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侵襲性歯周炎は治せる?放置が招くリスクと早期治療の重要性

 公開日:2025/07/31
侵襲性歯周炎は治せる?放置が招くリスクと早期治療の重要性

「最近、歯茎の腫れや出血がひどくなってきた気がする……」そんな不安を抱えていませんか? 実は、若い世代でも急激に進行する「侵襲性歯周炎」というタイプの歯周病があります。気付かないうちに歯を失うリスクが高いため、早期の発見と的確な治療が重要です。 本記事では、侵襲性歯周炎の特徴や治療法、予防のポイントまで詳しく解説します。

山田 潔

監修歯科医師
山田 潔(医療法人社団山田歯科成瀬クリニック)

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日本大学歯学部卒業後、同学部歯周病学講座入局。同学部大学院歯学研究科歯科臨床系を修了し、同学部歯周病学講座非常勤講師へ。その後、静岡市八木歯科に勤務。平成10年、日本歯周病学会認定歯周病専門医を取得し、日本大学歯学部歯周病学講座兼任講師を務める。平成11年、町田市成瀬にて開業。平成21年、日本歯周病学会指導医取得。日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会所属。

侵襲性歯周炎とは?

侵襲性歯周炎とは? 侵襲性歯周炎は若い方によく見られる歯周病です。 一般的に知られている歯周病は慢性歯周炎と呼ばれ、段階的に進行していくのが特徴ですが、侵襲性歯周炎は急速に進行していきます。 ここでは通常の歯周病の違いと侵襲性歯周炎のサインについて解説します。

通常の歯周病との違い

通常の歯周病と侵襲性歯周炎の症状はほとんど変わりませんが、発症する年齢や原因、進行速度が違います。 歯周病は進行状況によって呼び名が異なります。歯周病の初期段階を歯肉炎と呼び、歯垢や歯石が原因となり歯茎が炎症を起こしている状態を指します。歯肉炎が進行し、歯を支える組織まで炎症が広がっている状態が慢性歯周炎で、いわゆる通常の歯周病と呼ばれる状態です。発症する年齢に限りはありません。 侵襲性歯周炎は若い方に発症しやすい歯周病で、進行速度が早いとされています。通常の歯周病は歯垢や歯石の付着量、全身の健康状態によって進行速度が変わりますが、侵襲性歯周炎はそれらに関係なく急速に歯周組織が破壊されます。侵襲性歯周炎の原因として、遺伝的要因や環境による影響が考えられています。

侵襲性歯周炎のサイン

通常の歯周病と同じく、侵襲性歯周炎は初期の段階では自覚症状に乏しいのが特徴です。初期の段階では痛みなどの自覚症状はなく、進行してからさまざまな症状が出てきます。歯磨きをしていると歯茎から出血する、歯茎が腫れているなどの症状は歯周病の初期症状の可能性があるでしょう。 この状態を放置するとさらに症状が進行し、歯がぐらぐらするようになり、最悪の場合は歯が抜けることもあります。歯茎から出血している、朝起きたときにお口の中がねばねばしているなど、少しでも気になる症状がある場合は早めに歯科医院に相談しましょう。

なぜ早期治療が重要なのか

なぜ早期治療が重要なのか 侵襲性歯周炎は早期治療が重要です。先述のように進行速度が早く、治療せずに放置していると数年以内に歯周組織が破壊され、最悪の場合、歯を失うこともあるでしょう。 歯周病の原因となる歯周病菌にはさまざまな種類があり、歯周病菌の出す毒素によって歯周組織が破壊されます。歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かすため、歯がぐらぐらし、最終的に抜け落ちてしまうのです。侵襲性歯周炎は歯周ポケットが深く、歯槽骨の吸収量が多い傾向にあります。 侵襲性歯周炎の原因となる菌は、Aa(アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス)です。侵襲性歯周炎と診断された患者さんの多くから検出され、歯茎が健康な方からはほとんど検出されません。Aaは通常の歯周菌よりも毒素が強く、歯周組織に対し強い病原性を持っているといわれています。そのため、歯垢や歯石の量が少なくても歯茎の炎症が起こりやすいと考えられています。 Aaは繊毛を持つため歯茎に付きやすく、歯茎の内部に侵入してしまうので取り除くのが難しいという特徴もあります。 通常の歯周病治療は歯垢を徹底的に除去し症状の改善を目指しますが、侵襲性歯周炎は歯垢や歯石の付着量によらないので、思うように治療効果が出ないこともあります。 若い方にとって歯を失うリスクは精神的な負担が大きく、歯周病が重症化すると全身にも影響を与える可能性があるため、早期治療が大切です。歯周病は唾液によって移ることもあるので、侵襲性歯周炎に罹患している家族がいる方は、特に注意しましょう。

侵襲性歯周炎の治療法

侵襲性歯周炎の治療法 侵襲性歯周炎の治療法は、基本的には通常の歯周病の治療と変わらず、歯周病の原因となる歯垢や歯石の除去を行います。自宅でのセルフチェックによる歯垢の除去、歯科医院で行うスケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(歯根の表面の清掃)、噛み合わせの調整などをまとめて歯周基本治療といいます。 歯周基本治療により歯周組織が改善し、ポケットの深さが2~3mm程度に浅くなったら定期的なメンテナンスへと移行します。歯周病の進行を抑えるためには、歯垢の除去をしなければなりません。特定の菌を排除するための細菌検査や抗菌薬の服用も治療法の選択肢に含まれることがあります。 ここからは、侵襲性歯周炎の治療法について詳しく解説します。

