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頭皮湿疹
高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

頭皮湿疹の概要

頭皮湿疹とは、頭皮に発生する炎症性の皮膚炎です。
頭皮にポツポツ、ブツブツと赤い湿疹が出来たり、かゆみがでたりします。

ひっかいて傷つけてしまうとかさぶたとなり、治りにくくなるケースもあります。
化学物質のアレルギーや皮膚の乾燥、皮脂の過剰分泌、菌の感染などで発生することが多い疾患です。

治療はステロイド薬を使用し、炎症を抑えるとともに、低刺激のシャンプーや保湿剤を利用して頭皮の健康を保つことが重要です。

頭皮湿疹

頭皮湿疹の原因

頭皮湿疹の原因は主に接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、膿痂疹、皮脂欠乏性皮膚炎などが挙げられます。

接触皮膚炎

接触皮膚炎とはアレルギー物質に触れることで発症します。頭皮にアレルゲンの物質が付着することで免疫が過剰に反応し、炎症が引き起こされる仕組みです。
アレルゲンの原因となりやすいのは化学物質や香料、防腐剤、染料です。これらの化学物質が含まれているシャンプーやコンディショナー、ヘアカラーやヘアケア剤などを使用することで、頭皮湿疹が生じることがあります。
また金属製のアクセサリーが原因となることもあります。

脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)

脂漏性皮膚炎による頭皮湿疹は皮脂の過剰分泌が原因です。
加えて、皮膚に存在するマラセチア菌(Malassezia)の関与も要因と考えられており、複合的に炎症を引き起こします。
頭皮は皮脂腺が多いため脂漏性湿疹を引き起こしやすく、ストレスやホルモンバランスの乱れも脂漏性皮膚炎の原因となりえます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎による頭皮湿疹は遺伝的な要因と環境的な要因が関与しています。
アトピー性皮膚炎では乾燥肌が特徴で、皮膚バリア機能が低下しているため、外部の刺激やアレルゲンに対し敏感になりやすいです。
特に、乾燥した環境やストレス、特定の食べ物やアレルゲンとの接触により発症する可能性があります。

膿痂疹

膿痂疹による頭皮湿疹は黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌などの細菌感染が原因です。
傷や掻き壊しから頭皮に細菌が入り込み、感染を広げてしまい頭皮湿疹を引き起こします。
湿潤した環境も細菌を増やしてしまう要因の1つです。

頭皮湿疹の前兆や初期症状について

頭皮湿疹の初期症状は強いかゆみであることが多く、掻くことで一時的にかゆみは収まりますが、その後悪化する可能性が高いです。
また、赤みやポツポツとした湿疹を伴い、頭皮湿疹の原因によって症状も複雑に変化します。

接触皮膚炎

接触皮膚炎の場合はシャンプーなどの化学物質を使用した際にかゆみやピリピリした感覚をともなうことがあります。
アレルゲンとの接触後、数時間から数日以内に現れることが多いです。

脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)

脂漏性皮膚炎の場合はフケ(鱗屑:皮膚の表面から剥がれる角質細胞の塊)が増加する可能性があります。
黄色味を帯びている脂性のフケが頭皮に現れる傾向です。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎では赤みや炎症を伴い、頭皮の乾燥を感じることがあります。
頭皮以外にも乾燥や湿疹の症状が出ている場合は注意が必要です。

膿痂疹

膿痂疹では感染している細菌によって発熱や咽頭痛、下痢などの腹部症状を引き起こす可能性があります。
また、出現する湿疹は小さな水疱から膿を含む膿疱に進展することもあり、膿疱が破れた後は黄色や褐色のかさぶたができます。

頭皮湿疹の検査・診断

頭皮湿疹の診断は単一の検査結果だけでなく、臨床症状や他の検査結果と合わせて総合的に行われます。
患者の症状や疑われる疾患に応じて適切な検査を選択する必要があります。

パッチテスト

パッチテストは接触皮膚炎の診断に用いられます。
金属、化粧品、薬品などのアレルゲンを皮膚に貼付し、アレルギー反応を観察します。
結果は通常48時間後と72時間後に判定され、赤くなったりかゆみを伴うかどうかを確認します。

直接検鏡

直接検鏡は、皮膚の表面や病変部から採取したサンプルを顕微鏡で直接観察します。
この検査は菌による感染症の診断に特に有効です。

IgE抗体検査

アレルギー反応が疑われる場合、アレルゲンの原因を特定するためにIgE抗体検査をおこないます。
IgE抗体検査には、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を調べる「特異的IgE抗体検査」と、アレルギー体質であるかどうかを調べる「非特異的IgE抗体検査」の2種類があります。
IgE抗体検査は特にアレルギー性の接触皮膚炎の診断に有用です。

頭皮湿疹の治療

頭皮湿疹の治療では、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン剤などの薬物を使用します。あわせて保湿剤や低刺激シャンプーの使用が推奨されます。
また頭皮湿疹の原因によっては抗真菌薬や抗生物質を使用することもあります。

ステロイド外用薬

炎症を抑えるために、ステロイド外用薬が広く使用されます。
特に炎症が強い場合に短期間使用し、用法容量を守って長期間の使用は避けましょう。

抗ヒスタミン薬

かゆみを軽減するために、抗ヒスタミン薬の内服が共通して推奨されます。
これにより、かゆみを抑え、掻き壊しを防止します。

保湿剤・低刺激性シャンプーの使用

頭皮の乾燥を防ぐために、低刺激性の保湿剤やシャンプーの使用が推奨されます。
保湿は、乾燥による症状の悪化を防ぐために重要です。
また香料や化学物質が少ないシャンプーを使用し、頭皮の健康と清潔を維持しながら皮脂のバランスを整えます。

抗真菌薬・抗生物質の使用

脂漏性皮膚炎の場合、マラセチア菌の増殖を抑えるため、抗真菌薬を含む外用薬やステロイドを含むシャンプーなどが処方されることがあります。また膿痂疹の場合、細菌感染が原因であるため、抗生物質の外用薬や内服薬が処方されます。
感染が広がる前に早期治療を行うことが重要です。

頭皮湿疹になりやすい人・予防の方法

頭皮湿疹になりやすい人には、敏感肌、脂性肌、免疫力が低下しているなどの特徴があります。
敏感肌の人やアトピー性皮膚炎の既往歴がある人、アレルギー疾患の家族歴がある人は、皮膚のバリア機能が弱いため、頭皮湿疹のリスクが高くなります。子供や高齢者など、皮膚の薄い人も注意してください。

脂性肌の人も、皮脂の過剰分泌が原因で脂漏性皮膚炎を発症しやすいです。
特にホルモンバランスが乱れがちな思春期や更年期の女性、ストレスを多く抱える人はリスクが高まります。

また、免疫力が低下している人は、細菌感染に対する抵抗力が弱まり、膿痂疹などの感染症を引き起こす可能性があるでしょう。

頭皮湿疹を予防するためには、日常的なケアが重要となり、頭皮を清潔に保つことが基本です。
低刺激性のシャンプーを使用し、適度な頻度で頭皮を洗浄することで、皮脂の過剰な分泌や汚れの蓄積を防ぎます。
保湿ケアを徹底することで、頭皮の乾燥を防ぎ、バリア機能を強化しましょう。

さらに、ストレス管理やバランスの取れた食事を心がけ、皮脂分泌のコントロールや免疫力の向上を図りましょう。


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