

監修医師:
五藤 良将(医師)
爪甲白斑の概要
爪甲白斑(そうこうはくはん)は、爪の表面に白い斑点や線が現れる状態で、白色爪とも呼ばれています。主に物理的な刺激や圧迫で起こるもので、多くの人が一度は経験したことがある一般的な爪の変化です。
通常は健康上の大きな問題を示すものではなく、爪の成長とともに自然に消失していきます。
爪甲白斑は手指と足のどちらの爪にもあらわれることがあり、点状に小さな白斑が生じるものもあれば、爪全体が白くなるものまでさまざまです。爪の表面はなめらかで、白斑部分に凹凸が見られないのが特徴です。
まれに全身の健康状態や栄養状態が関係してあらわれることもありますが、ほとんどの場合は一時的な変化であり、特に心配する必要はありません。
ただし、白斑が長期間続いたり、急に増えたりする場合は、医師による診察を受けることが推奨されます。

爪甲白斑の原因
爪甲白斑は、外的な爪への刺激または全身の状態が原因で起こります。
爪への外的な刺激や圧迫により、爪の表面に小さな傷がつき、空気が入り込むことで爪甲白斑が生じることがあります。爪を強くぶつけたり、爪を使って物を扱ったりする際の衝撃が原因となることがあります。
また、長時間のキーボード作業での爪への繰り返しの刺激やマニキュアの除光液の使用、爪の過度な甘皮処理なども、爪への外的な刺激が加わる可能性があります。
まれに爪甲白斑は体の健康状態を反映してあらわれることもあります。亜鉛やカルシウムなどのミネラル不足、タンパク質などの不足、腎臓病、肝臓病などの内科的疾患によって爪が白くなることがあります。
また、化学療法などの副作用によってあらわれることもあります。
爪甲白斑の前兆や初期症状について
爪甲白斑で最も一般的なのは、爪に点状や線状の白斑が単独であらわれる「点状白斑」です。点状白斑は多くの場合、爪への物理的な刺激や圧迫が原因で発生します。
爪の表面はなめらかで、白斑部分に凹凸はありません。圧力をかけても白い部分の色は変化しないのが特徴です。白斑は爪の成長とともに先端に向かって移動していきます。
点状白斑は手指と足の爪のどちらでも発生する可能性があり、一つの爪に複数の白斑があらわれたり、複数の爪に同時にあらわれたりすることもあります。
ただし、複数の爪に白斑があらわれる場合は、全身の健康状態が影響している可能性があるため、医療機関の受診が推奨されます。
爪甲白斑の検査・診断
爪甲白斑の診断は主に、医師による問診と視診で行われます。医師は白斑の形状や大きさ、分布などを観察し、爪の表面状態も確認します。白斑が現れた時期や、爪を傷つけるような習慣の有無について聴取した後、爪の表面の状態を触って凹凸の有無も調べます。
より詳しく調べる必要がある場合は、ダーモスコピー(皮膚を拡大して観察する特殊な機器)を使用して、白斑の性質や爪の変化を調べます。
爪は爪白癬(つめはくせん)などでも白く変化することがあるため、必要に応じて真菌検査を行うことがあります。また、全身性の病気が疑われる場合には、血液検査や尿検査なども必要です。
爪甲白斑の治療
爪甲白斑の治療法は、原因によって異なります。
物理的な刺激が原因の場合は、特別な治療を必要とせず、爪の成長とともに自然消失していきます。爪の生え替わりには、数ヶ月かかるため、この間は刺激を避けることが大切です。
白斑の原因が全身状態や病気にある場合は、原疾患に対する治療が必要です。
腎臓病や肝臓病が原因の場合は、それぞれの病気に対する治療を行います。栄養状態の異常が原因の場合は、亜鉛やカルシウムなどのミネラル、タンパク質の補給などの栄養管理を行います。
また、爪のケアも重要な治療の一環です。爪を強くぶつけたり傷つけたりしないよう注意し、マニキュアやネイルケア用品の使用は控えめにします。爪を清潔に保ち、保湿を心がけましょう。
化学療法などの治療にともなう白斑の場合は、原則として病気の治療継続が優先されます。
爪甲白斑になりやすい人・予防の方法
爪甲白斑は、爪への物理的な刺激が原因で発生することが多く、多くの人が一度は経験する一般的な症状です。
とくに、日常的に爪に負担がかかりやすい仕事や趣味をされている方は、爪甲白斑が発生しやすい傾向にあります。さらに、キーボード作業が多い方や、手作業の多い職業の方は注意が必要です。マニキュアを頻繁に使用する方も、爪への刺激が増えるため気をつける必要があります。
予防のためには、爪を強く打ちつけたり傷つけたりしないよう注意し、爪の適切なケアを心がけることが大切です。また、マニキュアや除光液の使用は最小限にとどめ、爪への負担を減らすことをおすすめします。
すでに白斑が発生している場合は、その部分が自然に伸びてくるまでの間、新たな刺激を避けることが重要です。ただし、複数の爪に白い点や線が同時にあらわれたり、長期間白斑が続いたりする場合は、全身性の病気が隠れている可能性があるため、医師による診察を受けましょう。
関連する病気
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参考文献




