者さんのセルフケアの質を高めるために、歯磨き方法の指導も行われます。歯科医院でのケアと、患者さん自身のケアが両立できると、歯茎の状態の改善が期待できるでしょう。
検査
口腔内清掃の成果を確認するためには、検査が重要です。特に重要なのが、歯周ポケットの深さを測定するプロービング検査です。この検査で歯周ポケットの深さが改善していることが確認できれば、治療はメンテナンス期間に移行します。しかし、歯周ポケットが深いままの場合は、さらなる清掃治療や追加の処置が必要となります。
スケーリング・ルートプレーニング
たとえ歯周ポケットの深さが改善していなくても、患者さんが日々セルフケアを続けていれば歯茎が引き締まり、状態がよくなっていることが期待できるでしょう。歯茎の状態がよくなると、歯石除去もより効果的に行えるようになります。このタイミングで、スケーリングとルートプレーニングを組み合わせて、さらに徹底的にプラーク除去を進めます。
ルートプレーニングとは、歯の表面を薄く削り取り、ざらつき・歯石・プラークによって汚染された層を除去する治療です。この処置により、歯の表面が滑らかになり、汚れが付着しにくくなるという効果も期待できます。
検査
治療後に再度検査を行い、歯周ポケットの状態を確認します。もし歯周ポケットの深さが改善されていれば、メンテナンス期間に移行します。しかし、歯周基本治療だけでは対応できない深い歯周ポケットの奥にプラークが残っている場合は、再発のリスクが高まるため歯周外科治療を行わなければなりません。
歯周外科治療にはいくつかの種類がありますが、標準的な方法としてフラップ手術が選択されることが一般的です。この手術では、治療対象の歯茎を切り開き、目視で確認しながら歯石やプラークを直接除去します。手術後に再度検査を行い、歯周ポケットの状態を評価して治療の効果を確認します。
定期的なメンテナンス
治療によって歯周組織が改善され、ポケットの深さが浅くなったら、メンテナンス期間に移行します。メンテナンスの主な目的は、お口の状態管理をして歯周病再発を防ぐことです。具体的には、以下のようなことを行います。
- 歯みがきの状態チェック
- 歯茎の状態チェック
- 歯周ポケットの深さチェック
- 噛み合わせのチェック
- 義歯や修復物の状態チェック
- 歯磨き指導
必要なメンテナンスの頻度は、歯周病の重症度と歯みがきのクオリティによって異なります。重症度が高い場合や、歯みがきの質に課題がある場合は、1〜3ヶ月に1回の頻度が推奨されることがあります。一方、軽度の歯周病やセルフケアがしっかりできている場合は、約半年に1回が適切とされます。歯科医師の指示に従い、適切な頻度でメンテナンスを受けましょう。
歯周病治療の種類
歯周病治療には、上記で紹介した方法以外にもさまざまな治療方法があります。
歯周再生療法
歯周再生療法とは、歯周病で溶かされてしまった歯根膜や歯槽骨などの歯周組織を再生するための手術です。
まずはフラップ手術と同様に、治療対象となる部分の歯茎を切り開き、歯石やプラークを取り除きます。その後、歯周組織が失われた部分に、再生を促す歯周組織再生材料を流し込みます。
歯周内科治療
歯周内科治療では、まず位相差顕微鏡を用いて、歯周病の原因菌を確認します。その後、細菌を除去する薬を内服しながら口腔内のカビを取り除く効果のある歯磨き粉を使用して、徹底的に口腔内を除菌します。除菌が完了した後に歯石取りを行い、治療は終了です。
この治療法のメリットは、従来の歯周病治療のように、高度な歯科医師の技術や質の高いセルフケアが必須ではない点です。
歯周病治療の効果を高めるためのポイント
歯周病治療では、治療後のゴールを明確にイメージし、歯の審美性と機能性の回復までを視野に入れることで治療の最終的な効果をより高めることができます。
治療が完了して口腔内の環境が安定したら、次のステップとして口腔機能回復治療があります。口腔機能回復治療とは、歯周病で失った歯の機能を取り戻すための治療で、以下のような治療が含まれます。
- 咬合治療
- 修復・補綴治療
- 歯周補綴
歯がなくなった部分には、人工歯として被せ物や入れ歯、インプラントなどを使用することで、美しい見た目と噛みやすさを取り戻せます。
口腔機能回復治療を行うことで、噛む力や食べる力を向上させることができるでしょう。
被せ物や入れ歯は保険診療と自費診療があり、インプラントは基本自費診療となります。
被せ物の自費診療は、セラミックによる治療などがあります。メリットは変色しにくく金属アレルギーの心配がない、天然歯に近い見た目で、デメリットは割れてしまうことがあることです。材料によって費用相場は異なりますが、100,000〜200,000円(税込)程です。
入れ歯のメリットは歯を削ったりすることなく治療ができることや取り外しができることなどで、デメリットは硬いものが食べづらいなどです。自費診療の場合、総入れ歯は300,000〜1,500,000円(税込)程となります。
