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1日で終わるセラミック治療の特徴|セレック治療の流れやメリット・デメリット、費用を解説

 公開日:2025/08/14
1日で終わるセラミック治療の特徴|セレック治療の流れやメリット・デメリット、費用を解説

セラミック治療のなかでも、1日で完了する治療法が注目を集めています。 通常、セラミックの詰め物や被せ物は歯科技工所で作るため、治療完了までに数日〜1週間以上かかることが一般的です。 しかし、新しい治療法として注目されているセレック治療では、歯科医院内で詰め物や被せ物の作製までを完了します。 数日かかっていた治療が、1日で治療を終えることが可能です。 本記事では、セレック治療の特徴や従来治療との違いについて解説します。 さらに、具体的な治療の流れやメリットやデメリット、費用相場まで幅広く解説します。 忙しくて何度も通院できない方や、短期間で歯をきれいにしたいと考える方は今後の治療に活かせる内容となるでしょう。

石毛 俊作

監修歯科医師
石毛 俊作(大神宮デンタルクリニック)

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東北大学歯学部卒業。千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科 臨床研修医。千葉大学大学院 医学薬学府 医学博士。独立行政法人地域医療機能推進機構。船橋中央病院。歯科口腔外科/インプラントセンター勤務。いとう歯科クリニック勤務、海岸歯科室勤務。

1日で終わるセラミック治療の特徴

歯と医療器具 1日で終わるセラミック治療には、次のような特徴があります。

これらのポイントを知ることで、治療の仕組みやメリット・デメリットを理解し、自分に合った治療法かどうか判断できるようになります。

セレックシステムの特徴

セレックシステムは、歯科医院内でセラミックの詰め物や被せ物を作製できる新しい設備です。 従来は歯型をとって外部の歯科技工所で作るため、完成まで数日〜1週間かかっていました。 しかしセレックでは、口腔内スキャナーで歯を撮影し、そのデータをもとに医院内の機械でセラミックブロックから修復物を削り出します。 このため、1日で治療を完了できるのです。 また、セレックはコンピューター制御で設計や加工を行うため人為的な誤差が少なく、精密な仕上がりが期待できます。 さらに、型取りの不快感や仮歯の期間も不要となるため、患者さんの負担も軽減されるでしょう。

従来のセラミック治療との違い

従来のセラミック治療では、歯型をとってから外部の歯科技工所に製作を依頼し、完成品が届くまでに1週間ほどかかることが一般的でした。 その間、患者さんは仮歯で過ごす必要があり、複数回の通院も必要でした。 一方、セレック治療では、口腔内スキャナーによるデジタルデータをもとに医院内でセラミックの詰め物や被せ物を作製するため、1日で完了します。 また、従来法では技工士が手作業で作るため仕上がりに個人差が出ることもありましたが、セレックはコンピューター制御により精度が安定していることが特徴です。 このように、治療期間や通院回数、仕上がりの安定性に大きな違いがあります。

セレック治療の流れ

歯のホワイトニング セレック治療は、新しいデジタル機器を活用して、短時間で詰め物や被せ物を作製・装着する治療法です。 工程はとてもシンプルで、初めての方でもスムーズに治療を受けられるでしょう。 実際の治療の流れは以下のとおりです。

  • 口腔内スキャン
  • 詰め物や被せ物の設計と作製
  • 噛み合わせの調整
  • 詰め物や被せ物の装着
これらの作業がすべて歯科医院内で完結することで、1日での治療完了が可能になります。

口腔内スキャン

セレック治療では、まず専用のスキャナーを使って歯の形を読み取ります。 これは粘土のような型取り材を使う従来の方法とは異なり、カメラでお口の中を撮影するような感覚で行われます。 このスキャンによって得られたデータは精密で、歯の細かい凹凸まで正確に再現が可能です。 そのため、患者さんにとっては負担が少なく、短時間で済むのが特徴です。 さらに、撮影したデータはすぐにパソコン上に反映され、そのまま設計作業に移れるため、スムーズな治療のスタートが可能になります。

