入れ歯は、加齢や歯の喪失によって多くの方が使用する補てつ装置です。
正しいお手入れや保管方法を知らずに使っている方も少なくありません。特に入れ歯は乾燥に弱く、適切に管理しないと変形や破損のほか、口腔内トラブルの原因にもなりかねません。
厚生労働省や日本歯科衛生士会などでも、日常的なケアの重要性が強調されています。
本記事では、入れ歯の種類や正しいお手入れ方法、保管時の注意点を専門的な視点でわかりやすく解説します。
監修歯科医師:
石毛 俊作(大神宮デンタルクリニック)
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東北大学歯学部卒業。千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科 臨床研修医。千葉大学大学院 医学薬学府 医学博士。独立行政法人地域医療機能推進機構。船橋中央病院。歯科口腔外科/インプラントセンター勤務。いとう歯科クリニック勤務、海岸歯科室勤務。
入れ歯は乾燥に注意が必要?

入れ歯にはどのような種類がありますか?
入れ歯には、大きく
部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。
部分入れ歯は、一部の歯が残っている場合に使用し、金属製のバネ(クラスプ)で固定します。かむ機能も補うのが特徴です。総
入れ歯は、すべての歯を失った場合に使い、上顎用と下顎用があります。安定させるため、噛み合わせの調整が必要です。
入れ歯の素材にはレジンが使われ、軽くて加工しやすい一方、耐久性を高めるために金属床が用いられることもあります。金属床は薄くて丈夫で、違和感が少ないのが特徴です。
入れ歯は単なる歯の代わりではなく、食事や会話、生活の質を支える大切な装置です。
入れ歯は乾燥に弱いですか?
入れ歯は
乾燥に弱い性質があります。多くはレジンと呼ばれる歯科用プラスチックで作られ、水分によって形が保たれます。乾燥すると素材が変質し、フィット感が損なわれる恐れがあるため注意が必要です。違和感が生じると、快適に使い続けるのは難しくなるでしょう。こうした劣化を防ぐためには、使用しないときに水や専用の洗浄液に浸けておくことが大切です。正しい保管を心がけることで、
入れ歯の寿命を延ばし、食事や会話を快適に楽しむことができます。乾燥は
入れ歯にとって大敵であるため、日頃から意識しておくことが大切です。
入れ歯が乾燥するとどうなりますか?
入れ歯が乾燥すると、
さまざまなトラブルの原因になります。水分が失われると素材が収縮し、形が変形してフィット感が悪くなります。装着時に違和感や痛みが生じ、食事や会話に支障をきたすこともあるでしょう。さらに、乾燥によってひび割れが起こり、破損のリスクも高まります。また乾燥した
入れ歯は細菌が繁殖しやすく、口臭や口内炎、歯茎の炎症の原因になります。こうしたトラブルを防ぐには、
入れ歯を常に湿った状態での保管が大切です。厚生労働省や歯科医師会も日常的なケアの重要性を呼びかけています。正しいケアと保管を続ければ、
入れ歯の寿命を延ばし、快適な使用感と健康な口腔環境を維持できます。
入れ歯の正しいお手入れ方法や保管方法

入れ歯の正しいお手入れ方法を教えてください。
入れ歯を長持ちさせるには、毎日のお手入れが欠かせません。
入れ歯専用のブラシと中性洗剤を使い、優しく丁寧に洗いましょう。市販の歯磨き粉は研磨剤が含まれているため、
入れ歯を傷つけ、汚れや細菌が付着しやすくなるので使用は避けましょう。食事後は流水で食べかすを流すだけでも衛生的です。また、洗浄時は落下による破損を防ぐため、洗面台にタオルを敷くなどの対策も必要です。さらに就寝時には
入れ歯を外し専用の洗浄剤に浸けることで、見えない汚れや細菌を除去できます。適切なお手入れを続けることでむし歯や歯周病、口臭や
入れ歯の変形や劣化を防げます。
入れ歯と口腔内を清潔に保ち、健康で快適な生活を送りましょう。
乾燥しない入れ歯の保管方法を教えてください。
入れ歯は乾燥に弱いため、使用しないときは正しく保管することが大切です。基本は
清潔な水に浸すことです。特に就寝時は外して水に浸けることで乾燥や変形を防げます。専用の洗浄保存液を使えば、洗浄と保湿が同時にでき、細菌の繁殖や口臭予防にも効果的です。保管容器はフタ付きの清潔なものを使い、こまめに水を交換しましょう。水が汚れたままだと衛生面に悪影響を及ぼします。また熱湯に浸けたり乾いた布に放置したりすると、素材が変形や破損する恐れもあるため注意が必要です。正しい保管を習慣づけることで、
入れ歯の寿命が延び、快適で健康的な生活を送ることができます。
水につけて保管する場合の注意点を教えてください。
入れ歯を水に浸けて保管することは、乾燥による変形や破損を防ぐために欠かせません。
入れ歯は水分を含むことで安定した形を保っており、乾燥すると収縮やひび割れが起こり、フィット感が損なわれます。清潔な水を使い、毎日交換しましょう。長時間同じ水に浸けたままだと、細菌やカビが繁殖し、
衛生面に悪影響を与えます。また、熱湯や冷水は素材を劣化させるため避け、適温の水を使うことが大切です。保管容器も定期的に洗い、清潔を保ちましょう。万が一、異臭や変色が見られた場合は、自己判断せず歯科医師に相談しましょう。正しい保管を習慣にすれば、
入れ歯の品質を守り、快適な口腔環境を維持できます。
洗浄剤につけて保存する場合の注意点を教えてください。
入
入れ歯専用の洗浄剤は、目に見えない汚れや細菌、においの除去に効果的です。普段の水洗いだけでは落としきれない汚れをしっかり取り除き、清潔な状態を保つことができます。ただし、使用方法を誤ると
入れ歯の劣化につながるため注意が必要です。洗浄剤は指定された時間内で使用し、
長時間浸けすぎないようにしましょう。浸けすぎると、素材のレジンや金属部分が傷み、変色やひび割れの原因になります。また、洗浄後は流水で丁寧にすすぎ、成分をしっかり落としましょう。成分が残ると粘膜を刺激し、炎症や違和感を引き起こすことがあります。洗浄剤は専用のものを選び、金属の有無に合った種類を使いましょう。正しい方法で洗浄や保管を続ければ、
入れ歯の衛生状態と快適な使用感を長く保つことができます。
入れ歯のお手入れに関する注意点