インプラントのメリットは自分の歯と同じように噛むことができること、周囲の歯を削る必要がないことなどで、デメリットは外科手術が必要となること、治療期間が長いことなどがあります。費用相場は、1本200,000〜400,000円(税込)程です。
歯周病治療ならあらかわ歯科医院にご相談を
歯周病治療を検討しているならば、神奈川県横浜市の元町中華街にある、あらかわ歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。JR石川町駅から徒歩2分の便利な立地に加え、土曜日も診療を行っているため平日はお忙しい方でも週末を利用して気軽に通院できます。
あらかわ歯科医院では、患者さんに安心感を持って治療を受けてもらえるよう、丁寧で信頼できる医療提供を心がけています。
治療内容・回数・料金などを事前にしっかり説明
あらかわ歯科医院では、患者さんに対する治療の説明を重視しているそうです。歯科治療は、歯科医師と患者さんが協力して進めるものと考えているため、患者さんが理解し納得できる説明を心がけています。
具体的には、以下のポイントを丁寧に説明しているそうです。
- 治療方法
- 治療の選択肢
- 通院回数
- 治療の痛み
- 料金
特に、料金について明確に提案することで、患者さんが不安を抱かずに治療を受けられるよう配慮しています。また、治療の選択肢を複数提示することにもこだわり、患者さんが自身で適切な治療を選べる環境を整えています。歯周病治療においても、症例に応じて複数の選択肢を提案しているそうです。
一般歯科・歯周病治療から口腔外科まで幅広い治療に対応
あらかわ歯科医院では、院長を務める荒川先生の豊富な知識と経験を活かし、幅広い診療を提供しています。一般歯科はもちろん、難易度の高い根管治療や、先進的な歯科デジタル技術を取り入れた歯科治療、口腔外科にも対応しています。
歯周病や歯の痛み、むし歯の治療だけでなく、さまざまなお口の悩みがある際に頼れる歯科医院です。
リラックスできるおもてなしの空間で安心の歯科治療を
あらかわ歯科医院は、患者さんがリラックスして通える環境づくりに力を入れています。その背景には、「患者さんの緊張を和らげ、安心感を持って治療に臨んでほしい」という荒川先生の想いが込められているそうです。
受付ではスタッフさんが笑顔で出迎え、広々としたスペースを活用したスタイリッシュな待合室では、快適なソファでゆったりと過ごせます。
診察台は仕切られていて、周囲の視線を気にせず治療に集中できる環境が整っています。
治療後は、大きな鏡が設置されたパウダールームでメイク直しなどをゆっくり行うことができるそうです。
歯周病治療は継続的な通院が必要になるため、ストレスなく通える環境はとても重要でしょう。落ち着いた雰囲気の中で治療を受けたい方は、あらかわ歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。
あらかわ歯科医院の基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数
JR根岸線 石川町駅より徒歩2分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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10:00~13:00 | ● | ● | ● | - | ● | ● | - | - |
14:30~19:00 | ● | ● | ● | - | ● | ★ | - | - |
★:14:30~18:00
【費用(税込)】
■ 詰め物
金属:3,000円
金:66,000〜77,000円
セレック:44,000円
e-max:66,000円
ジルコニア:66,000円
金属冠(臼歯):5,000円
硬質レジン前装冠(前歯部):7,000円
CAD/CAM冠:6,000円
■ 被せ物
e-max:110,000円
ジルコニアセラミック:143,000円
ジルコニアクラウン:110,000円
ラミネートベニア:110,000円
■ 義歯(入れ歯)
金属床:300,000〜1,500,000円
■ インプラント
インプラント埋入(1本):275,000円
金属冠:110,000円
フルジルコニア:165,000円
ジルコニアセラミック:198,000円
GBR:33,000〜55,000円
ソケットリフト:55,000円
サイナスリフト:220,000円
【治療期間】
インプラント:半年~1年
入れ歯:1〜2ヶ月
詰め物・被せ物:0.5〜2ヶ月
【治療回数】
インプラント:2~6回
入れ歯:2〜4回
詰め物・被せ物:2〜4回
参考文献