詰め物や被せ物の設計と作製

歯とインプラント スキャンしたデータをもとに、パソコン上で詰め物や被せ物の形をデザインします。 この設計作業は専用のソフトウェアを使って行われ、患者さん一人ひとりの歯の形や噛み合わせに適合した理想的な形を作り上げます。 設計が完了したら、セレック専用の加工機を使用してセラミックブロックから詰め物や被せ物が削り出される仕組みです。 この加工機はコンピューター制御で動くため、人の手で作るよりも均一で精密な仕上がりになります。 作製には数十分程度しかかからず、その日のうちに詰め物や被せ物が完成することが、従来の治療との大きな違いです。

噛み合わせの調整

完成したセラミックの詰め物や被せ物は、お口のなかで正しく噛み合うように細かい調整を行います。 噛み合わせが不適切だと、違和感や痛みが出ることがあるため、この工程はとても重要です。 セレック治療では、設計段階で噛み合わせも考慮して作られているため、大きな調整は必要ありません。 しかし、実際にお口に装着してみてから細かな噛み合わせのズレを微調整します。 これにより、快適に食事や会話ができるようになります。

詰め物や被せ物の装着

噛み合わせの調整が終わったら、いよいよセラミックの詰め物や被せ物を歯に固定します。 セレック治療では、専用の接着剤を使ってしっかりと固定するため、長期間問題なく使えるのが特徴です。 装着後は、しっかり噛んでも外れないか、違和感がないかを確認します。必要に応じて仕上げの調整を行い、問題がなければ治療は完了します。 このように、1日でセラミックの装着まで終えられることが、セレック治療ならではのメリットです。 患者さんはその日のうちに普段どおりの生活に戻ることができるでしょう。

セレック治療のメリット

歯ブラシを持つ歯科助手 セレック治療は、従来の治療と比べて多くの利点があります。特に、見た目の美しさや治療期間の短さ、身体への優しさが特徴です。 主なメリットは以下のとおりです。

  • 耐久性があり変色しづらい
  • 金属アレルギーのリスクがない
  • むし歯のリスクが低い
  • 治療期間が短く費用を抑えられる
これらのメリットを理解することで、セレック治療がどのように日常生活に役立つか、イメージしやすくなるでしょう。

耐久性があり変色しづらい

セレック治療で使用されるセラミック素材は高い耐久性を持ち、日常生活での噛む力や熱、摩擦などにしっかり耐えることができます。 また食事や飲み物による着色汚れがつきにくく、長期間きれいな白さを保てるのが特徴です。 さらに、セラミック自体が劣化しにくい性質を持っているため、適切なケアを続ければ10年以上使用できるケースもあります。 見た目の美しさと耐久性を両立したい方におすすめの素材です。

金属アレルギーのリスクがない

セレック治療で使用するセラミックは、金属を一切含まない素材です。 そのため、金属の詰め物や被せ物に比べてアレルギー反応が起こる心配がありません。 特に、過去に金属アレルギーを指摘された方や、肌が敏感な方にとっての選択肢です。 また、金属を使わないことで歯茎の変色や黒ずみも起こりにくく、お口全体の見た目が自然に仕上がります。

むし歯のリスクが低い

歯の治療 セレック治療で作るセラミックの詰め物や被せ物は、歯にぴったり合うように精密に作製されます。 この高い適合性により、隙間からむし歯菌が入り込むリスクを減らすことができます。 さらにセラミック素材自体は細菌が付着しにくく、表面もツルツルしているため、プラーク(歯垢)がたまりにくいでしょう。 このように、再びむし歯になるリスクを低く抑えられることも、セレック治療の大きなメリットです。