入れ歯の破損を防ぐ方法を教えてください。
入れ歯は落下によって破損しやすいため、取り扱いには十分な注意が必要です。見た目は軽くて丈夫ですが、主な素材のレジンは衝撃に弱く、割れやすい性質があります。特に硬い床や洗面台に落とすと、ヒビや欠けが生じ、修理が必要になることもあるでしょう。また目に見えなくても微細な亀裂が入り次第にフィット感が悪くなったり、破損が進行したりする場合もあります。洗浄や着脱時はタオルを敷く、洗面器に水を張るなど、
落下防止の工夫をしましょう。万が一破損した場合は、自己判断で接着剤などを使わず、歯科医院で適切な修理や調整を受けましょう。正しく扱うことで、快適に
入れ歯を長く使用し続けることができます。
入れ歯は普通の歯磨き粉で磨いても大丈夫ですか?
入れ歯を市販の歯磨き粉で磨くことは推奨されていません。市販の歯磨き粉には研磨剤が含まれており、
入れ歯の表面に細かい傷をつける原因になります。こうした傷には汚れや細菌が入り込みやすく、変色や臭い、衛生不良につながります。また、素材の劣化や艶の喪失も招き、見た目や装着感が悪くなることもあるでしょう。専用のブラシと洗浄剤を使い、優しく丁寧にお手入れすることが大切です。やむを得ず中性洗剤を使う場合は、成分を確認し、十分にすすぐようにしましょう。誤ったお手入れは
入れ歯の寿命を縮め、口腔内の健康にも悪影響を及ぼします。
正しい方法でケアを続けることが、快適さと健康維持につながります。
入れ歯のお手入れでやってはいけないことを教えてください。
入れ歯を長く快適に使うには、
避けるべきお手入れ方法を正しく知ることが大切です。まず、熱湯に浸けるのは避けましょう。高温で変形し、フィット感が悪くなり、痛みや違和感が出ることがあります。また、市販の歯磨き粉で磨くのも控えましょう。研磨剤で細かい傷がつき汚れや細菌が入り込み、変色や臭いや衛生不良を招きます。さらに乾燥も禁物で、水分が失われると素材が劣化し、破損や変形の原因になります。加えて、
入れ歯を自分で削ったり、市販の接着剤で修理したりすることも避けましょう。こうした自己流の処置は状態を悪化させ、使用できなくなる原因になります。トラブル時は歯科医院で正しいケアや修理を受けましょう。
編集部まとめ

入れ歯は、日々の食事や会話を支える大切な装置です。しかし、乾燥や不適切な取り扱いにより、変形・破損だけでなく口臭や口内炎などの口腔トラブルを引き起こす可能性があります。
入れ歯を長く快適に使うためには、毎日のお手入れと適切な保管がとても重要です。専用のブラシと洗浄剤で丁寧に磨き、使用しないときは水や洗浄液に浸して乾燥を防ぎましょう。
適切な管理を続けることで入れ歯の寿命を延ばし、衛生的に保てます。もし入れ歯に違和感がある、破損したなど何か問題を感じた場合は、ご自身で対処せずにすぐに歯科医院に相談しましょう。
正しい知識と専門家によるケアで、入れ歯はあなたの健康で快適な生活を長くサポートしてくれるでしょう。