基本のスケーリング・ルートプレーニング

歯周病治療において、基本となるのがスケーリングルートプレーニングです。 スケーリングはスケーラーと呼ばれる器具を使って歯に付いている歯石を除去することです。歯石は石灰物で毒素はありませんが、軽石のように小さな穴が空いているため、そこに細菌が繁殖します。歯周病の症状が軽度なら、スケーリングを行った後、適切な歯磨きを続ければ歯茎の炎症が治まります。 ルートプレーニングは、歯周ポケットの奥深くにある歯石や毒素や微生物に汚染された表層を除去する方法です。ほとんどの場合、スケーリングと同時に行われます。 歯周病によって歯がぐらぐらしている場合は、噛み合わせの調整を行うこともあります。

外科的治療や再生療法の選択肢も

歯周基本治療で改善しない場合、外科的治療や再生療法が検討されることがあります。 外科的治療は、ポケット内に細菌が生息していて歯磨きでは除去できない場合、歯周病が進行している場合などに検討される方法で、歯茎を切開して歯石を除去します。 一般的な歯周病治療だけでは組織の破壊を止めるのが難しく、歯の保存が困難な場合は歯周組織の再生療法が検討されることがあります。これは破壊された歯槽骨や歯根膜などの歯周組織の再生を目指す治療法で、GTR法(組織誘導再生療法)では、歯周ポケット内に特殊な膜を設置して再生するためのスペースを確保し、骨と歯周組織の再生を誘導します。 どちらの場合も、治療後は検査で改善しているかを確認してその後の治療計画が立てられます。    

予防医学の観点から見る侵襲性歯周炎

予防医学の観点から見る侵襲性歯周炎 ここまで、侵襲性歯周炎について解説してきました。ここでは、侵襲性歯周炎を予防医学の観点から解説します。

口腔と全身の健康はつながっている

近年、歯周病が全身の健康と関係することがわかってきました。高齢の方の死亡原因の一つである肺炎の原因の多くはお口の中の細菌が原因とされ、誤嚥性肺炎は歯周病菌を始めとする細菌が唾液と一緒に肺に流れ込むことで発症すると言われています。 糖尿病も注意が必要で、糖尿病により血糖コントロールが悪くなると感染による抵抗力が低下し、歯周病の悪化につながります。歯周病が悪化して歯周病菌による毒素が血液中に入ると、インスリン分泌機能が低下します。 ほかにも、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの原因のひとつとなることもあると考えられています。 このように、口腔と全身の健康はつながっており、健康に過ごすためには口腔も健康であることが大切です。

自分の歯を守るための「予防」

侵襲性歯周炎に限らず、歯周病を予防することは、自分の歯を守ることにつながります。 また、歯周病はほかの治療にも影響を与えることがあります。例えば歯周病がある状態でインプラント治療を受けた場合、インプラント周囲炎のリスクが高くなり、インプラントの脱落につながるでしょう。歯列矯正においても、十分な効果を得ることができなくなります。

侵襲性歯周炎の治療なら山田歯科成瀬クリニックにご相談を

山田歯科成瀬クリニック 侵襲性歯周炎の治療でお困りの方は、山田歯科成瀬クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。 山田歯科成瀬クリニックには日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医が在籍しており、専門的な治療を提供しています。また、予防治療に注力したメンテナンス体制で、歯周病の再発防止にも努めているそうです。 ここからは、山田歯科成瀬クリニックの特徴を紹介します。

日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医による専門的な歯周病治療

山田歯科成瀬クリニックの院長は日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医の資格を持っており、専門性の高い歯周病治療を提供しています。 歯周病は進行性で再発しやすいため、適切な診断と継続的な管理が必要です。山田歯科成瀬クリニックは、重度の歯周炎や侵襲性歯周炎に対する診療にも対応し、患者さん一人ひとりの状態に応じたオーダーメイドの治療計画の立案に努められています。新しい技術や知識を積極的に取り入れ、再発防止も視野に入れた専門的な歯周病治療が提供されています。  

予防治療に注力したメンテナンス体制

山田歯科成瀬クリニック 歯周病は、再発しやすいだけでなく発症すると完治が難しい病気です。そのため早期発見と早期治療、悪化させないためのメンテナンス、そして予防が大切です。 歯科治療において、プラークコントロールは重要です。歯垢を除去し、付着しないようにすることで、口腔内の清潔を保つことができます。山田歯科成瀬クリニックの歯周病予防では、患者さんが適切な歯磨きができるように歯磨き指導などを通してサポートしています。 しかし、プラークコントロールはセルフケアだけでは難しいため、山田歯科成瀬クリニックは歯周病治療の経験が豊富な歯科衛生士がプロフェッショナルケアを行う、歯周病の予防プログラムコースを用意しています。

全身疾患と連携した治療方針で患者さんの健康をサポート

山田歯科成瀬クリニックは、ただ歯周病の治療をするだけではなく、全身疾患と連携した治療方針で患者さんの健康をサポートしています。 その取り組みの一つに、歯周病改善を目的とした禁煙相談があります。タバコに含まれるニコチンの作用により歯茎が炎症を起こしても気付きにくいため、喫煙者は歯周病になりやすいだけでなく重症化しやすいといわれています。 ほかにも、歯周病と関わりが深い糖尿病の患者さんに対しては、医科と連携して歯周病と糖尿病の相互作用を抑え、血糖値をコントロールして患者さんの健康維持をサポートすることを目指して診療されています。 糖尿病で悩んでいる方や侵襲性歯周炎の治療に悩んでいる方、予防を重視したメンテナンスに興味がある方は、山田歯科成瀬クリニックへ相談してみてはいかがでしょうか。

山田歯科成瀬クリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間・費用

JR横浜線 成瀬駅 徒歩3分

東京都町田市南成瀬1-4-5

診療時間
9:00〜12:30
14:00〜18:00

【費用(税込)】
 5,000〜30,000円程度(重症度・部位数によって変動)

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