治療期間が短く費用を抑えられる

セレック治療は、歯科医院内で設計から作製・装着まで完了するため、通院回数が1回で済むことが少なくありません。 従来のセラミック治療では、歯科技工所に依頼していたため、完成までに数日〜1週間ほどかかり、2回以上の通院が必要でした。 セレック治療ではその分の時間や手間が省け、トータルの治療期間が短縮されます。 また、外部の技工所に依頼しないため、中間コストがかからず、従来のセラミック治療よりも費用が抑えられるケースもあります。 忙しい方やできるだけ早く治療を終えたい方におすすめです。

セレック治療のデメリット

電話をかける医者 セレック治療は大変便利な治療法ですが、どのような方にも適しているわけではありません。 事前にデメリットも理解しておくことが大切です。代表的なデメリットは、以下のとおりです。

  • 適用できない症例がある
  • 保険適用外の自由診療である
  • 歯科医師の技術や経験が仕上がりに影響する
これらを踏まえて、自分に合った治療法かどうかをしっかり検討しましょう。

適用できない症例がある

セレック治療は便利な方法ですが、すべての症例に対応できるわけではありません。 例えば歯茎の下まで大きく欠けている歯や、複雑な形状のブリッジ、インプラントの上部構造などは適用外となることがあります。 また、噛み合わせのバランスが大きく崩れている場合や、歯ぎしりが強い方は別の治療法を選ぶこともあります。 このように、症例ごとに治療法の向き不向きがあるため、事前に歯科医師とよく相談しましょう。

保険適用外の自由診療である

セレック治療健康保険が適用されない自由診療です。 つまり、治療費は全額自己負担となり、従来の銀歯治療などに比べて高額になる可能性があります。 詰め物や被せ物の種類によって費用は異なりますが、1本あたり数万円から100,000円(税込)程度かかることが一般的です。 そのため、費用面での負担を考慮して治療を検討することが大切です。事前に費用の詳細や支払い方法について、歯科医院に確認しておくと心強いでしょう。

歯科医師の技術や経験が仕上がりに影響する

セレック治療はデジタル機器を使う治療ですが、設計や仕上げには歯科医師の技術や経験が大きく関わります。 特に、セラミックの色合いや形を周囲の歯と自然にさせるためには、細かな調整や微妙な色付け(ステイン処理)が必要になります。 経験の浅い歯科医師が対応すると、色味や形がわずかに不自然に仕上がることもあるため、セレック治療に慣れた歯科医院を選ぶとよいでしょう。 満足度を高めるためには、技術力と経験が豊富な歯科医師のもとで治療を受けることが重要です。

セレック治療に向いている症例

会議する医療従事者の男女 セレック治療は、軽度な症状や審美性を重視するケースに適しています。 具体的には、以下のような症例が向いています。

  • 歯の変色
  • 詰め物と被せ物の劣化
  • 銀歯の交換
  • 歯と歯の間に隙間がある状態
  • 軽度の歯並びの乱れ
  • ラミネートベニア
どの症例に適しているかは、歯の状態やご希望に応じて判断されます。

歯の変色

加齢や食べ物・飲み物による着色、神経を抜いた歯の治療跡などで、歯が黄ばんだり黒ずんだりすることがあります。 こうした変色はホワイトニングでは改善しきれないこともありますが、セレック治療ならセラミックで表面を覆うことで対応可能です。 自然な白さに整えることで、見た目の印象が大きく変わります。また、変色だけでなく、歯の表面の凹凸も一緒にカバーできるのが特徴です。 美しさと機能性を両立した治療法といえるでしょう。

詰め物と被せ物の劣化

長年使っている詰め物や被せ物は劣化し、すき間ができたり変色したりすることがあります。 そのまま放置すると、むし歯や歯周病の原因になることもあります。セレック治療では、古くなった修復物を新しいセラミックに交換可能です。 精密に作られているため、歯にぴったり合い、再発リスクも抑えられます。長期間快適に使い続けられることが大きなメリットです。

銀歯の交換

銀歯 昔治療した銀歯は、見た目が気になると感じる方も少なくないでしょう。 また、金属アレルギーや劣化によるむし歯の再発リスクも心配です。セレック治療なら、銀歯を自然な白いセラミックに交換できます。 周囲の歯となじむため、笑ったときも違和感がありません。セレック治療は、機能性と審美性を両立した治療法です。

歯と歯の間に隙間がある状態

前歯などにわずかなすき間がある場合、見た目が気になることがあります。 このようなケースでは、セレック治療セラミックを装着し、自然にすき間を埋められます。 歯を大きく削らずに対応できるのが特徴です。仕上がりはとても自然で、周囲に気付かれにくいでしょう。 短期間で見た目を改善したい方におすすめです。

軽度の歯並びの乱れ

前歯が少しだけずれている、軽く重なっている場合などは、セレック治療で整えることができます。 歯列矯正ほど大がかりな治療は必要ありません。セラミックを部分的に被せることで、見た目を自然に整えます。 治療期間も短く、気軽に始めやすいのが魅力です。気になる部分だけをピンポイントで改善できます。

ラミネートベニア

ラミネートベニアとは、歯の表面に薄いセラミックを貼り付ける治療法です。 主に前歯の色や形を整えるために使われます。セレック治療でも、このベニアを院内で作製できるため、短期間で仕上げることが可能です。 自然な仕上がりで、笑ったときの印象も明るくなります。審美性を重視したい方に適した治療法です。

セレック治療の費用相場

歯にかかる費用 セレック治療自由診療となるため、費用は歯科医院や治療内容によって異なります。 おおよその相場は以下のとおりです。

  • 詰め物(インレー)の費用相場
  • 被せ物(クラウン)の費用相場
  • そのほかにかかる費用
事前に料金の目安を知り、治療に臨みましょう。

詰め物(インレー)の費用相場

セレック治療で作る詰め物(インレー)は、1本あたり約40,000〜60,000円(税込)程度が一般的な相場です。 従来の保険診療で使われる銀歯よりは高額ですが、見た目の自然さや耐久性、金属アレルギーのリスク低減といったメリットがあります。 また、医院内で作製できるため、外部の技工所に依頼する場合よりもコストを抑えられるケースもあります。 ただし、正確な費用は歯科医院によって異なるため、事前に見積もりを確認することが大切です。

被せ物(クラウン)の費用相場

セレック治療による被せ物(クラウン)の費用は、1本あたり約50,000〜80,000円(税込)程度が目安です。 詰め物よりも材料や製作工程が複雑なため、やや高額になります。 それでも、外部の歯科技工所に依頼する従来のセラミッククラウンよりは、費用が抑えられる場合があります。 また、セレッククラウンは金属不使用のため、金属アレルギーの心配がなく、見た目も自然で美しい仕上がりです。 費用は医院によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

そのほかにかかる費用

治療費用 セレック治療では、詰め物や被せ物以外にも初診料検査費用がかかります。 例えば、口腔内スキャンやレントゲン撮影、むし歯の除去処置などが必要になる場合があります。 これらの費用は医院ごとに異なりますが、数千円から10,000円(税込)程度が一般的です。 また、治療後の定期検診やメンテナンス費用も考慮しておくとよいでしょう。トータルの治療費を事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

医療従事者

セレック治療は、1日でセラミックの詰め物や被せ物を作製・装着できる新たな治療法です。 従来よりも治療期間が短く、通院回数を抑えられるため、忙しい方にも推奨できる治療方法です。 さらに、金属を使用しないため金属アレルギーのリスクがなく、耐久性や見た目の美しさも兼ね備えています。 一方で、自由診療となるため費用面の負担があり、症例によっては適用できない場合もあります。 そのため、ご自身に合った治療かどうか、歯科医師とよく相談して決めることが大切です。治療内容や費用をしっかり理解し、納得したうえで治療を受けましょう。

この記事の監修歯科医師